ホーム > 世界の電気事業の動き > 2015 年度

2015 年度

海外電力調査会が収集した世界各地の電気事業情報を、エリア別、項目別にフィルタリングできます。各年度毎の表示となります。

エリアを選択:
項目を選択:

2015年度

2016.03.10
米国:オレゴン州、石炭火力による電力の購入禁止を含む法律を制定
Kate Brownオレゴン州知事(民主党)は2016年3月10日、州の新たなRPS目標を「2040年までに再エネ50%」とする法案(SB1547)に署名し、同法案が成立した。この法律には州内の大手電力会社2社に対し、2030年までに石炭火力からの電力購入を禁止する条文が含まれている。オレゴン州は、法律に基づき発電での石炭使用を中止する初めての州となる。 印刷用PDF
2016.03.08
フランス:Engie、スマートシティ構築を視野に米ビッグデータ企業へ投資
フランスの大手エネルギー事業者Engieは2016年3月8日、米国のビッグデータ分析・ソリューション提供企業のStreetLight Data社に200万ドルを投資したと発表した。同社は、都市の自動車の挙動・交通機関の運行特性を分析することにより、交通渋滞の緩和などに役立てるソリューションを100以上の都市で展開している。Engieは、StreetLight Data社のデータ分析ソリューションを取り入れることで、スマートシティ関連での新たな事業機会を模索する。 印刷用PDF
2016.03.06
タイ:Gasohol 20、2017年末までに義務化
エネルギー省(DOE)は2016年3月5日、2017年末までにバイオエタノールの混合率を20%に高めたGasohol 20の販売を義務化すると発表した。現在、給油所を運営する企業は、ガソリンにバイオエタノールを10%混合したバイオガソリン(Gasohol 91)の販売が義務付けられている。 印刷用PDF
2016.03.03
ブラジル:電力関連資産、投資家は購入に慎重姿勢
2016年3月3日付の報道によると、ブラジルでは多くの電力関連資産が売りに出されており、同国で事業を展開している中国や日本などの外資系企業には事業拡大のチャンスになっている。ただし、政治的および経済的な不確実性が新規参入者の投資を敬遠させているとしている。売却案件は、Duke Energy社が所有する水力発電所やPetrobras社が所有する火力発電所、Renova Energia SA社の風力発電所や配電会社Celg社など多数ある。政府は先日、2015年の実質経済成長率はマイナス3.8%という予測を発表していることに加え、国有石油会社絡みの汚職問題などから現政権の支持率が低迷し、投資家の信頼を損なっているとも報じている。 印刷用PDF
2016.03.03
スイス・フランス:ジュネーブ州、仏ビュジェ原子力発電所の閉鎖を求める
2016年3月3日付の報道によると、スイスジュネーブ州はフランス東部(アン県)にあるビュジェ原子力発電所の閉鎖を求めパリの裁判所に提訴した。同発電所は、ジュネーブから約 70km(仏リヨンから約 30km)の場所に位置し、ジュネーブ州は長年同発電所の閉鎖を求めてきた。ビュジェ原子力発電所は現在、1 号機は解体中で、2-4号機が運転中、5 号機は原子炉格納容器の漏えい率の問題により昨年 8 月から停止中である。ジュネーブ州の弁護士は、反原子力派として知られるルパージュ元フランス環境相が務めており、1 年前からビュジェ原子力発電所の閉鎖を強制するための戦略を練ってきたという。 印刷用PDF
2016.03.02
中国:天然ガス消費量、2030年に4,800億m3
能源研究会は2016年3月2日、「中国エネルギー展望2030」を発表した。その中で、2020年の天然ガスの国内消費量は2,900億m3で、「第十三次5カ年計画」期間の年平均増加率は7.5%になるとされている。また、2030年の国内消費量は4,800億m3で、一次エネルギー消費総量に占める割合は12%になり、2020~2030年の10年間の平均増加率は5.2%と予測されている。国家発展改革委員会によれば、2016年1月の天然ガス輸入量は前年比22.6%増の76億m3、消費量は同17.6%も増の223億m3で、一次エネルギー消費量に占める天然ガスの割合は6%であった。 印刷用PDF
2016.03.02
米国:ネバダ州のラスベガス~リノ間でEV用充電設備が完成
2016年3月2日付の業界紙によると、ネバダ州のラスベガス~リノ間の高速道路にEV用充電設備を配備した「Electric Highway」が完成、同州のブライアン・サンドバール知事が完成式典に参加した。本プロジェクトは、1回の充電で長距離を走ることが難しいEVの導入を促進し、都市部から遠い地域へのEVの利用機会を増加させ、地域経済の発展を促す狙いがある。設置されたEV用充電設備の一部はフル充電に4時間を要するが、その他は80%充電に約30分要する。 印刷用PDF
2016.02.29
中国:北京と広州に電力取引センター設立
2016年2月29日付の報道によると、北京電力取引センターと広州電力取引センターの2市場が3月1日に発足する。北京電力取引センターは国家電網公司の全額出資子会社(5,000万元出資、1元:約17円)で、広州電力取引センターについては、南方電網公司が全株式の66.7%を保有し、残りは関係企業と第三者機構が持ち合う。北京電力取引センターは、主に区域間と省間の電力を取引する市場を運営する。広州電力取引センターは、主に西電東送プロジェクトの推進、省間の電力取引、クリーンエネルギーの消費拡大を目的として運営される。 印刷用PDF
2016.02.26
ブラジル:住友商事、バイオマス燃料事業に参入
住友商事は2016年2月26日、ブラジルのバイオマス燃料製造会社Cosan Biomassaの株式20%を取得したと発表した。Cosan Biomassa(サンパウロ州)は世界最大の製糖メーカーCosanの子会社で、サトウキビを圧縮成型したペレット状燃料を製造し、主に発電用燃料として利用される。同社は2015年から年産17万5,000tの工場を新設、本格的な商業生産に入っている。サンパウロ州では製糖過程で出るサトウキビ残渣が豊富にあり、同社は市場規模を睨みつつ、2025年に200万t、将来的には800万tまで生産能力を拡大するとしている。住友商事は、安定的なバイオマス燃料の確保を目指して、2008年から日本向けに発電用バイオマスの輸入ビジネスを手掛け、欧州市場での販売も視野に入れている。 印刷用PDF
2016.02.24
中南米:イベルドローラ、中南米事業の中心はメキシコとブラジル
スペインのエネルギー大手イベルドローラは2016年2月24日、2016~2020年の中期事業計画を発表した。その中で、中南米での事業はメキシコとブラジルが中心になるとしている。同社は、本国であるスペインの他、米国、英国、中南米地域で事業を展開している。計画によると2020年時点で保有する発電設備容量は4,870万kWで、国別ではスペイン52%、メキシコ19%、米国16%、英国11%、ブラジル2%となる。2020年の発電電力量は1,680億kWhで、国別ではメキシコ38%、スペイン37%、米国14%、英国9%、ブラジル1%となる。同社は今後成長が見込める分野を米国では配電、米国と英国では再生可能エネルギー、メキシコでは発電としている。 印刷用PDF
2016.02.24
フランス:アヴェイロン県に水素ステーションを建設へ
2016年2月24日付フランス経済紙の報道によると、フランスの廃棄物処理企業Braleyは、フランスの南部アヴェイロン県ロデズ郡近郊のオネルシャトーで、水素ステーションを建設する。同社は、フランス大手エネルギー事業者のEDF、水素製造を行うAreva H2Gen、欧州のエネルギーに関する研究機関のEiferらと共同でプロジェクトを立ち上げ、これが欧州の公募プロジェクトに選定された。プロジェクト予算である350万ユーロのうち、160万ユーロがEU、地方圏議会およびフランス政府の補助金により賄われる。運開は1年後となる予定。同水素ステーションでは、Areva H2Genが設計したPEM(固体高分子電解質膜)型エレクトロライザー(水電解装置)を用いて水の電気分解を行い、水素を製造する。電気分解には、夜間に余剰となる安価な電力が使用される。一日に145kgの水素が製造され、ロデズ郡に配置される80台の燃料電池搭載車両の燃料として供給される予定となっている。 印刷用PDF
2016.02.23
米国:ニューヨーク州公益事業委員会、小売事業者への規制を強化
ニューヨーク州公益事業委員会は2016年2月23日、電力およびガス小売事業者に対する新たな規則を発令した。同規則は、電力・ガス小売事業者が家庭用需要家および小規模商業用需要家と契約する際、料金メニューが(1)既存事業者との契約よりも電気代が安くなること、または(2)再エネの割合が30%以上であること(電力の場合に限る)の少なくとも一つの条件を満たすことを命じている。規則は新規契約または契約更新の場合に適用され、需要集約制度(CCA:Community Choice Aggregation)による契約は規則の対象外とされている。なお、施行開始日は発令の10日後(2016年3月4日)に予定されている。 印刷用PDF
2016.02.17
ブータン:ブータン初の風力発電所が運開
2016年2月17日付の現地報道によると、2016年1月にブータンで初の風力発電所が運開した。この発電所は、同国のほぼ中央に位置するワンディ県に建設され、出力600kW(300kW×2基)である。同県はブータン国内を南北に貫くプナサンチュ川が流れており、川沿いに強い南風が吹く。この工事はアジア開発銀行(ADB)の支援を受けブータン電力公社が発注し、日本の株式会社駒井ハルテックが受注した。工期は2014年9月~2016年1月。同国は水力資源が豊富で、国内の発電設備容量の98%超が水力発電であるが、冬季には乾燥がひどく、氷河湖が凍結して河川流量が減少することから、水力以外の電源開発が進められている。政府は、2025年までに太陽光発電5,000kW、風力発電5,000kW、バイオマス発電5,000kWの導入を目指している。 印刷用PDF
2016.02.16
スウェーデン:オスカーシャム1号、2017年6月末に閉鎖へ
オスカーシャム原子力発電所の管理会社OKGは2016年2月16日、オスカーシャム原子力発電所1号機(O1)(47.3万kW、BWR)の閉鎖日を2017年6月30日に決定したと発表した。同発電所の主要株主である独E.ONは2015年10月の臨時株主総会で、同炉の早期閉鎖時期を2017年~2019年の間に実施することを決定していた。その後の検討により、同炉の計画停止時期と合わせて2017年6月末に閉鎖することが最良のタイミングと判断した。同社はO1の早期閉鎖する理由として、長期にわたる電力価格の低迷や増額された原子力税などを挙げており、安全性によるものでないと強調している。 印刷用PDF
2016.02.14
米国:最高裁判所の裁判官の急逝でCPP裁判の行方が不透明に
2016年2月14日付の報道によると、最高裁判所の9人の裁判官のうちの一人Antonin Scalia氏が急逝したことを受けて、CO2排出規制クリーンパワープラン(CPP)に対する裁判の行方は増々不透明となっている。これまで最高裁の裁判官は、保守派5人対リベラル派4人の構図になっており、CPPの一時差し止めに対しても5対4でこれを認める判決を下していた。最も保守的とされていたScalia氏が急逝したことで、保守派対リベラル派は4対4となり、後任人事の動向が注目されている。オバマ大統領は残りの任期中に後任の指名を行う考えを示しているが、共和党は、大統領選挙後に新たな大統領が指名すべきと強硬に主張している。なお、後任の指名には、最終的に上院議会の承認が必要となる。 印刷用PDF
2016.02.08
メキシコ:送配電損失率が13%に
メキシコ電力公社(CFE)は2016年2月8日、2015年の送配電損失率は前年比1%減の13.1%になったと発表した。それによると、テクニカルロスは配電網事故に起因したもので、ノンテクニカルロスは盗電や検針の不正等に起因したものと説明している。CFEは送配電損失率の改善に取り組んでおり、2012年の16%から、2013年に15%、2014年に14%と低減し、2018年までに10~11%程度にする目標を掲げている。また、2017年末までにスマートメーターを新たに200万台設置することを計画している。 印刷用PDF
2016.02.09
米国:最高裁判所、CPP施行の差し止めを容認
米国最高裁判所は2016年2月9日、EPAのクリーンパワープラン(CPP)の施行を、訴訟の裁定が下るまで差し止めるべきであるという要求を5対4で可決した。同年1月21日、下級裁判所(ワシントンDC巡回控訴裁判所)において、テキサス州やウェストバージニア州を中心としたCPP反対州および石炭関連企業による要求が却下されたが、同月27日に最高裁に対して差し止めの請求が行われ、今回の判決により一転し要求が認められた。 印刷用PDF
2016.02.03
ブラジル:電力諮問委員会、石油火力発電所の閉鎖を提案
ブラジル鉱山エネルギー省は2016年2月3日、政府の電力諮問委員会(CMSE)が石油火力発電所7カ所、200万kW分の閉鎖を提案したと伝えた。水力発電所の電源地域でのダム水位が降雨によって十分確保されたことを受けて提案をまとめたもので、閉鎖対象とされた発電所は発電コストが420レアル(108ドル)/MWhを超えていると報告している。ブラガ大臣はこの提案に対し、高コストの火力発電所を閉鎖すれば、家庭向け電気料金を3レアル(0.8ドル)/kWhから1.5レアル(0.4ドル)/kWhに引き下げることが可能になるとの見解を示している。 印刷用PDF
2016.02.03
中国:2016年の電力需要、年率需給予測を発表
中国電力企業連合会は2016年2月3日、2016年の電力需給予測を発表した。経済成長率は減速し、電力消費の伸び率は1~2%としている。電源開発では、新規運開分は約1億kWで、2016年末の総発電設備容量は16.1億kW前後、非化石エネルギーによる発電設備容量は全体の36%前後になるとしている。電力供給は全体的に余裕があり、一部地区では過剰状態になると見ている。全発電設備の利用時間は3,700時間で、火力発電は4,000時間と予測され、卸電気料金の引き下げや大口需要家との直接取引による料金低下の影響を受け、石炭火力発電会社の利益は大きく減少するとしている。 印刷用PDF
2016.02.03
スウェーデン:Vattenfallが2015年決算を発表、3期連続の無配へ
スウェーデンの大手エネルギー会社Vattenfallは2016年2月3日、2015年決算を発表した。売上高は前年比1%減の1,645億クローナ(約2兆3,000億円)、EBITDAは同20%減の328億クローナ(約4,600億円)となった。北欧における水力発電電力量の増加や燃料価格の低下等を背景とする卸電力価格の低下が減益につながった。加えて、早期閉鎖を決めたスウェーデンのリングハルス原子力発電所1、2号機やドイツの褐炭火力発電所などに関して合計368億クローナ(約5,100億円)の減損処理を行ったため、当期純損益は198億クローナ(2,800億円)の赤字となった。今期の配当も、一昨年、昨年に引き続き無配を継続する考えを示している。風力発電事業に力を入れる同社は、2016~2017年の新規事業への投資額の9割以上(144億クローナ(約2,000億円))を同事業に充てる方針を示し、他社とのパートナーシップによる開発を重視しながら2020年までに230万kW以上の設備を新たに建設する目標を示した。 印刷用PDF
2016.02.01
アジア:日本の海外直接投資、カンボジア、ラオス、ミャンマー、ベトナムへ
2016年2月1日付の記事によると、最近、日本企業の投資先が、カンボジアとラオス、ミャンマー、ベトナムに向かいつつある。JETROによれば、2015年の日本の海外直接投資のうち、これら4カ国への投資は全体の1.5%未満であるが、増加しつつあり、投資の利点が少なくとも2点ある。日本企業は一旦投資すると、長期間にわたって投資先で事業を進めること、日本企業には、OJT研修や技術・知識移転を通じて、現地従業員や投資パートナー、現地企業などを支援しようという姿勢を示す企業が多いことである。 印刷用PDF
2016.02.01
ドイツ:連邦経済エネルギー相、GHG削減策としてEUのETS改革を重視
専門誌が2016年2月1日に報じたところによると、ガブリエル連邦経済エネルギー相は2016年1月19日にベルリンで開催された会議の席上で、ドイツ連邦政府は欧州排出量取引制度(EU-ETS)を機能させて、ドイツを含むEU全体のGHG削減を図っていくことが第一義と考えており、これに先立ってドイツ国内の石炭・褐炭火力を中長期的に閉鎖する計画に係る議論を進めるのは理解できないと語った。同相の発言は、ヘンドリクス連邦環境相が2015年11月24日に今後20~25年をかけて石炭・褐炭火力発電所を閉鎖していくための作業を開始しなければならないと語ったことを受けたもの。ドイツ連邦政府の政策に影響力を持つ環境シンクタンクのアゴラエネルギーヴェンデも2016年1月11日に2040年までに1990年比でGHGを70%削減するとしたドイツ連邦政府の目標を達成するための施策として、石炭火力2,700万kW、褐炭火力2,100万kWの運用を2040年に向けて段階的に中止すべきとした提言をまとめており、関係各方面に波紋を投げかけている。 印刷用PDF
2016.01.28
フィリピン:小規模需要家のオフピーク料金を大幅値下げ
首都圏の配電事業者であるMERALCOは2016年1月28日、商・工業需要家に適用している時間帯別料金について、月間使用量499kWh以下の小規模需要家のオフピーク料金を大幅に割り引く「Meralco Biz Partners Program」(Meralco BPP)を年内に導入すると発表した。同社の現行のオフピーク料金(適用時間:午後9時~午前8時)は、用途に関係なく一律3.2ペソ/kWh(約7.9円/kWh)で、平均販売単価(8.7ペソ/kWh:約20.8円/kWh)の36.8%となっている。 印刷用PDF
2016.01.25
米国:Con Edison社が送電線、ガスパイプライン事業専用の子会社を設立
ニューヨーク州最大の電力会社Con Edison社は2016年1月25日、送電線およびガスパイプライン開発プロジェクトに特化した新たな子会社Con Edison Transmission社を設立すると発表した。現在Con Edison社は、他のニューヨーク州の電力会社と共同で、送電線開発プロジェクトを手掛ける合併企業New York Transcoを設立しているが、今後はCon Edison Transmission社としてプロジェクトに出資する。また、ガスパイプラインに関しては、米国で最大の天然ガス埋蔵量を有するMarcellusガス田と北東部の大規模需要地帯を結ぶパイプライン開発などを手掛けていく予定である。Con Edison Transmission社の社長に就任するJoseph Oates氏(Con Edison社の副社長)は、「我々は、お客さまに多様性のあるエネルギーを低コストで供給するための輸送インフラ整備に焦点を当てていく。再エネの普及拡大やシェールガス革命など、米国のエネルギー環境が急速に変化する中、輸送インフラ整備に特化した子会社を設立することは、我々にとって自然な流れだった」と述べている。 印刷用PDF
2016.01.25
サウジアラビア:サウジアラムコが石油・ガス開発への投資を継続する方針
2016年1月25日の報道によれば、サウジアラビアの国営石油会社サウジアラムコのKhalid al-Falih会長が石油・ガス開発に対する新規投資を削減するつもりはないとの方針を示した。同社は世界最大の原油輸出企業であるが、原油価格低迷の現況下においても、Falih会長は「(同社は)費用削減で、多くの効率化を実現してきている」と語っており、同社は原油のマーケットシェア維持を狙っているものとみられている。また、同国政府が発表しているサウジアラムコ株売却の計画については、詳細は決まっていないとしている。 印刷用PDF
2016.01.22
米国:NY州、クリーン電力基準に原子力を含めることを正式決定
2016年1月22日付の報道によると、ニューヨーク(NY)州の公共事業委員会は、現在策定作業を進めているクリーン電力基準(CES:Clean Energy Standard)ポートフォリオに原子力発電を含めることを正式決定した。NY州のクオモ知事は昨年12月、2030年までにNY 州の消費電力の50%を再生可能エネルギーで賄うとするCESを策定するよう公益事業委員会に指示していた。公益事業委員会は今回、CESの範囲を拡大し、CO2排出削減に貢献している原子力発電を含めることとした。このCESには、経済的理由で閉鎖リスクにさらされているNY州北部の原子力発電所を支援する仕組みが盛り込まれる予定。NY州北部で原子力発電所を運営するエクセロン社は、「この政策は、NY州北部の原子力発電所の継続的な運転および地域経済の発展を長年にわたり支援する」と述べ、今回の決定を歓迎している。 印刷用PDF
2016.01.21
インドネシア:PLNの電源開発予算は10兆ルピア
エネルギー鉱物資源省(MEMR)は2016年1月21日、国家予算審議会(DPR-APBN:Dewan Perwakilan Rakyet-Anggaran Pendapatan dan Belanja Negara)で2016年の国営電力会社(PLN)の電源開発予算を10兆ルピア(約841億円)とすることが承認されたと発表した。 印刷用PDF
2016.01.17
中国:風力発電、2015年の新規運開設備容量は3,000万kW超
中国再生可能エネルギー学会風力専門委員会は2016年1月17日、「2015年風力発電統計」を発表した。2015年の1年間に新規運開した風力発電設備容量は前年比31.5%増の3,050万kWとなった。国家能源局は、2016年に新規運開容量2,000万kW以上という目標を設定しているが、業界関係者は2,500万kW前後になると予測している。 印刷用PDF
2016.01.15
チリ:再エネ発電設備が2017年までに倍増する見通し
チリの持続可能エネルギー開発・促進センター(CIFES)は2016年1月15日、2015年12月の再エネ発電実績を発表した。12月の再エネ電源による発電電力量は7億2,900万kWhで、全電源の11.7%を占めた。2015年12月末現在で運転中の再エネ発電設備は263万kWで、建設中の再エネ発電設備が282万kW、環境評価をクリアした再エネ発電設備容量が1,810万kWであった。建設中の設備の内訳は、太陽光が84%、風力8%、太陽熱(CSP)4%、地熱2%、小水力2%であった。CIFESによると現在建設中の設備は2017年10月までにすべて運開する予定で、その時点での設備容量は現在の倍増となる見通しである。 印刷用PDF
2016.01.15
デンマーク:2015年の風力発電比率が42%と過去最高を記録
デンマークの送電系統運用者Energinet.dk は2016年1月15日、2015年のデンマークの風力発電量が国内の総電力消費量の42.1%に達し、過去最高値を記録したと発表した。デンマークにおいて、同比率は2005年の18.7%から大幅に拡大しており、2014年には39.1%となって世界最高値となっている。なお、デンマーク政府は2020年までに同比率を50%に高めることを目指している。 印刷用PDF
2016.01.14
スペイン:再エネ買取で同国初となるオークションを実施
2016年1月14日付報道によると、スペインで再エネ買取制度が再開され、買取価格を決めるためのオークションが同年1月14日に実施された。入札には、募集枠(風力50万kW、バイオマス20万kW)の5倍の応募があった。最大の落札者は、同国の再エネ発電会社Forestalia(風力30万kWとバイオマス10万8,000kW)であり、次いで同国北東部に位置するアラゴン州の精肉グループJorgeの子会社であるJorge Energyが風力10.2万kWを落札し、ポルトガルEDPが風力9万kW、Enceがバイオマス4万kWを落札した。同国の大手発電会社(Endesaとイタリア大手Enelの再エネ子会社Enel Green Power Espana、Iberdrola、Gas Natural Fenosa、Acciona)は落札できなかった。 印刷用PDF
2016.01.13
米国:カリフォルニア州でDRとして初めて分散型電源が落札
2016年1月13日付の報道によると、カリフォルニアISO(CAISO)の卸電力市場において、デマンドレスポンス(DR)としての分散型電源が初めて落札された。これは、蓄電池、電気自動車およびルーフトップ太陽光などの分散型電源を集約し、これをデマンドレスポンスとして扱い、卸電力市場へ参加したものである。Southern California Edisonは約2万kW、Pacific Gas & Electricは1万7,700kW、San Diego Gas & Electric は約3,000kWをそれぞれ落札し、合計で4万kWを超える容量となる。 印刷用PDF
2016.01.11
アイルランド:Silvermines揚水発電所(36万kW)の新規建設計画が発表される
2016年1月11日付の記事によると、アイルランドのティペラリー州NenaghでSilvermines揚水発電所(36万kW)の新規建設計画が発表された。同発電所は、以前は鉱山として利用されていた地点に建設が予定されており、完成すれば同国で2番目に大きい揚水発電所となる。現在は開発事業者による詳細な事前アセスメントと、地域住民との協議が行われている。建設費用は6億5,000万ユーロで、Strabag社、Andritz Hydro社、Roadbridge社、Siga Hydro社が共同で建設する。設計には2年が必要とされており、2020年までの発電開始を目指している。 印刷用PDF
2016.01.04
ブラジル:2015年の電力需要は低調
エネルギー調査公社(EPE)は2016年1月4日、2015年11月末時点の電力需要実績を発表した。11月の月間需要量は前年同月比4.4%減となった。特に、工業部門は同8.9%減で、繊維15.3%減、自動車14.8%減、金属13.6%減などの落ち込みが顕著であった。EPE は、落ち込み要因は、国内経済の低迷にあると指摘している。。地域別では北部や中西部では前年比で増となったが、北東部、南東部、南部で減少、中でも南部地域は9.1%減と大きく落ち込んだ。 印刷用PDF
2016.01.04
フランス:大手エネルギー事業者Engieが新組織へ移行
フランスの大手エネルギー事業者Engieは2016年1月4日、世界的なエネルギー情勢の変化に対応するため、同月1日からより地域に密着した組織へと移行したことを公表した。新たな組織では、主に地域単位で分類された24のビジネス・ユニット(BU)と特定の専門分野を担当してBUをサポートする5つの部門が設置された。メストラレCEOは、この組織再編は低炭素化やデジタル化、エネルギー生産の分散化、エネルギー効率化などのエネルギー市場における多くの課題への挑戦を可能にするものであり、これによって世界的なエネルギー転換の先導役となることを目指すと述べている。 印刷用PDF
2016.01.04
米国:サンフランシスコの停電の原因はドローンの可能性
2016年1月4日報道によれば、PG&E社は、ドローンによって引き起こされたサンフランシスコで最初の停電と思われるものを調査している。これはサンフランシスコ市内のバーナル・ハイツ地区で1月3日午後5時過ぎに起きた。約40軒が停電し、近所では「大きな爆発音を聞いた」との声もあり、「誰かが近所でドローンを飛ばして見失い、そのドローンが電柱に衝突した」との見方もある。PG&E社は損傷を受けた配電線の区間を交換し、2時間以内にすべての家の停電を復旧した。同社はドローンを探したが、見つけることは出来なかった。今や、ドローンが、PG&E社などの電気事業者にとって凧や風船とともに頭痛の種となっている。連邦航空局(FAA)は、アメリカではクリスマスに百万人がレクリエーション用のドローンをプレゼントとして受け取ったと推定している。FAAは、0.23㎏以上25㎏までの重さのモデルの所有者に登録を求めることによって、レクリエーション用のドローン・ブームを規制しようとしている。「電線に何か絡まっているのを見たら、それを取り外そうとしないで、すぐに、PG&E社に連絡することが重要」と、同社の広報担当は報告している。 印刷用PDF
2015.12.30
中国:卸電気料金と小売電気料金を1月1日から改定
国家発展改革委員会は2015年12月30日、2016年1月1日から卸電気料金と小売電気料金を改定すると発表した。それによると、石炭火力発電所の卸料金を全国平均でkWh当たり0.03元(1元:約19円)、一般商工業用の小売料金を同0.03元、それぞれ引き下げる。また、生活用と農業生産用を除く用途の電気料金に付加されている再生可能エネルギー付加金が従来のkWh当たり0.015元から同0.019元に引き上げられる。 印刷用PDF
2015.12.24
タイ:RATCH、中国の原子力発電に資本参加
タイの発電事業者であるRatchaburi Electricity Generating Co.(RATCH)は2015年12月24日、中国広核集団有限公司(CGN:China General Nuclear Power Group)が建設している防城港原子力発電所2号機(216万kW:108万kW×2基、広西チワン族自治区)に資本参加すると発表した。RATCHは、合弁会社(Hualong-2 NPP Co.)に13億3,000万人民元(約250億円)を出資、合弁会社の出資比率は、CGN51%、広西投資集団公司(Guangxi Investment Group)39%、RATCH10%となる。 印刷用PDF
2015.12.23
チリ:三井物産と火力共同開発に合意
チリ国有石油公社(ENAP)は2015年12月23日、三井物産と共同でガスコンバインドサイクル発電所2カ所(発電設備容量127万kW)の開発に合意したと発表した。投資額は約13億ドル。開発されるのは、Luz Minera発電所(76万kW)とNueva ERA発電所(51万kW)。プロジェクトには、ファイナンス関係でAsset Chile、法手続きでLarrain y Asiciadosが参加するほか、国内にある企業16社もパートナーとして参加する。 印刷用PDF
2015.12.18
フランス:業務用規制料金の廃止で30%の需要家がEDFから離脱
フランスでは2007年の電力全面自由化後も維持されてきた規制料金が2016年1月以降、契約容量36kVAを超過する契約に関しては廃止されることになっているが、2015年12月18日付の現地報道によると、2014年末時点で約45万軒、年間電力消費量で1,250億kWhに上るこれら需要家(主に業務用)のうち、これまで供給先の選択について決定した約7割の需要家がEDFの自由化料金を選択し、残り3割が競合事業者に切り替わる見通しを伝えている。EDFの顧客担当執行役員は、この離脱率は「想定の範囲内」と語っている。なお、2015年11月末までに供給先を決めていない需要家が23万8,000軒ほど存在しており、EDFでは最終的に12万~15万軒が供給先を決断しないまま年を越すと予想している。これらの需要家には1月以降、規制料金よりも平均で5%高い「暫定供給」が2016年6月30日まで適用され、需要家がそれでもなお決断しないようならば、規制機関が競争入札を実施して供給先を選ぶことになっている。なお、需要家の離脱に伴い、EDFは2016年に13億.収入が減少すると伝えられているが、マスコミの問い合わせに対し、EDFでは確認を拒んでいる。 印刷用PDF
2015.12.18
米国:PTCとITC(再エネ補助措置)の延長法が成立
2015年12月18日、発電税額控除(PTC)、投資税額控除(ITC)の2019年までの延長を含む2016会計年度予算が成立した。PTCは2014年末で失効していたが2016年までに基準を満たしたプロジェクトに対しては遡及される。PTCの額は風力発電に対しては1kWh当たり2.3セント(2016年)であるが、これを基準に2017年:80%、2018年:60%、2019年:40%と段階的に減額する。太陽光に適用されるITCは2019年までは30%、2020年:26%、2021年:22%と段階的に減額する。これまでの期限は2年であったが、今回は5年間という期間を設定している。 印刷用PDF
2015.12.17
オランダ:地中配電線の新しい監視システムを広域で導入
2015年12月17日の記事によると、配電系統運用者のLianderとEnexisは、地中配電線の新しい監視システム(Smart Cable Guardシステム)を両社のエリアで導入する。このシステムは両社が電力の技術サービスプロバイダーであるDNV GL社らと共同で開発したもので、ケーブルの劣化により生じる部分放電をセンサーで検知し、常時データが転送される。これにより故障点や劣化している箇所を高精度で特定することができ、停電回数と停電復旧に係る時間やコストを低減することができるという。需要の多いエリアや経年などでケーブルが劣化しているエリアで主に導入される。 印刷用PDF
2015.12.10
ロシア:高速炉BN-800が系統接続
ロスエネルゴアトムは2015年12月10日、スベルドロフスク州のベロヤルスク発電所4号機(高速炉BN-800、78.9万kW)が、12月10日の午後9時21分に、定格出力の35%で系統接続したと発表した。同社は、「今後、50%出力運転、試運転、100%出力運転の3段階を経て、起動工程が完了する」とコメントした。 印刷用PDF
2015.12.09
リトアニア・ポーランド・スウェーデン:3国間の国際連系線が稼働へ
2015年12月9日付報道によれば、リトアニアとポーランドおよびスウェーデンを接続する送電線がまもなく稼働する。リトアニア~ポーランド間の送電線はリトアニア・アリートゥスとポーランド・エルクを接続する容量50万kWの架空送電線であり、現在、試験運転を実施している。リトアニア~スウェーデン間の送電線は、リトアニア・クライペダとスウェーデン・ニブロを接続する容量70万kWの海底送電線である。同送電線は、スウェーデン側の変換器での火災発生により試験運転を一旦延期したが、2016年1月に試験運転を再開する。これらの送電線の稼働は、バルト三国の欧州電力系統への統合と、同三国のロシアへのエネルギー依存の解消に貢献するものと見られている。 印刷用PDF
2015.12.08
タイ:電力の天然ガス依存度を引き下げへ
エネルギー省(DOE)・エネルギー政策・計画局(EPPO:Energy Policy and Planning Office)は2015年12月8日、電力部門での天然ガス依存度を現在の60%から2026年までに40%に引き下げると発表した。それとともに、全発電設備容量に占める再エネの割合を現在の2%から2026年に8%に、供給電力量全体に占める輸入電力量の割合を現在の6%から2026年に14%にそれぞれ引き上げる方針を打ち出した。 印刷用PDF
2015.12.03
豪州:テスラ社、2016年2月から家庭用蓄電池を販売
米国のテスラモーターは2015年12月3日、大手小売電力会社のOrigin Energyを通じて、家庭用蓄電池Powerwallを販売すると明らかにした。中国メーカーのTrina Solar社の太陽光パネルと、イスラエル系のSolarEdge Technologies社のインバーターをセットで販売するとしている。豪州の大手太陽光パネル設置事業者であるNatural Solar社が事業パートナーとなる。販売開始は2016年2月の予定。現在、豪州の太陽光パネルの普及率は全需要家の15%超にあたる840万軒となっている。 印刷用PDF
2015.12.03
米国:オハイオ州PUC、停電需要家の訴えを退ける
2015年12月3日付現地報道によると、オハイオ州公益事業規制委員会(PUCO)は、アメリカン・エレクトリック・パワー(AEP:American Electric Power)社を、同社のシステムの維持に過失があったとして、2012年に起きた停電中に駄目になった食品代を弁償すべきであるとするパウエル市の男性の訴えを退けた。この男性は、近所の停電が、強風により枯れ木が電線に倒された時に発生し、AEP社はその木を撤去することを当初予定していたが、結局は撤去しなかったことをその訴状の中で述べている。男性は、長時間の停電によって、冷凍庫のステーキや他の食品が腐ったため1,500ドルの弁償を同社に求めた。PUCOは4対0で、その男性はAEP社が同社の供給約款やオハイオ州の法律に違反していることを証明できなかった、と判決を下した。PUCOは、「我々は、AEP社が適正にその配電線を維持しており、停電は実際にはデレーチョ(derecho:激しい雷雨、強風を伴う帯状の雲の壁)によって引き起こされたということが分かった」と報告している。 印刷用PDF
2015.12.02
中国:石炭火力からの汚染物質排出量を大幅削減へ
2015年12月2日に開催された国務院常務会議において、石炭火力発電所の改造により、効率アップと汚染物質排出量の大幅な低減を図ることを決定した。2020年までに、既設発電所の平均石炭消費量を310g/kWh以下、新設については300g/kWh以下にそれぞれ抑制し、基準に達しない設備は廃棄するとしている。目標達成時期は、東部地区は2017年まで、中部地区は2018年まで。対策が完全に実行された場合、発電所からの主要汚染物質排出総量が60%削減され、石炭消費量を年間約1億t、CO2排出量を1.8億t節減することになるとしている。 印刷用PDF
2015.12.01
ドイツ:RWEが再エネ、配電、小売事業の分社化計画を発表
ドイツの大手エネルギー会社RWEは2015年12月1日、再エネ、配電、小売の3事業を統合する子会社を新設し、親会社は従来型発電およびエネルギー取引の2事業に集中する新たな事業再編計画を発表した。同計画では、新子会社は2016年末に上場され、約10%の株式が売りに出される見通し。RWEは上場と同時またはその後の更なる株式売却の可能性も示唆しているが、新子会社の株式の過半数は長期にわたって保有する。テリウム社長は「このグループ再構築が欧州におけるエネルギー情勢の変化に対する我々の答えだ」とコメントした。同社の試算では、新子会社の売上高は400億ユーロ超、EBITDAは40億超となり、グループ全体の従業員約6万人のうち約4万人が新子会社に所属することとなる。同計画は12月11日に開催された監査役会で正式に承認された。 印刷用PDF
2015.12.01
フランス:欧州最大の太陽光発電所(30万kW)、フランス南西部で運開
地元経済紙によると、欧州最大の太陽光発電所(30万kW)の竣工式典が2015年12月1日にボルドー市に近いフランス南西部の町セスタ(Cestas)で挙行された。所有するのは中小企業のNeoenで、総工費3億6,000万ユーロはインフラ基金8社からの融資で賄った。発電所は260ヘクタール(サッカーグラウンド350面分に相当)の敷地に約100万枚の太陽パネルを使い、年間平均3億5,000万kWhの発電が可能であり、発生電力は売電先のフランス電力会社(EDF)の送電系統に直接送られる。売電価格は105ユーロ/MWh(約13.7円/kWh)で、売却期間は20年間。売電価格は卸市場価格(40ユーロ/MWh以下)と比べるとまだまだ高いものの、プロジェクトが構想された2010年時点の想定価格が300ユーロ/MWhであったことを考えると、近年の太陽光発電価格の急落振りを象徴するものとなっている。ちなみにフランス政府が行った太陽光設備導入のための競争入札では、70ユーロ/MWh台の応札が数件あった。世界的にみると最安値の記録は、1年前にドバイのプロジェクトでサウジの企業Acwa Power社が落札した58.5ドル/MWh(55ユーロ/MWh)となっている。 印刷用PDF
2015.11.30
米国:ビル・ゲイツ氏が世界最大規模のクリーンエネルギー・ファンドを設立
ビル・ゲイツ氏(前マイクロソフト社会長)は、COP21初日となる2015年11月30日、世界最大規模のクリーンエネルギー・ファンドの設立を発表した。これは、Breakthrough Energy Coalitionと名付けられ、10カ国27の投資家グループが参加を表明している(総投資額は約70億ドル)。Breakthrough Energy Coalitionは、開発初期段階にあるクリーンエネルギー技術のアイデアやコンセプトに焦点を当てており、支援すべきプロジェクトについて5つの原則(1.開発の初期段階への投資、2.広範囲な分野への投資、3.大胆な投資、4.賢明な投資、5.世界的な投資)を特定している。なお、参加者にはアマゾンのJeff Bezos氏、フェイスブックのMark Zuckerberg氏、ソフトバンクの孫正義氏のほか、中国やインド、ナイジェリア、南アフリカなどの新興国の企業も含まれる。 印刷用PDF
2015.11.30
中国:電気事業体制改革に関する6文書を公表
国家発展改革委員会と国家能源局は2015年11月30日、電気事業体制改革に関する文書6件を発表した。これらは、「送配電料金改革の推進に関する実施意見」と「電力市場建設に関する実施意見」、「電力取引機構の設置および規範化運行に関する実施意見」、「発電計画と電力消費計画の秩序ある自由化に関する実施意見」、「小売側改革の推進に関する実施意見」、「石炭焚き自家発電所に対する監督管理の強化と規範化に関する指導意見」である。国家発展改革委員会は送配電料金改革の意義について次の見解を明らかにした。(1)企業と社会の電力消費コストを削減する、(2)価格による需給調整、(3)送配電会社の運営モデルの基準化、(4)送配電会社のコストに対する規制強化。 印刷用PDF
2015.11.29
アラブ首長国連邦:2030年以降、建物へのソーラーパネル設置義務化
2015年11月29日付の報道によれば、アラブ首長国連邦(UAE)最大の都市ドバイで、2030年以降、すべての建築物の屋上にソーラーパネルが強制的に設置される。ムハンマド・ビン・ラーシド・アールマクトゥーム首相は、建物屋上への太陽光電池設置の義務とともに、再生可能エネルギー目標を含む「ドバイ・クリーンエネルギー戦略2050」(以下戦略)を発表した。戦略では、ドバイをクリーンエネルギー技術の世界的な研究開発拠点にするとともに、2020年までにドバイで使われる都市エネルギーの7%、2030年までに25%、2050年までには75%をクリーンエネルギーにすることが目標とされている。 印刷用PDF
2015.11.26
スペイン:発電大手のアベンゴア、資産保護の手続きを開始
2015年11月26日付報道によると、スペインの再生可能エネルギー発電会社のアベンゴア社は同月25日、債権者(スペイン大手銀行サンタンデール等200機関)から資産を保護する手続きを開始した。同社は、スペインの固定価格買取制度によって太陽熱発電を中心に急成長し、2010年頃には日揮や伊藤忠商事と提携しスペインで太陽熱発電を行っていた。しかし、同国で買取価格引下げが過去に遡って実施される等、買取制度が大幅に変更されたため、同社は経営不振に陥った。このため、世界最大手のスペイン自動車プレス部品メーカーで太陽光発電も手掛けるゲスタンプ社と協議を続けてきたが、交渉は決裂に至った。同社は破産法第5条の2の適用を受けて、債権者に対する支払を4カ月間凍結し、債権者 と債務再建を協議する。2015年第三四半期時点で、同社の時価総額は3億ユーロにまで下がり、負債総額は89億ユーロに上る。従業員数は24,000人(うちスペインに7,000人)である。 印刷用PDF
2015.11.23
ペルー:水力プロジェクトへの第三者割当増資を募集
ペルー投資促進委員会(Proinversion)は2015年11月23日、San GabanⅢ水力発電プロジェクトへの第三者割当増資の募集を発表した。発電所はペルー南部のプーノ地方を流れるSan Gaban河流域にあり、国営発電会社EGESAが運営するSan GabanⅡ(11万kW)の下流に位置する。発電設備は20万600kWで、220kV送電線を通じて国内系統に連系される。中国の三峡集団公司とポルトガルのEDPによるコンソーシアムHydro Globalが関心を示している。 印刷用PDF
2015.11.23
米国:PJMの提出した入札上限価格引上げについて賛否両論
2015年11月23日付の業界誌によると、PJMが入札上限価格を1,000ドル/MWhから2,000ドル/MWhへ引き上げる提案を行っているが、これについて議論が起こっている。PJMによる入札上限価格引き上げ提案は、2014年1月の記録的な寒波の影響で天然ガス価格が高騰し、電力スポット価格が入札上限価格を超過したことを受けてのものである。この提案について、「FERCは市場の状況を勘案したうえで長年変更していない入札上限価格の引き上げを承認すべきである」とする意見がある一方で、「安易な引き上げは、隣接するNYISOとの価格差に起因する問題が発生する可能性がある」などの意見もあり、議論が続いている。これについてFERCは、今冬は暖冬が予想されることから、入札上限価格の引き上げを急ぐ必要はないとの見解を示している。 印刷用PDF
2015.11.22
米国:NY州知事が2030年までに再エネ大幅増を指示、原子力にも光明
2015年11月22日付の報道によると、ニューヨーク(NY)州のクオモ知事は2030年までにNY州で消費される電力の半分を再エネで賄うことをNY州の公益事業委員会に指令として成文化させるよう計画している。同氏は既に同様の目標は掲げていたが、それを強制する手段はなかった。また、指令にはNY州の発電部門からのCO2排出を、CPP(Clean Power Plan)目標の20%を大きく上回る40%削減義務も盛り込まれる予定で、関係者は経済性の悪化から2016年から2017年初めに廃止を予定しているフィッツパトリック原子力発電所の廃止判断の撤回と、同じく経済的に苦境にあるギネイ原子力発電所の延命につながることも期待している。今回の発表についてゴア前副大統領は「最高のタイミングでの発表だ。COP21 の開催を控え、NY州のような動きは、強力で影響力のある合意に向けて弾みとなる」とコメントしている。 印刷用PDF
2015.11.20
パキスタン:ADB、パキスタンの電気事業改革に14億ドル融資
アジア開発銀行(ADB)は2015年11月20日、パキスタンの電気事業改革に約14億ドルを融資することを決定した。14億ドルのうち9.9億ドルはスマートメーターの導入に向けたもので、電力損失の低減や適正な電気料金回収、電力需給管理などの事業に活用される。残り4億ドルは電力業界の負債解消のためのもので、事業者の経営効率化などに使われる。 印刷用PDF
2015.11.19
イラン:濃縮施設の遠心分離機を撤去
米国の科学国際安全保障研究所(ISIS:Institution for Science and International Security)は2015年11月19日、IAEAの機密報告書である「イランにおけるNPT保障措置合意と国連安全保障理事会決議の関連規定の実施」を公開した。その中で、IR-1型遠心分離機4,112台とIR-2M型遠心分離機160台がナタンツのウラン濃縮施設から、IR-1型遠心分離機258台がフォルドのウラン濃縮施設から、それぞれ撤去されたと分析されている。イランと主要6カ国(米国、英国、フランス、ドイツ、ロシア、中国)は2015年7月、経済制裁の解除と引き換えに核開発計画を制限する国際合意である包括的共同行動計画(JCPOA:Joint Comprehensive Plan of Action)に署名した。イランは、今後15年間に亘ってウラン濃縮活動制限、中濃縮ウランの貯蔵廃止と低濃縮ウランの貯蔵制限等に合意した。 印刷用PDF
2015.11.13
フランス:フランス政府が野心的な再エネ導入計画を発表
フランス環境省は2015年11月13日、エネルギー移行法を具体化した低炭素戦略を発表した。低炭素戦略具体化のための行動計画として、複数年計画(以下PPE)を作成するとした。政令で今回は2015~2018年、2019~2023年、2024~2028年と3期のPPEが設定され、例えば風力発電設備容量の目標として2018年2,400万kW、2023年3,600~4,300万kWが定められた。またPPE期間中の太陽光発電などに関する競争入札量なども定めている。他に同戦略では炭素価格を2017年に30.50ユーロ/CO2トン、2020年に56ユーロ/CO2トン、2030年には100ユーロ/CO2トンにするとしている。 印刷用PDF
2015.11.09
サウジアラビア:今後の原油需要の中心はアジアか
2015年11月9日付録の報道によれば、サウジアラビアのヌアイミ(Ali al-Nuaimi)石油鉱物資源大臣は国際エネルギーフォーラム(International Energy Forum)の席上、今後数十年間にわたり、原油需要の大半をアジアが占めるという見解を示した。また、「今世紀はアジア地域が世界経済の牽引役であり続けることに疑いはない」とも語っている。 印刷用PDF
2015.11.06
米国:オバマ大統領がキーストーンXLパイプラインの建設計画を却下
オバマ大統領は2015年11月6日、トランス・カナダ社が申請していたキーストーンXLパイプラインの建設計画を承認しないと発表した。同プロジェクトは、カナダ・アルバータ州のオイルサンドから抽出した重質油を米国内に輸送するパイプラインを建設するもの。パイプラインの一部が国境を越えるため、建設には大統領の許可が必要となる。政情の安定しているカナダからの原油輸入量を増加させることは、エネルギーセキュリティの強化、国内の製油所の操業拡大など、米国にも多くの便益をもたらすとされているが、重質油は従来型の原油に比べて温室効果ガス排出量が多く、また、ルート上の湿原地帯への影響などを懸念する声も多く、2008年に最初の計画が提案されて以降、計画推進派と環境保護派の間で主要な論点となっていた。気候変動対策で政治的功績を残したいとされるオバマ大統領は、今回の決定によって、12月のCOP21を前に明確なメッセージを国内外に発信したことになる。 印刷用PDF
2015.11.04
ドイツ:STEAG社、9万kWのバッテリー電力貯蔵設備を設置
ドイツの発電事業者STEAG社は2015年11月4日、ノルトラインベストファーレン州とザールラント州にある同社の6カ所の石炭火力発電所敷地内にリチウムイオン電池を用いた各1.5万kW、合計9万kWの電力貯蔵設備を設置し、系統運用者にアンシラリー・サービスを提供すると発表した。設備の運開は2016年半ばから2017年初めの予定。設備の設計・監理・施工はイタリアのNidec ASIが請け負い、電池は韓国のLGチェムが納入する。
総投資額は約1億ユーロで、STEAGは既設地点を利用することでインフラ関連費用を節約できるとしている。 印刷用PDF
2015.11.02
フランス:GE社がアルストム社エネルギー部門の買収を完了
米ゼネラル・エレクトリック(GE)社は2015年11月2日、仏重電大手Alstom(アルストム)社エネルギー部門の買収手続きを完了した。買収額は最終的に106億ドル(約1兆3,000億円)となった。アルストム社の買収はEUや米国、中国、インド、日本、ブラジルなど20以上の国と地域で規制当局の承認を必要とし、最大の障壁と思われたEUの承認に関して、GE社がイタリアの競合企業である防衛・航空大手フィンメカニカ傘下のアンサルド・エネルジア社に一部株式を譲渡する案を示したことで、今年9月8日に買収を承認されていた。最終的にGE社はアルストム社の再生可能エネルギー部門、送配電部門の発行済み株式の50%、タービン事業では80%をそれぞれ取得したことになり、アルストム社売上高の約7割に相当する事業を手中に収めたことになる。一方、アルストム社はGE社の鉄道信号システム事業を譲り受け、鉄道ビジネスの専業企業となり経営を続ける。 印刷用PDF
2015.10.30
中国:火力発電所の運転時間、20カ月連続前年比減
中国電力企業連合会は2015年10月30日、1~9月の電力需給状況を発表した。1~9月の消費電力量は4兆13億kWhで前年同期比0.8%増となった。9月末時点の発電設備容量は前年比9.4%増の13.85億kW(6,000kW以上の発電所)で火力発電設備容量は同6.8%増の9.47億kW(内、石炭火力は8.55億kW)であった。1~9月の全国の発電電力量(6,000kW以上の発電所)は前年比0.1%増の4兆1,990億kWhで、そのうち火力は同2.2%減の3兆1,532億kWhで、設備利用時間は前年より265時間少ない3,247時間で、前年比減は20カ月連続となった。 印刷用PDF
2015.10.30
ドイツ:連邦系統規制庁、送電線の増強遅延で混雑処理費用が急増と発言
2015年10月30日に独専門誌が報じたところによると、連邦系統規制庁で系統開発を担当するフィシャー氏が同月27~28日にかけてベルリンで開催された会合で再給電に伴う費用が2015年は5億ユーロに達するとの見方を示した。再給電とは、系統安定を確保するために、送電系統運用者(TSO)の給電指令に基づき、混雑区間の両端で電源持替(発電計画の調整)を行い、相殺潮流を流すことにより混雑方向の潮流を抑制する混雑処理の方法。多額の再給電費用がかかっているのはドイツ南北の送電線の増強が遅れているため。2009年に施行された系統増強法で優先的に増強すべき送電線として23のルートが指定されているが、2016年までに工事が完了するのは多く見積もっても全体の40%と見られる。 印刷用PDF
2015.10.29
コロンビア:エルニーニョ、電力供給に影響か
2015年10月29日付の情報サイトは、コロンビア国内でエルニーニョによる電力供給への影響が懸念されることから政府が対応を検討していると伝えている。近年、エルニーニョの影響により降水量が減少し、国内にある水力発電所の出力が低下している。電力・ガス規制機関CREGは、火力発電所により電力需要を充たすことが必要との認識を示している。鉱山エネルギー省(MINMINAS)の関係者は、「ベネズエラからのガス導管が2015年12月に完成し、翌年1月から天然ガスの輸入が始まれば、ベネズエラからのガス購入量が今後増える。エルニーニョにより水力発電所の利用率が低下すると、電力市場での価格の急騰を招く恐れがあるため、国民に向けた省エネキャンペーンを実施している」と話した。 印刷用PDF
2015.10.25
中国:防城港原子力発電所、1号機が試運転開始
中国広核集団公司(CGN)は2015年10月25日、建設中の防城港原子力発電所(広西省防城港市)1号機(CPR1000)が17時に系統に連系し、試運転の段階に入ったと発表した。所定の試験後、年内にも商業運転すると見込まれる。10月18日には、同社の陽江原子力発電所(広東省陽江市)3号機が試運転の段階に入っている。これで、CGNが保有する運転中(試運転含む)の原子炉は16基となり、発電設備容量は1,708.1万kWに達する。なお、防城港原子力発電所3、4号機には、国産炉である「華龍1号」が採用されることになっている。 印刷用PDF
2015.10.23
米国:RMP社が太陽光発電設備の開発促進型電気料金を試験実施
ロッキー・マウンテン・パワー(RMP)社(ユタ州ソルトレークシティ)は2015年10月23日、需要家が太陽光発電による電力の購入量を選択できる電気料金プログラムの試験実施が州規制当局によって承認されたと発表した。RMP社は、2万kWの太陽光発電設備の建設について開発業者と最終交渉の段階にあり、需要家はこの設備による太陽光発電電力を購入する。このパイロットプログラムに参加する需要家は、1ブロック200kWh単位で電力を購入し、自身の需要を賄う。建設予定の太陽光発電設備は合計20,000ブロック、400万kWh を提供する。RMP社によれば、もし需要家の購入量が20,000ブロックを超える場合には別の太陽光発電設備を建設するとのこと。平均的な家庭は毎月750?800kWhを使用するため、4ブロック購入すれば基本的には家全体の使用量を太陽光発電で賄うことができることになる。家庭用需要家はkWh 当たり7.7セントの固定価格の発電料金と4 セントの送配電料金、合計kWh当たり11.7セントを支払う。個々の需要家の費用や節約額は、需要家の使用電力量に応じて変化する。 印刷用PDF
2015.10.22
キューバ:エネルギー・電力分野での投資を計画
エネルギー情報サイトは2015年10月22日、キューバ政府はエネルギー・電力分野での投資を計画していると伝えた。石油関連では、ベネズエラの石油公社PDVSAやアンゴラの石油公社SONANGOLと共同で、メキシコ湾岸の深海での採掘を2016年終りもしくは2017年初めに開始し生産分与するとしている。北西部沿岸に広がる深海部には、数十億バレルの埋蔵量があるとされ、企業が関心を示しているが、近年の原油価格の低迷によって投資が手控えられており、投資の進展を危惧する指摘もある。米国系の石油企業は、両国間の法的な問題も残っていることから、キューバでの投資に対して具体的な動きをしていない。電力関連では、キューバ電力公社UNEが10月最終週にロシアと協力して、火力発電所(石油・ガス、80万kW)の建設する計画しており、ロシアから14億ドル、国内にある製鉄所の設備更新や生産能力の増強に1億ドルの支援をそれぞれ受けるとしている。 印刷用PDF
2015.10.19
米国:掃除機メーカー・ダイソン社もバッテリー工場建設を計画
2015 年 10 月 19 日報道によると、ダイソン社は、ミシガン州アナーバーに本拠地を置くバッテリー技術の Sakti3 社を取得したことを発表した。また、ダイソン社のコードレス掃除機のバッテリー寿命を向上させるために、立ち上げたばかりの固体リチウムイオン技術を使用し、新製品を売り出すこと、そのためにバッテリー生産工場を建設する計画を表明した。同社のバッテリー生産施設は、投資額で最高 10 億ドル必要になる。Sakti3 社は、2014年に同社のバッテリーがテスラ社のバッテリーの 2 倍近い効率であったことを発表し注目を集めた会社である。ダイソン者の創立者であるジェームズ・ダイソン氏は、同社の固体電池は、液体電池のように過熱しないこと、「数時間かかる他の電池とは対照的に数分で」充電できるので、魅力的であると述べている。 印刷用PDF
2015.10.16
スペイン:再エネ電力買取、新設再エネ設備を対象に競争入札を実施
2015 年 10 月 16 日付報道によると、スペイン産業省は同日、再エネ電力買取の競争入札を認める政令(2015 年第 947 号)を承認した。募集される電源は、新設の風力(50 万 kW)とバイオマス(20 万 kW)。新設設備に対する買取は、2012 年 1 月に一時中断されて以来、初の再開となる。2012 年までの買取価格は固定されていたが、今後は競争入札で買取価格が決められる。 印刷用PDF
2015.10.14
トルコ:ブルガリアとの国境付近に原子力発電所を計画
2015 年 10 月 14 日付の報道によると、トルコはブルガリアとの国境付近に原子力発電所の建設を計画していることが明らかとなった。Alaboyun エネルギー大臣はアナドル国営放送を通じ、トルコの第三番目となる原子力発電所のサイトをクルクラレリ県の北西部にあるイーネアダ地区を選択したと語った。同大臣はまた、本プロジェクトへの入札希望者について、米国に本拠を置くウエスチングハウス社や中国企業が含まれ、日本企業も関心を示していると語った。同国は、Mersin 県と Sinop 県でも原子力発電所の建設を計画している。 印刷用PDF
2015.10.14
フランス:エネルギー大手 Engie、今後は石炭火力発電に投資しない方針
ロワイヤル・エネルギー・環境相は 2015 年 10 月 14 日にテレビに出演し、エネルギー大手の Engie(旧 GDF スエズ)が今後は石炭火力発電所の建設を止めると発表した。具体的にはトルコのアダ・ヤムルタルク火力発電所計画(132 万 kW)が中止されることになる。同社は 6 月に南アのタバメットゥシ計画(60 万 kW)を中止している。いずれも環境団体「地球の友(Friends of Earth)」が激しく非難してきたプロジェクトである。Engie の大株主(33%)であるフランス政府は既に石炭への支援を行わないことを決定していると大臣は付言した。しかし、同社は石炭火力発電から完全に撤退する訳ではなく、確約がなされているモンゴルとブラジルの 2 つのプロジェクトは今後も続けることにしている。この他、ブラジル(32.4 万kW)、チリ(33.8 万 kW)、インド(63.8 万 kW)、モロッコ(138.6 万kW)の既着工設備も今回の方針の対象外である。同社はドイツ、オランダ、イタリア、英国など欧州や世界各国に 30 の石炭火力設備を所有し、2014 年は発電量全体の約 20%(560億 kWh)を賄っている。 印刷用PDF
2015.10.13
ブラジル:太陽光の売電価格、上限 98 ドル/MWh に
ブラジル電力庁(Aneel)は 2015 年 10 月 13 日、2015 年第 2 回の再エネ電源向けの入札(LER)案件を承認したと発表した。入札は 1,379 件のプロジェクトについて 2015 年 11月 13 日に実施される。内訳は、風力 730 件、太陽光 649 件で、設備容量の合計は 3,891万 kW(風力 1,796 万 kW、太陽光 2,095 万 kW)。各発電所の売電価格の上限は、太陽光381 レアル(約 1 万 1,500 円)/MWh、風力 213 レアル(約 6,400 円)/MWh。 印刷用PDF
2015.10.13
ミャンマー・タイ・米国:大規模太陽光発電所、米企業が設計、施工
タイの再エネ発電事業者である Green Earth Power Co.(GEPC)は 2015 年 10 月 13 日、ミャンマー中部(マグウェー管区)に建設する東南アジア最大となる Minbu 太陽光発電所(22 万 kW)の設計と工事について、米国の大手建設会社である Black & Veatch Co.(B&V)と契約を締結した発表した。それによると、年内に設計を終え、2016 年 1 月から着工するとしている。GEPC は、ミャンマー電力省(MOEP)と電力供給に関する覚書(MOU)を既に締結している。 印刷用PDF
2015.10.13
米国:加州のベンチャー企業、蓄電池をデマンドレスポンス市場に投入
2015 年 10 月 13 日の報道によれば、カリフォルニア州に本拠をもつ蓄電池のベンチャー企業である Green Charge Networks 社は、同州の 61 箇所に点在する合計 13.3MWh 規模の蓄電池を集約(アグリゲート)し、カリフォルニア ISO(CAISO)の卸電力市場において、デマンドレスポンスとして参加する方針を表明した。同州の私営電気事業者 PG&E 社が進める実証プロジェクトである Supply Side Pilot(SSP)の一環として、需要側に設置された分散型電源(DER)をデマンドレスポンスとして扱い、CAISO の卸電力市場へ参加するものである。なお、Green Charge Networks 社は、このビジネスの予想収益を、10 年間で15 万~25 万ドル程度と見積もっている。 印刷用PDF
2015.10.13
米国:エンタジー社がピルグリム原子力発電所の閉鎖を発表
エンタジー社は 2015 年 10 月 13 日、ピルグリム原子力発電所(BWR、マサチューセッツ州)を 2019 年 6 月までに閉鎖すると発表した。同社は閉鎖の理由として、市場の低迷、利益の減少、運転コストの増加をあげている。エンタジー社の Leo Denault CEO は、「市場の状況やコストの増大により発電所の閉鎖を選択せざるを得なかった」と述べている。米国原子力規制委員会(NRC)は先月、検査結果に基づき同発電所の安全性評価を格下げしており、エンタジー社はその対応に 4,500 万ドルから 6,000 万ドルかかるとしている。なお、同発電所は 2012 年に運転ライセンス更新(20 年)を行っている。 印刷用PDF
2015.10.08
豪州:ウエスチングハウス社 CEO、原子力導入の可能性を示唆
2015 年 10 月 8 日付の地元経済紙によると、オーストラリア訪問中の米国ウエスチングハウス社(WH)のロデリック CEO は、オーストラリアにある老朽化した石炭火力発電所の廃止が、原子力発電所の建設の機会になり、原子力発電に対して態度を保留している 8%の国民を説得することができれば、全国民の過半数が発電所の建設に対して賛成するであろうと語った。ロデリック CEO は、環境相と資源相と相次いで会談、今後のアジア等での原子力発電所の新設に向け、同国の大手エンジニアリング・建設会社 UGL、Saab、Teralba と提携する計画も明らかにした。これら 3 社は WH との協働により原子力発電所を保守管理するための人材を育成するとしている。同社の原子炉 AP1000 は現在、米国、中国で建設中、英国、インドでの建設が計画されている。 印刷用PDF
2015.10.07
英国:飛行機利用のレーザー照射による配電設備の調査を実施
2015 年 10 月 7 日の記事によると、航空写真会社の Bluesky 社による配電設備の調査が完了した。調査は、固定翼機から地上にレーザーが照射され、その反射波によって配電設備と樹木との離隔を正確に解析するもので、配電会社の UK Power Networks 社の所有する東部・東南部の架空線 3 万 4,000km において、農業・環境コンサルタント会社の ADAS 社との協力のもと調査が行われた。UK Power Networks 社はこの情報をパソコンのマップ上に取り込み、バーチャルの巡視が可能となる。この調査結果は、同社の 3 カ年伐採プログラムに用いられ、樹木起因の停電を防止するとともに、徒歩による巡視に伴う従業員のリスクの減少と時間短縮が可能であるとしている。 印刷用PDF
2015.10.06
英国:政府、今後も石炭火力の閉鎖を推進する方針を表明
英国エネルギー・気候変動省(DECC)は 2015 年 10 月 6 日、今後も国内石炭火力発電所の閉鎖を推進する方針であることを報道関係者に対して表明した。石炭火力はこれまで、ベース供給力として国内のエネルギー需給に大きく寄与してきたが、国内総発電電力量に占める比率は 2012 年の 40%から 2014 年には 29%まで減少している。この背景には、国内の低炭素化を進める英国の政策とともに、各事業者による従来型の石炭火力発電所の閉鎖が既に進んでいる事実が見られる。地元紙の報道によると、英国政府は 2015 年 11 月末にパリで開催される国連気候変動会議(COP21)に併せ、2023 年までにすべての国内石炭火力を閉鎖する計画を 2015 年 11 月 30 日に発表する予定である。しかし、国内における安定的な供給力の確保という観点では、老朽石炭火力発電所の相次ぐ閉鎖やガス火力の設備利用率の低下(2000 年代から続くガス価格の上昇傾向が背景)という現状に、今回の DECCの計画が加わることで将来的な懸念が残る。系統運用者ナショナル・グリッドは、追加的な需給調整がない場合、2015 年度の冬季予備率は至近 10 年で最低の 1.2%と予測している。 印刷用PDF
2015.10.01
米国:IPP 大手のカルパイン社が競争的小売事業者を買収し、小売事業に参入
米国大手独立系発電事業者(IPP)のカルパイン社(テキサス州)は 2015 年 10 月 1 日、競争的小売事業者(地元電力会社以外の小売事業者)のチャンピオン・エナジー社(本社:テキサス州)の買収が完了したと発表した。チャンピオン・エナジー社は、テキサス州のほか 7 つの小売全面自由化州で主に商工業需要家を中心に 200 万軒以上の需要家(合計約450 万 kW の需要規模)を有している。買収額は約 2 億 4,000 万ドルである。チャンピオン・エナジー社は、テキサス州の家庭用市場における顧客満足度調査のトップに 5 回選出されるなど需要家からの評価が高い小売事業者である。カルパイン社は本買収により小売事業に初参入する。 印刷用PDF
2015.09.29
イスラエル:集光型太陽熱発電所に蓄電池
2015 年 9 月 29 日付の報道によると、フランスの蓄電池メーカーSaft 社の子会社 TadiranBatteries 社は、イスラエルの砂漠地帯に建設中の Ashalim 集光型太陽熱発電所(12.1 万kW)に同社のリチウムイオン電池を導入する。蓄電池は 5 万基以上あるヘリオスタット(太陽を追尾するミラーの集合体)のモーター駆動と電力機器の通信に使用され、ケーブル設置費用が軽減するというメリットがある。この蓄電池は砂漠という過酷な状況下でも長期間使用が可能な設計仕様になっているという。 印刷用PDF
2015.09.27
ブラジル:温室効果ガス、2025年に2005年比37%削減へ
経済情報サイトは2015年9月27日、ブラジルのルセフ大統領は国連本部で開かれた特別首脳会議で演説し、2025 年までに温室効果ガス(GHG)排出量を2005 年比37%、2030 年までに同43%、それぞれ削減するという目標を明らかにしたと報じた。同大統領は、「2015 年11月にパリで開催されるCOP21 は、気候変動に対する各国の責務を具体化する唯一の機会である。
ブラジルは、世界的にみてもクリーンなエネルギーミックスを実現している。今後、持続可能な開発を進めながら、温室効果ガス削減目標の達成に向け、再エネの推進、アマゾンの熱帯雨林の保護、経済の発展とともに雇用の創出や貧困対策を実行していく」と発言した。 印刷用PDF
2015.09.24
セネガル・ギニア:欧州投資銀行、国際連系線への出資を検討
2015 年 9 月 24 日付の記事によると、欧州投資銀行(EIB)は、ガンビア川流域開発機構(OMVG)の加盟国であるセネガルとギニア間の国際連系線への出資を検討している。出資金額は 8,500 万ユーロで、電圧 225kV、亘長 930km の送電線と変電所 10 カ所の建設費(3 億 4,600 万ユーロ)の一部に充当される。工事着工は 2016 年、完工予定は 2018 年。 印刷用PDF
2015.09.23
中国:世界最大の揚水発電所が着工
国家電網公司は 2015 年 9 月 23 日、豊水揚水発電所(河北省)2 期、文登揚水発電所(山東省)、蟠龍揚水発電所(重慶市)の建設に着工したと発表した。このうち、豊水揚水発電所 2 期の発電設備容量は 180 万 kW で、1期の 180 万 kW(運開済み)と合わせると 360万 kW になり、揚水発電所としては世界最大規模となる。今回着工した 3 件の揚水発電所は 2022 年に完成する予定である。国家電網公司が保有する稼働中の揚水発電所の設備容量は 1,674.5 万 kW。 印刷用PDF
2015.09.23
ドイツ:ヘッセン州行政裁判所、風車から住宅地への最低距離 1km を適切と判断
2015 年 9 月 23 日付ドイツ紙の報道によると、中部ヘッセン州において風車から周辺住宅地への最低距離 1km を合法とする判決が出された。同距離は州の開発計画に規定されていたが、風力プロジェクト開発会社の Oktoberwind はこれに対して異議を唱えていた。同社は、騒音遮断の観点からは最低距離 500~600m で十分であると主張していた。しかしながら、ヘッセン州行政裁判所は、風車があることにより起こる光の反射の影響も考慮しなければならないとし、同社の訴えを退けた。 印刷用PDF
2015.09.22
中国:米国と共同で第 4 世代炉を開発
中国核工業集団公司は 2015 年 9 月 22 日、第 4 世代炉の一つである進行波炉の開発に関する提携協議書を米国 TerraPower 社と締結した。TerraPower 社は 2006 年に設立され、本社はワシントン州にあり、主な出資者はビル・ゲイツで、進行波炉(Traveling Wave Reactor)を開発し、2020 年ごろに実験炉を製造するとしている。中国核工業集団公司は、進行波炉に類似している第 4 世代高速増殖炉の実験炉(60 万 kW)を寧徳市霞浦県(福建省)に建設する計画で、2017 年末までに着工するとしている。 印刷用PDF
2015.09.16
米国:オハイオ州で太陽光発電設備と蓄電池設備を組み合わせたシステムを開発
2015 年 9 月 16 日付の報道によると、世界的な蓄電池開発事業者 S&C Electric 社はオハイオ州において、再エネベンチャー企業 Half Moon Ventures 社および地元の市営電気事業者Village of Minster 社と提携して 7,000kW(3,000kWh)のリチウムイオン蓄電池設備を開発する予定である。同設備は Half Moon Ventures 社が所有する 4,200kW の太陽光発電設備と接続される。S&C Electric 社によると、太陽光と蓄電池の組み合わせによって、HalfMoon Ventures 社にとっては蓄電池の特性を活かした PJM のアンシラリー市場(周波数制御)での収益確保、Village of Minster 社にとっては電力品質改善および無効電力制御のほか、太陽光の発電電力を蓄電池で充電しピーク時に放電することによる供給力調達コストの低減などの便益が期待できるとしている。 印刷用PDF
2015.09.11
米国:カリフォルニア州、2030 年までの RPS 目標を 50%と定める
カリフォルニア州議会は 2015 年 9 月 11 日、再エネや省エネを促進させる法案(SB 350)を可決した。カリフォルニア州は、再生可能エネルギー利用基準(RPS:Renewable PortfolioStandard)に関して、現在の目標は 2020 年までに 33%としているが、今回の法案では、2024 年までに 40%、2027 年までに 45%、2030 年までに 50%と定められている。また、エネルギー効率化に関しては、2030 年までに省エネを倍増させる目標が示されている。 印刷用PDF
2015.09.06
イタリア:規制電気料金、2017 年末に廃止の見通し
現地の有力紙は 2015 年 9 月 6 日、競争法案が下院財務・生産活動委員会を通過したことで、イタリアの規制料金需要家は 2018 年までに自由化市場に移行せざるを得なくなるとする見通しを伝えている。イタリアでは 2007 年の全面自由化後も、家庭用と小口業務用で規制料金が維持され、現在、家庭用需要家の 75%、小口業務用需要家の 60%に規制料金が適用されている。規制料金の存在は競争の妨げとなるとの欧州委員会からの意見もあり、政府は今年初めに規制料金を 6 月末に廃止する法案を準備していた。しかし、規制料金の廃止は最大で 20%の料金値上げを惹き起こす可能性があるとする規制機関の報告により、規制料金の廃止が先送りされたという経緯がある。今回の競争法案提出に合わせて規制機関は、規制料金から自由化料金への移行を支援する方策について 9 月 30 日を期限にパブリック・コメントを募集中である。規制機関が提案しているのは、2016 年から「競争市場類似規制」を導入する案で、その中身は特定の手続きによって選定された小売事業者が競争当局の監視のもとに料金と供給条件を決定するというものである。規制機関は、この料金への参加は自由、もしくは、特定の基準に基づいた強制的な参加、の 2 案について意見を求めている。 印刷用PDF
2015.09.02
イラン:国内初の揚水発電所が操業開始
2015 年 9 月 2 日付の報道によると、イラン初となる揚水発電所である Siah-Bisheh 発電所の完工式が行われた。この発電所は首都テヘランの北部に位置し、発電設備容量は 104万 kW(揚水時の消費電力は 96 万 kW)で、建設費は約 4 億 3,000 万ドル。なお、イランには 7,400 万 kW 分の発電所を建設する計画があるが、財政面からそれらの多くには進展が見られない。 印刷用PDF
2015.09.02
オランダ:裁判所、地震頻発地の建物被害賠償をガス採掘業者に命じる判決
オランダ北東部にあるアッセン裁判所(ドレンテ州)は 2015 年 9 月 2 日、ロイヤル・ダッチ・シェルとエクソン・モービルの合弁企業であるオランダ石油会社(NAM)に対してガス掘削に関係した地震で被った資産の損害について家主に賠償を行うよう命じる判決を下した。オランダ安全庁は、過去数年間においてフローニンゲン・ガス田のガス採取が地震の危険性を増幅しているが、会社側は危険性を軽減するための十分な対策を講じていないと何度も警告を発してきた。地震によって損傷を受けた住宅と建物は数 10 万軒に上る。NAM は建物の被害の賠償のためこれまでに 12 億ユーロを積み立てているが、地震被害地域の資産価値の値下がりや耐震費用のために必要な賠償額はそれをはるかに上回っている。NAM は今後の対応を慎重に検討するとの声明を発表する一方で、住民の懸念に理解を示し、特定のケースについては価値の値下がりが地震によってもたらされていることを認めている。しかし、家主への賠償は住宅売却により損失が確定した後にすべきと主張している。これに対し、裁判所の判決は、家主は住宅の売却を待つ必要はなく、ただちに損害賠償を請求できるとしている。NAM を提訴したのは、900 人の家主と 12 の住宅協同組合からなるグループである。 印刷用PDF
2015.08.31
エジプト:世界最大級の天然ガス田を発見
2015 年 8 月 31 日付の記事によると、イタリアのエネルギー会社 Eni はエジプト沖で世界最大級の天然ガス田を発見した。このガス田は水深 1,450m に位置し、面積は 100km2 で、推定埋蔵量は 8,500 億 m3(石油換算 55 億バレル)。エジプトでは、天然ガスの国内消費量が堅調に伸びており足元では不足感があり、今回の発見により天然ガス不足の解消に寄与できると期待されている。 印刷用PDF
2015.08.27
インドネシア:スマトラ島に新たな油田
インドネシア国営石油会社(PERTAMINA)は 2015 年 8 月 27 日、中国石油天然気集団公司(Petro China)とマレーシア国営石油会社(PETRONAS)の 2 社と共同開発しているスマトラ島中部のジャンビ州にある Jabung 鉱区で新たな油田を見つけたと発表した。今後、埋蔵量を確認し、採算性が確認できれば、本格的な開発を行うとしている。 印刷用PDF
2015.08.26
フランス・イタリア:送電事業者 RTE と Terna が国際連系線の建設に着手
2015 年 8 月 26 日付の報道によれば、フランスの送電事業者 RTE とイタリアの送電事業者Terna は、フランス(サヴォワ地方)からイタリア(ピエモンテ州)へ横断する 190km の連系線の建設に共同で着手した。フランスからの電力供給による既存送電線の系統混雑を緩和する狙いがある。設備は 32 万 V 直流の地中送電線で、送電容量が 120 万 kW、2019年の運開予定。建設費は約 10 億ユーロとなる。RTE によると、同連系線の建設により、飽和状態となっているフランス~イタリア間の連系容量 270 万 kW を増強させることが可能とのこと。EU では、太陽光や風力などの間欠性電源による影響を最小化して安定供給を図るとともに、電気料金を低減する観点から、EU メンバー諸国間の連系容量の増強が、主要課題の一つとなっている。 印刷用PDF
2015.08.24
中国:三峡総公司、ブラジルの水力発電所を買収
中国長江三峡総公司は 2015 年 8 月 24 日、子会社である中国三峡ブラジルがブラジルの投資会社 Triunfo Participacoes e Investimentos S.A(以下 TPI)が保有する水力発電所 2カ所(設備容量計 30.8 万 kW)の買収協議書を締結した。中国三峡ブラジルはブラジルでクリーンエネルギーについて投資と開発を行っている。現在、水力発電所 3 カ所と風力ファーム 11 カ所(工事中の案件を含む)を保有している。今回の買収により、中国三峡ブラジルが保有する発電設備容量は 100 万 kW になり、発電所の所在地は 8 州にわたる。 印刷用PDF
2015.08.24
米国:オバマ大統領が分散型電源の導入拡大政策を公表
オバマ大統領は 2015 年 8 月 24 日、気候変動対策の一環として、分散型電源や省エネを一般家庭にさらに普及させるための新たなイニシアティブを公表した。ホワイトハウス発表のプレス文によると、太陽光産業は他の産業に比べて 10 倍の規模で雇用を拡大し続けており、2014 年の PV 導入量は、3 週間で 2008 年の年間導入量に相当するペースとなっている。また、省エネについては、環境保護局(EPA)の Energy Star プログラムによって年間 340億ドルの節約につながっている。今回オバマ大統領が公表したイニシアティブは、議会の承認が不要な大統領令(executive action)の形をとっており、革新的技術を活用する分散型電源プロジェクトへの 10 億ドルの融資保証、クリーンエネルギーへの投資に対する低利融資促進策である PACE(Property Assessed Clean Energy)プログラムの一戸建て住宅への拡大、住宅都市開発省(HUD)とエネルギー省(DOE)との共同による新たな省エネプログラム(一般家庭需要家の借入能力増進)の導入、すべての米国国民にクリーンエネルギーを提供するための政府省庁間タスクフォースの立ち上げなどが含まれる。 印刷用PDF
2015.08.18
フランス:Engie 社、アジアで 10 億ドル超の石炭火力発電所売却を検討
2015 年 8 月 18 日付報道によれば、フランスの大手エネルギー事業者 Engie(旧 GDF Suez)がアジア地域に保有する石炭火力発電所の持ち分売却を検討している。対象となったのは、インドネシア最大の IPP 事業者で Engie が 40.5%を保有する PT Paiton Energy 社(204万 5,000kW)と、同 74%を保有するインドの Meenakshi 発電所(2013 年 12 月時点で 30万 kW が運転中で、他に 70 万 kW が建設中)。売却額は 10 億ドル超となる模様。フランスのサパン財務相は 2015 年 5 月、国が支援する事業者をよりクリーンな燃料へ向かわせたいと語っており、株式の 3 分の 1 をフランス政府が保有する Engie は、メストラレ会長のもと再エネへの動きを加速させている。 印刷用PDF
2015.08.14
米国:ミシシッピー州で、18%の一時的な料金値上げを承認
2015 年 8 月 14 日付の報道によれば、ミシシッピー州規制当局はミシシッピー・パワー社のケンパー石炭ガス化プラント救済のため、18%の一時的な料金値上げを承認した。同発電所は現在、並列するまでに当初見積額の 3 倍、62 億ドル以上かかると予想されており、州公益事業委員会は、前週にこの増額について投票を行い 2 対 1 で承認した。委員会弁護士スタッフは、「(ミシシッピー・パワー社は)破産の瀬戸際に立っている」と語っている。値上げ額は一年で 1 億 5,900 万ドルとなり、委員会は、資金が有効に使われたかどうかを判断するために支出を最審査した後、適合しない場合は返金の対象となることもある、としている。 印刷用PDF
2015.08.10
ドイツ:RWE、監査役会が国内事業の大規模再編計画を承認
ドイツの大手エネルギー会社 RWE は 2015 年 8 月 10 日、グループの親会社(RWE AG)を持株会社から事業会社に移行し、多くの国内子会社を同社に吸収合併する計画について監査役会の承認を得たと発表した。スリム化により迅速で柔軟な組織を目指す。小売およびエネルギーサービス子会社を吸収する一方、アンバンドル規則を踏まえて配電子会社は残置する。従来型発電、再エネ発電およびエネルギートレーディングの各子会社も今回の再編の対象外とされた。これまでの全事業を統括する COO(最高執行責任者)を見直し、従来型発電、再エネ、ネットワークおよび小売の 4 事業をそれぞれ担当する 4 名を新たに任命する。新体制は 2017 年 1 月から適用される。報道によれば、年間数千万ユーロのコスト削減が見込まれるが、テリウム社長は、強制的な人員削減は行わないとコメントしている。 印刷用PDF
2015.08.06
世界:IEA、2013 年は世界で石炭火力発電が増加と発表
国際エネルギー機関(IEA)が 2015 年 8 月 6 日に発表した 2013 年の暫定データによると、非 OECD 加盟国を中心に石炭火力発電電力量が増加し、全世界で石炭火力発電電力量が 9兆 6,130 億 kWh に達し、総発電電力量の 41.1%を占めた。水力を含む再生可能エネルギーによる発電電力量は 5 兆 1,300 億 kWh で、天然ガス火力発電電力量を抜き、総発電電力量の 22%を占め、電源別では第二位となった。水力を除く再生可能エネルギーによる発電電力量は石油火力発電量を初めて抜いて 1 兆 2,560 億 kWh に達し、総発電電力量の5.4%を占めた。 印刷用PDF
2015.08.03
中国:2015 年上半期、原子力発電電力量 753 億 kWh
中国原子力エネルギー工業協会は 2015 年 8 月 3 日、2015 年上半期の原子力発電所の発電電力量は 753.7 億 kWh で、全発電電力量 2 兆 7,091 億 kWh に占める割合が 2.78%であったと発表した。6 月末時点で、商業運転中の原子炉は 25 基で、発電設備容量は 2,357万 kW である。 印刷用PDF
2015.08.02
フランス:中国がアレバを救済か
2015 年 8 月 2 日付のフランス紙は、取材に応じたフランス原子力事業者アレバのバラン会長が、中国によるアレバへの資本参加の可能性を示唆したと伝えた。アレバとフランスの大手エネルギー事業者 EDF は 2015 年 7 月 30 日、27 億ユーロで EDF がアレバ NP を買収するとした覚書を交わした。保有株式の売却その他を加えても、2015~2017 年の 3 年間に借入金の借り換えのためにはなおも 34 億ユーロが必要とされている。マクロン経済大臣によれば、国は 20 億ユーロの資本増強に応じる用意があるとしている。同会長は現在 85%の国の出資比率は 3 分の 2 程度で十分であるとして、外資の参加を模索、2030 年までに 100基以上の原子炉を導入すると見られる中国を有望な出資者と見る。バラン会長は直前にプジョー(自動車)の会長として中国東風汽車の同社への資本参加を実現している。中国の資本参加が技術の流出ではなく原子炉の注文をもたらすことに期待を寄せているが、一方で中国一国だけの資本参加を警戒する声に対しては Atmea 炉を共同開発している三菱重工の参加も考慮していると述べた。 印刷用PDF
2015.07.31
ドイツ:再エネがドイツの全電力需要の 78%に達する
2015 年 7 月 31 日付の報道によると、7 月 25 日土曜日に再エネ電力(水力・バイオマス含む)がドイツの電力需要の 78%をカバーし、過去の記録(2014 年 5 月の 73.4%)を更新した。同日は風力導入量の多い北部を低気圧が通過し、一方南部は好天に恵まれたため太陽光・風力の合計出力が 4,065 万 kW に達した。環境団体等は記録の更新を歓迎しているが、他方で再エネ導入量の増加により出力抑制を行うことが増えているとの報道もある。2014 年には風力発電の出力抑制に対する補償費用が 1 億ユーロを超えた。同費用は系統使用料に転嫁され、需要家の負担となっている。 印刷用PDF
2015.07.30
韓国:公営企業 24 社を統廃合
行政自治部(MOGAHA:Ministry of Government Administration and Home Affaires)は 2015 年 7 月 30 日、公営企業の構造改革計画の一環として、5 自治体(京畿道、慶尚北道、全羅南道、仁川市、光州市)が保有する公営企業 24 社(経済、研究開発、観光関係)を統廃合して 8 社にすると発表した。同部は、地方財政の合理化を図るため、各地域の公営企業の統廃合を推進している。 印刷用PDF
2015.07.30
米国:ハワイ州と沖縄県が再エネ協力を再確認
2015 年 7 月 30 日付の記事によると、7 月 10 日にハワイ州議会議事堂の商工会議所で開催されたハワイ・沖縄エネルギーイノベーションフォーラムにて、「ハワイ・沖縄クリーン高効率エネルギー開発と普及(Clean and Efficient Energy Development and Deployment)」に関する協力覚書(MOC:Memorandum of Cooperation)が David Ige ハワイ州知事と翁長沖縄県知事によって結ばれた。ハワイ州と沖縄県は姉妹都市の関係にあり、2010 年 6 月にもアメリカ DOE とハワイ州、沖縄県、経済産業省が「クリーン高効率エネルギーに関するハワイ沖縄協力」にサインしており、今回はこの協力を再確認した形である。今後は協力覚書に基づき電力系統の安定化やクリーン交通機関、再エネ、エネルギー効率化、スマート グリッド技術などについての協力が行われ、スマートエネルギーアイランドなどのプロジェクトを共同で行う計画である。 印刷用PDF
2015.07.29
米国:エクセロン社が 9 月までに 2 原子力発電所の運転継続可否決断の意向
エクセロン社の Chris Crane 社長兼 CEO は 2015 年 7 月 29 日、PJM 管内のバイロン原子力発電所(PWR、イリノイ州)とクアド・シティーズ原子力発電所(BWR、イリノイ州)の運転を継続するかについて、9 月までに決断するとコメントした。エクセロン社は以前にもクリントン、バイロン、クアド・シティーズ原子力発電所の早期廃炉のリスクについて言及していた。イリノイ州議会が原子力の収益性を取り戻すための予算を通す見通しがなくなり、Crane 氏は 8 月 10 日に行われる容量市場オークション(2018 年 6 月~2019 年 5月対象)でバイロン、クアド・シティーズ発電所が約定できなければ運転継続は難しいとみている。 印刷用PDF
2015.07.27
ベトナム:卸電力市場、2016 年中に開設
ベトナム電力規制局(ERAV:Electricity Regulatory Authority of Vietnam)は 2015 年7 月 27 日、発電部門への競争原理の導入を目的に、2016 年中に卸電力市場を開設すると発表した。現在、市場の詳細設計が行われており、上限価格には一定の制限が設けられるもよう。 印刷用PDF
2015.07.27
イタリア:大手電力 Enel、世界初となる地熱とバイオマスの複合発電を開始
2015 年 7 月 27 日付報道によると、イタリア大手電力の Enel は世界で初めて地熱とバイオマスの複合発電を開始した。この発電は、イタリア中西部のトスカーナ州にある既設のCornia 第二地熱発電所(1 万 3,000kW)に、新たにバイオマス発電所(5,000kW)が設置されて行われた。バイオマス発電所の排熱回収により地熱発電所の蒸気が約 150 度から約370 度に上がり、年間発電電力量が 300 万 kWh 増え、年間 CO2 排出量が火力発電した場合に比べて 13,000t 少なくなると見込まれている。 印刷用PDF
2015.07.25
バングラデシュ:クリーンエネルギー導入に 1,500 万ドル支援
2015 年 7 月 25 日付の地元紙によると、世界銀行は地方におけるクリーンエネルギー導入プロジェクトに、1,500 万ドルを資金援助することを決定した。2012 年から実施されている同プロジェクトでは、導入実績に応じて資金援助が行われる。この資金援助により無電化地域に住む貧困層 110 万人が恩恵を受けるとされる。 印刷用PDF
2015.07.24
欧州:欧州委員会、最初のネットワーク・コードを採択
欧州委員会は 2015 年 7 月 24 日付で、「容量割当および混雑管理(CACM)に関するガイドライン」を設置する欧州委員会規則を採択した。これは、EU 域内市場の統一的な電力ネットワーク運用ルールを定める目的で、EU 法令(第 3 次エネルギー・パッケージ)に従い、欧州送電系統運用者ネットワーク(ENTSO-E)が中心となって策定が進められている 10種類の「ネットワーク・コード」の一つであり、今回は、これを欧州委員会が規則として採択した初めてのケースとなる。CACM に関するガイドラインでは、国際連系線の送電容量の算定や、前日市場・当日市場の運用、入札ゾーンの設定・見直しなどに関するルールが示されている。本規則は 2015 年 7 月 25 日に EU 官報に掲載され、20 日後の 8 月 14 日に発効することとされている。 印刷用PDF
2015.07.23
イラン:石油・ガスプロジェクト、2020 年までに 1,850 億ドル
2015 年 7 月 23 日付の報道によると、イランは 2020 年までに石油・天然ガス開発に 1,850億ドルの投資を計画していることが明らかとなった。国連安全保障理事会が「包括的共同行動計画(Joint Comprehensive Plan of Action: JCPOA )」を承認する決議を 7 月 20 日に採択したことから、イランに対する経済制裁が解除される見通しが高まり、欧州企業等による投資を期待したものと見られている。 印刷用PDF
2015.07.22
ブラジル:風力発電と太陽光発電プロジェクト 、1,379 件が入札に
エネルギー調査公社(EPE)は 2015 年 7 月 22 日、2015 年度の第 2 回リザーブ電源入札(LER)は、風力発電と太陽光発電プロジェクト 1,379 件が対象になると発表した。プロジェクトの総発電設備容量は 3,891 万 kW で、風力 1,796 万 kW、太陽光 2,095 万 kW である。州別のプロジェクト件数は、バイア州 435 件、リオグランデ・ノルテ州 281 件、セアラー州 129 件などで、北東部地域が中心となっている。現在、入札参加企業の審査が行われており、最終的な落札企業は 2015 年 11 月 13 日に決定する見通し。 印刷用PDF
2015.07.21
英国:英国政府、国内のエネルギー安定供給に向け今後も原子力を推進
英国エネルギー・気候変動省(DECC)は 2015 年 7 月 21 日、国内のエネルギー安定供給に向けて、新規原子力発電所の建設を進めると発表した。DECC は、新しい国内エネルギー供給源の拡充の必要性を訴え、現在協議中であるヒンクリーポイント C 原子力発電所建設計画に言及しつつ、これまで通り、原子力推進の姿勢を維持していくことを強調している。また、原子力が今後のエネルギーミックスにおいて、同じく拡充が進められているものの、出力変動の課題を残す再エネ電源の増加を補完するベースロード電源として重要であるとしている。 印刷用PDF
2015.07.20
フランス:EDF EN が風力発電開発で住民参加型の資金調達に成功
フランスの再エネ大手 EDF Energies Nouvelles(EDF の再エネ子会社)は 2015 年 7 月20 日、同社初のクラウドファンディング(インターネットを通じて不特定多数の人から資金を調達する方法)が成功したと発表した。今回の資金調達は、フランス東部で 2016 年に建設開始予定の Bois de Belfays 風力発電所(2 万 kW)の開発に地域住民の参加を促すことを目的としている。再エネ専門のクラウドファンディングサイト Lendosphere で、融資期間 2 年、年率 4%(地元住民は 7%)の条件で募集され、当初目標とされた 10 万ユーロを上回る 13.5 万ユーロが集まった。資金提供者は 18~83 歳の 198 人で、地元 2 県の住人がその 4 割を占め、全体の半分の資金を提供した。 印刷用PDF
2015.07.20
米国:Southern 社、電力業界で最も高い配当利回り
米国南部の大手電力持株会社 Southern 社は 2015 年 7 月 20 日、9 月に実施する四半期の配当について、一株当たり 0.5425 ドルとすることを発表した。その結果、年間配当は 2.17ドルとなり、配当利回りは 5.0%となった。これは電力業界で最も高い数字であり、以下Brookfield Infrastructure Partners 社の 4.7%、Empire District Electric 社の 4.5%と続くと紹介されている。なお、配当利回りは、株価に対する配当の割合を示す指標で、一株当たりの配当金額を株価で割って求める。7 月 29 日におけるダウ平均の配当利回りは 2.161%(過去 12 か月)、東証一部全銘柄の平均配当利回りは 1.46%(前期基準)となっている。 印刷用PDF
2015.07.17
米国:月間発電量ベースで天然ガスが石炭を抜いて初めてトップに
2015 年 7 月 17 日付の業界誌によると SNL エナジー社は、エネルギー情報局(EIA)のデータに基づき、2015 年 4 月の米国の発電電力量において天然ガスが 31%と石炭の 30%を上回り、初めてトップのシェアを占めたと報告した。第 3 位は原子力の 20%。2008 年に始まったシェール革命により天然ガスの生産量が大幅に増大、天然ガス価格の低下と相まって天然ガス火力発電が増大する一方で、環境保護局(EPA)の火力発電所に対する CO2 排出規制政策が石炭火力発電の利用にプレッシャーをかけている。SNL エナジー社によると2010 年 4 月の天然ガスおよび石炭火力のシェアはそれぞれ 22%および 44%であった。EIAは、今年後半に天然ガス価格が上昇し、石炭火力発電所が春季メンテナンスから復帰すれば石炭火力の発電量が再び増大するとしており、2015 年全体では天然ガス火力および石炭火力のシェアをそれぞれ 31%および 36%と見込んでいる。 印刷用PDF
2015.07.15
中国:6 月の消費電力量、前年比 1.8%増
国家能源局は 2015 年 7 月 15 日、6 月の電力需給状況を発表した。6 月分の消費電力量は前年比 1.8%増の 4,723 億 kWh となった。1~6 月の累計消費電力量は同 1.3%増の 2 億6,624 万 kWh で、第一次産業用は同 0.9%増の 441 億 kWh、第二次産業用は同 0.5%減の1 兆 9,242 億 kWh、第三次産業用は同 8.1%増の 3,397 億 kWh、生活用は同 4.8%増の 3,545億 kWh で、第三次産業の伸びが目立つ。1~6 月の発電設備の利用時間は 1,936 時間で、前年より 151 時間減少した。水力は 1,512 時間で前同 82 時間増、火力は 2,158 時間で同217 時間減であった。1~6 月に新規運開した発電設備容量は 4,338 万 kW で、水力 506万 kW、火力 2,343 万 kW となった。 印刷用PDF
2015.07.14
インド:再生可能エネルギー法案を公表
インドの新再生可能エネルギー省は 2015 年 7 月 14 日、再生可能エネルギーの導入をさらに加速するため、再生可能エネルギー法案を公表した。法案は来年の議会に提出される予定。これまで、再生可能エネルギー発電は「2003 年電気法」で取り扱われていたが、再生可能エネルギー法案では熱や輸送部門も含まれる。政府は、2022 年までに再生可能エネルギーによる発電設備容量を 1 億 7,500 万 kW(うち太陽光 1 億 kW)導入するという目標を掲げており、同法案は、この目標を達成するための政策と政府組織の体制、技術支援、財政支援等について規定している。 印刷用PDF
2015.07.14
タイ:再エネ発電導入、今年の目標は達成確実
代替エネルギー開発・効率局(DEDE:Department of Alternative Energy Developmentand Efficiency)は 2015 年 7 月 14 日、5 月末時点の再エネ発電所の設備容量は 735 万1,000kW(小水力:300 万 kW、バイオマス:250 万 kW、太陽光:130 万 kW、バイオガス:32 万 6,000kW および風力:22 万 5,000kW)となり、年末までに数カ所の発電所が 完成すると見込まれることから、今年の再エネ発電導入目標である 900 万 kW を達成するのは確実になったと発表した。同局は、再エネ発電に対する優遇措置により、2036 年までに再エネ発電所の発電設備容量を 1,960 万 kW に引き上げるとしている。 印刷用PDF
2015.07.13
中国:直流±1,100kV の送電線建設が認可
2015 年 7 月 13 日付の地元紙によると、新疆ウイグル自治区・準東地区から安徽省・宣城市までの±1,100kV 直流送電プロジェクトについて、新疆ウイグル自治区政府は建設に同意した。送電線亘長は 3,340km、総投資額 410 億元(約 8,200 億円)、送電容量は世界最大となる 1,200 万 kW。 印刷用PDF
2015.07.10
米国:ニューヨーク市、行政関係施設のすべてに 100%再エネ供給を計画
ニューヨーク市長ビル・デ・ブラシオ氏は、市の行政関係の施設のすべてに再生可能エネルギーによる電力を供給したいと考えている。同市は 2015 年 7 月 10 日、100%再生可能エネルギーという野心的な目標を達成するため新たな電源を確定することを目的としたRFI(情報提供依頼)を発した。市は現在、年間 6 億ドルから 6.5 億ドルの電気代を支払っており、この購買力を活用することで、再生可能エネルギーによる新たな電源開発への触媒となり、温室効果ガスの排出量を削減する方針を立てている。同市は 2050 年までに温室効果ガス排出量 80%を削減する取り組みを促進する。RFI への応募は 2015 年 9 月 10 日に締め切られる。 印刷用PDF
2015.07.08
欧州:欧州議会、排出量取引制度に市場安定化リザーブを導入する法案を可決
2015 年 7 月 8 日の欧州議会・本会議において、EU 排出量取引制度(EU-ETS)に「市場安定化リザーブ(Market Stability Reserve:MSR)」を導入する法案が、賛成多数で可決された(賛成 495、反対 158、棄権 49)。MSR は、排出枠を蓄えておくリザーブを新たに設置し、このリザーブを利用して市場に流通する排出枠の量を調整、これにより、低迷する排出枠価格を合理的な水準で安定させることを狙った措置である。今回、可決された法案では、MSR の運用を 2019 年に開始することや、「バックローディング」によって 2014~2016 年に市場への放出が保留された排出枠を、引き続き、リザーブに組み入れることなどがうたわれている。法案の正式な成立には、今後、閣僚理事会の承認が必要であるが、すでに非公式な形での合意は形成されており、今秋以降の法案成立は確実視される。 印刷用PDF
2015.07.07
豪州:NGO、電力の小売事業者の儲け過ぎを批判
オーストラリアで貧困問題に取り組む非営利団体 (NGO )の Brotherhood of StLaurence は 2015 年 7 月 7 日、ビクトリア州の電気料金について調査報告書を公表した。それによると、同州では、電気料金が過去 6 年間で 3 倍に上昇し、特に、基本料金に相当する固定料金が、年間の平均電気代 1,400 豪ドル(約 12 万 8,800 円)の 30~40%を占め、消費電力量の少ない低所得世帯に打撃になっているとしている。また、電気料金が上昇し始めた 2008 年以降、同州の供給停止軒数は 5 倍(年 3.4 万軒、2013年)に増えた。オーストラリアでは、電気料金の高騰が全国的な問題となっており、ニューサウスウェールズ州やクイーンズランド州では、州営送配電会社の非効率な運営による送配電費用の高騰が電気料金上昇の主な要因とされる。一方で、送配電部門を民営化し、小売料金規制を撤廃したビクトリア州では、電気料金に占める小売費用(メーター、マーケティング等)の割合が大きい。報告書では、今後の検討課題として、(1)小売費用の透明性向上、(2)料金メニューの簡素化、(3)標準料金の再規制、(4)固定料金の規制、を掲げている。 印刷用PDF
2015.07.03
ドイツ:経済エネルギー省、将来の市場設計を示す白書を公表
連邦経済エネルギー省は 2015 年 7 月 3 日、再生可能エネルギーの大量導入を続けながら、安定供給を維持できる新たな市場設計の方向性を示した白書(タイトル:エネルギー転換のための電力市場)を公表した。同書で連邦政府が下した最も大きな判断は、将来の発電能力(kW)を取引対象とする容量市場を導入しないとした点。電力量(kWh)を取 り引きする従来の卸電力取引市場の改革と戦略的予備力(白書では容量リザーブと呼称)を導入することで、安定供給を維持できると結論した。 印刷用PDF
2015.07.02
ドイツ:世界最大の風力発電利用水素製造プラントが運開
2015 年 7 月 2 日付ドイツ紙の報道によると、マインツで風力エネルギーを利用した大規模水素製造プラントが運開した。運営者のマインツ市営電力によると、再生可能エネルギーを利用したプラントとしては世界最大規模 。同プラントは近隣の風力発電設備から6,000kW まで電力供給を受けることができ、同電力により水を電気分解する。再エネの出力変動を吸収し、余剰電力を有効利用する一種の蓄電池としての役割が期待されている。 印刷用PDF
2015.06.29
アラブ首長国連邦:外壁に設置可能な有色太陽光パネルを販売
ドバイのソーラー企業である Emirates Insolaire 社は 2015 年 6 月 29 日、スイスのローザンヌにあるビルの建物正面に設置された有色太陽光パネル「Kromatix」を販売したと発表した。Kromatix は屋根設置の場合 1m2 当たり 150W 以上、外壁設置の場合 110W 以上の発電能力があり、屋根や外壁の大きさによってはその建物の需要の 100%を賄えるという。同社によると、世界各国から問い合わせがあり、2015 年に 50,000m2 以上の販売量を見込んでいる。 印刷用PDF
2015.06.26
米国:ニューヨーク州が新たなエネルギー計画を発表
2015 年 6 月 26 日付の報道によると、ニューヨーク州のクオモ知事は「2015 年ニューヨーク州エネルギー計画」を発表した。これは、州が進めるエネルギービジョン改革(REV)を実現するためのロードマップであり、分散型電源への投資促進による需要家全体のコスト削減、クリーンエネルギー導入拡大による環境への寄与、電力系統をより効率的に運用するための規制改革などが含まれる。同計画では、温室効果ガスを 1990 年比で 2030 年までに 40%、2050 年までに 80%削減し、再生可能エネルギーの発電電力量構成比率を 2050年までに 50%とすることを目標としている。 印刷用PDF
2015.06.26
中国:石炭輸入量が急落
2015 年 6 月 26 日付の税関ウェブサイトによると、2015 年 1~5 月の石炭の輸入量と価格は前年より大きく下落した。輸入量は前年同期比 38.2%減の 8,326.6 万トン、平均輸入価格(トン当たり)は同 20.3%安い 391.9 元(約 7,760 円)であった。主な輸入先であるインドネシアとオーストラリアからはそれぞれ同 39.3%、27.4%減、ベトナムとニュージーランドからはそれぞれ同 90.6%、75.0%減であった。2009~2014 年の 5 年間は、毎年高い伸びを見せ、2013 年には輸入量がピークの 3.27 億トンとなったが、2014 年には前年比10.9%減の 2.91 億トンに落ち込んだ。輸入量が減少した主な原因は、供給過剰と需要低迷である。 印刷用PDF
2015.06.25
アフリカ:風力発電設備容量、急増の見通し
2015 年 6 月 25 日付の記事によると、世界風力の日である 6 月 15 日に世界風力会議(GWEC)から発表されたレポートでは、今後 5 年間でアフリカにおける風力発電設備容量が急増し、2019 年には発電設備が 1,300 万 kW に達する見通しを示している。2014 年にアフリカに導入された風力発電設備導入量は初めて約 100 万 kW に達し、今後も増え続けると見られている。これまでアフリカでは、風力発電開発はほとんどが南アフリカとエジプトで行われてきたが、今後はモロッコ、エチオピア、ケニア、タンザニア、ガーナでも開発が進むとされる。 印刷用PDF
2015.06.22
米国:NY 州はすべての電力会社に小売需要家向け DR 導入を指示
2015 年 6 月 22 日付の報道によると、ニューヨーク州公益事業委員会(NYPSC)は州内の電力会社に対して、すべての小売需要家に向けたデマンドレスポンス(DR)プログラムを導入するよう指示した。州が求める DR プログラムには、(1)夏季ピーク時における一日前想定に基づく負荷削減プログラム( 2)特定のエリアにおける信頼度対策プログラム( 3)電力会社の遠隔制御による直接負荷制御プログラムの 3 種類がある。州内の電力会社のうち、Consolidated Edison 社は既に DR プログラムを導入しており、残り 5 社(New York State Electric & Gas 社、Rochester Gas & Electric 社、Central Hudson Gas & Electric社、Niagara Mohawk 社、Orange & Rockland 社)が 2016 年 7 月までに DR プログラムを導入しなければならない。 印刷用PDF
2015.06.19
ドイツ:返還廃棄物の受け入れについて環境相と電力が合意、一部の州は反発
ドイツ主要各紙は 2015 年 6 月 19 日、英・仏の再処理工場より返還される高レベル放射性廃棄物(ガラス固化体)の受け入れについて、ヘンドリクス連邦環境相と大手電力 4 社 CEOが合意に達したと報じた。2017 年以降返還される 26 のキャスクの受け入れ先候補と目されているのは、フィリップスブルク(バーデンヴュルテンベルク州)、ブロックドルフ(シュレースヴィヒ・ホルシュタイン州)、ビブリス(ヘッセン州)、イザール(バイエルン州)の 4 つの発電所の中間貯蔵施設。このうちバイエルン州政府は反対しているが、環境相は同州にも受け入れを強いる構えである。キャスクはもともとゴアレーベン中間貯蔵施設に搬入される予定であったが、政府の決定により同施設への廃棄物輸送が停止され、新たな受け入れ先が必要となっていた。電力会社はこれに対して 2014 年に訴訟を提起していたが、受け入れ先が確定したため訴訟を取り下げるよう、環境相は要求している。 印刷用PDF
2015.06.18
メキシコ:日産と共同で充電ステーションを設置
メキシコ地元紙は 2015 年 6 月 18 日、メキシコ電力公社 CFE とヌエボ・レオン州当局、日産自動車の 3 者が共同で電気自動車・ハブリッド車向けの充電ステーションを州都モンテレイ(国内第 3 の都市)に設置すると報じた。設置場所はモンテレイ大学構内で、日産が設備を設置し、CFE が電力を供給、モンテレイ大学が電気料金を支払う。CFE は電気自動車・ハイブリッド車の利用促進はもとより、再エネ電源の効率的な利用も念頭に置いたものであると説明している。 印刷用PDF
2015.06.18
米国:NRG 子会社、家庭用需要家向け発電機の販売・賃貸を開始
小売事業者の NRG Home 社(NRG Energy 社子会社)は 2015 年 6 月 18 日、家庭用需要家向け発電機の販売および賃貸を開始したことを発表した。提供される発電機は、ハリケーン等自然災害による停電時のバックアップ電源としての利用を想定しており、最も小さいものは 10kW、大きいものは 24kW と、家の規模に応じて製品を選ぶことができる。発電機の燃料は天然ガスかプロパンで、停電時に自動的に起動する。NRG Home 社の SteveMcBee 社長は、特に在宅医療を受ける需要家など、特別なニーズがある需要家にとって有益なサービスになると見込んでいる。 印刷用PDF
2015.06.16
世界:2030 年までに 1 億 5,000 万 kW の蓄電池が必要
2015 年 6 月 16 日付業界紙によると、国際再生可能エネルギー機関(IRENA)は「再生可能エネルギーと電力貯蔵」と題した報告書を発行した。この報告書は、気候変動の影響を回避し、持続可能なエネルギーへの転換と成長の目標を推進する IRENA の「リマップ 2030プログラム」の活動の一部である。同プログラムは、2030 年までに全エネルギーに占める再生可能エネルギーの比率を倍増させるという目標を掲げている。「リマップ 2030 プログラムでは、各国の再生可能エネルギー計画は、世界の年間発電電力量における再生可能エネルギーの比率を 2014 年の 22%から 2030 年には 27%まで増やすことを示唆している」と、報告書は説明している。IRENA の目標は、2030 年までにエネルギー供給量の 45%を再生可能エネルギーとすることであり、これは蓄電池 1 億 5,000 万 kW と、揚水発電 3 億2,500 万 kW 分が加わることを意味する。IRENA は、この目標のためには蓄電池が優先されなければならないとしている。報告書は、優先 5 分野にわたるアクション 14 項目を概説し、電力貯蔵に関する政策を推進するために政府と産業界が協調する必要性を強調している。優先 5 分野は、(1)島嶼や辺境地での再生可能エネルギーの普及を支援する電力貯蔵、(2)屋上設置型太陽光発電システムの普及率の高い国々での自家消費する需要家宅に設置する蓄電地、(3)電力系統に制約のある国向けの発電機および系統設置型蓄電装置、(5)送配電系統に設置される電力貯蔵システム。ロードマップの目標を設定するにあたり、IRENA は、4 つのワークショップを開催し、50 カ国 200 人以上の蓄電専門家に聞きとり調査を行った。 印刷用PDF
2015.06.15
アジア:アジア太平洋地域、再エネの投資額 1,060 億ドル
2015 年 6 月 15~19 日、アジア開発銀行(ADB)本部(マニラ)にてアジア・クリーン・エネルギー・フォーラム 2015 が開催された。席上、2013 年のアジア太平洋地域における再エネ分野への投資額は 1,060 億ドルで、そのうち ADB の資金提供額は 24 億ドルであると発表した(2005 年時点では約 2.8 億ドル)。また、同地域における非電化地域の人口は6 億人とされ、電源を確保するため石炭火力発電が必要であるものの、環境負荷の低い高効率の技術を利用するべきであるとしている。同フォーラムはアジア太平洋地域における再生可能エネルギーに関する情報交換などを目的としており、2006 年から毎年開催され、今年で 10 回目となる。 印刷用PDF
2015.06.10
ドイツ:最も安い料金の値下げ率は基礎的供給料金の値下げ率を上回る
エネルギー系消費者ポータルサイトの 2015 年 6 月 10 日付発表によると、小売競争の活発化によって、最も安価な家庭用電気料金が基礎的供給料金よりも値下げされている。2014年 5 月~2015 年 5 月の一年間において、最も安価な家庭用料金と基礎的供給料金の値下げ率を比較すると、基礎的供給料金は 1%程度であったのに対し、最も安価な電気料金は 6%であった(年間消費電力量が 4,000kWh の一般家庭の場合)。これにより、基礎的供給料金で供給を受けている一般家庭が他の事業者に変更した場合節約できる年間電気料金支払額は 382 ユーロとなる。なお、基礎的供給料金とは、各配電エリアで最多の需要家を抱える事業者(基礎的供給事業者)に提供が義務付けられている料金で、供給事業者の変更を行っていない需要家に自動的に適用される。同料金は公表が義務付けられているが、事前認可を必要とするいわゆる規制料金ではない。 印刷用PDF
2015.06.08
欧州:安定供給を地域大で考える新たなフェーズへ
欧州 12 カ国の政府は 2015 年 6 月 8 日「域内エネルギー市場の枠組みにおける電力供給セキュリティに係る地域協力共同宣言」に調印した。調印国は、オーストリア、ベルギー、チェコ、デンマーク、フランス、ドイツ、ルクセンブルク、オランダ、ノルウェー、ポーランド、スウェーデン、スイス。同宣言の骨子は、(1)強い市場価格シグナルとピーク時の価格を用いることによって、電力供給と電力需要をより柔軟に調整することに重きを置き、市場における上限価格を法律で設けることを禁じ、電力需給のフレキシブルな調整を阻害する要因を取り除くこと、(2)電力需給がタイトな時であっても国境間取引を制限しないこと、(3)地域大で供給力を評価し、そのための共通のアプローチを開発すること、などから成っている。調印国の中で最大の電力市場を抱えるドイツのガブリエル連邦経済・エネルギー相は、「今宣言は欧州の電力市場 2.0(新たな電力市場設計)に係る決断を下す際の基盤になるであろう」と語り、同宣言の重要性を強調した。 印刷用PDF
2015.06.04
スペイン:スマートメーターを設置している規制料金需要家、1時間ごとの変動料金制に移行
2015 年 6 月 4 日付報道によると、スペインの規制料金(PVPC)を選択し、スマートメーターを設置している需要家は、2015 年 10 月以降、1 時間ごとの卸市場価格に連動した料金を契約することが義務付けられる。これを受け、1 時間ごとの卸市場価格が一日前の 20 時15 分以降、系統運用者(REE)のウェブサイトで公表されるようになる。需要家は、請求額のうち付加価値税等の諸税(25%)や送配電料金(37%)を除く、卸市場からの電力購入分が、卸市場価格変動の影響を受けることになる。同料金の実施準備として、小売会社は2015 年 7 月から各需要家における一時間ごとの消費量等の情報を入手できるようになり、小売会社の準備が整い次第、需要家は同年 10 月より前でも申込めば同料金の適用を受けることができる。なお、同料金は 2014 年 4 月に導入されていたが、請求額は各需要家の消費量ではなく、需要家のプロファイリングに基づく消費量で算出されていた。 印刷用PDF
2015.06.04
欧州:IEA、2020 年までに欧州の LNG 輸入量が 2 倍になると報告
国際エネルギー機関(IEA)は 2015 年 6 月 4 日、2020 年までのガス市場に関する中期見通しに関する報告書を発表した。原油価格の低下とオランダのガス生産の自主キャップ(地震の影響懸念による生産量減少)によって 2020 年の欧州全体のガス生産量は 2010 年に比べて 25%以下になる。この結果、今後 5 年間の欧州の LNG 輸入量は 2 倍になると見込まれている。EU 全体のガス消費量は 2009 年より年々減少傾向にあるが、2015 年からは徐々に増加して需要も増え、2020 年のガス需要は 5,000 億 m3 になると想定されている。 印刷用PDF
2015.06.04
米国:ハワイ州で 100 基以上の洋上風力発電設備の建設計画
2015 年 6 月 4 日付の報道によると、ハワイ州オアフ島において 100 基以上の洋上風力発電設備の建設が提案されている。本計画は AW Hawaii Wind 社(デンマークの Alpha WindEnergy 社の子会社)が提案しているもので、40 万 kW の洋上風力設備を建設し、海底ケーブルによってオアフ島へ電力を供給するものである。ハワイ州では、ルーフトップ太陽光を中心に再エネの導入が拡大しているが、まだ多くの電力を石油火力に頼っているのが現状である。プロジェクトの開発コストは 16 億ドルとされており、計画出力 40 万 kW はオアフ島の約 3 割の需要を賄える量である。 印刷用PDF
2015.06.02
ベトナム:節電協力、電力不足を回避
商工省(MOIT)は 2015 年 6 月 2 日、最高気温が 40 度を越え電力需給が逼迫する 4~5月に、大口需要家がピーク時に 10%節電に協力したことにより、昨年に続き電力不足を回避することができたと発表した。今年 5 月 28 日に最大電力は 2,100 万 kW となったが、供給予備率は 16.0%であった。 印刷用PDF
2015.06.01
米国:マイクログリッド実証事業が初の域内自立運転に成功
カリフォルニア州大手電力会社のサンディエゴ・ガス・アンド・エレクトリック(SDG&E)社は 2015 年 6 月 1 日、管内のボレゴ・スプリングス・エリアで実施しているマイクログリッド実証事業で初の域内自立運転に成功したと発表した。同エリアに供給する送電線の雷害による補修作業のため、午前 8 時 45 分から午後 5 時 30 分までの間、エリア内の全需要家 2,800 軒を電力会社の系統から切り離し、太陽光発電(2.6 万 kW)、電力貯蔵設備、ディーゼル発電機およびこれらを自動制御するソフトウェアにて供給した。ただし、電力会社からの供給への復旧時に、10 分以下の計画作業停電を要した。 印刷用PDF
2015.05.27
欧州:欧州統計局、EU における 2014 年下期の家庭用電気料金水準を公表
欧州統計局(Eurostat)は 2015 年 5 月 27 日、EU における 2014 年下期の家庭用電気料金水準を公表した。それによると、EU 加盟 28 カ国の家庭用電気料金は前年同期比で平均して 2.9%上昇した。上昇率が最も大きかったのはフランス(10.2%)であり、一方マルタでは同期間に電気料金が 26.2%値下がりした。電気料金水準をユーロ換算で比較するとデンマーク(30.4 ユーロ/100kWh)が最も高く、ドイツ(29.7 ユーロ/100kWh)がこれに続いた。購買力平価(PPS)ベースではドイツの電気料金が最も高かった。一方、電気料金が最も安い国はブルガリア(9.0 ユーロ/100kWh)であり、これにハンガリー(11.5 ユーロ/100kWh)が続いた。上位 2 カ国においては、電気料金の半分以上を付加価値税、再エネ導入賦課金等の公租公課が占めている(デンマーク 57%、ドイツ 52%)。 印刷用PDF
2015.05.26
メキシコ:2030 年までに再生可能エネルギー比率が 4 倍以上に
国際再生可能エネルギー機関(IRENA)は 2015 年 5 月 26 日、メキシコにおける再生可能エネルギー開発に関する報告書を発表した。その中で、一次エネルギーにおける再生可能エネルギーの比率は 2010 年の 4.4%から 2030 年に 21%になるとしている。全発電電力量に占める再生可能エネルギー(風力、太陽光、水力、地熱、バイオマス)の比率は 2030年に 46%となるとしている。同国には、様々な種類の再生可能エネルギー資源が豊富にあることから、その開発をめぐって大規模な投資を誘致することが可能であるとしている。再生可能エネルギーの導入を拡大することにより、エネルギー供給の多様化とともに温室効果ガスの削減に寄与するとされている。計画が実現すると、2030 年時点で、石炭需要は2010 年比 62%減、天然ガス需要は同 21%減になるとしている。 印刷用PDF
2015.05.26
豪州:AGL エナジー、資産売却とコスト削減を発表
大手電力会社の AGL エナジーは 2015 年 5 月 26 日、「戦略的ロードマップ」を発表した。それによると、2016 年度末までに約 10 億豪ドル分の保有資産の売却と 2 億豪ドル分のコスト削減が盛り込まれている。2015 年 2 月に就任した米国出身の Vesey CEO は経営改革案を相次いで打ち出している。主なものは、ニューサウスウェールズ州の炭層ガス田の売却、2050 年までに石炭火力依存からの脱却、家庭向け蓄電池の販売等のプランなど。同社は、国内の電力需要が伸び悩む中、連邦政府による競争促進政策と、低炭素化、太陽光パネルやスマートメーターの普及等により電気事業が変革期にあり、今後も更なる効率化を目指すとしている。 印刷用PDF
2015.05.22
ドイツ:バイエルン州、直流超高圧送電線のルートを西に移動するよう要求
2015 年 5 月 22 日の報道によると、バイエルン州のアイグナー経済相は南北ドイツを結ぶ直流超高圧送電線「ジュートリンク」のルートを現在の計画からさらに西に移動し、同州を通過する区間を減らすよう要求した。「ジュートリンク」計画は、風力による北部の余剰電力を脱原子力政策によって電力が不足する南部に輸送するために各州の合意によってまとめられたものであるが、2014 年に計画が動き出した直後にバイエルン州が計画の再考を唱えたことにより、現在は中断している。今回の要求では、送電線の終点を同州北部のグラーフェンラインフェルトではなく西の州境であるグントレミンゲンとすることで、ルートの大部分は西に移動し、バイエルン州の建設区間は 420km から大幅に縮小することになる。逆に工区の増える西隣りのバーデン・ヴュルテンベルク州、ヘッセン州からは批判の声があがっている。両州は、バイエルン州の要求が通れば、送電系統運用者 TenneT も送電線の経路を変更するための行政手続きや系統安定度の計算をやり直さなければならず、目標とされる 2022 年の運転開始が最低でも 3 年以上遅れるとしてバイエルン州を批判している。 印刷用PDF
2015.05.21
中国:年内に原子炉 8 基の建設認可か
2015 年 5 月 21 日付の業界紙によると、国家能源局の関係者は、「2015 年末までに、原子炉 8 基の新規建設を認可することになるだろう」と語った。建設準備段階にある、遼寧省・徐大堡原(PWR100 万 kW×2 台)、浙江省・三門原子力Ⅱ期(PWR125 万 kW×2台)、山東省・海陽Ⅱ期(PWR125 万 kW×2 台)、広東省・陸豊Ⅰ期(PWR100 万 kW×2 台)、福建省・?州Ⅰ期(PWR100 万 kW×2 台)、山東省 CAP1400 モデルプロジェクト(PWR140 万 kW×2 台)、江蘇省・田湾Ⅱ期田湾Ⅱ期(PWR106 万 kW×2 台)、広西省・ 防城港Ⅱ期(PWR108 万 kW×2 台)が有力とされる。 印刷用PDF
2015.05.21
フランス:Engie 会長、欧州では火力発電への投資を停止と発言
2015 年 5 月 21 日付英国経済紙は、フランスの大手エネルギー会社 Engie(旧 GDF スエズ)が欧州での火力発電への投資を停止したと報じている。パリで開催された「ビジネス/環境サミット」に合わせて実施されたインタビューで、Engie のメストラレ会長は、欧州では化石燃料による発電が消滅しかけているとし、「我々の選択は明確で、欧州では火力発電への投資をやめ、再エネに投資している。」と述べた。一方で、高成長市場ではより多くの火力発電が必要とされているとし、「ブラジルやチリ、ペルー、中東、アジアでは大規模発電所の建設を続ける」考えを示している。 印刷用PDF
2015.05.19
インド:クダンクラム原子力発電所 2 号機、運開に向け前進
インド原子力委員会(AEC)のシンハ会長は 2015 年 5 月 19 日、クダンクラム原子力発電所 2 号機の建設が進展しており、近々、原子炉へ燃料が装荷されるだろうと語った。インド原子力発電公社(NPCIL)は、同発電所の商用運転開始時期を 2015 年 7 月へと延期している。同会長は、「タービン機器の製造が完了、同発電所 2 号機は商用運転に向けて大きく前進した。規制機関は進行状況をレビューしており、我々はすぐにでも燃料装荷したいと考えている」とコメントした。 印刷用PDF
2015.05.19
米国:Xcel 社、FAA から設備調査のためのドローン使用許可を取得
Xcel 社は 2015 年 5 月 19 日、連邦航空局(FAA)から、送電線その他の設備の調査のためにドローンを使用する承認を受けたと発表した。同社では最近、3 カ所の火力発電所においてドローンを使用したボイラー点検の試験を実施しており、従来の足場を建設する点検方法に比べ短時間、低コストであったという。この度の承認によりドローンの使用範囲を拡大し、将来は送電線、変電所、再エネ施設、ガスパイプラインなどの調査へ拡大する。なおこの度の承認では、ドローンの飛行は高さ 400 フィート、速度 100 マイル以内で、操作者の視界範囲内での運転に限られている。 印刷用PDF
2015.05.14
中国:1~4 月の消費電力量、前年比 1.3%増に
国家能源局は 2015 年 5 月 14 日、今年 4 月分の電力需給状況を発表した。2015 年 4 月の月間消費電力量は 4,415 億 kWh で前年に比べ 1.3%増にとどまった。専門家は、この低い伸びについて、産業の構造調整が継続されていることによるとしている。消費電力量の伸びをけん引する最も重要な産業は第三次産業であると分析している。1~4 月の総消費電力量は前年比べ 0.9 増の 1 兆 7,316 億 kWh で、第一次産業用は同 2.6%減の 248 億 kWh、第二次産業用は同 0.8%減の 1 兆 2.305 億 kWh、第三次産業用は同 7.9%増の 2,287 億 kWhであった。特に、第三次産業用は 4 月単月では、前年比 11.2%増の 538 億 kWh となった。 印刷用PDF
2015.05.07
メキシコ:イベルドローラ、メキシコでの投資を 10 年間で倍増
メキシコ経済紙は 2015 年 5 月 7 日、スペインのエネルギー大手イベルドローラのガラン社長はメキシコでの投資額がこの 10 年間で倍増すると述べたことを伝えた。同社は 1999年にメキシコで事業を開始して以来、これまでに 40~50 億ドルを投資しており、ガスコンバインド 500 万 kW、風力 23 万 kW 等の発電設備を所有・運転している。同氏は、投資を実施する上で、メキシコにおける電気事業分野の法的枠組みと厳格な規制が不可欠と指摘している。ガラン社長は長期的視点として、中南米地域は世界の再エネ開発を牽引する可能性があり、電力需要も今後 25 年間で 4 倍になることが期待されるとの見方を示している。 印刷用PDF
2015.05.07
米国:Direct Energy 社、American Express 社のポイントサービスと提携
米国大手電気・ガス小売事業者の Direct Energy 社は American Express 社と提携する新たなポイントサービス"Plenti"の提供を 2015 年 5 月 7 日から開始した。Direct Energy 社のウェブサイトによると、同社と電気またはガスを契約することで、需要家はそれぞれの契約につき 5,000Plenti ポイントを受け取ることができる。なお、獲得したポイントは、Plenti に加盟する百貨店、薬局やガソリンスタンドなどにおいて、10 ポイント=1 ドル相当で使用できる。 印刷用PDF
2015.05.04
米国:NY 州当局、苦情急増で Ambit 社の営業活動を調査開始
ニューヨーク州公益事業規制局(NYDPS)のジーベルマン局長は 2015 年 5 月 4 日、Ambit社に対する苦情が多く寄せられている事態を受け、同社の営業活動に関する調査を開始すると発表した。Ambit 社は 2006 年に設立され、現在は 15 州で営業活動を行う大手の電力・ガス小売供給事業者である。苦情の大半は電気料金の急上昇に対するもので、同局は Ambit社が契約終了・更新に関する情報(意思表示がない場合は変動料金プランへ自動的に移行することなど)や変動料金プランのリスクを需要家へ適切に通知していなかった点を問題視している。同社は需要家満足度が高い事業者として評価されてきたが、最近一年は、不正なマーケティングを行ったとして、イリノイ州等で集団訴訟が起きている。 印刷用PDF
2015.05.01
豪州:AGL エナジー、電力会社として世界で初めて家庭用蓄電池を販売
オーストラリア大手電力会社の AGL エナジーは 2015 年 5 月 1 日、小売電力会社として世界で初めて、家庭向け蓄電池を販売すると発表した。容量 3~4.5kW の太陽光パネルを設置した標準的な家庭を想定し、台数限定で販売する。蓄電池は大き目のスーツケース程度としている。同月 22 日付の現地報道によると、初期モデルは、台湾の AU Optronics 社製のリチウムイオン電池(蓄電池容量 7.2kWh、3kW のインバータ付き)で、クイーンズランド州で今年 6 月から販売される模様である。価格は公表されていない。2015 年後半以降、さらに大きいサイズも販売するとのこと。同社は、電気の供給とともに、太陽光パネルと蓄電池、スマートメーターのデータを活用し、需要家自ら電気の使い方を管理できるオーダーメードサービスの提供を指向している。米国テスラ社の家庭用蓄電池「パワーウォール」が豪州で販売されるのは早くとも 2016 年初になると見られ、AGL エナジーはそれに先駆けて蓄電池を販売することになる。 印刷用PDF
2015.05.01
ドイツ:リヒトブリック社、テスラ社と提携して家庭用蓄電池を販売
ドイツの大手グリーン電力供給事業者リヒトブリック社は 2015 年 5 月 1 日、アメリカの蓄電池製造メーカー、テスラ社と提携し、家庭用および小規模業務用需要家向けに同社の家庭用充電式リチウムイオンバッテリー「PowerWall」を販売すると発表した。これにより、太陽光自家発設備で発電した電力を貯蔵できる他、卸売価格が高い時に貯蔵した電力をリヒトブリック社が提供する IT プラットフォームを通じて市場に売ることも可能になる。リヒトブリック社は現在、複数の小規模な自家発電設備をまとめて一つの発電所のように制御する仮想発電所の実証実験を進めており、同発電所を通して市場への売電や系統運用者に対する予備力の供給を代行するシステムの構築を進めている。 印刷用PDF
2015.04.27
ドイツ:E.ON が分社化される新会社の名称を発表
ドイツの大手エネルギー会社 E.ON は 2015 年 4 月 27 日、2016 年に同社からスピンオフされる新会社(火力と原子力)の名称を「Uniper」とすることを公表した。この社名は従業員が考えた約 3,000 個のアイデアの中から選ばれたもので、新会社の優れた能力や専門知識を示す「Unique performance」を意味している。また、同社の監査役会からタイセン社長が新生 E.ON の社長に、シェーファーCFO が Uniper の社長に就任するなど 2 社の新たな経営層メンバーが発表された。2016 年の会社分割後は、E.ON がエッセンに本社を置き、Uniper がデュッセルドルフに本社を置くことになるという。 印刷用PDF
2015.04.24
フランス:GDF スエズが社名を Engie に変更
フランスの大手エネルギー会社 GDF スエズは、2015 年 4 月 24 日、社名を Engie に変更すると発表した。低炭素化や再エネの拡大、省エネ・デジタル化によるエネルギー消費の減少といった「エネルギー移行」が世界的に進展しており、4 月初旬に同社は、それに対応するための地域経営を重視した大規模な組織再編計画を発表していた。同社は今回の社名変更を GDF スエズグループの変革を象徴するものであると述べている。報道によれば、正式な社名変更は 2016 年に開催される株主総会での承認後となるが、テレビやインターネットなどによる広告キャンペーンは既に開始されており、同社 Web サイトや各種資料のロゴなども既に新たな名称が使用されている。 印刷用PDF
2015.04.23
韓国:米国との原子力協定を改定
韓国外交部(MOFA)は 2015 年 4 月 23 日、1973 年に発効した「韓米原子力協定」について、4 年 6 カ月に及ぶ米国政府との交渉を経て改訂作業が終了し、22 日に朴魯壁(ParkRo-Byong)原子力協定交渉責任者と Mark Lippert 駐韓米国大使が改定文書に仮調印したと発表した。改定文書は、(1)燃料の安定供給、(2)使用済燃料の管理、(3)原発輸出などで構成されている。特に、これまで完全に禁止されていた使用済み燃料の再処理について、乾式再処理(Pyro-Processing)の部分実施(電解還元の実験など)が盛り込まれた。このほか、設備や部品を輸出するたびに米国の同意が必要であったが、輸出対象国が米国と原子力協定を結んでいる場合、韓国は米国から包括的同意を 1 回受ければ対象国への複数回の輸出が可能になる「包括的長期同意条項」が盛り込まれている。改定文書の正式な調印は、朴大統領が今年 6 月に訪米した時に行われる予定である。 印刷用PDF
2015.04.21
EU:主要エネルギー会社、EU のエネルギー政策に提言
欧州の主要エネルギー事業者 11 社(Centrica, CEZ, Enel, Eni, E.ON, Fortum, GasNatural Fenosa, GasTerra, GDF Suez, IBERDROLA, RWE)で構成されるマグリッド・ グループは 2014 年 4 月 21 日、今後の EU のエネルギー政策について 3 つの観点から提言を行った。まず、(1)「効率的な気候変動対策」として、2015 年にパリで開催される国連気候変動会議(COP21)での包括的な国際合意、欧州排出量取引(EU-ETS)における市場安定リザーブ制度(MSR)の早期(2017 年導入)導入および再エネに対する市場原理の導入を提案した。次に、(2)「エネルギーの安定供給」として、ガスについては、資源開発、輸送ルートの多様化、貯蔵施設・LNG タンクの整備等による流動的な域内市場の整備、電力については、容量市場制度および系統運用者間の協力体制等に関する国境を越えた枠組み構築等を提案、流動的な域内エネルギー市場が構築できれば、長期的なエネルギー投資を促す価格シグナルが形成される点を指摘した。最後に、(3)「公平なエネルギー料金」として、コストを反映した透明性あるエネルギー価格を提案、近年のエネルギー料金の高騰が、追加的な税、賦課金によるもので、税、賦課金が料金の 50%以上を占める場合があることに触れ、域内市場の統合を進めることが消費者の負担を抑制すると指摘した。 印刷用PDF
2015.04.20
米国:原油輸出を解禁する法案を提出する予定
2015 年 4 月 20 日現地報道によれば、米上院エネルギー・天然資源委員会委員長リサ・マコウスキー(共和党-アラスカ州)上院議員は、ヒューストンで行われた石油業界幹部の世界最大の年次集会である CERAWeek 会議で、40 年間禁止されていた米国の原油輸出を認める法案を今年議会に上程することを明らかにした。現在原油は、カナダへは輸出されているが、上院議員は、メキシコとイタリア、オランダ、ポーランドなどの NATO 同盟国、日本、韓国、インドなどのアジアの貿易相手国への輸出を許可する提案をしている。民主党と環境保護者は、禁油をそのままにしておきたいとの立場にある。彼らは石油輸出を解禁することは大幅に国内エネルギー価格を上昇させるか、石油需要の増大を誘発する可能性があることを恐れている。 印刷用PDF
2015.04.17
豪州:AGL エナジー、2050 年までに脱石炭火力
大手電力会社の AGL エナジーの Andy Vesey CEO は 2015 年 4 月 17 日、今後、再生可能エネルギー発電への投資に注力し、石炭火力発電所の建設を行わないとする方針を明らかにした。また、2050 年以降は、既設石炭火力発電所の運転延長もしないとしている。しかし、温室効果ガス削減の観点から、二酸化炭素回収・貯留(CCS)設備がある発電所はこの方針からは除外するとしている。Vesey CEO は、2015 年 2 月に AGL エナジーの CEOに就任、国内の電力需要が低迷する中、市場シェアと売上高を確保するために、経営改革に着手していた。同氏は米国出身で豪州での電力・エネルギー業界での経験はなく、CEO就任以前は、米国の大手電力会社 AES グループの前 COO 兼副社長を務めていた。 印刷用PDF
2015.04.16
中国:3 月の消費電力量、前年比 2.2%減
国家能源局は 2015 年 4 月 16 日、今年 3 月分の電力需給を発表した。3 月の月間消費電力量は前年 2.2%減の 4,448 億 kWh であった。今年 1~3 月の消費電力量は同 0.8%増の 1兆 2,901 億 kWh で、第一次産業用は同 1.9%減の 171 億 kWh、第二次産業用は同 0.6%減の 9,079 億 kWh、第三次産業用は同 7.0%増の 1,749kWh、家庭用は同 2.6%増の 1,901億 kWh となった。1~3 月の発電設備の平均利用時間は 954 時間で、前年より 84 時間減少した。このうち、水力は 609 時間で前年より 58 時間増、火力は 1,106 時間で前年より122 時間減となった。1~3 月に新規運開した発電設備容量は 1,807 万 kW で、水力 159万 kW、火力 994 万 kW であった。 印刷用PDF
2015.04.14
トルコ:トルコで初の原子力発電所の起工式
トルコ政府とロシア国営企業ロスアトムは 2015 年 4 月 14 日、トルコ初となる原子力発電所の起工式を執り行った。トルコは、経済促進と化石燃料の輸入依存度を低下するため、ロシア企業が設計したアックユ原子力発電所を地中海沿岸部メルシン県に建設することを計画している。サイトは国内にある建設候補地 3 サイトのうちの一つである。120 万 kW のAES-2006(VVER、ロシア型 PWR)4 基のうち最初の 1 基の建設工事が、年内~来年中にかけて着工される予定になっている。ロシアによる資金協力のもと、BOO 方式に基づき発電所の建設・運転が行われる。運開予定時期は 2020 年。 印刷用PDF
2015.04.12
イラン:クウェートへの天然ガスの輸出を計画
2015 年 4 月 12 日付の報道によれば、イランは、イラクを介してクウェートに天然ガスを輸出することを計画している。イランの国営ガス公社(National Iranian Gas Company)の高官が取材に対し明らかにしたもの。クウェートの Ali Saleh al-Omair 石油相も 2014年 6 月、イランからの天然ガス購入契約に署名する予定であると語っている。 印刷用PDF
2015.04.09
トルコ:大統領、シノップ原発の建設に関する日本との協定を承認
エルドアン大統領は 2015 年 4 月 9 日、黒海沿岸に建設が計画されているシノップ原子力発電所に関する日本政府との原子力協力協定(2013 年調印)を承認した。本プロジェクトは三菱重工、伊藤忠商事、仏 GDF スエズ社およびトルコ国有発電会社(EUAS)の 4 社が請け負うことが内定している。発電所電気出力は 480 万 kW、原子炉は三菱重工とアレバが開発した「ATMEA1」(4 基)が採用される。今後、トルコ政府による環境影響評価等を経て、2017 年に初号機の建設を開始する予定となっている。同発電所はトルコ国内で2 番目となる原子力発電所である。最初の発電所は地中海沿岸に建設が計画されているアックユ原子力発電所で、ロシアの支援によりロシア型原子炉(VVER)4基が採用されている。 印刷用PDF
2015.04.09
英国:ロンドン近郊において大規模油田の存在が判明
英国で石油・天然ガス掘削事業を手掛ける UK Oil and Gas Investments(UKOG)社は2015 年 4 月 9 日、ロンドン近郊のガトウィック空港近くに位置するホースヒルにおいて、推定埋蔵量 1,000 億バレルの大規模油田を発見したと発表した。これは、英国の北海油田において過去 40 年間に採掘された量(450 億バレル)の 2 倍以上に相当する。現時点で採掘可能とされるのは全量の 5~15%程度であるが、これは、2030 年までの英国の石油需要の 10~30%に相当する。UKOG 社 CEO のサンダーソン氏は、「英国の過去 30 年間において、おそらく最大の発見であり、国家的に重要な意味を持つ」と述べる。なお、同社は、油田を覆う岩盤に自然な状態で断口(鉱物の割れ目)が存在するとして、掘削には、環境への影響が懸念されるフラッキング(水圧破砕)を用いない姿勢である。 印刷用PDF
2015.04.07
ドイツ:E.ON が北米で新たな再エネビジネスを開始
2015 年 4 月 7 日付報道によると、ドイツの大手エネルギー会社 E.ON は、北米で再エネプロジェクトの資産管理、メンテナンスサービスを行う新たな事業を実施する。E.ON は米国で約 300 万 kW(1,800 基以上)の風力設備を運用する大手再エネ事業者であり、子会社 E.ON Energy Services を新設し、豊富な経験を活かしたオーナー目線のワンストップサービスを提供する。同社によると、米国の風力・太陽光市場は今後も大きく成長する分野であるが、再エネ設備のマネジメントサービスを提供する事業者は少ない。そのため、再エネプロジェクトの開発事業者や投資家に対し、(1)運転性能を改善するためのメンテナンス技術を用いた設備の保全、(2)費用対効果を考慮した設備の更新、(3)設計段階からベンダー企業や製造事業者と提携した革新的な技術の提供、(4)現場の運転リスクを低減するための改善策の提供および安全性の改善、といったサービスを提供し、効率的で最適なプロジェクト開発の支援を行うとしている。 印刷用PDF
2015.04.07
米国:ワシントン D.C にて開閉所のトラブルによる大規模停電が発生
2015 年 4 月 7 日の昼頃、ワシントン全域に影響を与えた大規模な停電が発生した。現在では、その大部分は復旧したとのことである。なお、ホワイトハウスでも数秒の停電が発生したが、非常用電源により即座に復旧している。現地の電気事業者や報道によれば、停電の原因は、メリーランド州の開閉所における機器の故障であり、テロの発生等は確認されていない模様である。 印刷用PDF
2015.04.06
米国:ダイナジー社がデューク・エナジー社、ECP 社との M&A を完了
2015 年 4 月 6 日付の報道によると、ダイナジー社は中西部(Midwest)地域におけるデューク・エナジー社の発電設備(合計 610 万 kW)とエナジー・キャピタル・パートナー(ECP)社の発電設備(合計 630 万 kW)の買収を完了した。この結果、ダイナジー社全体の発電設備容量は 2,600 万 kW となる。またダイナジー社は、デューク・エナジー社の小売事業も買収しており、ダイナジー社はイリノイ州、オハイオ州、ペンシルベニア州において家庭用需要家 83 万軒、商業・工業用需要家 2 万 3,000 軒の小売事業を手掛けることとなる。 印刷用PDF
2015.04.02
中国:再生可能エネルギー発電所の系統連系、年間 2,700 万 kW 分に
2015 年 4 月 2 日付の報道によると、国家電網公司は「新エネルギー発展白書」を発表した。この中で、2020 年までの再生可能エネルギーによる発電設備の年間導入量を、風力発電 1,700 万 kW、太陽光発電 1,000 万 kW とする中央政府の目標を達成するために、毎年2,700 万 kW 分の再生可能エネルギーによる発電所を系統に併入するとしている。国家電網公司は 2011~2014 年、総額 795 億元を投資して、再生可能エネルギーによる発電所を系統に併入するための送電用線路を延べ 4 万 km 建設した。 印刷用PDF
2015.04.02
EU:欧州委員会が各国の容量補償制度の競争への影響を評価へ
欧州委員会(EC)は 2015 年 4 月 2 日、EU 域内各国で採用されている発電設備の容量補償制度が、EU 域内電力市場における競争に与えている影響について調査を実施すると発表した。調査は EU 競争局が実施し、結果は 2016 年末までに予定されている EU における新たな電力市場の設立のための諸法令の提案に反映される予定。 印刷用PDF

ページトップへ