2024 年度
海外電力調査会が収集した世界各地の電気事業情報を、エリア別、項目別にフィルタリングできます。各年度毎の表示となります。
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2024年度
- 2024.09.10
- フランス:財政赤字削減対策で発電事業者に20億~30億ユーロの課税を検討
- 2024年9月10日の経済紙は、財政赤字の拡大を防ぐために、国内の26万kW以上の発電設備を対象に課税する案が浮上していると伝えた。再エネ発電の多くは対象外になる見込みである一方、フランス電力EDFが狙い撃ちになる可能性がある。財政の立て直しを急ぐ政府は2027年までに財政赤字をGDPの3%以下にするとして、支出の削減とともに、歳入の拡大に取り組んでいる。退任するル・メール経済財政大臣は、需要家保護のために抑えられていた小売電力従量税の復活は既に実施されたが、新たな課税案を織り込んだ2024年の補正予算案の可決を急ぐ必要があると述べている。詳細は明らかにしていないが、安定した歳入として、26万kW以上の発電設備への課税案が検討されている。EDFは、既に新税の代わりに、免除されてきた国が保有する株式の配当金の支払いの再開を提案している。EDFとしては、卸電力価格が低迷を続ける中の増税を何としても食い止めたい狙いがある。
- 2024.09.07
- 中国:猛烈な台風11号により海南島で風力設備が多数倒壊
- 現地紙は2024年9月7日、海南省文昌市に6日午後上陸した台風11号(YAGI:ヤギ)により、沿海部の陸上風力設備が倒壊を含む多数の被害を被ったと報じた。台風の上陸時の風速は約65m、風力等級は17級以上であり、発電大手華能集団傘下の建設中の風力発電所(16.25MW×16基)では6基が倒壊したほか、数基でブレード折損などの被害が生じた。同社は推定損失額が10億元(約200億円)以上、詳しくは保険会社と共同で現地調査する予定としている。また地元政府の発表によれば、この台風でこれまでに少なくとも3人が死亡、95人が負傷し、倒木や浸水によって各地で道路が寸断され、住宅などの被災に加え、80万戸以上が停電するなどの被害が出ているといる。
- 2024.09.05
- カンボジア:日本政府、プノンペンの送配電網整備に約80億円を融資
- 2024年9月5日付の報道によると、日本政府は、プノンペン市送配電システム拡張計画事業(フェーズ2)の実施のために、5,500万ドルの融資を行う。カンボジア外務国際協力省のプレスリリースによると、この融資はカンボジア政府の社会経済発展促進の取り組みを支援するという日本の確固たる決意を強調するものであり、両国間の包括的戦略パートナーシップの更なる強化に貢献すると述べている。
- 2024.09.05
- アラブ首長国連邦:バラカ4号機、営業運転開始
- アラブ首長国連邦(UAE)の原子力公社(ENEC)は2024年9月5日、UAEで4基目の原子力プラントとして、バラカ原子力発電所4号機(APR-1400、140万kW)が営業運転を開始したと発表した。同号機の営業運転入りにより、同発電所は総出力560万kWとなり、年間400億kWhを発電しUAEの電力需要の25%を賄うことになる。同発電所が抑制する年間2,240万tの炭素排出量は、国の2030年の脱炭素化コミットメント(NDC)の24%の達成に貢献する。また、同発電所の建設はUAEにおける新たな先進産業の創出を刺激し、原子力科学の研究を促進し、現在までに2,000人以上の高度なスキルを持つ国民がその開発に参加しているという。さらに、建設段階だけでも、同発電所の4基の原子炉納入により、67億ドルの現地調達がもたらされたとしている。
- 2024.09.05
- 米国:DOE、水力発電施設の近代化に4億3,000万ドルを投資
- 米国エネルギー省(DOE)は2024年9月5日、米国の水力発電施設の近代化に最大4億3,000万ドルを投資すると発表した。水力発電は米国の再生可能エネルギー発電電力量の約27%を占める一方、老朽化が進み多くの施設が修繕を必要としている。今回発表された「水力発電インセンティブプログラムの維持と強化」では33州、293件(平均稼働年数79年)の老朽化した施設の設備更新を後押しし、水力発電が安定して電力を供給し続けられるように近代化を図る。DOEは2025年に同プログラムの2回目の資金提供を予定している。
- 2024.09.04
- 中国:10万kW/100万kWhの圧縮炭素エネルギー貯蔵発電所が着工
- 現地メディアは2024年9月4日、新疆昌吉県で空気に替え二酸化炭素(CO2)を使用する気体圧縮式のエネルギー貯蔵発電所の着工式が行われたと報じた。CO2は空気と比較して圧縮が容易で発熱も少ないため設備量を減らすことができる一方、湿分除去や腐食などの課題もある。同プロジェクトは、諸課題の対策を取り、風力発電(発電設備容量60万kW)、太陽光発電(同40万kW)と組み合わせたシステム構成で、容量は100万kWhに達し、世界最大のCO2エネルギー貯蔵発電所である。同プロジェクトは、新疆地域の電力網のピーク負荷を軽減し、風力や太陽光発電の余剰電力の解消、電力系統の安定性と信頼性向上に寄与すると期待されている。
- 2024.09.03
- EU:次回の水素補助事業募集で欧州製機材の使用を条件とする規定を適用
- エネルギー情報誌は2024年9月3日、EUが実施する次回の水素補助事業の入札で欧州製機材の使用を条件とする新たな規定を採用する可能性があると報じた。欧州委員会の気候変動問題を担当するWopke Hoekstra委員が明らかにしたもの。水素製造事業の支援はEUおよび加盟国が実施しているが、欧州の主要事業者は2024年7月に、安価な中国製水電解装置の採用は公正な競争を阻害すると訴えて何らかの対策を要望する書簡を欧州委員会に提出した。2024年4月にEUが発表した欧州水素銀行による初めて水素補助事業を落札した事業者の中には中国製機器の採用を示唆する発言があり、欧州事業者の危機感が高まった。具体的な規定の条件は検討中であるという。EUによる水素補助事業の2回目となる入札は早ければ2024年9月に事業募集が開始される。
- 2024.09.03
- 米国:EIA、北米のLNG輸出能力が2028年までに倍増する見込みを発表
- 米国エネルギー情報局(EIA)は2024年9月3日、北米のLNG輸出能力が、2023年の11.4Bcf/d(10億立方フィート/日)から2028年までに24.4Bcf/dと倍増する見込みであることを明らかにした。メキシコ、カナダ、米国で10件の新規プロジェクトが進行中であり、これらが計画通りに稼働すれば、メキシコで0.8Bcf/d、カナダで2.5Bcf/d、米国で9.7Bcf/dの輸出能力が増加する。メキシコではFast LNG AltamiraやEnergía Costa Azul LNG、カナダではLNG Canada、Woodfibre LNG、Cedar LNG、また、米国ではPlaquemines LNGやGolden Passなど5つのプロジェクトが進行している。
- 2024.08.29
- 中国:7月末までに全国の発電設備容量が31億kWを超える
- 現地メディアは2024年8月29日、国家能源局が2024年1~7月までの全国の電力統計を発表したと報じた。それによると、1月から7月までの新設発電設備容量は1億8,484万kWで、7月末現在、国内の発電設備容量は前年同期比14%増の31億kWとなった。そのうち、太陽光発電の発電設備容量は約7.4億kW(同49.8%増)、風力発電の発電設備容量は約4.7億kW(同19.8%増)である。1月から7月まで、全国の主要発電企業の発電設備への投資額は4,158億元(約8兆5,000億円)、流通設備への投資額は2,947億元(約6兆700億円)で、それぞれ前年同期比2.6%と19.2%増加した。
- 2024.08.29
- 英国:シェトランド諸島と本土を結ぶ送電線が完成
- 英国のエネルギー大手SSEは2024年8月29日、スコットランド本土から約170km北に位置するシェトランド諸島においてViking陸上風力発電所(Vestas製タービン103基、総発電容量443MW)が完成し、さらに同諸島と本土を初めて接続する海底送電線(高圧直流、亘長約260km)も完成したと発表した。SSEはこれらのプロジェクトに10億ポンド(約1,931億円)を投じており、これはSSEが掲げる2027年までに英国のクリーンエネルギーインフラの整備に205億ポンド(約4兆円)を投じるという目標の一環となっている。
- 2024.08.29
- 台湾:2026年から炭素税の徴収を開始
- 環境行政を所管する環境部は2024年8月29日、カーボンプライシングに関する3つの規定を発表した。環境部によると3つの規定では「炭費(炭素税)」について、年間排出量2.5万tを超える電力や製造業など約500社を対象に2025年から試験的に炭素税を算定し、自主的な削減計画策定を求める。正式な炭素税の徴収は2026年から開始される。現地紙によると、EUのCBAMが2026年から始まるため、産業界は輸出企業が炭素税の二重負担にならないよう政府にEUとの協議を求めている。
- 2024.08.29
- 米国:バイデン政権、オレゴン州沖で初の洋上風力リース権販売を発表
- バイデン政権は2024年8月29日、オレゴン州沖で初の洋上風力のリース権販売を実施すると発表した。2024年10月15日にオークションにかけられる2つの海域は、それぞれ6万1,203エーカー(約248km2)と13万3,792エーカー(約541km2)。これらの海域は3.1GW以上のクリーンエネルギーを生み出す可能性があり、約100万世帯の電力需要に相当する量となる。最終販売通知(FSN)は2024年9月3日の連邦官報に掲載される予定で、浮体式風力発電のための国内サプライチェーンの開発促進、送電計画の柔軟性向上および高賃金雇用の創出を目的としたリース条項が含まれる。
- 2024.08.28
- 中国:天津エコシティを国家グリーン発展モデル区に指定
- 国家発展改革委員会(NDRC)は2024年8月28日、シンガポールと共同開発している「天津エコシティ」(中国名:中新天津生態城)を新たに国家グリーン発展モデル地区に指定し、2035年までの実施計画を発表した。「天津エコシティ」は、天津浜海新区内の天津経済技術開発区北側に面する約30km2の開発エリアに、「環境共生」と「省資源・資源循環効率化」をコンセプトとして2013年から建設した中国初のエコシティである。今回の実施計画は革新的開発、資源、エネルギーと生態環境、都市建設、グリーンライフなどの20の主要指標を提唱し、グリーン、低炭素化開発を経済プロセス全体に統合するとされている。
- 2024.08.28
- 米国:2023年のクリーンエネルギー関連の雇用者数は前年比4.2%増加
- 米国エネルギー省(DOE)は2024年8月28日、エネルギー業界の雇用に関する報告書「U.S. Energy and Employment Report」(USEER)の2024年版を発表した。これによると、2023年のクリーンエネルギー関連の雇用者数は前年比4.2%(14万2,000人)増加し、国内雇用全体の増加率2.0%を2倍以上上回った。なお、エネルギー業界全体では約25万人増加し、そのうちクリーンエネルギー関連の雇用が56%を占めた。また、DOEによると、クリーンエネルギー業界における労働組合の組織率は過去最高の12.4%に達し、エネルギー業界全体の11%および民間部門平均の7%を上回った。
- 2024.08.26
- ドイツ:太陽光大手Meyer Burger、セル生産拠点の米国移転を中止
- スイスの太陽光大手Meyer Burgerは2024年8月26日、米国コロラド州コロラドスプリングスへのセル工場建設計画について、資金調達を確保できなかったことを理由に中止することを発表した。同社はドイツのザクセン・アンハルト州ビッターフェルト・ヴォルフェン市タールハイムの既存セル工場を、セル生産拠点として引き続き稼働するという。計画中止の発表後、同社の株価は50%以上急落し、同月29日には史上最安値(1.605スイス・フラン、約270円)を更新した。なお、アリゾナ州グッドイヤーのモジュール工場(140万kW)には引き続き注力する方針だが、210万kWへの拡張計画は中止するという。
- 2024.08.25
- スイス:政府、国民発議を受け、原子力発電所の新設禁止の撤廃を目指す
- スイス政府は2024年8月28日、2018年1月から施行された原子力発電所の新規建設禁止の撤廃を目指すと発表した。予想される電力需要を満たすと同時に、気候変動目標を達成するために、あらゆるクリーンなエネルギー源が必要になるという。2024年3月、国民発議(popular initiative)「Electricity For Everyone At All Times(停電を止めよう)」が成立した。政府はこの対応を求められており、新規建設の解禁は必要とするものの、同国憲法が既に幅広いエネルギー供給を定めているため、憲法改正は不要で、立法レベルでの対応で十分であるとしている。エネルギー通信省は、2024年末までに原子力法の改正案を政府に提出し、2025年3月末までの協議の後、議会において同発議とその(間接的)対案を審議するという。スイス原子力フォーラム会長は、「新規建設の解禁により、スイスの安定供給と気候保護における余裕が増える。ただし、原子力の許認可制度の簡素化も必要」と述べた。
- 2024.08.23
- スウェーデン:政府がBECCS事業支援のための入札を開始
- エネルギー情報誌は2024年8月23日、デンマーク政府がBECCS事業を支援するための入札を開始したと報じた。バイオマス燃料の加工あるいは燃焼時に発生するCO2を吸収・固定する事業(BECCS)を募集して、貯蔵するCO2量に応じて15年間にわたり補助金を支給する。補助総額は360億クローネ(約5,100億円)である。CO2排出量をマイナスにできるBECCS事業は注目を集めており、特に製紙・パルプ業、電気事業、エタノール、セメント製造で有望と見られている。森林が豊富なスウェーデンはBECCSに向いていると見られ、同国の事業者はMicrosoft社にBECCS事業の炭素クレジットを10年間に渡って333万t売却する契約を交わしている。事業の選定はCO2当たりの補助金を申し込むもので安価な事業から選択される。事業募集は2024年11月21日に締め切られる。
- 2024.08.22
- 米国:TVA、クリンチリバーサイトでのSMR開発に向けて1.5億ドルを追加
- テネシー渓谷開発公社(TVA)の理事会は2024年8月22日、テネシー州オークリッジのクリンチリバーサイトにおける小型モジュール炉(SMR)の設計および開発を支援するプロジェクトに1億5,000万ドルの資金を追加することを承認した。同社は2022年2月に同プロジェクトに対して2億ドルを拠出しており、今回の追加によって総額は3億5,000万ドルに達する。同プロジェクトはTVAが先進原子力技術を探求するための体系的なロードマップを提供するとしており、これには様々な原子炉設計および将来のエネルギー需要から当該の施設が必要とされる可能性のある地域の両方を含むとしている。また、その最初に取り組む課題の一つは、同サイトに軽水炉型SMRを配備するための建設許可申請書の作成だとしている。TVAは、GE日立社と「BWRX-300」(30万kW)の設計を支援するための話し合いを行っている。
- 2024.08.21
- ブラジル:40年振りに国内でのウラン鉱床の探査を再開すると発表
- ブラジル原子力産業公社(INB)は2024年8月21日、同国内で40年振りとなるウラン鉱床の探査を再開すると発表した。INBはウランの探査や採掘に関わるパートナーシップ・プログラムを立ち上げ、鉱業分野で関係する企業と協力して進めていくとしており、ウラン資源のポテンシャルがあるとされる同国で新たな調査が開始されることになるとした。INBのアダウト・セイシャス総裁は「現状では稼働するアングラ1号、2号原子力発電所で消費する燃料分を国内生産で賄えておらず、建設中のアングラ3号の完成による需要の増加を考えると、今回の調査ラウンドはいいタイミングである」と説明した。さらに、近年はウラン価格が上昇していることから、輸出という形で、この分野での成長の機会がもたらされ、国内の関連産業に付加価値を与える可能性も期待されるとした。
- 2024.08.21
- ベトナム:国営電力、1kWh当たり200VND(約1.16円)以上の損失
- 2024年8月21日付の報道によると、グエン・ホン・ジエン商工相は国家常務委員会の質疑で、国営ベトナム電力(EVN)は電気料金の販売価格が減価より安く、1kWh当たり208~216VND(約1.21~1.25円)の損失があり、同社は2022年と2023年に合計約47兆5,000億VND(約2,755億円)の赤字となったことを明らかにした。同商工相は、電力法の改正案を2024年10月に国会に提出すると述べており、その中で電気料金も電力の生産、送配電、運営に係るすべてのコストを考慮するように見直しが進められている。
- 2024.08.20
- 米国:ERCOT、猛暑による過去最高のピーク需要を記録
- テキサス電力信頼度協議会(ERCOT)管内では2024年8月20日、記録的な猛暑により過去最高のピーク需要を記録した。テキサス州の大部分では華氏100度(約38℃)以上の猛暑となりピーク需要は8万5,559MWを記録したが、需要家に対して節電要請を行うことなく電力供給を維持した。近年の異常気象により電力需要が高まるなか、ERCOTは2023年には11回の節電要請をしていた。今回、節電要請せずに対応できた要因としてERCOTのパブロ・ベガスCEOは「太陽光発電や風力発電、蓄電池の系統接続が昨年から大幅に増加し、これらがピーク需要に貢献した」と述べている。
- 2024.08.19
- 中国:国務院常務会議、5サイト11基の新規原子炉建設計画を承認
- 国務院常務会議(日本の閣議に相当)は2024年8月19日、新規を含む5サイトにおける11基の原子炉建設計画を承認した。中国核工業集団有限公司(CNNC)が進める、江蘇省の徐圩供熱(新)原子力発電所では、2基の華龍1号と1基の高温ガス炉により世界初の電力・工業用熱併給を行う予定。完成時には、年間3,250万tの工業用蒸気と115億kWh以上の電力を供給するという。中国広核集団有限公司(CGN)は、山東省の招遠(新)1、2号機として2基の華龍1号、広東省の陸豊1、2号機として2基のCAP1000、および浙江省の三澳3、4号機として2基の華龍1号を建設する。さらに、中国国家電力投資集団有限公司(SPIC)は、広西チワン族自治区の白龍(新)1、2号機として、2基のCAP1000を建設する。同サイトでは、今後4基のCAP1400の増設が予定されるという。2019~2023年に、新規承認された原子炉数はそれぞれ年間6、4、5、10、10基であった。
- 2024.08.19
- EU:2022年に太陽光の発電電力量が石炭火力を初めて上回る
- 欧州統計局(Eurostat)が2024年8月19日に発表した報告によると、2022年のEUの太陽光発電電力量が2,102億kWhに達し、石炭火力の発電電力量(2,056億kWh)を初めて上回った。ポーランドとチェコは、EUで唯一残っている石炭の生産国であり、ポーランドだけが石炭を主要な発電源として使用している。また、褐炭は、EUの9カ国で発電に使用され、発電電力量が2,415億kWhとなった。
- 2024.08.19
- ブルガリア:2033年までに新設される発電容量の90%を再エネが占める見込み
- エネルギー業界紙は2024年8月17日、ブルガリアの送電系統運用者ESOが発表した10カ年系統開発計画で、2033年までに新設が計画されている発電設備容量1,900万kWのうち90%(1,750万kW)を再エネ(太陽光、風力、水力含む)が占めると予測されていることを報じた。同ESOは事業者の計画に基づいて今回の予測を算出しており、さらに新設される再エネ容量のうち85%(1,150万kW)は太陽光発電由来になると見込まれている。一方で原子力の新設容量については今回の予測に含まれていない。また他国との電力融通についても、CO2排出削減コストによる財政負担によって石炭火力発電所が順次閉鎖されることで、今後数年間は他国から電力を輸入しなければならなくなるとの見方も示している。
- 2024.08.15
- スウェーデン:Ørstedがeメタノール事業の中止を決定
- エネルギー情報誌は2024年8月15日、デンマークのエネルギー大手Ørstedがスウェーデン北部で建設中のeメタノール事業FlagshipONEの中止を決定したと報じた。同事業は2022年に他社から事業権益を得て最終投資判断を実施したもので2023年5月に建設開始、7万kWの水電解装置により年間5万5,000tのeメタノールを製造することを目指していた。同社は事業の投資判断を実施した際にも不確実性や事業リスクは認識していたが、市場の拡大が想定以上に遅いため、製造したeメタノールを引き渡す長期契約が締結できず事業を断念したと話している。eメタノールを燃料とする船舶の建造は増えているが、船舶を運用する船会社は通常燃料とのコスト差を懸念して長期契約には及び腰で、将来の市場拡大が見通せないことが課題となっている。
- 2024.08.15
- 米国:Natron Energy、ナトリウムイオン電池の生産工場を建設
- 米国のベンチャー企業であるNatron Energy社は2024年8月15日、ノースカロライナ州にナトリウムイオン電池の大規模製造工場を建設すると発表した。同社は、ノースカロライナ州の雇用開発投資助成金(JDIG)の支援を受けて、約120万平方フィート(約11万m2)の広大な施設に約14億ドルを投資する。これにより、同社のナトリウムイオン電池の生産能力は40倍に拡大し、データセンターやEV急速充電など幅広い産業向けに提供できる。同社のナトリウムイオン電池はリチウムイオン電池に比べ高速充放電が可能で、サイクル寿命が長い特徴がある。原材料にレアメタルを使わず、環境に優しい製品となっている。
- 2024.08.14
- 米国:BOEM、中央大西洋洋上風力リース販売で9,265万ドルの収益
- 米国内務省海洋エネルギー管理局(BOEM)は2024年8月14日、バイデン・ハリス政権下で5回目となる洋上風力リース・オークションの結果を発表した。今回のオークションはデラウェア州、メリーランド州、バージニア州沖の2つのエリアを対象とし、総額9,265万ドルの落札価格を記録した。BOEMによると、ノルウェーの石油大手であるエクイノール社が、デラウェア湾から26海里(約48km)離れた10万1,443エーカー(約411km2)の海域を約7,500万ドルで落札し、バージニア州の大手電力会社ドミニオン社の子会社が、チェサピーク湾の入り口から35海里(約65km)離れた17万6,505エーカー(約714km2)の海域を1,765万ドルで落札した。今後、BOEMは環境影響評価報告書(EIS)を作成のうえ、落札した2社から提出されるプロジェクト計画の実施判断を行う予定。
- 2024.08.12
- 中国:国内初の可変速揚水発電設備が運開
- 2024年8月12日付報道によると、中国初の大型交流励磁可変速揚水発電設備を据え付けた河北豊寧揚水発電所12号機が、15日間の試運転に成功し、8月11日に運開した。豊寧揚水発電所は河北省承徳市豊寧県に位置し、世界最大の揚水発電所である。同発電所の設備容量は360万kW(30万kW×12基)で、そのうち10基が固定速発電設備、2基が中国で初めて採用された可変速発電設備である。従来の固定速ユニットと比べ、可変速ユニットは回転速度を一定範囲内で変化させることができ、ポンプ出力を調整することで、系統からの指令に柔軟かつ迅速に対応できる。
- 2024.08.11
- 中国:政府、経済社会発展のグリーン化転換の加速する方針を発表
- 中国共産党中央指導部と中国政府は連名で2024年8月11日、経済・社会発展の全面的なグリーン化転換を加速する意見書を発表した。同意見書は中国の資源、環境、生態に関する課題を解決するための基本政策であり、具体的には2030年までに重点分野でグリーン化転換を進展させ、汚染物質と炭素排出の削減を強化し、主要資源の利用効率を向上させ、経済・社会の発展における全面的なグリーン化転換において顕著な成果を得るとしている。さらに、2035年までに、グリーン・低炭素・循環による経済発展システムを確立し、主要資源の利用効率を世界トップレベルとする目標を掲げている。地域別の特性や、産業別の状況を踏まえた連携や、協調発展を促進することを推奨し、支援を行うこととなっている。
- 2024.08.06
- 英国:シェルが英国初の固定価格長期リース契約を締結
- シンガポールに本拠を置く海運会社BWグループの太陽光・蓄電池部門子会社BW ESSと提携先の英蓄電池企業Penso Powerは2024年8月6日、石油大手シェルとの間で、蓄電池に関するリース契約を締結した。契約期間は7年で、単一のバッテリー式エネルギー貯蔵システム(BESS)に係る長期リース契約としては英国初となる。対象は、BW ESSおよびPenso Powerが英ハンプシャー州にて建設中で、2024年第4四半期に系統接続予定のブラムリー蓄電所(出力100MW、蓄電容量330MWh)である。当契約により、シェルは同蓄電所を通じて、アンシラリーサービスや卸売市場での取引を行う一方、BW ESSおよびPenso Powerに対し固定価格での支払を行う。Penso Powerは、「本契約はブラムリー蓄電所の長期的な収入を確保するだけでなく、蓄電池が果たす役割を、短期的な周波数調整から負荷時間帯移行へと変えるものである」とコメントしている。
- 2024.08.02
- 中国:高品質な配電ネットワークの整備強化計画を発表
- 国家能源局は2024年8月2日、2024~2027年を計画期間とする配電ネットワークの整備強化計画を発表した。それによると、分散型エネルギーの導入ニーズ、EVの充電需要などの諸課題に対応するため、AIを活用し、安定性と災害への対応能力が高く、安全で信頼性の高い配電ネットワークの整備計画となっている。国家能源局は今後の整備計画、運営方針について、地方政府および関連送配電事業者に2027年までの実施計画の制定を要求し、実施状況を毎年に評価するとしている。また、この整備計画は、今後制定される次期5カ年計画(2026~2030年)に取り込む予定としている。
- 2024.08.03
- ドイツ:連邦政府、将来の電力市場設計に関する政策オプションを公表
- 連邦経済・気候保護省(BMWK)は2024年8月2日、将来の電力市場設計に関する提言書「将来の電力市場のためのオプション」を公表した。連邦政府は2023年に作業部会「気候中立な電力システムに関するプラットフォーム(PKNS)」を立ち上げ、調整力となる制御可能電源と再エネへの投資を同時に実現するための市場設計に関する議論を進めてきた。本提言書はPKNSの議論の内容を取りまとめたもので、これをもとにBMWKは2024年9月6日までにパブリックコメントを実施する。連邦政府は提言書で、風力・太陽光の大量導入に対応するための政策オプションとして、(1)電力貯蔵設備と制御可能な調整電源のための容量市場の導入、(2)柔軟な電力消費を促進するための時間帯別・地域別託送料金の設定、(3)再エネ電源の建設投資に対する支援策、(4)電力網の拡張とデジタル化、を提案している。容量市場に関しては、連邦政府は集中型容量市場と分散型容量市場を組み合わせた混合型容量市場の導入を支持するとしている。
- 2024.08.02
- 英国:Iberdrola、英国配電事業者ENWの88%取得
- スペインの大手電気事業者Iberdrolaは2024年8月2日、イングランド北西部の配電事業者Electricity North West(ENW)に25億ユーロを出資し、ENWの88%の所有権を獲得したと発表した。これによりENWの企業価値は負債を含め50億ユーロになるとしている。ENWの残りの12%は関西電力をはじめとするコンソーシアム(North West Electricity Networks plc.)が引き続き所有する。Iberdrolaは、信用格付けが高い国の電力ネットワーク事業に投資するという戦略に基づき今回の出資を行ったとしている。なお、同社は2007年に英国の大手電気事業者Scottish Power(SP)を買収しており、SPの2つの地域配電事業を既に所有している。ENWの管轄地域は、スコットランド南部のSP Distributionとウェールズ北部のSP Manwebに挟まれた場所に位置している。
- 2024.08.01
- 中国:海抜5,000mの高地で蓄電設備併設型の風力発電所の建設が始まる
- 現地紙は2024年8月1日、国有発電大手の国家能源集団がチベット自治区ナクチュ市セニ区で蓄電設備を併設した風力発電所プロジェクトを着工したと報じた。それによると、同プロジェクトは平均海抜5,000mの高地に、100.8MW(単機容量5.6MW×18基)規模の風力発電設備を建設する。また、20MW/80MWhの蓄電設備を併設するほか、220kVの変電所も建設する。投資額は6.66億元(約130億円)であり、2025年末までの運開を予定している。同プロジェクトには、地域のエネルギーミックスの改善や冬季の電力供給の確保が期待されている。
- 2024.08.01
- 米国:ドミニオン社、データセンター需要への対応策に原子力併設を検討
- バージニア州の大手電力会社ドミニオン・エナジー社は2024年8月1日に開催した2024年第2四半期決算報告発表にて、2024年度通期でみると経済成長、電化、データセンターの拡大加速を背景に売上成長率が4.5~5.5%になるとの予想を明らかにした。同社は2024年に入り既に9カ所のデータセンターを新規接続しており、バージニア州北部を中心とするデータセンターの設備容量は3.4GWを超える。同社は信頼性の高い電力供給に向けて送配電網投資など必要な措置を講じることを説明した。また、ロバート・ブルー会長兼CEOは、コネチカット州のミルストーン原子力発電所(2,121MW)にデータセンターを併設する案件については前向きに検討すると述べ、コスト配分と料金体系の調査を行い、他の需要家に転嫁されないよう公正かつ妥当であることを保証するとコメントした。
- 2024.07.30
- 中国:国務院、中長期的な炭素排出管理の方針を発表
- 中国政府は2024年7月30日、カーボンニュートラル目標達成のための新たな炭素排出管理システムの構築に向けた行動計画を発表した。これは、同年7月に開催された中国共産党の三中全会で示されたエネルギー消費の総量とGDP原単位を指標とする現行の「双控(ダブル・コントロール)」から炭素排出総量とGDP原単位を指標とする「双控」への移行を基本方針とする政府の行動計画となる。その内容は、2025年までに炭素排出管理の基盤を整備し、第15次五カ年計画期間(2026~2030年)中は炭素排出のGDP原単位による管理を主、総量規制を補助としてカーボンピークアウトを達成する。その後は、総量規制を主、GDP原単位による管理を補助としてカーボンニュートラル目標に向け、炭素排出量を減少させることとなる。具体的な項目として、制度や法律の整備、省・市レベルでの制度構築、企業の省エネ・炭素削減制度の改善などが挙げられている。
- 2024.07.30
- フランス:2024年上期のマイナス価格時間帯が過去最高を記録
- フランスの送電事業者RTEが2024年7月30日に発表した上期報告書によると、同国では233時間ものマイナス価格(ネガティブプライス)時間帯が発生し、前年同期の53時間に比べ大幅に増加した。同報告書では、他の電源が経済的・技術的な理由から追加的な発電抑制ができない状況で、大量の再エネが発電抑制されない点が原因の一つと指摘しているが、同時に、固定価格買取から市場価格連動へと再エネ支援制度が移行したことにより、マイナス価格を緩和する動きも見られると指摘している。なお、上期233時間はドイツを初めて上回り、スペインが最も顕著で620時間(ゼロ価格)となっている。
- 2024.07.30
- 米国:PJM、2025~2026年受渡向け容量市場価格が前回の約9倍に急騰
- 米国東部の独立系統運用者であるPJMは2024年7月30日、容量市場の2025~2026年受渡向けオークション結果を公表した。RTO価格(送電系統の制約を受けないベースの約定価格)は269.92ドル/MW/日となり、前回(2024~2025年受渡向け:28.92ドル/MW/日)の約9倍となった。調達容量は13万5,684MWとなり、2022年12月に行われた前回と比べて8%減(1万1,795MW減)となった。調達コストは147億ドルとなり、前回(22億ドル)の約7倍となった。供給予備率は18.5%となり目標(17.8%)を上回ったが、前回(20.4%)から1.9%低下した。PJMは、価格急騰の主な理由について発電設備の廃止傾向が続く中で、オークションへの入札(供給リソース)が減少したことを挙げ、新規発電所の建設ペースが遅いことに対する懸念を改めて表明した。次回のオークション(2026~2027年受渡向け)は2024年12月に予定されている。
- 2024.07.28
- 中国:寧徳5号機と石島湾拡建1号機、新たに2基の華龍1号型原子炉を着工
- 中国広核集団有限公司(CGN)は2024年7月28日、福建省福鼎市の寧徳原子力発電所5号機(華龍1号、121万5,000kW)を着工したと発表した。同発電所では、1~4号機(CPR1000、108万9,000kW×4基)が2013年4月から2016年7月にかけて商業運転を開始し、第2フェーズの同5、6号機の増設プロジェクトについて国務院が2023年7月に批准していた。また、中国華能集団は2024年7月28日、山東省栄成市の石島湾拡建原子力発電所1号機(華龍1号、122万5,000kW)を着工したと発表した。石島湾サイトでは、それぞれ異なる事業主体により、2023年12月6日に高温ガス炉実証炉(HTR-PM、約21万kW)が既に商業運転を開始し、CAP1400型(AP1000の中国自主化・スケールアップ版)2基が建設中となっている。中国華能集団は、石島湾サイトに“拡建プロジェクト”として華龍1号型炉4基を2期に分けて建設する計画で、第1期の2基の建設は2029年に完了し、稼働する計画だという。
- 2024.07.27
- 台湾:第3原子力発電所1号機が永久運転停止
- 現地紙は2024年7月27日、台湾電力公司の第3(馬鞍山)原子力発電所1号機(PWR、95万1,000kW)が運転を停止したと報じた。報道によると、1984年7月に運転を開始した第3原子力発電所1号機は40年間の運転ライセンスの期限切れにともない、2024年6月から出力を徐々に下げ、7月27日に運転を停止した。台湾電力によると、今後環境部による環境アセスメントと核能安全委員会の廃炉許可を経て廃炉のプロセスに入る。これにより台湾で稼働している原子炉は、第3原子力発電所2号機(PWR、95万1,000kW)のみとなるが、同機は2025年5月に運転ライセンスの期限を迎える予定である。
- 2024.07.25
- ノルウェー・ドイツ:EnBW、グリーンアンモニア10万tの販売開始
- ドイツの大手電力EnBWは2024年7月25日、市場調査の一環として、Skipavika Green Ammonia(SkiGA)プロジェクトで製造するグリーンアンモニア10万tの販売を開始し、入札事業者を募集していることを発表した。SkiGAプロジェクトは、ノルウェーの水素事業者FUELLAが実施するもので、欧州水素銀行による第1回水素製造補助入札で落札に至っている。出力13万kWの電解槽を用いて2027年から供給する予定で、ノルウェーのSkipavika港から西欧のターミナルやドイツの工業地帯などに輸送可能だという。EnBWは2023年にFUELLAとパートナーシップを締結した。また、同プロジェクトに10%株式出資し、長期購入契約の独占権を確保している。
- 2024.07.25
- 英国:政府、公営企業Great British Energy設立に向け法案提出
- エネルギー安全保障・ネットゼロ省(DESNZ)のエド・ミリバンド大臣は2024年7月25日、電気料金の低減を目的に国主体で再エネ導入を推進する公営企業Great British Energy(GBE)の設立に向けた法案「Great British Energy Bill」を英議会に提出した。同日付のDESNZプレスリリースによると、GBEは(1)プロジェクト開発の牽引、(2)プロジェクトへの民間との共同投資、(3)コミュニティレベルの小規模再エネ導入計画(Local Power Plan)の推進、(4)国内サプライチェーンの構築、(5)保守党政権で設立された原子力推進機関Great British Nuclearとの関係性の検討を行っていく。GBE主体で政策・規制の改革を進め、再エネの迅速な拡充を進めていく。GBEには今議会中(2024年7月から5年間)に83億ポンド(約1.6兆円)の予算を充てる。また、GBEと王室不動産・国有地管理機関クラウンエステート(CE)の提携方針も示され、これにより再エネプロジェクトは、海域のリースラウンド後にGBEからの支援出資を受けながら、速やかかつ低リスクにプロジェクトを進めることが可能になる。CEとの提携により、2030年までに20~30GW相当の洋上風力プロジェクトが海域リースの契約を得られる(ただしこの見通しは2023年11月時点でCEが示している)。なおCEに関しても、海域活用の最大化に向けた法案「Crown Estate Bill」が提出されている。
- 2024.07.24
- 韓国:韓国電力の社長、電気料金引き上げの必要性を強調
- 現地メディアは2024年7月24日、韓国電力の金東喆社長が「電力網適時拡充のための革新大討論会」でスピーチを行い、電気料金の引き上げの必要性を訴えたと報じた。同氏は、AI産業の拡大と電力化の加速に伴い、電力網への投資が「第10次電力需給基本計画」で算出された56兆5000億ウォン(約6兆2,800億円)を上回ると予想されると指摘し、電力料金の引き上げが必要であると主張した。しかし、産業界からは、累積赤字が200兆ウォン(約22兆円)に達する韓国電力の電力網への持続的な投資に対する懸念の声が上がっている。
- 2024.07.24
- 中国:中国電力企業連合会、2024年上半期の電力需給状況を発表
- 中国電力企業連合会(CEC)は2024年7月24日、今年上半期の電力需給の概要と通年の電力需給予測を発表した。それによると、(1)上半期の消費電力量は、前年同期比8.1%増の4兆6,600億kWh、伸び率は前年化から3.1%増加、(2)2024年6月30日現在の発電設備容量は、前年同期比14.1%増の30億7000万kWで、このうち、非化石エネルギーによる発電設備容量が全体の55.7%を占めた、(3)上半期には、省間相互融通の強化や需要側管理などの措置により、電力需給状況を緩和し、全体的なバランスを維持することに成功した。同報告書は続いて、2024年通年の消費電力量は前年比約6.5%の増加、最大電力負荷は前年比約1億kW増加と予測している。風力発電と太陽光発電の2024年の年間導入量は合計約3億kWに達する見込みで、2024年末時点での総設備容量に占めるシェアは、合計で初めて40%を超えると予測している。
- 2024.07.24
- ドイツ:連邦政府、水素および水素派生物の輸入戦略を閣議決定
- 連邦政府は2024年7月24日、水素および水素派生物(アンモニア、メタノール、ナフサ、その他の合成燃料など)の輸入戦略を閣議決定した。同戦略は、輸入先となるパートナー国ならびにドイツ産業界に対して投資安定性を確保し、中長期的に水素および水素派生物の輸入を促進するための安定した枠組みを構築することを目的としている。連邦政府は、2030年時点で水素および水素派生物の国内需要が950億~1,300億kWhに拡大することを想定しており、そのうちの50~70%を輸入で賄う計画である。さらに、2045年には水素需要が3,600億~5,000億kWhに、水素派生物の需要が2,000億kWhに増加すると予想している。連邦政府は輸入戦略により、パイプラインや船舶などのインフラ整備や供給源の多様化を目指す。同戦略に対して、ドイツ連邦産業連盟(BDI)や連邦エネルギー・水道事業連合会(BDEW)からは、水素の持続可能性に関する国際的な統一基準に関する提案が含まれていないことを批判する声が上がっている。BDEWはまた、「輸入戦略では水素を競争力ある価格で輸入するための具体的な措置が明らかにされていない」、「連邦政府は『短期間で大量の水素および水素派生物を、可能な限り競争力のある価格で輸入する』という目的に集中すべきである」との声明を発表している。また、輸入戦略は再生エネ由来の水素を重視する一方、化石燃料由来のブルー水素利用も認めていることに対して環境保護団体から懸念の声が上がっている。
- 2024.07.24
- 米国:MD州大手電力BGEと住宅用太陽光大手SunrunがV2Hの実証実験を開始
- メリーランド州大手電力・ガス会社のBGE社と住宅用太陽光・蓄電池大手のSunrun社は2024年7月24日、FordのEVピックアップトラック「F-150 Lightning」を利用したV2H(vehicle-to-home)の実証プログラムを開始したことを発表した。本プログラムでは、夏季の電力需要ピーク時(平日17:00~21:00)にEVから住宅への電力供給が行われ、電力系統の負荷軽減や需要家にもたらす付加価値などの実証を行う。プログラム参加者は、F-150 LightningおよびFord社のIntelligent Backup Power(Sunrun社との共同で開発した停電時のバックアップシステム)を所有するBGE供給エリア内の需要家3軒が対象となっている。参加者は、EVから供給された電力量に応じて支払いを受けることができ、プログラム実施期間の4カ月(6月1日~9月30日)で合計800ドル程度になると見積もられている。
- 2024.07.23
- 米国:SMUD、鉄フロー電池の実証プロジェクトを発表
- サクラメント電力公社(SMUD)は2024年7月23日、エネルギー貯蔵技術開発事業者のESS Techと提携して鉄フロー電池を使った長期バッテリー貯蔵技術の実証プロジェクトを発表した。このプロジェクトではカリフォルニア州エネルギー委員会(CEC)から1,000万ドルの助成金を受け、鉄フロー電池技術の能力と信頼性を実証する。鉄フロー電池の容量は3.6MW、8時間のエネルギー貯蔵が可能。再生可能エネルギー発電が増える中で、需給調整能力を高めることが期待されている。CEC委員長のデビッド・ホックシールド氏は「鉄フロー貯蔵技術はピーク需要と夜間の余剰再生可能エネルギーを活用するのに重要」と長期貯蔵技術の必要性を強調している。
- 2024.07.21
- 中国:中国共産党、3中全会で決定したエネルギー改革の方針を公表
- 中国共産党は2024年7月21日、7月15~18日の会期で開催した第20期中央委員会第3回全体会議(3中全会)で採択した「中国式現代化」の推進に関する決定を公表した。同決定ではエネルギー管理体系の改革深化や全国統一の電力市場の構築、石油・ガスパイプラインの運営調整メカニズムの最適化が明記されている。また、グリーン低炭素循環型経済体系の構築推進のため、財政や税制、金融、投資、価格政策を実施するほか、グリーン低炭素産業の発展や、グリーン消費のインセンティブを改善するとしている。具体的な政策として、グリーン調達政策の最適化やグリーン税制の改善、廃棄物の循環利用、石炭のクリーンで効率的な利用、新型エネルギー体系の建設加速、炭素排出に関する制度構築が挙げられている。
- 2024.07.17
- 中国:CNNC傘下の中核遼寧核電公司、遼寧省の徐大堡2号機(CAP1000)を着工
- 中国核工業集団有限公司(CNNC)傘下の中核遼寧核電有限公司は2024年7月17日、ウェスチングハウス(WH)社製AP1000の中国版となるCAP1000型炉(PWR、125万kW)を採用する徐大堡原子力発電所2号機の建設を開始した。同発電所は遼寧省に位置し、同型炉を採用する1号機は2023年11月に建設が開始され、ロシアのVVER-1200型炉(PWR、120万kW)を採用する3、4号機は、2021年7月、2022年5月にそれぞれ着工している。現在の計画では、同1、2号機が2028、2029年に、同3、4号機が2027、2028年にそれぞれ運開する予定。さらに2基のCAP1000型炉が同発電所5、6号機として建設されることとなっている。
- 2024.07.17
- 米国:ペンシルベニア州が炭素回収および貯留に関する法案を可決
- ペンシルベニア州は2024年7月17日、炭素回収および貯留プロジェクトの規制枠組みを設定する法案(Carbon Capture and Sequestration Act、SB831)を承認した。同法案は地下貯留スペースの所有権および責任を明確にし、州の環境保護局が許可基準を設定するもの。炭素貯留プロジェクトの事業者から料金を徴収し、許可と規制にかかる費用を賄う炭素貯留施設基金(Carbon Dioxide Storage Facility Fund)を設立することも定められている。EPAは、州の炭素貯留規制が少なくともEPAのものと同程度に厳しいことを証明した後、CO2を地中に注入する許可を与える地下圧入管理(UIC:Underground Injection Control)クラスVI坑井プログラムのプライマシー(優先的規制執行権限)を付与する。EPAは既に、ルイジアナ州、ノースダコタ州、ワイオミング州にプライマシーを付与しており、同州もEPAがプライマシーを付与することを期待している。
- 2024.07.16
- バルト三国:ロシア・ベラルーシに2025年2月の系統切り離しを通知
- エストニア、リトアニア、ラトビアの送電系統運用者(TSO)3社は2024年7月16日、ロシアおよびベラルーシに対し、両国との系統接続を定めた通称「BRELL契約」を延長しない旨の通知を共同で発送した。同契約は2025年2月7日をもって終了し、翌8日に系統の切り離しと試験を行ったのち、翌々日の9日に欧州大陸系統に接続予定である。同時に三国のTSOは、欧州大陸系統への接続に際し新設する送電線や変電所が、再エネ導入拡大にも寄与するとコメントしている。ロシアのウクライナ侵攻を受けたエネルギー安全保障の観点から、ロシア・ベラルーシ系統からの切り離しが急がれており、昨夏にバルト三国間で合意した通りの期日で進捗している。大陸系統への接続に関しては、EUから総工費の75%に当たる12億ユーロの援助を受けている。
- 2024.07.15
- 中国:2023年比でCO2排出量を50%削減する火力発電改造プランを発表
- 国家発展改革委員会、国家能源局は2024年7月15日、一部の石炭火力を対象として2027年までにCO2排出量を2023年比で約50%とするための改造プランを通達した。主な改造方法として、バイオマス、再エネ由来の水素による混焼比率を10%以上とする他、CCS(CCUSを含む)を挙げた。支援策は、特別国債、REITs(不動産投資信託)、グリーン債券など金融支援の他、発電電力の優先接続、技術開発などとなっている。
- 2024.07.15
- フランス:CRE、Arenh制度を悪用した小売事業者へ6億ユーロの罰金
- エネルギー規制委員会(CRE)は2024年7月15日、「原子力発電電力への規制アクセス制度(Arenh)」を悪用したとして、電力小売事業者Ohm Energieに対して6億ユーロの罰金を科したことを公表した。CREによると、Arenh制度の悪用に対して制裁が下された初の事例であり、CREの紛争処理・制裁委員会(CoRDiS)による制裁としては過去最大規模であると伝えられている。Ohm Energieはエネルギー危機下の2021年から2022年にかけて、Arenhを通じて安価に購入した原子力発電電力を顧客に還元せず、卸価格高騰時に市場に転売したとされており、2022年9月からCREによる調査が開始されていた。一方Ohm Energieは今回の決定に対して事実無根であると主張しており、国務院に制裁の取り消しを求める意向であると報じられている。
- 2024.07.15
- 米国:NEI、既設炉にデータセンターを併設する利点を強調した論文を公表
- 米国原子力エネルギー協会(NEI)は2024年7月15日、競争の激しい電力市場において、既設原子力発電所にデータセンターを併設する利点を強調した論文「The Co-Located Load Solution」を公表した。系統運用機関PJMのコルモス元最高執行責任者(COO)が執筆した同論文によると、最大100万kWの電力を消費する大規模データセンターを既存の原子力発電所に併設すると、新たな送電インフラや系統連系調査の必要がなくなり、プロジェクトのコストと遅延リスクを大幅に削減でき、原子力発電所は安定した顧客を得ることで早期閉鎖を回避できるという。さらに、グリッドに接続されたデータセンターの成長は、新しい負荷に対応するための50億ドル以上の送電投資を促したとし、既設炉に併設すれば、送電容量の増設圧力を軽減し、既存の発電をメーター外にシフトさせることで、新たな送電容量の確保と再生可能エネルギーに対する抑制率の削減につながるとしている。
- 2024.07.14
- 中国:世界最大の浮体式洋上風力発電設備が公開
- 現地紙は2024年7月14日、洋上風力発電設備メーカー大手の明陽智慧能源集団が世界最大の浮体式洋上風力発電設備となる「明陽天成号」を初めて公開したと報じた。それによると、明陽天成号は1つの浮体式基礎に「V」字型に2本の斜めのタワーが設置されており、それぞれのタワー先端に8.3MWのタービンが取り付けられ、合計容量16.6MWの浮体式洋上風力発電設備であり、7月3日に組み立てを完了した。同風車は風下に向かうダウンウインド型で、排水量は約1.5万tであり、高さは219m、幅は369mに達する。今後、広東省陽江沖の海域に曳航され設置される予定である。
- 2024.07.11
- ドイツ・アラブ首長国連邦:H2Globalの第1回入札結果が発表される
- 連邦経済・気候保護省(BMWK)は2024年7月11日、EU域外からの再生可能水素輸入を促進する「H2Global」の第1回入札結果を発表した。落札したのは中東・北アフリカ(MENA)地域最大の窒素肥料メーカーFertiglobe(本社:アブダビ)で、2027年に再生可能アンモニア1万9,500tの輸出を開始する。同社は2033年までの契約期間内に合計39万7,000tの再生可能アンモニア輸出を計画しており、契約総額は3億9,700万ユーロに及ぶ。再生可能アンモニアの製造価格は811ユーロ/tで、水素に換算すると4.50ユーロ/kg未満となる。Fertiglobeに再生可能水素を供給するのはEgypt Green Hydrogenで、同社はエジプトで273MWの再エネ発電設備建設を計画している。「H2Global」の第1回入札はEU・欧州自由貿易連合(EFTA)非加盟国で製造された再生可能アンモニアを募集対象とし、5カ国の22社が入札に参加した。連邦政府は、第1回入札のために最大9億ユーロを拠出することを承認している。「H2Global」では、特別目的会社HINT.CO(The Hydrogen Intermediary Network Company)が再生可能水素派生物の製造者と買い手の取引を仲介し、製造価格と購入価格の差額を連邦政府が補填する。製造側の入札では、長期供給価格(製造およびEU域内の港湾までの輸送コストを含む)が最安値の事業者が落札し、需要側では1~2年程度の短期購入価格が最も高い事業者が落札する(ダブルオークション方式)。
- 2024.07.10
- 米国:EIA、洋上風力計画の最新状況として4,800MWの開発が進行中と発表
- 米国エネルギー情報局(EIA)は2024年7月10日、約4,800MWの洋上風力プロジェクトの開発が進行中であると明らかにした。2024年5月時点でのデータによると、建設中で2024年内に運転開始を予定しているのが、ニューヨーク州のSouth Fork Wind(130MW)とマサチューセッツ州のVineyard Wind 1(800MW)。また、2つのプロジェクト(Revolution Wind:704MW、CVOW:1,265MW)は規制当局の承認待ちとなっている。一方で、2023年12月以降、金利上昇、インフレ、サプライチェーンの遅延を理由にニュージャージー州のOcean Wind 1および2プロジェクト(計2,400MW)が中止となり、メリーランド州では規制当局がSkipjack 1およびSkipjack 2(計966MW)プロジェクトの建設許可を取り下げた。また、オハイオ州のIcebreaker Wind(20MW)プロジェクトも中断している。
- 2024.07.09
- 台湾:経済部、洋上風力フェーズ3第2期の選考結果発表
- 台湾経済部は2024年7月9日、洋上風力フェーズ3ブロック開発の第2期の選考結果の順位を発表した。それによると、1位は地元事業者の森崴能源(Shinfox Energy)の「又徳」、2位は米投資会社Stonepeakが出資するSynera Renewable Energy(SRE)の「海広(Formosa 6)」、3位はオーステッドの「大彰化東北」、4位以下にはCIPの「渢妙二号」、Corio Generationの「海鼎一」、EnerVestの「徳師」が続いた。経済部によると上位から優先的に開発権が与えられ、7月末までに容量分配を事業者に通知するとしている。地元紙によると、6事業者はすべて売電価格に0台湾ドル/kWhを提示しており、順位は主に現地生産化のスコアよって決まった。また、オーステッドの「大彰化東北」はSREの「海広」と開発エリアが大きく重なっているため、地元紙はオーステッドがフェーズ3第2期から撤退すると報じている。
- 2024.07.09
- スペイン:スペイン政府がグリーン水素事業の支援対象を発表
- エネルギー情報誌は2024年7月9日、スペイン政府がグリーン水素事業の支援対象を発表したと報じた。太陽光や風力発電の導入が進むスペインは、欧州の中でもグリーン水素製造に適しているとみられ、政府は2030年の水電解装置の容量を現在の400万kWから1,100万kWへと増加させる目標を掲げている。今回明らかになった支援対象は、7件の事業(水電解装置の合計容量65万2,000kW)で、総額7億9,400万ユーロを支給するものである。そのうち、石油ガス事業者Repsolが2件(水電解装置容量はそれぞれ10万kW)で支援総額の40%を、エネルギー大手Iberdrolaが1件(水電解装置容量:22万kW)で支援総額の30%を獲得したとされる。これらのプロジェクトは、電化の困難な産業分野において、消費地近傍での水素生産を通じて化石燃料から水素への代替を促進することを目指しており、事業期間を通して計60億ユーロが投資される予定である。7件のうち比較的規模の大きい5件のプロジェクトは、水素の生産と輸送、消費を統合する産業クラスター、いわゆる水素バレーに組み込まれており、政府は今後数週間以内に、新たな水素バレーに対する補助金を発表する予定である。
- 2024.07.08
- 米国:テキサス州、ハリケーン・ベリル襲来により大規模停電が発生
- ハリケーン・ベリルが2024年7月8日、テキサス州に上陸し、ヒューストン周辺の270万人以上の顧客を停電させた。テキサス州ヒューストンに拠点を置く公営電気事業者のセンターポイント・エナジー社が甚大な被害を受け、最大226万人以上の顧客が停電した。当日の気温は32℃を超えており、住民はエアコンなしで暑さとハリケーンに耐える過酷な環境となった。バイデン政権は7月12日に被災地域に対する政府の支援(財政支援、災害復旧センターの設置など)を承認し、復旧が進められているが、7月15日時点でいまだ30万件以上が停電している。国立海洋大気庁は、2024年に昨年を上回る猛暑を記録する可能性が50%あるとしている。また、マイアミ大学マクノルディ氏は、大西洋のハリケーンを緩和するエルニーニョ現象が弱まっており、2024年に多くの異常気象が起こる可能性を指摘している。そのような中、バイデン政権は連邦緊急事態管理庁(FEMA)が提供する災害救援基金(disaster relief fund)の逼迫を懸念し、90億ドルの拠出を議会に求めている。
- 2024.07.05
- 中国:2035年までに稼働・建設中の原子力発電設備容量が2億kWに達する見込み
- 2024年7月5日付の報道によると、中国電機工程学会(CSEE)原子力発電分科会が山東省済南市で開催した第5回シンポジウムで、中国では2035年までに稼働中および建設中の原子力発電設備容量は2億kWに達し、総発電量の約10%を占める見通しだとの発表があった。同学会は、2024年5月末時点で、合計56基の原子力発電所が稼働し、加えて35基が建設中だとし、さらに年間8~10基のベースで建設許認可が続くこととなれば、2027年以降、毎年のピーク時には50基以上が建設中の状態になるとしている。また、原子力の技術分野では、小型炉開発、原子力からの熱を利用した地域暖房、海水淡水化など総合的な原子力利用へと徐々に変化しており、原子力の発展は新たなステージへ展開しつつあるとしている。
- 2024.07.08
- 中国:グリーン電力証書の発行および取引システムをオンライン化
- 国家能源局は2024年7月8日、国内のグリーン電力証書の発行および取引システム運営のオンライン化を発表した。これまでグリーン電力証書発行の管理業務を担ってきた再生可能エネルギー情報管理センターの基礎データをアップデートし、登録事業者が申告する設備の基礎情報と発電量について、送配電事業者と電力市場の取引のデータと照合し、必要な事前検証、取引中の照合などのプロセスを通じて証明書を発行する。一連のプロセスは自動的に行われ、発行業務の質と効率を向上させたとしている。
- 2024.07.08
- 中国:MW級水素専焼ガスタービンの実証試験に成功
- 大手発電会社国家電力投資集団公司は2024年7月8日、傘下の北京重燃能源科技発展有限公司が主導して開発したMW級水素専焼ガスタービンの実証試験に成功したと発表した。同社は水素ガスタービン特有のバックファイア、不安定燃焼や高NOx排出などの課題を、独自に開発したミクロ混合純水素燃焼技術、運転制御技術、燃料システムにより克服している。今回の総合的な実証試験により、制御および保護システムなどの有効性と信頼性を検証した。実証成功によって同社は低炭素産業チェーンにおける技術競争上の優位性を獲得し、水素エネルギーの開発とグリーンかつ低炭素のエネルギー転換を促進する上で重要な成果を得た。同タービンの開発には上海の研究機関が燃料系統に参画し、湖北の関連会社が試験プラットフォームを提供している。
- 2024.07.08
- ドイツ:RWEが年間30億kWhの再エネ電力を募集
- エネルギー情報誌は2024年7月8日、ドイツの大手電力RWEが2025、2026年に風力、太陽光発電から30億kWhを購入するための入札を実施すると発表したと報じた。対象となるのは政府の固定価格買取制度などの支援を受けていない5,000kW以上の設備または年間発電電力量1,200万kWh以上の設備である。募集は8月16日に締め切られる。RWEは購入した電力を自社が契約する長期電力売買契約(PPA)の補完に活用する方針。自社の電力消費を持続可能な電力で供給することを求める企業が増加して、再エネ電力のPPA契約を求める需要は昨年から倍増しているとRWEは話す。RWEの入札とは逆に、再エネデベロッパーのPNEは2024年6月に年間3億kWhの再エネ電力を販売するための入札を開始しており、入札を通じて再エネ電力を売買するケースが増えている。
- 2024.07.05
- ドイツ:政府、H2-ready発電所入札を2025年初めまでに実施と発表
- 連邦経済・気候保護省は2024年7月5日、2024年末~2025年初めまでに、第1回H2-ready発電所入札を実施すると発表した。同入札は「発電所戦略」の一環で、発電所合計設備容量1,250万kWと貯蔵容量50万kWを募集する。入札は大きく2つに分けられる。1つ目は脱炭素化に向けて、H2-readyガス火力発電所の新設(500万kW)と既設発電所のH2-ready転換(200万kW)が入札対象となる。これらの発電所は運転開始8年目以降、グリーンまたはブルー水素燃焼に切り替えなければならない。投資費用に加えて、運転費用(水素燃焼転換後、年間稼働時間800時間分について、水素燃焼によるコストと天然ガス燃焼によるコストの差額)にも補助金が支払われる。さらに、水素スプリンター(運開時から水素のみで稼働する)発電所50万kWと、長期貯蔵設備50万kWも入札に掛けられる。2つ目は安定供給の確保を目的とする入札で、ガス火力発電所500万kWを募集する。投資費用のみの補助となるが詳細条件は未公表で、水素転換に非対応の発電所も入札対象となるかについては不明だという。
- 2024.07.03
- インドネシア:ジョコ大統領、EV関連産業における重要な地位を築く姿勢を強調
- 2024年7月3日付の報道によると、韓国の総合化学メーカーLG化学(LGグループ)の子会社でEV向けバッテリー大手のLGエナジーソリューションと韓国の完成車メーカー大手の現代自動車などの合弁会社であるヒュンダイLGインドネシア(HIL)グリーンパワーが西ジャワ州カラワン県に設立した国内初の電気自動車(EV)向けバッテリーセル工場が開所した。この工場では年間10GWhのバッテリーを生産する。開所式に出席したジョコ大統領は、国内で製造したバッテリーを搭載した新型車の披露に伴い、以前は国内の豊富な天然資源を無加工の状態で輸出していたが、製錬所とバッテリーセル工場の建設によりインドネシアは世界のサプライチェーンにおける重要な地位を築くだろうと述べた。なお、HILグリーンパワーは、本工場の生産能力を3倍に増強する計画を既に示している。
- 2024.07.03
- ドイツ:欧州最大の太陽光発電所が運開、無効電力供給により系統安定化に寄与
- ドイツの送電系統運用者(TSO)50Hertzは2024年7月3日、欧州最大のWitznitz太陽光発電所(650MWp)が全面的に運転を開始したことを発表した。同発電所は50Hertzの超高圧送電線(380kV)に接続され、電圧調整を行う際に必要な無効電力を同社に供給する契約も締結している。同発電所は将来的に150Mvar規模の無効電力を供給する計画であり、近隣のLippendorf褐炭火力発電所が供給している無効電力(400Mvar×2基)の一部を代替する。なお、同発電所を運転する再エネ開発会社のMOVE ON Energyは、Shell Energy Europeと15年間の長期電力売買契約(PPA)を締結している。
- 2024.07.01
- EU:2024年上半期の再エネによる電力供給が初めて50%を超過
- 欧州電気事業者連盟(Eurelectric)は2024年7月1日、EU域内の2024年上半期の電力需給状況を発表し、初めて再エネ電源による供給が50%を上回ったと報告した。24%を占める原子力と合わせるとCO2排出のない電源で74%を供給したことになり、2023年の68%から大きく伸びた。これは、原子力の比率は変わらないが再エネによる電力供給が増加したことが原因である。Eurelectricは、他のセクターに先駆けて電力事業で脱炭素が進んでいることを称賛するが、一方で電力需要については課題を指摘する。2022年から2023年にかけて3.4%減少した需要は、2024年上半期でも2022年の水準に回復しておらず、これは穏やかな天候に加えて産業設備のEU域外への転出や経済回復速度が遅いことが要因としている。電力需要が減少傾向にあればクリーン電源への投資が進まないと、Eurelectricは懸念を示しており、新たに選出される欧州委員会には電化の促進を指標とする政策の導入を求めている。
- 2024.07.01
- 米国:ニューヨーク州、2030年までに再エネ電力70%の達成は困難との見通し
- ニューヨーク州エネルギー研究開発局(NYSERDA)は2024年7月1日、クリーン電力基準に関する報告書草案(Draft Clean Energy Standard Biennial Review)を発表した。同報告書は、サプライチェーンの問題やインフレなどの要因により、2030年までに電力の70%を再エネで賄うという同州の目標達成はますます困難となっており、期限を遅らせる必要がある可能性を指摘している。NYSERDAによると、2030年の州内電力需要は16万4,910GWhに増加するという予測に対し、現行の再エネ開発のペースでは2030年時点での再エネ発電電力量は7万3,292GWhにとどまり、70%目標から大きく乖離することが予想される。一方で、必要な政策や十分なインフラ投資が実施されれば、2033年に70%目標を達成できる可能性があると示している。
- 2024.07.01
- 米国:連邦地裁、バイデン大統領によるLNG輸出許可の一時停止を解除
- ルイジアナ州の連邦地方裁判所は2024年7月1日、エネルギー省(DOE)による天然ガス輸出許可の一時停止を解除する判決を下した。同年1月、バイデン大統領はLNG天然ガス輸出による地球温暖化などへの影響を精査するため、自由貿易協定(FTA)を結んでいない国への新規LNG輸出の審査を一時停止することを発表した。しかし、共和党を支持する16州の連合は、経済に悪影響を与えると異議を唱えて、訴えを起こしていた。判事はこの判決について、DOEが許認可手続きを見直すために承認を一時停止する権限はなく、必要性を正当化できなかったためと説明している。DOEは判決に同意できないとし、次のステップを検討中であると声明で述べた。
- 2024.06.29
- 英国:OVO Energy、資金の外部調達や資本の一部売却など検討
- 英国の大手報道機関は2024年6月29日、主要小売事業者OVO Energyが資金の外部調達や資本の一部売却などを検討していると報じた。金融関係者の情報によると、同社は資金調達や既存借入金の扱いについて複数の金融機関と接触を図っているとみられる。事業の完全売却が行われる可能性は低いとされるが、今後行われる事業戦略の見直しの中で事業売却が選択肢として挙げられるとみられている。同社は2009年に当時の大手6社(ビッグ6)による寡占市場の打破を目的に設立され、2020年には大手SSEの家庭用小売部門を買収するなど、市場シェア第4位の規模まで急成長した。また、「Kaluza」と呼ばれるプラットフォーム事業も展開し、同社の成長に貢献した。三菱商事がOVO Energyの約20%を所有している。なお2022年には、エネルギーの先物調達を行っていた中でエネルギー価格が下落したことにより13億ポンド(約2,658億円)の調整前損失が生じたとされている。
- 2024.06.28
- 米国:連邦政府の権限を制限する最高裁判決、バイデン政権運営にも影響へ
- 米国最高裁は2024年6月28日、議会によって制定された曖昧な法律を連邦政府などの行政府が合理的に解釈する指針としていたシェブロン原則(Chevron deference)を覆す判決を下した。同原則は1984年の最高裁判決(Chevron対NRDC)にて、専門知識を持つ政府機関(行政府)が法律に基づいて具体的な政策決定を行うことが示されたもので、環境保護庁(EPA)による環境規制などに適用されてきた考え方。本判決により、裁判所が法律の解釈権を取り戻し、行政府の規制能力が大幅に制限されることが懸念されている。報道では、インフレ抑制法(IRA)の条項や、クリーンエネルギー関連のタックスクレジットに関する財務省の指針、FERCによる規制なども影響を受ける可能性がある。
- 2024.06.26
- 豪州:2050年に向けた電力供給のロードマップを公表
- エネルギー市場の運営管理を行うAEMO(Australian Energy Market Operator)は2024年6月26日、電力供給の脱炭素化を進めるためのロードマップ(ISP)を公表した。ISPは東部各州をカバーする全国電力市場(NEM)の需給状況を示して、2050年のネットゼロを達成する最適なロードマップを提示するもので、AEMOは関係者のヒアリングを行いながら2年ごとに更新する。オーストラリアでは寿命を迎えた石炭火力発電の停止が相次いでおり、AEMOは2035年までに90%が、2040にはすべての石炭火力が運転を停止すると想定している。今回公表されたISPは従来から大きく変更されておらず、再エネ電源を増やしながら安定電源としての蓄電池とバックアップ電源としてガス火力を活用することが最もコストが安価であると評価している。再エネ電源の中ではルーフトップ太陽光や家庭用蓄電池の導入が進むと想定し、家庭の電源がエネルギー移行で大きな役割を果たすと考えている。
- 2024.06.26
- インド:カイガ5、6号機のEPC契約をMegha Engineeringが落札
- Megha Engineering & Infrastructure Ltd(MEIL)は2024年6月26日、原子力発電公社(NPCIL)が建設を計画しているカイガ原子力発電所5、6号機(PHWR、70万kW×2)のEPC契約の競争入札で、約1,280億ルピー(約2,480億円)で落札したと発表した。テランガナ州ハイデラバードを拠点とするインフラ・エンジニアリング企業のMEILが最低価格を提示し、国営BHEL、大手エンジニアリング企業のLarsen&Toubroを抑えて落札した。同社が原子力事業に参入するのはこれが初めてとなる。競争入札はNPCILにより、2023年5~10月にかけて実施された。
- 2024.06.24
- 米国:AEP他、発電所併設のデータセンター負荷の接続サービス契約に抗議
- 大手電力会社アメリカン・エレクトリック・パワー社(AEP)とエクセロン社は2024年6月24日、タレン・エナジー社が所有するペンシルベニア州のサスケハナ原子力発電所から、併設するアマゾン社のデータセンターに直接電力を供給する相互接続サービス契約(ISA)に関する抗議文を、連邦エネルギー規制委員会(FERC)に提出した。抗議文によれば、ISAでは発電所併設の負荷について、何の説明もなくPJM料金体系で定義されている「ネットワーク負荷」ではないとしていると批判。AEPとエクセロンは、同負荷がPJMの電力系統と同期し、電力系統から供給を受ける可能性があるように見えるとし、電力系統とアンシラリーサービスを利用することで恩恵を受けるが、対価を支払っていない負荷が増加すると指摘する。また、将来的に、類似した条件で大量の負荷が発電所に併設されることになれば、発電資源がPJM容量市場から離脱することで供給力不足が生じるとした。
- 2024.06.22
- 欧州・バルカン諸国:バルカン半島の4カ国で大規模停電
- 2024年6月22日報道によると、同月21日の午後12時20分頃から、アルバニア、モンテネグロ、ボスニア・ヘルツェゴビナおよびクロアチアの一部において、大規模な停電が発生した。周辺国の送電系統運用者(TSO)との協力により、停電は夕方までにほとんどの地域で復旧した。停電発生当時の気温は40℃に達しており、モンテネグロのエネルギー相は現地メディアに対し、猛暑とそれに伴う電力需要の急増に起因する、送電網への過負荷が原因との見方を示した。今後、欧州における送電系統運用者の協調機関である欧州送電系統運用者ネットワーク(ENTSO-E)が停電の詳細な原因について調査予定である。
- 2024.06.20
- オランダ・ドイツ:TenneT、ドイツ政府への同国送電事業の売却を断念
- オランダとドイツの送電系統運用者TenneTは2024年6月20日、ドイツ政府と交渉していた同社の同国送電事業の売却交渉が不調に終わり、協議を終了したことを発表した。2023年11月の気候・変革基金(KTF)に係る違憲判決に伴い、ドイツ政府が財源を確保できなくなったことが交渉不調の主因とみられる。今後、Tennetは両国の送電事業への莫大な投資のために自前で資金調達を行う必要があるが、同社の発表によれば、ドイツ政府は同国内の送電事業の株式上場や公的資本の活用などについて支援することを約束しているという。
- 2024.06.20
- 米国:ERCOT、テキサス州の電力需要が6年以内に2倍となる予測を発表
- テキサス電力信頼度協議会(ERCOT)は2024年6月20日、テキサス州は今後数年間で電力需要がどの程度増加するかという予測を大幅に引き上げ、6年以内に電力需要が約2倍となる見込みを発表した。予測を引き上げた主な要因として、新たな法律により送電線への接続を希望する企業数が確定する前にカウントされるようになったこと、データセンターや水素製造工場、石油・ガス会社など電化を進める需要家が大幅に増えていることの2つが挙げられている。ERCOTのパブロ・べガス会長兼CEOは「これまでとは異なる需要の伸びを目の当たりにしており、これらのニーズに確実に応え、テキサス州民の期待に応え続けるために計画の再考を迫られている」と述べている。ERCOTの専門家によると、2030年までに電力需要が150GWに達する可能性があるとしている。
- 2024.06.19
- 中国:特定産業の天然ガスの消費に関する規制を公表
- 国家能源局は2024年6月19日、天然ガスの消費(利用)の効率化に向けた規制案(管理方法)を発表した。2060年のCN目標の達成に向け、国際情勢による価格変動リスクの回避など天然ガス供給の安全確保を目的に、家庭・公共での利用を優先し、メタノール生産、肥料、石油化学産業など低付加価値産業での利用が規制される。低付加価値産業には、工業用原料としての水素の生産に天然ガスを利用することも含まれている。規制対象は国産ガス以外に、輸入天然ガスも含み、8月1日から施行となっている。
- 2024.06.18
- 英国・米国:オクトパスエナジー、米国の再エネ発電事業に初進出
- 英国のオクトパスエナジー(Octopus Energy)は2024年6月18日、米国オハイオ州とペンシルベニア州の太陽光発電所(計100MW)を買収し、再エネ発電事業としては初めて米国に進出したと発表した。具体的にはOctopus Energyグループのうち発電事業のOctopus Energy Generation社が同社の再エネ投資ファンド(ORI SCSp)に代わって、米国の再エネ開発事業者Vesper Energy Development社から太陽光発電所を買収した。なお、Octopus Energyはエネルギー小売事業や電気自動車のリース事業を、米国テキサス州で2020年以降展開している。
- 2024.06.18
- 米国:連邦議会上院、先進原子力技術の導入を促進するADVANCE法を可決
- 連邦議会上院は2024年6月18日、先進的な原子力技術の開発と導入を支援する超党派の法案「クリーンエネルギーのための多用途先進原子力の導入促進法(ADVANCE Act)」を88対2で可決した。下院は既に同法案を2024年5月9日に393対13で可決しており、今回の上院での可決を受けバイデン大統領の署名を待つ状態となった。同法案は原子力規制委員会(NRC)に対し、新しい原子力技術の許認可プロセスを迅速化する方法を検討するよう指示し、その技術の導入に成功した最初の先進原子力発電事業者の許認可費用を賄うための連邦資金を確保する。また、他国における先進型炉開発を支援し、同炉の規制を策定する国際社会においてNRCが主導する権限を与え、米国技術の輸出承認プロセスを改善するようエネルギー省に指示している。法案提出者の一人で上院環境・公共事業委員長のカーパー氏は、「ADVANCE法は今後数十年間における次世代の先進型炉の安全かつ着実な展開の基礎となる」と述べている。
- 2024.06.17
- ブラジル:地方裁判所がアングラ3号原子力発電所の工事再開を承認
- ブラジル連邦電力持株会社エレトロブラス傘下の原子力発電公社Eletronuclearは2024年6月17日、工事中のアングラ3号原子力発電所(PWR、1,405MW)について、リオデジャネイロ裁判所が事業の継続を承認したことを発表した。同発電所の建設は1984年に開始されたが、財政上の理由で2年後に中断、2006年からプロジェクトが再開されていた。しかし、連邦政府の工事契約などに関わる汚職疑惑によって2015年から再び工事が中断され、Eletronuclearが2022年に工事の再開を発表したものの、リオデジャネイロ州Angra dos Reis市政府が工事の停止を命じ、地方裁判所で係争となっていた。今回、同市長との協議が妥結し、地方裁判所から事業継続が容認されたことで、建設工事が再開することになった。運開に向けた同発電所の工事再開は、地元Angra dos Reis市の雇用や経済はもとより、ブラジル電力系統における安定供給においても、プラスの効果があると見られている。
- 2024.06.17
- 香港:香港政府、水素エネルギー開発戦略を発表
- 香港特別行政区政府は2024年6月17日、水素エネルギー開発戦略を発表した。規制の緩和、基準の策定、市場との協力、慎重な推進という4つの方針に基づき、安全な技術の適用、インフラ整備、水素エネルギー開発に適した環境を作り出すなど6つの課題の解決を目標に掲げた。政府は2025年の上半期に、水素の生産、貯蔵、輸送、供給、使用を規制する法的根拠となる法改正案を法制審議会に提出する予定。2027年までに燃料としての利用など国際基準に合わせた水素エネルギー基準認証モデルを整備する。政府の会見では水素エネルギーを将来の国家エネルギーシステムの重要な部分として明確に位置づけており、香港が水素エネルギーの開発機会を掴むことは、カーボンニュートラルへの移行、新たな生産性の開発、国際競争力の維持に役立つと期待している。
- 2024.06.13
- ブラジル:EV法案、連邦議会を通過し、大統領に提出
- エネルギー情報サイトは2024年6月13日、EV法案が連邦議会(上・下院)での度重なる審議を経て承認され、大統領に署名のため送られたと報じた。同法案では、技術開発や低炭素排出車両の生産促進に向けて、5年間で約36億ドル相当の財政的なインセンティブや工業製品税(IHI)の減税などの措置が盛り込まれた。これらのインセンティブを受けるには、企業は政府からの承認が必要とされる。プロジェクトには、新製品や車両モデル、研究・イノベーションサービス、自動車工学分野、自動車のリサイクルまたは循環型経済ユニットの設置、産業ユニットや組立・生産ラインの移転なども受け入れるとしている。また、車両や製品の対象として、軽自動車、トラック、バス、エンジン付きシャーシ、自走式機械、自動車部品・システムなどの他、モビリティと物流の戦略的ソリューションなどが含まれる。
- 2024.06.12
- イタリア・ペルー:Enel、ペルー配電資産の売却を完了
- イタリアのエネルギー大手Enelは2024年6月12日、ペルーにおける配電資産の売却が完了したことを発表した。具体的には、Enel PerúがEnel Distribución PerúとEnel X Perúの株式を中国資本のNorth Lima Power Grid Holdingに約29億ユーロで売却した。同売却は2023年4月7日に発表されており、ペルー国内の独占禁止法などの規制要件をクリアしたことを受け、今回完了に至ったもの。また、同売却に伴い、Enelの純負債は約29億ユーロ減少し、2024年の純利益に約5億ユーロのプラス影響がある。同社は2024~2026年経営計画のもと、事業エリアの見直しを進めており、2024年5月にはペルーにおける発電資産の売却完了を発表していた。
- 2024.06.12
- 米国:Google、地熱発電を利用したデータセンターへの電力供給を拡大
- Googleは2024年6月12日、同社データセンター事業への地熱発電による電力供給量を増加させるパートナーシップをバークシャー・ハサウェイ・エナジー社の子会社であるNV Energy社との間で締結したことを発表した。NV Energy社は電力供給量を締結前の3,500kWから6年以内に11万5,000kWに増加させることを目指している。供給源となる地熱発電の開発は、高温岩体地熱発電(EGS)に取り組むスタートアップのFervo Energy社が担当する。本パートナーシップの核はクリーン移行料金(CTT:Clean Transition Tariff)と呼ばれる制度で、電力会社と需要家が長期エネルギー協定を結ぶことにより、クリーン電力を供給する新規プロジェクトへの投資を促進する。契約はネバダ州公益事業委員会の審査・承認を待っている段階だが、Googleは、CTTの仕組みが広く採用されれば、クリーンエネルギーの容量拡大や新技術の展開の加速といったメリットを生むと説明している。
- 2024.06.11
- 中国:中国が南シナ海で浮体式原子炉の新設計画を進めているとの報道
- 米国のニュース週刊誌は2024年6月11日、中国が係争中の南シナ海での足場を固めるため、一連の浮体式原子炉を新設する計画を進めていると報じた。中国は、インドネシア、マレーシア、フィリピン、台湾、ベトナムを含む国々が領有権を主張する海域に、移動式「power banks」と称される、船舶に搭載できるように設計された小型原子炉を建設し、定置施設と他の船舶に電力を供給し、飛行場などの軍事インフラが整備された中国の人工島にエネルギーを供給することを計画しているという。同国は2016年に浮体式原子炉の建設を開始し、南シナ海に20基もの浮体式原子炉を配備する計画を発表したが、2023年5月に同計画は安全に係る懸念から中断されていた。同計画は、南シナ海の領有権を主張する国々の間における緊張を高めているという。
- 2024.06.11
- デンマーク:Siemens Gamesaが21MWタービンを開発か
- エネルギー情報誌は2024年6月11日、タービンメーカーSiemens Gamesaが2万1,000kW級のタービン開発に着手したと報じた。タービンの大型化は洋上風力発電のコスト低減で大きな役割を果たしてきたが、コスト上昇(インフレ)やサプライチェーンの課題などから欧米市場で事業開発が困難になっていることもあり、近年はタービン開発競争の動きは沈静化していた。また、大型化したタービンを施工できる船舶の不足が市場拡大の障害になっているとも考えられている。記事によると、同社はEUのイノベーション基金から補助を受け、デンマークの試験センターで大型タービンの試験を開始するが、このタービンの発電出力を明らかにしていない。大型タービン開発では中国メーカーのDongfangが中国国内で1万8,000kWのテストを開始したと報じられている。
- 2024.06.11
- 欧州:蓄電池の年間導入容量が過去最大の1,720万kWhを記録
- 欧州の太陽光発電事業者団体SolarPower Europeは2024年6月11日、欧州蓄電池市場の概況と展望をまとめた報告書を発表し、2023年の蓄電池(BESS:バッテリー式エネルギー貯蔵システム)の新規導入容量が前年比94%増の1,720万kWhとなったことを発表した。また、2023年末時点で稼働している蓄電池の総容量は3,580万kWhとなった。導入拡大の背景には再エネ電源の大量導入や技術進歩、政策支援に加えて、近年のエネルギー価格高騰による自家消費需要の高まりがあると指摘されており、2023年の新規導入量が1,200万kWhとなった住宅用途の蓄電池が成長の牽引役となっている。SolarPower Europeによると今後住宅用途の導入量はピークアウトするものの、商業・産業・電気事業向けの大規模蓄電池の導入が拡大することで、2024~2028年の年間導入ペースは30~40%増で推移するとの見方が示されている。
- 2024.06.11
- 米国:FERC、Mountain Valley Pipeline運用開始を承認
- 連邦エネルギー規制委員会(FERC)は2024年6月11日、ウェストバージニア州北西部からバージニア州南部にかけての天然ガスパイプラインMountain Valley Pipeline(MVP)の運用開始を承認した。同パイプラインは総延長303マイル(約487km)、1日当たり最大20億立方フィート(2Bcf/d)の天然ガスを輸送可能。当初2018年に開業する予定だったが、一部環境保護団体からの訴訟などにより延期されていた。パイプライン・危険物安全局(PHMSA:Pipeline and Hazardous Materials Safety Administration)は、遅延期間中に設置が完了したパイプラインの安全検査に合意しており、パイプライン稼働後もデータを確認する予定としている。
- 2024.05.31
- サウジアラビア:サウジアラビアの太陽光発電コスト、世界最安値を更新
- 2024年5月31日付報道によると、サウジアラビアの太陽光の均等化発電原価(LCOE)発電コストが10.4ドル/MWhで世界最安値を更新した。レポートを発表したノルウェーのエネルギー調査会社Rystad Energyは、最安値となった要因として、開発コストの低さ、プロジェクトの大規模化、機器価格の低下、人件費の安さ、豊富な日照などを挙げている。なお、隣国のアラブ首長国連邦(UAE)アブダビでは、2020年にAl Dhafra Solar(2GW、2023年11月運開)が13.5ドル/MWhの世界最安値を記録していた。
- 2024.06.09
- EU:欧州議会選挙、右派の伸長とグリーン系会派の後退で明暗
- 複数の報道によると2024年6月6~9日にかけて、5年に1度の欧州議会選挙が実施され、日本時間6月11日現在の暫定的な集計に基づく結果として、まず、二大会派の「欧州人民党(EPP、中道右派)」および「社会民主進歩同盟(S&D、中道左派)」、これに、大きく議席を減らしたものの「欧州刷新(RE、中道リベラル)」を加えると、中道三会派で720議席中の過半を維持する見通しとなった。また、今回選挙では、「アイデンティティと民主主義(ID、極右)」、「欧州保守改革(ECR、右派)」をはじめとする右派の勢力伸長が伝えられている。特に、フランスではIDに属する「国民連合」が31%の得票率で、REに属する政権与党(得票率15%)を大きく引き離し第1党になったことで、マクロン大統領が直ちに国民議会の解散を表明する事態となった。ドイツでは、同じく極右の「ドイツのための選択肢(AfD、選挙直前にIDから離脱、所属会派なし)」が16%の得票率で国内第2党に躍進した。一方、前回2019年の欧州議会選挙で躍進した「緑の党・欧州自由連盟(Green/EFA、環境系)」は大幅な議席減となり、会派の規模としてはこれまでの議会内の第4位から第6位に転落する見通しである。全般的に、有権者にとっての関心が足元の生活防衛や治安、産業競争力の維持などに移行するにつれて、生活負担を伴う印象を与えがちな脱炭素化・気候変動政策の優先度が、相対的に低下したとする見方が強い。また欧州電気事業者連盟においても、右派の伸長により、電化をはじめとする既に合意済みの気候変動目標を後退させる動きが生じることに、警戒する声も上がっている。今後、新メンバーによる欧州議会の第1回本会議セッションは7月16日に開催され、新たな議長の選出などが行われる予定である。
- 2024.06.06
- 中国:世界最大級の18MWクラス洋上風力タービンの設置に成功
- 現地紙は2024年6月6日、風力発電設備メーカー大手の東方電気集団が開発した世界初の18MWの半直接駆動方式の洋上風力発電設備について、広東省汕頭市に位置する風力臨海試験基地での設置に成功したと報じた。それによると、同18MW洋上風力タービンの風車の直径は260mであり、ブレードの掃引面積は5万3,000m2を超え、年間発電電力量は最大で7,200万kWhに達するとしている。
- 2024.06.06
- 米国:NYISO、クリーンエネルギーの導入遅れにより供給不足の可能性
- ニューヨーク独立系統運用者(NYISO)は2024年6月6日、将来の送電網に関する問題と課題についてまとめた年次報告書「Power Trends 2024」を発表した。ニューヨーク州は2040年までに電力部門の脱炭素化を目指す中で、州内で閉鎖が予定される発電設備容量(5,207MW)が再エネなどクリーンエネルギーによる新規の発電設備容量(2,256MW)を上回っている。さらにデータセンターや半導体工場などの大規模な電力負荷プロジェクトが少なくとも10件は進行しており、州全体で電力の供給力に余裕がなくなることが予想されている。信頼性が低下するとピーク需要時の供給力が低下し、突発的な障害で大規模停電に見舞われるリスクが高まる。NYISOは2021年から信頼性の低下を警告しており、2025年夏には446MWの供給不足が見積もられていることから一部のピーカー発電所の稼働継続を発表した。一方で、2026年春に運開が見込まれているケベック州からニューヨークへの送電線「Champlain Hudson Power Express」が完成すれば、ニューヨークの信頼性は改善する見通しとなっている。
- 2024.06.04
- 米国:連邦議会上院、NRCのハンソン委員長の再任を承認
- 連邦議会上院は2024年6月4日、米国原子力規制委員会(NRC)のクリストファー・ハンソン委員長(民主党)の再任を81対17の賛成票で承認した。今回の再任により、同氏の任期は2029年6月30日までの5年間となる。同氏は、2020年に初めてNRC委員に任命され、2021年1月にバイデン大統領によって委員長に指名された。米国原子力学会(ANS)のピアシー会長は、「同氏のリーダーシップが原子力発電所の安全かつ効率的な運用や、新しい原子力技術のライセンス制度の強化に寄与することを期待する」と述べた。また、上院環境・公共事業委員会のカピト委員(WV州)は、既設炉維持のためのNRC審査・承認プロセスの適時・効率性の改善、先進型炉の許認可手続きの効率化、NRCの内部運営の合理化など、同氏が次の任期での取り組みとして約束した点を評価した。今後、NRCは、同氏のリーダーシップのもとでゼロカーボンエネルギーの推進、がん診断治療などの分野で安全な原子力技術利用を進める見通しである。
- 2024.06.03
- ミャンマー・ロシア:ロシア政府、ミャンマーでの原子炉建設の協定案を承認
- 2024年6月3日付の報道によると、ロシア連邦政府はミャンマーにおける低出力原子力発電所の建設に関する協定案を承認した。同協定は今後両国政府間で締結され、建設はロシア国営原子力企業ロスアトムに委託されると考えられている。なお、建設が検討されているのはロシアの加圧水型原子炉(PWR)をベースにした低出力原子力発電所(ASMM:Atomnoi Stantsii Maloi Moshnosti)で発電能力は11万kWとなる見込みだが、ロシアで計画中の「RITM-200N」(5.5万kW×2)の明記はされていない。同案第2条の協力分野は、環境影響評価、ASMMの設計・建設・据付・調整、燃料供給、試運転、使用済燃料の取り扱いなどを規定。近年、ミャンマーとロシアの結びつきは強くなっており、2023年には原子力インフラの評価と強化に関する覚書(MOU)の締結や、原子力発電所の建設や運営を担う人材を育成するための原子力技術情報センターの開所を行っている。
- 2024.06.03
- EU:欧州委員会、水素の需給マッチングのためのプラットフォーム開発へ
- 欧州委員会は2024年6月3日、水素の需給に関する情報を収集し、供給者とオフテイカー(引き取り手)をマッチングさせるためのITプラットフォームを開発すると発表した。これは脱炭素ガス・水素政策パッケージのもとに創設されるもので、2025年半ばの運用開始を目指す。なお、運営は欧州水素銀行のもとで行われる予定。現在、EUには254件の水素プロジェクト(170件が稼働中、84件が建設中)があり、設備容量は合計300万kWとなる。欧州水素銀行の入札で選定された7件も含めるとさらに容量800万kWの設備が稼働する見込みであるが、世界全体では2030年までに供給される水素生産量のうち、オフテイカーが特定されているものは12%に過ぎない。ITプラットフォームを通じて需給の可視性を向上させることで、最終投資決定が加速し、オフテイク契約の確保につながるとしている。
- 2024.06.01
- ASEAN:APG促進でラオス・カンボジア・シンガポール3国が作業部会設立
- 2024年6月1日付報道によると、カンボジア鉱山エネルギー省(MME)、シンガポール貿易産業省(MTI)、ラオス人民民主共和国エネルギー鉱山省(MEM)は、ASEAN電力網構想(APG)を推進するため、国境を越えた電力取引を促進するための作業部会(WG)を設立した。同WGでは、第1段階としてラオス・カンボジア・シンガポール間の電力取引プロジェクトをベースにASEANにおける国境を越えた電力取引プロジェクトの開発促進のための枠組みの構築、第2段階では国境を越えた電力取引における円滑な発電・輸出入、海底調査や海底ケーブルの敷設などの許認可制度の構築、第3段階として発電・送電インフラの事業化に向けた調整を検討する。
- 2024.05.31
- ドイツ・イタリア・オーストリア:水素パイプライン建設協力で合意
- エネルギー情報誌は2024年5月31日、イタリア・ドイツ・オーストリアの3カ国が「SoutH2 Corridor」と呼ぶ水素パイプラインの建設協力に関する共同声明(Joint Declaration of Intent)に合意したと報じた。SoutH2 Corridorは、総延長約3,300kmのパイプラインで、北アフリカからイタリア、オーストリアを経てドイツへと続き、各国の水素ハブに水素を供給することになる。3,300kmのうち70%以上は既存インフラを活用する計画で、2026年までに年間400万tの水素を輸送することが可能となる。この事業はEUから共通利益プロジェクト(PCI)と認定されており、迅速な許認可手続きやEUの資金援助を受けることになる。本事業は北アフリカから水素を供給することを目指し、ドイツはアルジェリアとグリーン水素供給の検討を行っている。3カ国は、CO2の排出削減が困難な産業部門の気候変動対策を進めるには水素利用の必要があるとして事業の必要性を強調した。
- 2024.05.30
- 米国:バーモント州、化石燃料企業に気候変動費用の負担を求める法律を制定
- バーモント州は2024年5月30日、気候変動の影響による損害を化石燃料企業に補償させる法律「Climate Superfund Act」を制定した。本法律は、1995~2024年に温室効果ガスの排出がもたらした損失を評価したうえで、同期間に10億t以上のCO2を排出した化石燃料の生産および精製企業を対象とし、州が費用を回収することを認めるものとなっている。回収した資金は、気候変動を起因とした災害の復興や、気候変動に適応するための州のプログラムに充てられる。なお、共和党のフィル・スコット州知事は、本法案に署名はしないものの、成立を認める形をとった。同氏は、将来的な石油大手との法廷闘争を見据え、短・長期的なコストおよび結果について懸念を示す一方、「気候変動の影響を緩和するための資金を求める意向は理解している」と述べている。
- 2024.05.29
- 中国:国務院、2025年までの省エネ・CO2排出量削減行動計画を発表
- 現地紙は2023年5月29日、国務院がCN達成に向けた2025年までの行動計画である「2024~2025年省エネ炭素削減行動計画」を発表したと報じた。それによると、習近平新時代の社会主義思想を指針とし、エネルギー消費の削減と炭素排出の管理を強化することを目的としており、2024年にGDP当たりのエネルギー消費を2.5%削減、二酸化炭素排出を3.9%削減し、2025年には非化石エネルギーの割合を約20%に引き上げることを目標にしている。具体的な行動計画として、非化石エネルギーやEVの拡大のほか、鉄鋼業、石油化学工業、建材工業など各産業に削減目標を設定している。
- 2024.05.29
- ドイツ:連邦政府、CCS/CCU促進に向けて「CO2貯留法」改正案を閣議決定
- 連邦政府は2024年5月29日、CO2回収・貯留(CCS)/CO2回収・有効利用(CCU)の促進に向けて「CO2貯留法」改正案を閣議決定した。ドイツでは研究・実証目的以外でのCCSは禁止されてきたが、連邦政府は2045年カーボンニュートラル目標の達成に向けて、代替技術が少なく排出削減が困難な(hard-to-abate)セクターにおけるCCS/CCU利用が必須であることを認めた。法改正により、同国の排他的経済水域(EEZ)内(海洋保護区域およびその周辺8km以内を除く)での大規模貯留やCO2輸送のためのパイプライン建設が可能となる。また、連邦政府は他国へのCO2輸送・貯留を可能にするためのロンドン条約を批准する方針。「ガス状の燃料」を使用する発電所やバイオマス発電所におけるCCS/CCUも認められるが、政府支援の対象とならない。石炭火力(熱電併給を含む)に関しては「CO2パイプラインおよび貯留設備へのアクセスを除外する」と明記されており、政府は脱石炭を堅持する方針である。CO2貯留場所に関しては、連邦政府は当初はEEZや大陸棚に限定する意向を示していたが、州政府が許可すれば陸上での貯留を可能とする条項を盛り込んでいる。「CO2貯留法」とあわせて、連邦政府は水素インフラの拡大を加速するための「水素迅速化法案」を閣議決定している。連邦議会および連邦参議院では、今後これらの法案に関する審議が予定されている。
- 2024.05.29
- 米国:デューク社、大手IT企業と電力需要増加に対する新料金制度検討へ
- 電力大手デューク・エナジー社(本社:ノースカロライナ州シャーロット)は2024年5月29日、「国内原子力普及に関するホワイトハウスサミット」にて大手IT企業のAmazon、Google、Microsoft、Nucorと、原子力や長期エネルギー貯蔵を含むクリーンエネルギー技術の投資コストを下げるための新たな料金制度の検討に向け覚書(MOU)を締結したと公表した。デューク社は、大口需要家の将来的な電力需要に対して、革新的な資金調達やプロジェクトリスクに対応する資金拠出を通じて、炭素排出のない発電への投資を直接支援することなどを可能にする「クリーンエネルギー促進(ACE)料金」を提案している。同社のフーバー副社長は、規制当局や顧客と協力し、よりクリーンで、高まるエネルギー需要を満たす革新的で責任ある方法を見つけることに尽力するとコメントしている。
- 2024.05.28
- 中国:砂漠化対策として太陽光発電開発を強化
- 国家能源局は2024年5月28日、内モンゴル自治区、チベット自治区、陝西省、甘粛省、青海省、寧夏回族自治区、新疆ウェイグル自治区の砂漠化対策として、太陽光発電開発の強化を発表した。新疆生産建設兵団(屯田兵に相当)、国家電網有限公司、中国南方電網有限責任公司、内モンゴル電力公司など関連発電事業者宛の通知書によれば、太陽光発電は砂漠化抑制プロジェクトとして、生態系の保護を前提に、太陽光発電開発と従来の砂漠化抑制を組み合わせる。用地に関する関連規制を緩和し、未処理の砂漠化土地の利用を優先するなど政策支援を行う。
- 2024.05.27
- EU:ネットゼロ産業法が成立
- 欧州委員会は2024年5月27日、ネットゼロ産業法がEU理事会で承認されたと発表した。同法では、太陽光発電、蓄電池、電力貯蔵をはじめとした、2030年の気候変動目標達成に必要な技術について、EUで発生する年間需要の40%以上を域内生産で賄うこと、および2030年までに年間5,000万tの二酸化炭素貯留能力を確保することを定めている。加えて、許認可手続きの短縮によるネットゼロ技術への投資環境改善や、3年以内に10万人の技術者を養成する「ネットゼロ産業アカデミー」の設立などが盛り込まれている。発効は6月末ないし7月初頭となる予定である。
- 2024.05.25
- 中国:CGNが2基目の華龍1号型となる防城港4号機の商業運転を開始
- 中国広核集団有限公司(CGN)は2024年5月25日、中国広西自治区の防城港原子力発電所4号機(華龍1号型PWR、118万kW)が商業運転を開始したと発表した。同号機は同日午前8時に168時間の試験運転を完了し、商業運転の条件を正式に満たした。また同号機は、同発電所におけるCGN設計の実証用華龍1号型の原子炉2基のうちの2基目となる。同発電所には、最終的に6基の原子炉が設置される予定であり、第1フェーズ(同1、2号機)は2016年に商業運転を開始しており、炉型にはCPR-1000(PWR、100万kW)が採用された。また同5、6号機は華龍1号の採用が予定されている。同発電所を運営する広西防城港核電有限公司の蔡振会長は、「同4号機の稼働開始により華龍1号の技術的安全性、成熟度、先進性が実証され、華龍1号の大規模展開に反映可能な貴重な経験が蓄積できた」と述べた。
- 2024.05.24
- 韓国:世界初のクリーン水素発電入札市場を開設
- 現地メディアは2024年5月24日、産業通商資源部がクリーン水素発電入札市場を開設し、コスト競争を通じて経済的な価格でクリーン水素を調達すると報じた。2024年の入札量は6,500GWhで、契約期間は15年である。同入札には、国内認証基準に基づき、水素1kg生産時に温室効果ガス排出量が4kgCO2e以下の発電機のみが参加できる。事業準備期間は3年で、2028年に発電を開始する必要がある。また、一般水素発電入札市場も今年開設され、その量は1,300GWh、契約期間は20年である。発電開始は2026年までとなっている。クリーン水素の等級別に評価過程で差を設け、よりクリーンな水素を優遇している。
- 2024.05.23
- 米国:CAISO、洋上風力の系統接続を含む61億ドル規模の送電計画を承認
- カリフォルニア独立系統運用機関(CAISO)の理事会は2024年5月23日、同年4月1日にCAISOが提案した送電計画(2023~2024 Transmission Plan)を承認した。カリフォルニア州は、同州のクリーンエネルギー目標達成に向けて、2035年までに85GW以上の再エネを追加する必要があると予想している。本送電計画は、そのような急速な再エネ導入を推進するための26の送電プロジェクトが示されており、計画の費用は合計約61億ドルと試算されている。そのうち45億8,600億ドルは、州北部海岸のハンボルト郡沖に将来建設予定の洋上風力発電設備を州内の系統に接続するための送電線や発電所の建設によるものとなっている。残りの15億4,200万ドルについては、電力需要の増加や系統の状況の変化に対応するための系統設備の増強などに充てられる予定である。
- 2024.05.23
- 米国:2.6GWの洋上風力プロジェクトの基礎工事が開始
- 業界専門誌は2024年5月23日、2.6GWの発電設備容量を予定する洋上風力プロジェクトであるCVOW(Coastal Virginia Offshore Wind)の基礎工事が開始されたことを報道した。同プロジェクトはSiemens Gamesaの14MWタービンをバージニア州沖に176基設置するものであり、現在開発が予定されているプロジェクトを含めて米国最大となる予定。なお、クジラなど生態系に対する配慮のため冬季は建設を中止する計画であり、完工は2026年を予定している。同プロジェクトは米国の商業規模の洋上風力プロジェクトのうち、唯一規制事業のもとで行われている。バージニア州大手電力会社であるDominion Energyが開発から建設、電気の売電、設備のメンテナンスなど一貫して実施する。
- 2024.05.22
- カンボジア:仏開発庁、カンボジアのエネルギー移行へ新技術による支援強化
- 2024年5月22日付報道によると、フランス開発庁代表団は21日、カンボジアの首都プノンペンでフン・マネ首相を表敬訪問し、カンボジアの社会経済発展のための投資誘致策に加え、エネルギー移行、上水道の整備、貿易手続きなどの優先プロジェクトにおける協力を強化・拡大する方策について協議した。代表団のMarie Hélène Loison仏開発庁副総裁は「強力な官民パートナーシップのもとで、新技術と科学的知見の活用、例えばAIとスマートテクノロジーと行動経済学を統合することで、投資や開発援助の効率を大幅に向上させることが可能である」と述べた。
- 2024.05.22
- 中国:関税率引き上げの影響は限定的との見方
- 地元メディアは2024年5月22日、中国の対米輸出の一部商品に米国政府が追加関税(301条関税)を課すことについて、「米国国内の大統領選挙に向けた支持を得るための措置で、関連製品の対米輸出の金額は小さいため、中国側への影響は限定的」との経済アナリスト達の見方を報じた。追加関税の内容は中国製の電気自動車(EV)に対する輸入関税を現行の25%から100%に引き上げるほか、半導体、太陽光パネルは25%から50%へ、その他の車載用電池、鉄鋼・アルミなどは25%にまで引き上げるというものである。2023年の輸出統計によれば、全輸出額のうち米国向けは、EVで1%未満(3億6,800万ドル)、太陽光パネルは0.1%(330万ドル)、蓄電池(リチウムイオン電池)は20.8%(135億4,900万ドル)などである。また今回の追加関税では、蓄電池類のうち非EV用、製造用原材料には2年間の免除期間が設けられている。
- 2024.05.22
- 英国:政府、ウェールズ北部アングルシー島ウィルファで大型炉の新設を計画
- 英国政府は2024年5月22日、ウェールズ北部のアングルシー島ウィルファを、同国で3番目となる大型炉を建設する第一候補地として選定したと発表した。サマーセット州のヒンクリーポイントCやサフォーク州のサイズウェルBに続く候補地となったウィルファは、冷却水源が近くにあるなど、原子力発電所の建設に理想的な場所だとしている。同政府はまた、同地での発電所建設を検討するため、複数の国際的なエネルギー企業(international energy companies)との協議を開始しているという。アングルシー島には原子力に関する歴史があるため、地域コミュニティは原子力を熟知しており、本プロジェクトは、同地域に雇用と投資をもたらし、地域経済を活性化させることが期待されるとしている。
- 2024.05.21
- 英国・ドイツ:世界最大の国際連系線NeuConnect、独側での主要工事開始
- 当該事業を手掛けるプロジェクト事業会社の発表によると2024年5月21日、独北西部ヴィルヘルムスハーフェンにて、英独間725kmを結ぶ1.4GW連系線NeuConnectの主要工事が開始された。独エネルギー会社シーメンス・エナジーが交直変換設備の建設を、伊ケーブルメーカーのプリズミアンが海底送電ケーブルの敷設を受注し、当初の計画どおり2028年に運転開始予定である。投資額は約28億ユーロで、仏インフラ投資会社メリディアン、独保険大手アリアンツの投資子会社であるアリアンツキャピタルパートナー、関西電力、東京電力パワーグリッドの4社が出資するほか、国際協力銀行(JBIC)をはじめ複数の本邦企業を含む20以上の金融機関から融資を受ける。本邦電力会社にとっては、初の国際連系線プロジェクトとなる。
- 2024.05.17
- ドイツ:気候保護法改正案が可決、部門別の排出削減目標が廃止される
- ドイツ連邦参議院(上院)は2024年5月17日、温室効果ガス(GHG)排出削減目標について定めた「気候保護法」(KSG)改正案を承認した。今般の改正により、エネルギー、産業、運輸などの部門別に定められていた排出削減目標が廃止された。改正前のKSGでは、部門ごとに年間のGHG排出許容量が規定されており、実際の排出量がこれを上回った場合、所管省は追加の削減策を盛り込んだ緊急プログラムを3カ月以内に提出することが義務付けられていた。野党や環境団体は、KSGの緩和により対策が進んでいない運輸部門や建物部門において排出削減が滞り、2030年目標(1990年比65%減)の達成が困難になると批判している。
- 2024.05.16
- 米国:コンステレーション社、TMI1号機の再稼働の可能性を示唆
- 2024年5月16日付の報道によれば、コンステレーション・エナジー社(本社:メリーランド州ボルチモア)は、パリセード原子力発電所の再稼働計画に注目が集まる中、ペンシルベニア州のスリーマイルアイランド原子力発電所(TMI)1号機の再稼働の可能性に言及した。同発言は2024年第1四半期の決算会見においてなされたもので、同社のドミンゲスCEOは「再稼働の可能性は検討しているが、具体的な計画はまだない」と述べ、再稼働の可能性を否定しなかったという。TMI1号機は2019年に閉鎖されたが、連邦政府からの支援を受けたパリセードの再稼働が実現すれば、同様の機会(早期廃止炉の再稼働)につながる可能性があるとしている。ただし、コンステレーション社は既存の原子力発電所の運転延長や出力増強を最優先とし、SMRのような先進型炉を既存炉に隣接して設置する可能性もあり、TMI1号機の再稼働は将来的な検討事項にとどまるという。
- 2024.05.15
- インド:電源構成に占める石炭火力の比率が50%を下回る
- 2024年5月15日付の報道によると、インドで2024年3月末時点の総発電設備容量に占める石炭火力発電(褐炭を含む)の割合が50%を下回った。総発電設備容量は4億4,197万kWで、そのうち石炭火力発電は49.2%(2億1,759万kW)、ガス、ディーゼルを含む化石燃料発電比率は55%であった。米エネルギー経済・財務分析研究(IEEFA)の報告書によると、2024年第1四半期(1~3月)に新設された発電設備(1,366.9万kW)の71.5%が再生可能エネルギーであった。同国で石炭火力比率が50%を下回るのは1960年代以来初めてとなる。
- 2024.05.15
- ドイツ:TSO、集中型容量市場の導入を推奨
- ドイツの送電系統運用者(TSO)4社は2024年5月15日、連邦政府が2028年までに導入を計画している容量メカニズムの制度設計に関して、集中型容量市場を推奨する提言を発表した。TSOはまた、同市場においては地理的な要素を評価し、入札ゾーン内での十分な供給力確保のみならず南北ドイツ間の系統混雑緩和につながるような立地への投資インセンティブを付与すべきと主張している。連邦政府は2024年2月、太陽光・風力の出力が十分でない時に需給ひっ迫を防ぐための電源として、水素対応可能な天然ガス火力(合計1,000万kW)の開発を入札により支援することを表明した。しかし、欧州送電系統運用者ネットワーク(ENTSO-E)や連邦系統規制庁(BNetzA)による安定供給評価では、脱石炭にともない2,000万~2,500万kWの調整電源が必要になる見通しであり、十分な容量を確保するためには容量市場の導入が必須とされる。TSOはドイツの制度設計のモデルとして、既に欧州委員会の承認を受けているベルギーの集中型容量市場を参考にすることを推奨している。
- 2024.05.15
- フランス:世界初の商用浮体式洋上風力プロジェクトの落札者が発表
- フランス経済財務省は2024年5月15日、ベルギーの風力発電事業者Elicioとドイツの再エネ事業者BayWa r.e.のコンソーシアムがブルターニュ地方南部沖の浮体式洋上風力開発プロジェクト(25万kW)の落札者となったことを発表した。落札価格は上限価格より38%低い86.45ユーロ/MWhとなっており、浮体式の商用プロジェクトとしては世界初の落札事例となる。落札者のコンソーシアムは、風力発電部品のリサイクルや多様性保護基金への資金提供、発電所の建設・運転における中小企業の起用率といった環境・地域経済に関わる項目が評価された。ル・メール経済財務大臣は今回の落札価格について、浮体式洋上風力発電が価格競争力を持ったことおよびフランスがその導入において主導的地位にあることを示していると述べたが、業界関係者の間ではプロジェクトの実現性を疑問視する声も上がっている。
- 2024.05.14
- 米国:DOE、水素製造プラントへ最大16.6憶ドルの条件付き債務保証を発表
- 米国エネルギー省(DOE)は2024年5月14日、燃料電池製造や液化水素の供給などの事業者であるPlug Power社に対し、6地点のグリーン水素製造プラントの開発および建設に最大16.6億ドルの条件付き債務保証を行うことを発表した。同社は製造した水素は燃料電池自動車の動力源として、マテリアルハンドリング、輸送、産業部門の自社顧客に販売する計画であり、天然ガス由来のグレー水素と比較すると温室効果ガス(GHG)を84%削減することができるとしている。アンディ・マーシュ最高経営責任者によると「この融資は、同社のグリーン水素プラントネットワークだけでなく、米国のクリーン水素産業の成長と拡大にも役立つだろう」と述べた。
- 2024.05.10
- 中国:世界最大10MW級GFM型風力発電機がラインオフ
- 現地紙は2024年5月10日、上海電気集団公司の江蘇省塩城工場で、世界最大となる10MW級のGFM型(グリッドフォーミング)風力発電機が完成したことを報じた。同型は電力系統から変動を感知する際、瞬時に実際の同期発電機と同様に、系統の電圧と周波数を維持することが可能となっている。また、上海電気集団公司は同製品にハイエンド制御アルゴリズム、多次元デジタルセンサー、AIなどハイエンド技術を実装し、遠距離、運用の可視化などによる管理と効率的な設備運用を図ることができる設計により、従来のグリッド型風力タービンよりも安全で安定した送電能力を大幅に向上したとしている。
- 2024.05.10
- タイ:電源開発計画の改訂版、クリーンエネルギーの利用を拡大へ
- 2024年5月10日付報道によると、エネルギー政策企画局(EPPO)は、現在策定を進めている電源開発計画の改訂版で、原子力や水素燃料といったクリーンエネルギーの利用拡大を重視する意向である。EPPOのVeerapat事務局長は、「原子力発電所は発電コストが低いため、クリーンエネルギーを増やすための解決策になる。2024~2037年に適用される電源開発計画の改訂版の中で、SMRは2036~2037年に開発されるべき」と述べている。また同事務局長によると、水素燃料で発電した電力が2035~2037年の間に総発電電力量の20%にまで増加する計画である。電源開発計画の改訂版は、2024年の第3四半期(7~9月)までに完成する予定である
- 2024.05.06
- イタリア:メローニ政権、農地での太陽光発電開発を制限する法令を閣議決定
- 2024年5月6日付報道によると、イタリアのメローニ政権は、農林水産業保護政策の一環として、農地での太陽光発電の新増設を禁止する法令を閣議決定した。一方で、農地の上部空間へのパネル設置をはじめとした農業生産と両立可能な発電方式を採る場合や、欧州委員会で定めた復興・強靭化計画の枠組みのもと融資を受けている場合には適用されない。脱炭素政策に逆行する内容であるとして、複数の事業者団体から反対があったが、それらを押し切った形での決定となった。背景には、メローニ政権の主要な支持基盤である農業団体からの要求があったとも報じられている。法令は今後、議会での審議を経て成立する見込みである。
- 2024.05.02
- フランス:初の浮体式風力発電プロジェクトが中断、価格競争が限界に
- 2024年5月2日のフランスの主要紙は、南ブルターニュ地区Belle-Ile-Groixの浮体式洋上風力発電プロジェクト(250MW)が中断していることを伝えた。プロジェクトの落札者を政府に推薦するエネルギー規制委員会(CRE)は上限価格140ユーロ/MWhに比べ異常に低い価格で複数の入札が行われたことから、プロジェクトの実現性に懸念があるとして調査を行ったものの、最終的には落札者を政府に推薦していた。ところが、CREが推薦した事業者は資材の高騰、借り入れコスト増などを理由に、落札に必要な保証金の支払いを期日までに行わず、結果的に推薦を辞退したことが明らかになった。関係者からは、プロジェクト応札の早い段階で価格を決定しなければならないこと、かつ運開までの期間が長いことなど入札制度の不備を指摘する声が上がっており、政府は入札手続きの簡略化や期間短縮を検討している。一方で、落札するために採算を度外視した低価格での入札が行われているとの批判も出ている。今回のプロジェクトに関しては、政府は入札を一旦不成立にするか、次点の入札者を繰り上げるか決めなければならない。ただ、現状では次点の候補者が落札を応じるかも不透明である。
- 2024.05.01
- EU:初の水素製造補助入札、37~48ユーロ・セント/kgで7事業が落札
- エネルギー情報誌は2024年5月1日、EUが実施した初となる水素製造補助事業に関する入札結果を報じ、7事業が37~48ユーロ・セント/kgで落札したと伝えた。グリーン水素市場の拡大を目指すEUは2030年の域内製造を1,000万t、輸入量を1,000万tとする計画で、加盟国が補助事業を実施する中、欧州水素銀行(EHB)を設置して水素市場の入札を実施した。米国のインフレ抑制法は最大3ドル/kgの税額控除が補助されるため、EUは4.5ユーロ/kgを上限として、補助予算上限8億ユーロとした競争入札で事業を選定した。選定された事業はスペイン3件、ポルトガル2件、ノルウェーとフィンランドがそれぞれ1件である。7件の水電解装置の合計容量は約1,500万kW、10年間の製造量が158万tで、2023年11月までにEUと契約を交わして2029年までに事業を開始することになる。入札の実施に当たり、EUは水素の市場価格とグリーン水素の製造コストの差額を支援するとしていたが、落札結果は想定を超えて大幅に安価となり、市場関係者から驚きの声があがった。この原因として、132の応札に対して落札したのは7事業で厳しい競争であったことに加えて、EUは2030年までに使用する水素の42.5%をグリーン水素とする規制を定め事業者に使用するインセンティブを付与したことなどが挙げられている。さらに落札した事業者の一人は、実際に水電解装置を購入するのは2年後でさらにコストダウンが期待できると説明するが、資金調達が進むかは不透明とも話している。EHBは上限価格を3.5ユーロ/kg、予算上限を22億ユーロとする2回目の入札を2024年内に開始する計画である。
- 2024.04.30
- 台湾:立法院、電気料金の値上げ凍結を決議
- 現地紙は2024年4月30日、議会である立法院が電気料金の値上げ凍結案を決議したと報じた。それによると、野党第一党の国民党が住民の生活を守るために電気料金の値上げ凍結と、行政院および関係省庁に対しエネルギー政策を即時見直し、住民生活および電力の安定供給、台湾電力公司の正常な経営に配慮した対策と支援策を求める案を提出し、民衆党が支持したことで議決された。行政院は、立法院の決議について遺憾の意を表明したうえで、電気料金の見直しは法律に基づき実施されていると表明した。
- 2024.04.30
- 中国:EV充電、データセンター関連の電力消費の伸びが高水準
- 電力専門紙は2024年4月30日、国家能源局が発表した第1四半期のエネルギー需給報告の第三産業のうち、EVに関する充電サービス用電力消費、モバイル通信、ビックデータなどデータセンター関連の電力消費の伸びが前年同期比でそれぞれ、70%、34%と高い水準となっていると報じた。全体の電力消費量は同期比9.8%の増加であるが、第三産業は14.3%であり、産業別の伸び率でトップとなっている。EVの普及、デジタル化によるICT関連機器(コンピュータ、ネットワーク関連機器、端末)などの電力消費量は増加傾向を継続している。
- 2024.04.19
- 中南米:中国企業のEV生産において中南米地域が重要拠点となる可能性
- エネルギー情報サイトは2024年4月19日、中国投資家がブラジルにおいて、エネルギーやインフラなど従来から関係する分野だけでなく、EV関連など新たな分野にも関心を示していると報じた。世界的なエネルギー転換が進む中、EVの生産における米国企業と競争で、中国企業にとって中南米地域が重要な拠点になる可能性があるとした。中国・ブラジルビジネス評議会(CEBC)調査ディレクターのトゥーリオ・カリエロ氏は、「中国からの投資は、国家電網ブラジル法人や中国三峡集団などによる電力分野への投資は引き続き重要であるが、近年はその他の中国事業者が再エネへの事業展開などで活発になっている」とし、再エネ事業の中でも、風力や太陽光の機器の現地製造にも関心が高まっていると述べた。そして、「最近ではエネルギー移行分野で、EV関連産業への関心が高く、ブラジルだけなく、中南米地域への参入が見られる」とした。さらにEV車両の生産や販売だけでなく、バッテリー生産の原料となる鉱物リチウムの採掘にも関心が高いことを指摘した。EV最大手のBYDはブラジル北東部バイーア州に工場を建設したが、これはブラジルに限ったことではない。テスラ社に対抗する中国企業にとって、中南米地域はEV生産における世界的な競争の舞台となっている。CEBCのカリエロ氏は「特定分野で投資への関心が低下したという訳ではなく、近年は以前のような政府系よりも、民間企業による投資への関心が高まっていることが大きな特徴である」と指摘した。
- 2024.04.19
- 中国:国内初電力用OS「Electronic Honmeng」の実装運用開始
- 電力専門紙は2024年4月19日、南方電網有限責任公司傘下の広東省電力供給局管轄の500kV(Congmu Bingding)および110kV(Kejianjia Shiqian)系統に国内初のAI型オペレーティングシステム「Electronic Honmeng 」を実装したと報じた。同OSは南方電網傘下のデジタル関連会社と、政府が支援するオープンソースの開発・普及を推進する財団「Open Atom Foundation」と共同で開発したとされている。統合されたIoTプラットフォームとオブジェクトモデルベースとの組み合わせにより、様々な種類のブランド、IoT端末をカバーし、デバイス、インターフェイスとデータのプロトコルが標準化され、送電運用および機器管理の効率を大幅に向上させることができるとされている。
- 2024.04.17
- 中国:2024年第1四半期の電力需要実績、前年比9.8%の大幅増
- 国家能源局は2024年4月17日、3月の電力需要実績を発表した。それによると、2024年3月の消費電力量は7,942億kWhとなり、2023年同月比で7.4%の増加となった。分野別では、第1次産業は96億kWh(7.0%増)、第2次産業は5,421億kWh(4.9%増)、第3次産業は1,365億kWh(11.6%増)となった。家庭向けは前年比15.8%と大幅増の1,060億kWhだった。また、2024年第1四半期の電力需要は2兆3,373億kWhとなり前年比9.8%の大幅増となった。産業別の伸び率は第1次産業が9.7%、第2次産業が8%、第3次産業が14.3%、家庭向けが12%の増加となった。
- 2024.04.15
- EU:PV域内市場の競争力強化に向けてEU23カ国が欧州太陽光憲章に署名
- 欧州委員会は2024年4月15日、エネルギー関係閣僚の非公式会議でEU加盟国27カ国のうち23カ国が欧州太陽光憲章に署名したことを報告した。同憲章には太陽光導入の促進に向けて、域内の競争力を確保するための複数の措置が列挙されている。この中で、バリューチェーンへの新規投資を支援するため、国家補助規制の緩和策である「暫定危機・移行枠組(TCTF)」の適用を含め、あらゆる資金調達方法を検討することが挙げられた。欧州委員会は、域内のパネル需要の大半が中国からの輸入品で賄われており、域内バリューチェーンのレジリエンスと、パネル価格の安定性に対するリスクが生じていることを指摘している。2023年のEU域内におけるPV新規設置導入量は5,600万kWであったが、このうち97%が中国製パネルによるものであった。また、2023年にパネルの国際価格は約0.20ユーロ/Wから0.12ユーロ/W未満まで下落している。
- 2024.04.12
- 中国:発改委、石炭生産能力の備蓄制度を発表
- 国家発展改革委員会は2024年4月12日、国家能源局と連名で石炭生産能力の備蓄制度の設立を発表した。それによると、同制度はエネルギー安全保障の向上を目標として、発電や熱供給で利用する石炭の安定供給を確保するため、新規または建設中の炭鉱の生産能力の20~30%を備蓄に割り当てる。発改委によると2027年までに石炭生産能力備蓄制度を整備し、2030年に年間約3億t分の生産能力を確保する。同制度で確保された生産能力は通常時は使用せず、極端な状況に対応するために利用される。
- 2024.04.12
- EU:ACER、国際電力取引に更なる連系線活用が急務とEC・欧州議会に報告
- 欧州エネルギー規制者協力機関(ACER)は2024年4月12日、欧州域内の国際電力取引に必要となる連系線容量が十分に活用されていないとする報告を欧州議会と欧州委員会(EC)に対して行った。EUは2019年に加盟各国の送電事業者に対して連系線容量の70%を国際電力取引に利用できるよう確保することを義務付ける「70%ルール」を適用しており、2025年までに履行しなければならないと定められている。しかし2023年には、送電線がメッシュ状に整備されて電力融通に適した地域においても30~50%の利用可能率にとどまっており、EUの系統混雑への対策コストは40億ユーロに上るとの報告がなされていた。ACERは目標達成に向けて入札ゾーンの見直しに関する技術評価の完遂や対象を絞った系統開発、系統混雑の解消と運用最適化の徹底を実施するよう加盟国および送電事業者に呼び掛けている。
- 2024.04.12
- EU:EU理事会、建物エネルギー性能指令改正案を採択
- EU理事会は2024年4月12日、建物エネルギー性能指令改正案を採択した。同指令案では加盟国に対し、既存建物について、住宅用建物の一次エネルギー消費量を2030年までに16%、2035年までに20~22%削減すること、合わせて住宅用以外では2030年までにエネルギー効率が下位16%の建物、2033年までに下位26%の建物を改修することを義務付けている。また、新築建物について、公共用建物は2028年1月以降、その他のすべての建物は2030年1月以降、ゼロエミッションとする必要がある。加えて、2025年1月以降は、化石燃料を熱源としたボイラー設置に対する補助金禁止も加盟国に求めるなど、現在EUでのエネルギー消費量の約40%を占める建物分野において脱炭素化・エネルギー効率化を促進する内容となっている。同指令案は2024年3月12日に欧州議会で採択されており、今後EU官報に掲載後、発効する予定である。
- 2024.04.11
- 中国:300MW級の圧縮空気エネルギー貯蔵発電所が系統接続
- 現地紙は2024年4月11日、国家能源建設集団傘下の中国能建数科集団と国家電網傘下の国網湖北総合能源服務が共同出資し、湖北省応城市に建設した300MW級圧縮空気エネルギー貯蔵(CAES)発電所の実証プロジェクトが系統接続したと報じた。同プロジェクトへの投資額は19.5億元(約400億円)であり、廃塩鉱に圧縮空気を貯めることで蓄電し、出力は300MW、容量は1,500MWh、変換効率は70%となっている。報道によると、CAESの規模やコスト、寿命、効率は揚水発電所に匹敵する。
- 2024.04.06
- 韓国:新ハヌル2号機、営業運転を開始
- 2024年4月6日付報道によると、韓国水力原子力発電(KHNP)は、建設中の新ハヌル原子力発電所2号機(APR1400、140万kW)が営業運転を開始したことを発表した。同号機は2023年12月6日に連鎖反応が持続する初臨界を達成し、同月21日には電力系統に接続された後、段階的な出力上昇試験や原子炉とタービン発電機の性能試験を含む各種試験を行っていた。同号機の営業運転開始により、セウル原子力発電所1、2号機(旧名:新古里原子力発電所3、4号機)および新ハヌル原子力発電所1号機に次いで、韓国で4基目の運転中のAPR1400型炉となった。さらにAPR-1400型炉2基がセウル原子力発電所3、4号機として建設中の他、同型炉2基が新ハヌル原子力発電所3、4号機として計画されている。
- 2024.04.11
- 韓国:野党「共に民主党」が総選挙で単独過半数獲得
- 現地紙は2024年4月11日、4月10日の総選挙で野党「共に民主党」の過半数獲得が確実視されると報じた。それによると、小選挙区と比例代表の計300議席のうち、共に民主党は改選前(156議席)から議席を大幅に増やし170議席以上を獲得する見込み。一方で、尹錫悦大統領の与党「国民の力」は改選前(114議席)から議席を減らし105議席前後となり、少数与党のままとなる。共に民主党はエネルギー政策について、2035NDC(国別削減目標)でGHG排出量を2018年比52%削減する目標や2040年までの石炭火力全廃、韓国版IRA(米国のインフラ抑制法)の制定をエネルギー政策の公約としている。
- 2024.04.09
- イタリア:イタリア北部の水力発電所で火災・爆発事故が発生
- 複数の現地報道によると2024年4月9日、現地時間午後に水力発電所の火災・爆発事故が発生した。事故により、少なくとも3名の死亡が確認され、ほかに複数の死傷者や不明者の存在が伝えられている。現場はイタリア北部のSuviana貯水池(ボローニャ市の南方、約70km)に位置するBargi水力発電所(出力:33万~34万kW、約50年運転)で、事故に伴う浸水の影響により救助作業が難航している様子が伝えられている。事故の原因は明らかにされていないが、事故当時はメンテナンス作業中であったことが報じられており、また、一部報道では、発電所のタービンに不具合が生じていた可能性が指摘されている。ダム自体は破損を免れている。発電所を管理するEnel Green Power(イタリア電力大手Enelの子会社)は、発電所の運転を停止する一方、地域や国内の電力の安定供給に支障は生じていないと発表している。
- 2024.04.03
- 台湾:台湾でM7.2の地震が発生、37万戸以上が停電
- 現地紙は2024年4月3日、同日7時58分に台湾東部の花蓮県沖でM7.2の地震が発生し、複数の発電所がトリップした他、広範囲で停電が発生したと報じた。それによると、火力発電機8基がトリップし一時的に約320万kWが失われたが、3基(和平2基、台中1基)以外は当日中に復旧しているほか、原子力発電所は正常な状態を維持している。また、宜蘭県や新北市、台北市などを中心に台湾全土で計37.1万戸以上が停電したが、当日中に99%以上が復旧している。
- 2024.04.03
- スイス:スイス最古のベツナウ発電所、60年を超える運転延長を検討
- 2024年4月3日付の報道によれば、スイス最古のベツナウ原子力発電所1、2号機(PWR、各38万kW)で60年を超える運転延長について、技術的側面に焦点を当てた調査が開始された。同発電所を運転するAxpo社によると、60年を超える運転の可否は、原子炉圧力容器に代表される重要機器の健全性、人員、サプライチェーン、燃料の入手可能性などいくつかの要因に左右され、調査には1年程度を要する見込み。1号機は1969年に、2号機は1972年にそれぞれ運転を開始し、両号機は地域熱供給事業も実施している。スイスの原子力発電所に運転期間の制限はなく、スイス原子力安全検査局(ENSI)が安全と判断する限り運転を行うことが可能となっている。Axpo社は、同発電所2基の試運転以降、改修と改良工事に25億スイス・フラン(約4,200億円)以上を投資しているという。
- 2024.04.03
- ドイツ:IEA-PVPSがPVモジュールのリサイクルインフラの強化を提言
- 2024年4月3日付の報道によると、国際エネルギー機関・太陽光発電システム研究協力プログラム(IEA-PVPS)は、PVモジュールの回収・リサイクルに関する報告書を発表した。報告書では、ドイツでは今後数年間で耐用年数を迎えるPVモジュールの廃棄量が増加し、2030年にはPV廃棄量が40万~100万tになると推定されており、リサイクルインフラの強化と処理プロセスの拡大の必要性が指摘されている。なお、国内では過去にいくつかのPVモジュールのリサイクルに関するイニシアティブが開発されてきたが、産業レベルでの実用化には至っていないという。
- 2024.04.01
- 中国: 国家発展改革委員会、農村での分布式風力発電開発に関する通知を発表
- 国家発展改革委員会は2024年4月1日、国家能源局と農業農村部と連名で農村部での分布式風力発電開発活動である「千郷万村馭風行動」に関する通知を発表した。それによると、農村部の各行政村単位で風力投資建設モデルと土地利用を整備し、20MW以下の風力発電所を建設することで村の経済成長とカーボンニュートラルを促進する。今後、各省のエネルギー部門は関係各所と協力し制度設計と実証試験を推進する。
- 2024.04.01
- 中国:内モンゴルに「水素アイランド」構想
- 大手メディアは2024年4月1日、3月26日に開催された2024年中国国際水素エネルギー・燃料電池産業展示会において、内モンゴル自治区オルドス市政府と大手国有企業国家能源集団公司が共同で世界クラスのグリーン水素生態イノベーションゾーン「水素アイランド」構想を発表したと報じた。同構想は日量700tのグリーン水素を生産できる産業基地を開発するほか、グリーン水素エネルギーの持続可能な開発に関するイノベーション技術の研究・実証を行うプラットフォームを提供する。これに対して、中国水素連盟(CHA:China Hydrogen Alliance)傘下の研究院、事業者などは支援を表明し、中国科学院(CAS)、国際水素エネルギー評議会など関連団体も注目しているという。
- 2024.04.01
- 米国:EIA、2023年に米国が世界最大のLNG輸出国となったことを発表
- 米国エネルギー情報局(EIA)は2024年4月1日、2023年に米国が世界最大のLNG輸出国となったことを発表した。米国における2023年のLNG輸出量は平均119億立方フィート/日(11.9 Bcf/d)となり、2022年比で12%増加した。EIAはこの増加の理由として、(1)フリーポートLNG基地(テキサス州、2022年6月に発生した火災により操業を一時停止)が2023年2月に再稼働し、2023年4月までにフル生産に拡大したこと、(2)国際天然ガス価格の高騰を背景に、欧州でのLNG需要が比較的堅調であったことを挙げた。2023年の米国のLNG輸出先の内訳は、欧州(66%)、アジア(26%)、ラテンアメリカと中東(8%)であった。その中で国別上位はオランダ、フランス、英国であり、この三カ国の合計が全体の35%(4.2 Bcf/d)を占めた。
- 2024.04.01
- 米国:DOE、石炭から原子力への置換えに関する地域社会向け情報ガイドを発行
- 米国エネルギー省(DOE)は2024年4月1日、廃止または廃止予定の石炭火力発電所を原子力発電所に置き換えること(C2N:coal-to-nuclear)を検討している地域社会に向けて情報ガイド「Coal-to-Nuclear Transitions:An Information Guide」を発表した。同ガイドは、C2Nにより、地域の雇用機会が増加し、また、より高い賃金の雇用が創出され、地域社会の収益と経済活動が促進されることを示した調査結果に基づいて作成されている。また、研修のための計画と支援があれば、既存の石炭火力発電所の従業員の大半が、代替となる原子力発電所での仕事に移行できることも明らかにされている。同ガイドの目的は、C2Nに関心を持つ地域社会に対し、経済的影響、労働力の転換、政策・資金調達などの情報を提供することであり、電力会社に対しては、新たな原子力発電所の発電容量や建設場所、既存インフラの再利用可能性、運転停止期間の許容度など検討の際の留意点を示している。