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最新情報 - 2022 年度

海外電力調査会が収集した世界各地の電気事業情報を、エリア別、項目別にフィルタリングできます。各年度毎の表示となります。

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2022年度

2022.11.10
EU:欧州委員会が再エネ事業の許認可手続き短縮のための規則案を発表
エネルギー情報誌は2022年11月10日、欧州委員会(EC)が再エネ事業の許認可手続き短縮の規則(Regulation)案を公表したと伝えた。EUは2022年5月に発表したウクライナ侵攻に伴う包括的なエネルギー政策REPowerEUで、再エネ導入を加速するため許認可手続きを短縮する方針を示しており、具体的な内容を明らかにした。今回の規則案は緊急的、一時的な規則で有効期間を一年間に限定しているが、必要に応じて延長の可能性がある。具体的にはルーフトップ(屋根置き型)太陽光発電の許認可手続きは最長1カ月として、さらに事業による環境影響は限定されるため環境アセスメントの手続きを省略することを示した。風力発電は2021~2025年に稼働期間が20年に達する設備が3,800万kWあり、設備更新が相次ぐと想定される。このためEC案では風力発電の設備更新手続きについて、環境アセスメント手続きを含めて最長6カ月に短縮する案が示された。また設備更新に伴い発電容量が拡大するケースでは、拡大量が一定範囲にあることを条件に系統接続を簡易な手続きで可能となるよう、直ちに新たな手順の検討を行うとした。
2022.11.9
スペイン:Iberdrolaが2023~2025年の投資計画を公表、再エネへの投資を抑制
スペインのエネルギー大手Iberdrolaは2022年11月9日、2023~2025年の投資計画を公表し、再エネへの投資を従来計画より抑制することを明らかにした。3年間の投資総額は470億ユーロ(約6兆8,000億円)でこのうち57%を電力系統事業へ、38%を再エネ事業に投資し、再エネ設備量は2025年に5,200万kW(従来計画は6,000万kW)、2030年に8,000万kW(従来計画は9,500万kW)とこれまでの目標を下回る計画となっている。この点についてIgnacio S. Galán会長は、現在の投資環境はインフレやサプライチェーンの遮断、ウクライナ情勢などから「嵐の中にある」と表現して、可能な限り安全な事業に投資を行うと説明した。技術別には新設する1,200万kWのうち、太陽光が最大で630万kW、陸上風力が310万kW、洋上風力が180万kWと想定されている。地理的にはエネルギー政策の安定したAランクの国への投資を優先するとして、全体の47%を米国、16%を英国、13%をスペインに投資するが、フランス、ドイツ、オーストラリアも今後の戦略的な投資国と考えている。Iberdrolaは2040年にバリューチェーン全体のCO2排出を対象にカーボンニュートラル達成を目標としている。
2022.11.9
米国:DOE、原子力で水素を製造する4つの実証プロジェクトを紹介
米国エネルギー省(DOE)は2022年11月9日、DOEが実証を支援している4カ所の原子力発電所の水素製造プロジェクトを紹介した。(1)ナインマイルポイント発電所(ニューヨーク州)では、低温電解システムの建設を進めており、原子力由来としては米国初となるクリーン水素の製造を2022年内に開始する予定。(2)デービスベッセ発電所(オハイオ州)では、低温電解システムの実証に取り組んでおり、2023年中の製造開始を目指す。(3)プレーリー・アイランド発電所(ミネソタ州)は、水電解装置メーカーのBloom Energy社と共同で高温水蒸気電解の実証に取り組んでおり、2024年初頭の製造開始を予定。(4)パロベルデ発電所(アリゾナ州)は、低温電解システムの実証中で、2024年に製造開始を予定している。DOEは、100万kWの原子力発電所で、年間最大15万tの水素を製造できると試算している。DOEは総額80億ドルのクリーン水素ハブへの支援において、6~10カ所の水素ハブを選定する計画であるが、このうち少なくとも一つは、原子力を利用して製造した水素を含むハブとなる予定である。
2022.11.8
EU:GHG削減負担規則の改定案、欧州議会とEU理事会が非公式合意
欧州議会とEU理事会は2022年11月8日、「GHG削減負担規則(ESR:Effort Sharing Regulation)」改定案の内容について、非公式な合意に達した。ESRは、欧州排出量取引制度(EU ETS)でカバーされない分野(農業、建物、小規模産業、運輸など)における排出量の削減目標を、EU大および加盟各国について規定する。今回の合意に基づき、これら分野におけるEU全体の目標は、2030年までに対2005年比で40%削減と規定され、また、加盟各国に対しては、人口1人当たり排出量の均等化を考慮して、同10~50%削減の範囲内でそれぞれ目標が定められる。その際、加盟各国には一定の柔軟性措置が認められ、例えば、2030年までの過程で各国に割り当てられる年間の排出割当量について、バンキングやボローイング、加盟国間の割当量の売買、森林吸収などで生じるクレジットの利用、さらに一部の加盟国についてはEU ETS排出枠の利用が、それぞれ一定の範囲内で認められる。今回のESR改定案は、2021年7月の「Fit for 55」パッケージにおいて、既存のESRの削減目標値(EU全体で対2005年比30%)を引き上げる形で欧州委員会により提案されたものであり、今後の欧州議会、EU理事会の正式な採択を経て成立する運びとなる。
2022.11.7
中国:吉林省政府、「ハイドロジェンバレー」計画を公表
現地専門紙は2022年11月7日、北部の吉林省政府が水素産業の中長期計画を発表したと報じた。同計画では、吉林省政府は同省の豊富な風力および太陽光資源を活用した水素エネルギーをベースとして既存の自動車産業、化学産業との連携を促進させ、新しい産業体系を構築する「ハイドロジェンバレー」の構想が掲げられている。計画は、こうした方針に基づいて2035年までに燃料電池自動車7万台を運用させ、400カ所の水素ステーションを整備するなど水素関連の産業規模を1,000億元(約2兆円)とする目標を設定しているほか、2025年、2030年段階での中間目標も設定している。さらに、吉林省政府はこうした水素産業形成ために環境整備や人材育成など地域に合わせた政策指導も行うとしている。
2022.11.4
英国:2022年冬季の需給ひっ迫に備える負荷削減サービスが開始
英国の系統運用者National GridESO(NGESO)は2022年11月4日、2022年度冬季需給見通し(10月発表)において示していた需給ひっ迫時に負荷削減を促す新サービスについて、規制機関(OFGEM)が11月3日から2023年3月末までの導入を承認したため、サービスを開始したと発表した。新サービスには、電力小売事業者およびアグリゲーターが負荷削減に協力可能な需要家と契約することで参加可能とし、需要家には最低30分間対応可能であること、需要地点当たり1,000kW~10万kWであること、30分計測のメーターを設置していることなどが求められる。NGESOは今後数日以内に実証試験を行い、NGESOからの指示に応じて確実に負荷が削減されるか確認するとしている。なお、実証試験で支払われる対価は3ポンド/kWh(3,000ポンド/MWh)としている。
2022.11.4
米国:デューク・エナジー社、再エネ事業部門の売却計画を発表
デューク・エナジー社(本社ノースカロライナ州シャーロット)は2022年11月4日、2023年第3四半期の株主説明会において、商業用再エネ事業部門(風力:約340万kW、太陽光:約170万kW。カリフォルニア州、テキサス州、フロリダ州など複数の州で事業展開)を40億ドルで売却する計画であることを発表した。プロジェクト単位での売却は過去あったが、今回は事業部単位での取引とする計画であるという。2023年での売却完了を目論む。同社は15年以上にわたり再エネ事業を展開したが、今回、規制事業への投資を重点に進めるために事業売却を行うという。再エネ事業部門はデューク社の収益の約5%を占める(約95%は規制事業)。
2022.11.3
アルゼンチン:政府、GHG排出削減のための環境行動計画を発表
2022年11月3日付報道によると、アルゼンチン政府は気候変動適応・緩和計画(PNAyMCC)を発表し、2030年の温室効果ガス排出削減目標(NDC)で設定した目標を達成するための一連の対策を明らかにした。同国のNDCは、2030年のGHG排出量が3億4,916万tCO2で、2016年の排出量(4億8,270万tCO2)比27.7%減を目指す。これを達成するため、(1)省エネとクリーンなエネルギー、(2)循環型経済、(3)電気自動車、(4)持続可能な住宅やインフラ、(5)生物多様性の保全、(6)原生林の持続可能な利用、を推進することが掲げられた。同国では、再エネ目標として、2025年末までに消費電力量に占める再エネ発電電力量比率20%を掲げているが、その達成にはまだ約260万kWの再エネ(太陽光、風力、バイオ燃料など)導入が必要であり、さらに送電線の容量も不足している。同計画では、地方での小規模再エネ(9万kW未満)の導入と送電線の空き容量や蓄電設備の活用が推奨されている。地元紙は、地方において再エネ発電設備が設置されることにより、配電系統で発生している停電を改善し、発電コストを減らすことが真の目的であると指摘している。
2022.11.3
英国・ノルウェー:CentricaとEquinor、水素製造拠点開発に向けた協力協定を締結
英国の大手エネルギー会社のCentricaは2022年11月3日、ノルウェーの石油ガス大手のEquinorと、ヨークシャー地方東部のイージントンにおいて低炭素型水素製造ハブを開発するための協力協定を締結したことを発表した。現在、英国の総ガス供給の3分の1程度がイージントン経由でEquinorのノルウェー拠点から供給されていることに加え、この地域は同国の東海岸のCCUSクラスター事業においてCO2や水素を輸送する海底パイプラインの陸揚げ地点の一つに指定されている。さらに、世界最大級の洋上風力発電所Hornsea2が近くに位置しているため、同地域はブルーとグリーンの両方の水素製造拠点となる大きな可能性を有している。両社は、今回の協力協定によって、英国が掲げるネットゼロ目標や水素製造の目標達成に貢献することに加え、新しい雇用を創出することにもつながると述べている。
2022.11.2
中国:紅沿河原子力暖房実証プロジェクト、正式に稼働開始
2022年11月2日付の報道によれば、中国遼寧省の紅沿河原子力発電所(約112万kW×6)の暖房実証プロジェクトが正式に稼働を開始した。これは、中国東北地方初の原子力暖房プロジェクトで、中国最大の電力エネルギー分野の投資プロジェクトでもある。同発電所を運営する中国広核集団有限公司(CGN)によると、計画暖房エリアは24万2,400m2で約2万人の地域住民に恩恵がもたらされ、紅沿河鎮にある12基の石炭小型ボイラーを置き換える他、年間で石炭消費量5,726t、CO2排出量1万4,000tをそれぞれ削減するとしている。
2022.11.2
フランス:政府、原子力発電所の新設の行政手続きを緩和する法案を閣議決定
フランス政府は2022年11月2日、新しい原子力発電所の建設を加速するため、既存原子力施設の敷地内または敷地周辺に立地する場合、必要な行政手続きを緩和する法律案を閣議決定した。同年末~2023年初に議会提出予定の同法案は、既存の環境または原子力安全審査要件を変更するものではないが、立地候補地の計画文書をより迅速に整えることや、建設許可審査と原子炉建屋などを除いた建設準備作業を並行して行うことなどを可能にしている。また、公益性が認められる原子炉プロジェクトに必要な土地を確保するための措置も提案している。政府は、マクロン大統領任期終了前の2027年5月までに、パンリーにEPR2の初号機を着工、2035~2037年の運開を目指しており、これに間に合うよう行政手続きを遅滞なく行うとしている。
2022.10.31
中国:電気設備大手、中国初の次世代型100万V変圧器開発に成功
2022年10月31日付の現地専門紙によると、電気設備大手の特変電工の子会社、特変電工瀋陽変圧器集団は10月28日、次世代型100万V変圧器の開発に成功したと発表した。それによると、この変圧器は、このほど国が定める全項目に関して性能試験に合格したが、100万V変圧器で全項目の性能試験に合格したのは、中国企業では同社が初めてという。この次世代型変圧器は、最新式の絶縁構造を採用して性能を高めており、標高が高い地域での温度上昇にも耐えられるような仕様となっている。
2022.10.31
中国:世界初の洋上風力・太陽光併設発電施設が発電開始
国有発電大手である国家電力投資集団公司は2022年10月31日、山東省海陽市の沿岸から30kmの海域で、洋上風力と太陽光とを併設した発電施設が発電を開始したと発表した。当該プロジェクトは2,000kWの洋上風力と500kWの浮体式太陽光発電設備とを併設した世界初の案件であり、同社は高度な技術力をベースとした完成度の高い実証案件であるとしている。なお、この施設における洋上太陽光発電設備は、直径53mの環状の浮体ユニット2基で構成され、そこに770枚の太陽光パネルが敷き詰められており、海水による冷却効果により発電効率が通常より10%以上改善するとされている。
2022.10.25
アルゼンチン:政府、第3次送電計画の開始を発表
2022年10月25日付報道によると、アルゼンチン政府は地方への再エネ普及のため、第3次送電計画として地方送電計画(Plan Federal de Transporte Eléctrico Regional)の開始を発表した。同国ではこれまでも送電設備の増強・拡張計画が作成されてきたが、資金不足から2014年以降、大規模な送電設備建設は実施されておらず、電力需要の増加に対応した送電設備の増強・拡張が求められていた。そのため、同計画は過去に作成された計画の中から、地方での再エネ導入に必要な国内22カ所の220kVや132kV送電線建設を特定したものである(2022年決議第593号承認)。これらの建設には、米州開発銀行(IDB)から融資11億4,000万ドルが支援される。ただし、地元紙は、同計画が500kV送電線の建設ではないため、根本的な送電容量の制約を解決するものではないと指摘している。なお、同国での送電系統の建設には、(1)米州開発銀行(IDB)からの融資、(2)アンデス開発公社(CAF)からの拠出、(3)アルゼンチンから隣国ブラジルへの電力輸出で2021年の歴史的干ばつによる需給ひっ迫を救済した際に得られた資金で設立された電力供給基金(FOTAE)、から支援を受けることも可能となっている。
2022.10.20
米国:Avangrid社、洋上風力PPA価格の再交渉が難航
Iberdrolaの米国子会社Avangridは2022年10月20日、同社が計画しているマサチューセッツ沖の洋上風力発電事業Commonwealth Offshore Wind Project(1,232MW)のPPA契約について、電力会社との価格再交渉のため、審査手続きを1カ月延期するようマサチューセッツ州公益事業局(DPU)に要請したが、DPUは2022年11月4日、これを却下した。同プロジェクトについて、Avangridはロシアのウクライナ侵攻による鋼材価格の上昇などにより、プロジェクトの採算性が悪化していることを訴えたが、DPUは規定された審査スケジュールを変更する権限はなく、手続きを遅延させることはできないとした。PPAはニューイングランドの電力会社3社(Eversource Energy、National Grid PLC、Unitil Corp)と締結したものであり、初年度が47.68ドル/MWh、20年目には76.22ドル/MWhに上昇する内容。なお、売電先電力会社3社は価格交渉を拒否していた。
2022.10.28
ポーランド・米国:ポーランド首相、初の原子炉を米国WH社が建設と発表
ポーランドのモラウィエツキ首相は2022年10月28日、同国初の原子力発電所を米国ウェスチングハウス(WH)社が建設すると発表した。米国のハリス副大統領は同決定に関し、米国のパートナーシップは、気候危機への対処、欧州のエネルギー安全保障強化および米国とポーランドの戦略関係の深化を可能とし、我々全員に有益と述べた。米国エネルギー省のグランホルム長官は、この発表はロシアに明確なメッセージを送るものでもあり、これ以上、エネルギーを武器化させるわけにはいかず、西側諸国はこのいわれのない侵略にともに立ち向かい、同時にエネルギーのサプライチェーンを多様化し、気候協力を強化すると述べた。報道によると、今回は最初の3基に関する決定だが、ポーランドは最終的にWH社のAP1000を6基建設する計画で第2弾の正式決定も後日あると米政府高官が話したという。同国の初号機は2026年に着工し、2033年運開する計画としている。
2022.10.27
中国:政府、気候変動対応の政策・行動に関する2022年版報告書を発表
生態環境部(日本の「省」に相当)は2022年10月27日、「中国の気候変動対応の政策と行動に関する2022年度報告書」を発表した。同報告書では、中国政府が2021年10月に国連に提出した温室効果ガスの「国別削減目標」と「長期低排出発展戦略」の基本政策方針に沿って、2021年において単位GDP当たりCO2排出量が2005年比50.8%削減され、一次エネルギー消費に占める非化石エネルギーの割合は16.6%、風力および太陽光発電設備容量は6億3,500万kWとなったこと、全国大の炭素排出権市場は2021年7月16日の開設後1年間の取引量が1億9,400万t、取引額は84億9,200万元(約1,698億円)となったことなどの実績が報告されている。また、国連気候変動枠組条約第27回締約国会議(COP27)における中国政府の基本的な立場なども示されている。
2022.10.26
EU:ロシアからのLNG輸入が過去最高を記録
エネルギー情報誌は2022年10月26日、EUがロシアから輸入したLNGが過去最高になったと報じた。EUにおけるロシアからのパイプラインガスの輸入が減少する一方で、ロシアからのLNGの輸入は同年1~9月末までに前期比50%増加したという。EUは、2021年は同年9月末までに580億m3のLNGを輸入したが、2022年は9月末までに880億m3を輸入している。そのうちロシア産は2021年約100億m3、2022年約150億m3となり同年は前年実績を50%上回っている。EUは、ロシアのパイプラインからのガス輸入の大部分を他国産ガスに代替することには成功しているが、ロシアのLNG供給からは離脱できていないことが明らかになった。EUは現在、米国とカタールから多くのLNGを輸入しているが、北極圏で開発されるロシア大手NovatekのヤマルLNGプロジェクトを含む同国からの輸入は、EUの脱ロシア政策に逆行するものであると報じられている。加えて、同年2月後半のロシア・ウクライナ危機以前はロシアからガスを輸入していなかったスペインやギリシャが、現在はロシア産LNGを輸入していることも明らかになっている。ロシアは欧州およびアジアへのLNG輸出により、LNG輸出量が過去最高水準に達しており、2022年には月平均278万tの輸出を記録。2021年の262万t、2019年の256万tを上回る推移となっている。2022年9月だけでも、EU諸国はロシアから約10億ドル相当のLNGを輸入したこととなるという。
2022.10.25
中国:新エネ、低炭素分野への外国資本投資をさらに奨励へ
国家発展改革委員会、商務部(日本の「省」に相当)など6省庁は2022年10月25日、「製造業における外国資本の投資増加、投資環境の向上に関する促進政策」を発表した。今回の政策文書は、外国資本による先端製造業・ハイテク分野などへの投資促進を企図したものであり、エネルギー・環境保護分野では新エネルギー、グリーン・低炭素に関する技術イノベーションなどへの投資がその対象となり、外国資本参入に対する規制分野(2021年版ネガティブリスト)以外の投資案件については、国内企業と平等に扱うとともに、支援政策などを確保するとしている。
2022.10.25
中国:中電聯、石炭火力発電企業のうち半数以上が赤字経営と指摘
中国電力企業聯合会(中電聯)は2022年10月25日、第3四半期の電力需給分析・予測報告を発表した。同報告では、感染症の影響やマクロ経済の状況を勘案すると2022年の電力消費は2021年比4~5%増加すると予測している。一方、石炭価格高騰が電気料金に吸収しきれておらず、石炭火力発電事業者の半数以上が赤字経営を強いられており、中にはキャッシュフローが逼迫している企業もあることを明らかにした。これを踏まえて、中電聯は石炭火力の容量(kW)価値の合理的反映などを提案している。
2022.10.21
豪州:ARENA 廃坑を圧縮空気によるエネルギー貯蔵施設に再利用
オーストラリア再生可能エネルギー庁(ARENA)は2022年10月21日、ニューサウスウェールズ州の廃坑を利用した空気圧縮エネルギー貯蔵施設を建設するプロジェクトに4,500万豪ドルの資金提供を発表した。カナダのHydrostor社が開発した技術を用いたこのプロジェクトは出力200MW、容量1,600MWhの世界最大級の圧縮空気貯蔵施設となる。圧縮空気貯蔵技術は揚水発電に代わるエネルギー貯蔵技術として期待され、揚水発電に比べて立地選定が容易、開発・建設期間が短い、周辺環境に与える影響が少ないという利点がある。ARENAは同施設に揚水発電と同様の用途を想定しており、貯蔵技術を用いて、再生可能エネルギー導入拡大の中で電力系統の信頼性向上を図る。施設は2024年から2025の操業開始を目指している。
2022.10.21
米国:テキサス州は今冬、異常気象の発生により緊急警報発令のリスクあり
連邦エネルギー規制委員会(FERC)は2022年10月21日、冬季(12~2月)エネルギー信頼性評価(Winter Energy Market and Reliability Assessment)を発表し、テキサス州などにおいて、特定のシナリオ下にて電力不足に陥る可能性を公表した。同レポートでは、テキサス州の独立系統運用機関であるERCOT管内では、通常、63GWの需要に対し稼働可能な設備容量は75.8GWとしているが、2021年2月の大寒波(Uri)と同等の環境においては、84GWの需要に対し稼働可能な設備容量が(設備故障などのため)65.9GWまで減少、18.1GWが不足し緊急警報(EEA)が発動される可能性があるとしている。
2022.10.20
欧州:欧州3カ国、水素、ガス輸送のための海上パイプラインの建設を発表
スペイン、ポルトガル、フランスは2022年10月20日、水素とガスを運ぶための海上パイプラインをバルセロナ、マルセイユ間に建設すると発表した。建設予定のBarMarパイプラインは主にグリーン水素やその他の再生可能ガスを送るために使用される。また、欧州のエネルギー危機を緩和するために、一時的に限定量の天然ガスを輸送できるようにする計画とのこと。当パイプラインは中欧諸国にガスを販売できるよう建設が予定されていたMidcatパイプラインに代わるものである。3カ国の首脳は、12月9日にスペインのアリカンテで再び会合を開き、建設スケジュールおよび資金調達方法を決定することで合意した。一方、スペインのエネルギー相テレサ・リベラ氏はパイプラインの本格稼働まで4~5年程度かかる予想であるとし、現在のエネルギー危機に対応できるものではないと述べた。同氏は、パイプラインの建設に携わる企業に対して、12月までにコストと期間を含むより詳細な計画を提出するよう要請しているとのこと。
2022.10.19
トルコ・ロシア:トルコ、ロシアに2番目の原子力発電所の建設を要請
ロシア国営原子力企業ロスアトムのリハチョフ総裁は2022年10月19日、同社とトルコ側のパートナーは、トルコの黒海沿岸にあるシノップで4基の原子炉を新たに建設する可能性について協議していると述べた。トルコのエルドアン大統領が、その前週にカザフスタンでロシアのプーチン大統領と会談した際、トルコで2番目の原子力発電所を建設するよう要請したという。なお、ロスアトムは、トルコ南部のアックユに同国初の原子力発電所を建設中。シノップ原子力発電所のプロジェクトは、2013年にトルコと日本によって最初に検討されたが、日本側は財政問題により、2018年に撤退した。
2022.10.18
EU:欧州委員会、エネルギー価格高騰対策の新たな規則案を発表
欧州委員会は2022年10月18日、エネルギー価格高騰に対処するための緊急措置を盛り込んだEU規則案を発表した。同規則案には以下のような項目が含まれる。(1)天然ガスの共同購入: 2023年春までに共同購入を開始すべく暫定的な仕組みを設置する。(2)液化天然ガス(LNG)に関する新価格指標の開発:欧州の天然ガス価格指標であるオランダTTFはパイプラインにより輸入されるガスの価格を基準にしているが、船舶輸送により輸入されるLNGの価格を反映するため、2023年3月31日までに補完的なLNG価格指標を開発しかつその運用を開始することを、欧州エネルギー規制者協力機関(ACER)に求める。(3)ガス価格の過度な上昇を防ぐ目的で、TTFスポット市場の天然ガス取引において変動型価格上限を一時的に設定するなどの市場修正メカニズムを導入する。(4)二国間協定を締結していない加盟国間で、緊急事態が発生した場合、自動的に連帯メカニズムが発動されるようにする。またEUレベルまたは複数の加盟国が関係する地域レベルで緊急事態が発生した場合に、EU理事会がガス供給能力の割当を決定できる新メカニズムも導入する。この規則案は2022年10月20~21日のEU加盟国首脳会議で討議され、さらに同月25日のEUエネルギー相理事会で検討される。
2022.10.18
欧州:2022年第3四半期の再エネPPA価格は一年前より51%上昇
エネルギー情報誌は2022年10月18日、コンサルタントがまとめた再エネ事業を対象にしたPPA(電力売買契約)について報じ、価格が上昇していると伝えた。コンサルタントのLevelTenEnergy Incは欧米諸国の再エネPPA価格の推移を四半期ごとに公表しており、公表した資料によると欧州の2022年第3四半期は、第2四半期に比べて11.3%、前年同時期より51%上昇し、73.54ユーロ/MWh(約10.8円/kWh)となった。技術別には太陽光が68.57ユーロ/MWh(約10.1円/kWh)、風力が78.50ユーロ/MWh(約11.5円/kWh)である。価格上昇の要因として、世界各地で物価上昇が顕在化して事業コストに反映されていること、欧州の卸電力価格が上昇したためPPAで長期に安定した電力価格を求める事業者が増えていること、CO2排出量削減のため再エネ事業に対する需要が高まっている一方で、許認可手続きなどが原因となって事業が進んでいないことなどが挙げられている。現在の再エネPPAをめぐる状況について関係者は、2年前であれば一人の買い手が20の事業から選ぶことができたが、現在では一つの事業に10人の買い手がついていると表現している。
2022.10.17
中国:政府、石炭火力の低炭素化改造を強化、石炭の効率的利用を拡大
国家能源局は2022年10月17日、北京での記者会見で、一次エネルギーとして石炭の重要性を強調し、2025年までに生産能力の向上、石炭火力発電設備の「三改聯動」(省エネ・二酸化炭素排出削減、熱供給併給、柔軟性)改造を通じ、クリーンで効率的な利用を拡大する方針を示した。席上、国家能源局は、2025年までに石炭火力設備約6億kWを改造する他、CCUSの技術応用拡大の推進を目指すことや、遠隔地におけるクリーン発電電力を活用するための送電能力の向上などインフラ整備をさらに進めることも明らかにした。
2022.10.17
ドイツ:ショルツ首相、原子炉3基の2023年4月半ばまでの維持を決定
ドイツのショルツ首相は2022年10月17日、同国で運転中の原子炉3基の最長2023年4月15日までの運転継続を可能にするため、必要な法整備を行うことを決定した。同決定は書簡にて、レムケ連邦環境・自然保護・原子力安全・消費者保護大臣、ハーベック連邦経済・気候保護大臣、リントナー連邦財務大臣に通知された。同首相はドイツ基本法(日本国憲法に相当)65条に規定される基本方針決定権限を行使することで、連立政権内での原子力をめぐる対立に終止符を打ったとされる。ハーベック大臣(緑の党)は2022年9月、ドイツ南部に立地する2基の原子力発電所、イザール2号機(PWR、148万5,000kW)とネッカー2号機(PWR、140万kW)を運転リザーブとして2023年4月15日まで維持し、北西部のエムスラント原子力発電所(PWR、140万6,000kW)は2022年12月末に閉鎖する方針を発表した。これに対して、産業重視の政策を掲げる自由民主党(FDP)のリントナー大臣は、原子炉3基の2024年までの運転継続や2021年末に閉鎖された3基のうち2基の再稼働を主張し、同氏の反対でハーベック大臣の方針を実行に移すための法律案は10月5日の閣議で否決された。イザール2号機の加圧器バルブ修繕作業(2023年1月以降の運転継続に必須)の開始が10月21日に迫り、政権内で合意が成立しない場合、同号機の2023年1月以降の運転が不可能になるとも報じられていた。なお、ショルツ首相は3大臣に宛てた書簡において、エネルギー効率向上のための法律制定や西部ライン地方における脱石炭期限の前倒し(2038年から2030年)の法制化も明らかにしている。
2022.10.17
米国:DOE、風力タービンブレードの再活用事例を紹介
米国エネルギー省(DOE)は2022年10月17日、風力タービンブレードのリサイクル、アップサイクルを行うCarbon-Rivers社(本社:テネシー州)の事業を、DOEが支援する企業としてHP上で紹介した。Carbon-Riversは熱分解を利用し、風力タービンブレードのような廃棄物から、ガラス繊維を99.9%の純度で取り出すことが可能。取り出したガラス繊維は直接タービンブレードの製造へ再利用することや、純粋なガラスと混合して別の用途へ使用することも可能となる。Carbon-Riversは既に数千トンの廃棄タービンをアップサイクルしており、同社がテキサス州に計画している工場は年間約200t、5,000~7,000枚のガラス繊維製タービンブレードからガラス繊維製を回収することが可能となる見込み。
2022.10.14
スウェーデン:スウェーデン新政権、原子力の拡大を目指す
スウェーデンの新しい中道右派連立政権は2022年10月14日、国営電力Vattenfallに対し、リングハルス1、2号機の再稼働の可能性調査と原子炉の新設に向けた準備を直ちに行うよう要請することなどを含む政策合意書(ティード合意)を発表した。キリスト教民主党、自由党、穏健党およびスウェーデン民主党による合意では、エネルギー政策の目標を「再生可能エネルギー100%」から「脱化石燃料100%」に変更し、総額4,000億クローネ(約5兆4,000億円)の特別信用保証を含め、原子力発電投資を強化する。また、環境法における、新規サイトでの原子炉建設禁止および10基以上の同時稼働の禁止に関する条項を撤廃し、新規原子力発電の許可手続きを最優先で扱うとの特別規則を同法に導入する。さらに政治家の恣意的な原子力発電の停止を防ぐため、発電所が良好な状態で安全に運転されている限り運転する権利を保証する新ルールの導入や閉鎖した原子炉の再稼働の禁止を撤廃するとしている。
2022.10.14
欧州:欧州・アジア間の国際連系線が着工
欧州委員会は2022年10月14日、イスラエル~キプロス~ギリシャを連系する国際連系線(EUROASIA Interconnector)の建設開始について公表した。この連系線プロジェクトはEUのPCIプロジェクト(共通利益プロジェクト)で、イスラエル~キプロス~クレタ島(ギリシャ)を1,200kmの海底ケーブルで連系するもので、現在欧州系統から独立しているキプロスの電力系統を欧州系統に連系して、キプロスならびにクレタ島のエネルギー供給の安定性を向上させるものである。現時点において世界で最も深い深度に、かつ長距離に敷設され、多端子高電圧直流送電(Multi-terminal 500kV DC)が適用される大容量送電システム(送電容量2GW)となる計画である。第一期工事では、クレタ島とキプロス間(898km)が施工される計画であり、総工事費は15億7,000万ユーロで、EUのネットワーク・インフラ開発支援基金(CEF:Connecting Europe Facility)から6億5,700万ユーロ、復興・回復基金(RRF:Recovery and Resilience Facility)から1億ユーロの補助金を受けている。また、第二期工事では、キプロスとイスラエル間(310km)が施工される計画であり、2026年末の完成を見込んでいる。
2022.10.13
中国:2022年9月の電力需要、対前年増加率が1%を下回る
国家能源局は2022年10月13日、2022年9月の電力需要速報を発表した。それによると、9月の電力需要は、7,092億kWhと2021年9月比で0.9%の増加にとどまった。産業別内訳をみると、第1次、第2次産業は2021年同月比でそれぞれ4.1%、3.3%増加したが、第3次産業と家庭用は前年同月比でそれぞれ4.6%、2.8%の減少となった。
2022.10.12
英国:政府、エネルギー料金軽減に向けたエネルギー法案を提出
ビジネス・エネルギー・産業戦略省(BEIS)は2022年10月12日、エネルギー料金の軽減に向けたエネルギー法案「Energy Prices Bill」を国会に提出したと発表した。同法案にはトラス政権が9月に発表した需要家料金救済策(10月から実施済み)が含まれているほか、卸電力価格の低減に向けた対策が盛り込まれている。具体的には、イングランド&ウェールズにおいて2023年初頭から「Cost-Plus Revenue Limit」と呼ばれる一時的な措置を導入することにより、ガス火力が限界価格を決める傾向にある卸電力市場において、低炭素電源(主に差額決済型固定価格買取制度(FIT-CfD)の契約を持たない、再エネ証書(RO)制度で導入された再エネ電源)の卸価格に上限を設けることで発電事業者の収益を規制する。卸価格の上限の詳細や、スコットランドへの適用拡大、低炭素ベースロード電源(バイオマスや原子力)への適用是非などについては今後意見公募を通じて決定していくとしている。また、これと平行して、2023年に既設電源を対象にFIT-CfDの契約を募るとしている。このFIT-CfD契約は任意となるが、契約に至った場合は長期間の固定価格での買取が保障されることから、事業者にとっては、実質強制的なレベニューキャップである「Cost-Plus Revenue Limit」との選択となる。なお、7月にはエネルギー安全保障に関する法案「Energy Security Bill」が提出されている。これには脱炭素化に向けた独立系系統運用者(FSO:Future System Operator)の設立など、重要な内容が含まれているものの、大規模太陽光発電所の導入に否定的なトラス政権により審議が一時停止されているとの報道が出ている。
2022.10.10
中国:蓄電池 世界最大級のレドックスフロー電池発電ステーションが試験運用を開始
現地専門紙は2022年10月10日、遼寧省大連市で中国科学院大連化学物理研究所が独自開発したバナジウム・レドックスフロー電池(VFB)技術を採用した世界最大級のレドックスフロー発電ステーションが試験運用を開始したと報じた。同ステーションは、2期に分けて建設される予定で、今回運用を開始した第1期施設には、出力10万kW、蓄電容量40万kWhのレドックスフロー電池が備えられ、さらに、第2期が完工すると、出力20万kW、蓄電容量80万kWhの能力を有することとなる。同ステーションは国の蓄電システム実証プロジェクトとして研究開発が進められているもので、ピーク調整、非常時のバックアップ電源として技術の有効性、技術基準と仕様の確立などの検証が急がれている。
2022.10.10
米国:CA州の3大IOU、Sunnova社のマイクログリッド計画に反対
カリフォルニア(CA)州の公益事業委員会(CPUC)は2022年10月10日、住宅用太陽光メーカーのSunnova社が提案するマイクログリッド(MG)の計画に対して、CA州の3大電力(PG&E社、SDG&E社、SCE社)が反対していることを発表した。Sunnova社は2022年9月上旬、新規住宅開発(500~2,000戸)時のコミュニティMG計画に加え、電気事業者(electric micro-utilites)としての運営も認めるようCPUCへ提案している。「electric micro-utilites」とは、電気事業法(Public Utilities Code)第2780条(Section 2780)において「2,000戸未満の顧客に対してのみ単独で発電、配電、販売を行う目的で組織された電気事業者」と定義されており、該当する場合は当局の規制が緩和される。この提案に対して3大IOUは、「供給信頼度の観点から、MG化するエリアの決定にはIOUが関与するべき」と主張しているほか、コミュニティMGに関する規制の枠組みが未完成であることや、余剰電力をMG外のグリッドに供給できることから「electric micro-utilites」の定義に該当しないこと、などを理由に反対の声を挙げている。
2022.10.07
ポーランド:2023年の家庭用需要家向け電気料金の一部凍結を法制化
議会下院は2022年10月7日、2023年の電力料金の凍結を規定する法律を可決した。需要家は年間電力使用量2,000kWhまでは現行水準(2020年の家庭用需要家の平均的な電気料金)で固定され、超過した分のみ2023年用に設定された料金表に基づき請求される。農業従事者や3世帯以上が同居する場合は免除される上限値が3,000kWhとなる。政府の想定では約1,700万世帯が同措置の対象となる見通しで、約230億ズロチ(約6,900億円)を予算として割り当てている。なお、暖房に電力(ヒートポンプを含む)を使う家庭用需要家には、特別手当として年間1,000ズロチ(約3万円)を支給し、年間電力使用量が5,000kWhを超える場合は支給額を1,500ズロチ(約4万5,000円)に増額する。さらに、省エネボーナスとして、2023年の電力使用量が2022年の90%以下となった場合、2023年の電力使用量のうち10%分を2024年に特別割引することも定めている。モスクワ気候環境相は、電気料金を凍結し、燃料費の上昇に伴う大幅な値上げの影響を受けないという安心感を保証することは、当初からの優先事項であるとコメントしている。
2022.10.07
フランス:政府、エネルギー節減計画を発表
フランス政府は2022年10月7日に公式サイトにおいて、個人向けの「エネルギー節減計画」を発表した。政府が前日に発表した、国、企業、自治体、市民など社会全体において2024年までにエネルギー消費量10%削減を目指す計画の一部であり、個人の対策と個人に対する政府支援に焦点を当てた内容となっている。主な内容として、ヒートポンプの設置に対する最大9,000ユーロの援助、ライドシェアの推奨(アプリ登録者に約100ユーロのボーナスを提供)、公務員の在宅勤務手当を15%増額(2.5ユーロ/日から2.88ユーロ/日へ)、公務員の公用車使用時の速度制限(高速道路は130km/hから110km/hに、自動車専用道では110km/hから100km/h)、個人の節減行動に対する手当の支給となっている。個人の節減行動としては、暖房の温度制限(リビング19℃、寝室17℃)、給湯器の温度を55℃に引き下げ、待機電力のカット、ピーク時における家電製品の使用回避などが推奨され、既にエネルギー小売事業者が発表している支援策を拡大する形で、エネルギー消費の削減量に応じて手当が支給される予定となっている(金額は後日公表)。なお、同計画に掲げる措置は強制力の伴わない努力目標であり、効果を疑問視する声もある。
2022.10.04
バングラデシュ:全土で停電が発生
2022年10月4日付の報道によると、バングラデシュで10月4日午後、全土に及ぶ大規模停電が発生した。同日14時5分に東部の送電網の故障により、すべての発電所が連鎖的にトリップし、北部の一部を除いて国土の80%が停電した。停電は約7-10時間続き、同日中に完全復旧した。政府電力局は10月5日現在、首都ダッカから北東40kmのゴラシャル地区にある変電所での故障が停電の引き金となった可能性があるとして調査している。
2022.10.04
ドイツ:RWE、2030年までに褐炭火力発電所を全廃止
ドイツ大手エネルギー事業者RWEは2022年10月4日、連邦経済・気候保護省(BMWK)およびノルトライン=ヴェストファーレン州政府との間で、褐炭火力発電所をこれまでの予定よりも8年早い、2030年に廃止することで合意したと発表した。同社は2038年末としていたNeurath褐炭火力発電所F号機およびG号機、Niederaussem褐炭火力発電所K号機(設備容量はそれぞれ100万kW)の廃止時期を8年間前倒し、2030年3月31日に廃止することとした。同社は国内では石炭火力を保有しておらず、褐炭火力廃止を進めることで同国内での同社の脱石炭・褐炭火力を達成することとなる。同社が脱褐炭火力を8年早めることにより、雇用に影響する従業員数が3,500人から5,500人に増加するが、同社と州政府は「脱褐炭火力の加速によって影響を受ける従業員への金銭的な支援と、他業務に就くための職業訓練などを強化する」と約束した。また、発電所跡地ではH2-Readyの天然ガス火力発電所(合計設備容量300万kW)を建設するとした。同国のショルツ政権は、連立契約書の中で「脱石炭火力は2038年から2030年に前倒しするのが理想的」と明記しており、今般の同社の発表は、この目標実現に向けての一歩になると報じられている。旧東ドイツのLausitz地区など2カ所にある褐炭採掘場と褐炭火力発電所の廃止についても、発電事業者、BMWK、州政府との間で今後協議が進められる予定。一方でRWEは、2022/2023年冬季の電力安定供給に向けて、脱石炭法の取り決めにより2022年末で廃止予定であったNeurath褐炭火力発電所D号機およびE号機(合計設備容量120万kW、運開1976年)を2024年3月末まで運転延長することも発表した。BMWKは2023年末までに、この2ユニットの運転延長期間を2025年3月末まで再延長するか、リザーブ電源として温存する必要があるかどうかを判断することとしている。
2022.10.03
米国:バージニア州知事、SMR新設を含む新エネルギー計画を公表
バージニア州のグレン・ヤンキン知事(共和党)は2022年10月3日、同州の新たなエネルギー計画を公表した。「The 2022 Virginia Energy Plan」と呼ばれる計画は、州議会の要請により同州エネルギー局が4年ごとに策定しているもので、包括的なエネルギー計画を定めている。同計画では、州内に原子力イノベーションハブを設置し、今後10年以内に商業用小型モジュール炉(SMR)を州南西部に配備することを提唱するなど、原子力分野への取り組みが含まれる。ヤンキン知事は、「同計画が承認されれば、あらゆるエネルギー資源を活用する“all-of-the-above”アプローチを取り、風力や太陽光などの変動性電源に硬直的に依存した従来の計画から脱却する」と述べており、水素、CCUS(二酸化炭素回収・有効利用・貯留)、SMRなどの革新的な新技術への戦略的な投資を求めている。なお、同計画の実現にあたって州議会の承認が必要であり、今後議論されるという。
2022.09.30
韓国:韓国電力公社、10月からの料金値上げを発表
現地紙は2022年9月30日、韓国電力公社が2022年10月からの電気料金値上げを発表したと報じた。それによると、今回決定された値上げは、国際エネルギー価格高騰のため累積した費用増加分などを反映したもので、上げ幅は、家庭用などはkWh当たり2.5ウォン(約0.3円)だが、産業用は最大11.7ウォン(約1.2円)とされた。これは、既に適用が発表されていた2022年度の基準燃料費引き上げ分(=4.9ウォン(約0.5円)/kWh)の外枠であり、合算での値上げ幅は、kWh当たり7.4ウォン(約0.7円)~16.6ウォン(約1.7円)となる。これにより、平均的な4人世帯の場合、約5.1%の負担増になると説明されている。
2022.09.30
中国:2大送電事業者間の新規連系設備が運開
現地紙は2022年9月30日、国有送配電事業者である国家電網有限公司と南方電網有限責任公司がそれぞれ運営する2大広域系統の新たな連系設備が運用を開始したと報じた。これは、福建省(国家電網)と広東省(南方電網)の基幹送電系統を連系するもので送電容量200万kW、総投資額は32億元(約640億円)である。なお、本案件建設にあたっては3Dシミュレーション、ドローン、AIセンサーなど多数のデジタル技術が駆使され、電力網の技術革新の成果が集約されたモデルとなったと報じられている。
2022.09.30
EU:EU、エネルギー価格高騰に対処するための緊急介入措置を採択
EUエネルギー閣僚理事会は2022年9月30日、「エネルギー価格高騰に対処するための緊急介入に関する規則案」について合意に達したと発表した。同規則案は同年10月上旬に書面手続きにより正式に採択される予定で、EU官報での公布後、緊急時の時限措置として2022年12月1日から施行される。同規則案に盛り込まれた3つの主要な措置のうち1つ目は、原子力発電と再生可能エネルギー(風力、太陽光、水力)発電事業者に関わる収入上限の設定である。上限は1MWh当たり180ユーロとし、各国政府はこの水準と卸電力市場価格の差額を徴収して家庭や企業に再分配する(この措置は2023年6月30日まで適用)。2つ目は、ガス、石炭、石油の生産・供給事業者への「一時的連帯拠出金」の適用で、2022~2023年の会計年度に計上された税引き前利益が過去4年の平均値を20%以上上回る場合、その超過分の一部を「特別利益」として各国政府が徴収する。この「一時的連帯拠出金」からの収入も、電力価格高騰に苦しむ企業や世帯への支援に回される。欧州委員会によれば、これら2つの措置による徴収額は約1,400億ユーロとなる見通しである。3つ目は、電力消費量の削減に関する合意であり、ピーク時の削減量を5%とする強制力のある目標と総消費量の削減量を10%とする努力目標が設定された。なお、もう一つの焦点であった輸入ガス価格に対する上限設定については、フランス、ベルギー、イタリア、スペインを含む15カ国が、ロシアからだけでなくすべての輸入ガスに対する価格上限の設定を主張するのに対し、ドイツやエストニアなど数カ国は、価格上限を設けるとノルウェーや米国といった「信頼できるパートナー」が他の供給先を優先しEUにガス供給がなされない可能性があると、意見が分かれたため検討継続とされ、同年10月7日にプラハで開催されるEU首脳会議と、10月11日から12日にかけて開催されるエネルギー相会合で再度、協議されることとなった。
2022.09.29
中国:天然ガスパイプライン「西気東輸」第4ルートの建設開始
現地紙は2022年9月29日、石油・ガス長距離パイプライン輸送を担う国有企業の国家石油天然気管網集団公司が中国と中央アジアとを結び、そして中国国内を東西に横断する天然ガスパイプライン「西気東輸」の第4ルートの建設を開始したと報じた。それによると、建設が始まった「西気東輸」第4ルートは中国-キルギスタン国境の新疆ウイグル自治区クズルス・キルギス自治州ウルグチャト県から寧夏回族自治区中衛市に至る3,340kmである。第4ルートは2024年の稼働開始を予定しており、「西気東輸」パイプライン全体での年間輸送能力は1,000億m3に達すると見込まれている。なお、「西気東輸」第4ルートは現行中期計画である第14次五カ年計画の重点プロジェクトとされている。
2022.09.28
英国:EDFエナジー、ハートルプールとヘイシャム両発電所の稼働延長を検討
フランス電力(EDF)の英子会社EDFエナジーは2022年9月28日、同社が英国で運転するハートルプール原子力発電所1、2号機(AGR、各65万5,000kW)およびヘイシャム第1原子力発電所A-1、A-2号機(AGR、各62万5,000kW)の稼働延長を検討すると発表した。深刻なエネルギー危機を受けたもので、現時点では両発電所は2024年3月に閉鎖される予定となっている。同社によると、今後数カ月の間に炉心を構成する黒鉛の状態を検査し、その結果とエネルギー危機の深刻さを踏まえて2024年3月以降に短期間延長するケースを検討するとのこと。同社はまた、2023~2025年にかけて英国内の原子力発電所の出力を維持するために、発電所のメンテナンス、検査、設備の更新に10億ポンド(約1,600億円)を投資する予定であると説明している。
2022.09.28
米国:フロリダ州、ハリケーン・イアンにより250万軒以上が停電
2022年9月28日15時過ぎに、フロリダ州の南西部沿岸(カヨ・コスタ島付近)へ上陸したハリケーン・イアン(上陸時「カテゴリー4」、最大瞬間風速約67m/s)の影響により、同州で最大250万軒以上が停電(29日19時時点)した。33の州とワシントンDCから計4万4,000人以上が応援要員として派遣され復旧作業にあたっているが、10月3日19時時点においても、依然として約52万軒が停電している。なお、同州最大の電気事業者であるフロリダパワー&ライト(FPL)社は10月3日、同社サービスエリア内の復旧が7日までにはほぼ完了するとの見通しを発表した。この見通しは当初の予想よりも2日程度早いという。同社は、9月29日に米国連邦航空局(FAA)により、固定翼型ドローン「FPL Air One」の飛行許可を得ており(商業的に使用する企業としては同国初)、迅速な被害状況の把握に努めていた。
2022.09.28
米国:ボルタス社、電気スクールバスを用いV2Gサービスを提供
分散型エネルギー資源(DER)ソフトウェアプラットフォーム大手のボルタス社は2022年9月28日、北米の車両電化サービス大手であるハイランド・エレクトリック・フリート社(年間定額料金のみでフルサービスの電化ソリューションを提供)と共同で、メリーランド州のモンゴメリー郡公立学校(MCPS)の電気スクールバスを利用した系統信頼性に関するサービス(瞬動予備力)をPJM卸電力市場に提供すると発表した。電気スクールバスは、民生用電気自動車(EV)に比べてバッテリーサイズが大きく、充放電のスケジュールを予測しやすいことがメリットである。ボルタス社によると、同社のプラットフォームにより約2.6GWのDERが既に米国およびカナダの卸電力市場にアクセスを有しているとしている。
2022.09.27
ドイツ:政府、2023年1月以降の原子炉2基の運用について事業者と基本合意
ドイツの経済・気候保護省(BMWK)は2022年9月27日、ネッカー原子力発電所2号機(PWR、140万kW)とイザール原子力発電所2号機(PWR、148万5,000kW)について、2023年1月以降の運用に関して事業者と基本合意に達したと発表した。BMWKは同年9月5日、2022年末に閉鎖予定だったこれら原子炉2基を、2023年4月中旬まで予備力として利用可能にすると発表していた。今回の合意により、事業者は2022年12月31日以降、最長で2023年4月15日まで設備が稼働できるために必要な準備を開始する。ハーベックBMWK大臣は今回の発表において、フランスの原子力発電所の稼働状況が改善しない場合には、この2基について2023年の第1四半期も継続して運転する必要性があると説明した。また、ネッカー2号機の運用者であるEnBWによれば、ドイツ政府は、2022年12月初旬までに2023年以降の設備運用方法について最終的な決定を行い、必要に応じて2023年1月初めにEnBWに対して同号機の再稼働を要請するとしている。
2022.09.26
中国:新エネルギー車向け購入税免除が2023年末まで延長
現地紙は2022年9月26日、財政部(日本の「省」に相当)、税務総局などが新エネルギー車(NEV)に対する購入税免除の延長を発表したと報じた。通常の場合、自動車を購入する際には、10%の車両購入税が賦課されるが、この免税措置が2023年末まで延長されることとなる。この措置は2014年から導入されているが、当時年間7万5,000台だった販売台数は2021年には350万台に増加しており、非常に効果的だったとされている。
2022.09.19
マレーシア:政府、国家エネルギー政策2022-2040を発表
マレーシア政府は2022年9月19日、国家エネルギー政策2022-2040(DTN)を発表した。DTNはエネルギー部門における包括的な政策の方向性を示すものであり、12の戦略と31のアクションプランが示されている。新たに国家エネルギー評議会(MTN)を設置し、技術の進歩や社会経済状況、エネルギー源のバランスなどを踏まえDTNを3年ごとに更新する。DTNには、2050年のカーボンニュートラル達成を見据えた国家低炭素化計画2040も含まれており、2040年までに達成すべき9つの項目として、電気自動車の利用率38%や、B30(軽油にバイオディーゼルを30%混合した燃料)の大型車両での使用、産業・商業用11%および家庭用10%の省エネなどが挙げられている。マレーシアのイスマイル・サブリ首相は、この国家低炭素化計画2040の実施によって、GDPの年間130億リンギット(約4,000億円)拡大と20万7,000人以上の雇用創出が期待される、と述べている。
2022.09.23
米国:DOE、クリーン水素戦略・ロードマップの草案を公表
米国エネルギー省(DOE)は2022年9月22日、国家クリーン水素戦略・ロードマップ(National Clean Hydrogen Strategy and Roadmap)のドラフトを公表した。ドラフトによれば、米国は2030年に1,000万t、2040年に2,000万t、2050年に5,000万tのクリーン水素を導入する機会があるという。クリーン水素の導入により2050年には、2005年比で10%の温室効果ガス排出量を削減できるとしている。コストについては、2021年6月にDOEが示したhydrogen shotのとおり、10年間でクリーン水素の製造コストを1kg当たり1ドル以下に削減するとしている。また、戦略はクリーン水素ハブのような地域的なネットワークの構築に焦点を当てており、水素の需要と供給の場所が近接することで長距離インフラの必要性が減り、低コストで水素市場を拡大できると説明している。DOEは現在、ドラフトに対する意見を募集しており、最終版は今後数カ月のうちに発表される予定。なお、インフラ投資・雇用法(2021年11月15日成立)は、水素戦略・ロードマップを法律の成立から180日以内に議会へ提出するよう求めていたが、公表は大幅に遅延した。
2022.09.21
カンボジア・シンガポール:クリーンエネルギー移行に関する協力で合意
2022年9月21日付報道によると、カンボジアとシンガポール両政府はエネルギー分野での協力を深化させることで合意し、16日に共同声明で公表した。カンボジアのスイ・セム鉱山エネルギー大臣とシンガポールのタン・シー・レン労働者・第二貿易産業大臣が第40回ASEANエネルギー大臣会合(AMEM)の会期中にオンライン会議において合意した。両国は2013年のシンガポール国際エネルギー会合においてエネルギー分野での協力に関する覚書を締結しており、今回の合意はクリーンエネルギーへの移行に関する両国の協力を一層深化させることとしたものである。スイ・セム大臣は、「カンボジアのエネルギー転換と電力取引を進めるために、シンガポールからの再生可能エネルギー等の分野への投資を歓迎する」と述べた。またタン大臣は、「両国がクリーンなエネルギー源に移行し、今世紀半ばまでにネットゼロを達成するために、それぞれの役割を果たすことを約束する」と述べ、また「地域の相互接続性、エネルギー安全保障、持続可能性を強化するための、より広範なアセアン電力網のビジョンを実現するための一歩となる」とも述べた。
2022.09.21
ドイツ:ドイツ政府、救済プログラムを修正しUniper株式98.5%を取得
ドイツ連邦政府、ドイツのエネルギー大手Uniper、同社の筆頭株主であるフィンランドのエネルギー大手Fortumの3者は2022年9月21日、ドイツのエネルギー供給の安定化を図るため、同年7月22日に発表したUniper救済プログラムを修正し、Uniperをドイツ政府の完全管理下に置く基本合意に至ったと発表した。7月の救済プログラムでは、ドイツ政府の約3億ユーロの出資によりUniper株式30%を取得し、更なる状況の悪化の場合には強制転換社債を引き受け最大77億ユーロ追加出資するとしていたが、同プログラムの発表以降、同社の収支状況は急速に悪化、そのため手続きを簡素化し1株1.70ユーロの新株発行により80億ユーロの増資を実施し、ドイツ政府がこれを引き受けることとした。さらに増資完了後、ドイツ政府はFortumが保有するUniperの全株式を約5億ユーロで取得する予定で、これによりドイツ政府のUniper株式保有比率は約98.5%となる見込みである。また、今回の合意には、(1)増資完了までの間、政策金融機関の復興金融公庫(KfW)が、必要に応じてUniperにつなぎ融資を提供すること、(2)ドイツ政府はFortumがUniperに提供した40億ユーロの融資を返済するとともに、Fortumの40億ユーロの債務保証を解除すること、(3)Uniperが2026年末までにスウェーデンの水力発電、原子力発電資産の全部または一部を売却する場合、Fortumが優先交渉権を持つことも含まれる。なお、今回の合意は規制当局の認可とUniperの臨時株主総会での承認を条件として、2022年末までに手続きを完了する予定とされている。今回の決定について、ドイツ連邦経済・気候保護省(BMWK)は「Uniperはドイツの天然ガスの約40%を供給しており、シュタットヴェルケや製造企業約200社に天然ガスを供給している。このためUniperが倒産した場合、シュタットヴェルケなどが天然ガスの供給を受けられなくなって連鎖倒産が起き、ドイツ経済に大きな混乱が生じる可能性が高く、政府は国有化に踏み切ることとした」と説明している。また、FortumのMarkus Rauramo CEOは「欧州エネルギー市場の現状とUniperの財務状況の厳しさを考慮すれば、同社の売却は同社だけでなくFortumにとっても正しい措置である。ロシアがウクライナに侵攻して以来、欧州におけるガスの役割は根本的に変化し、ガス重視の事業ポートフォリオの将来性はない」「Uniperの売却は、会社、従業員、投資家にとって痛みを伴うステップだが、Fortumは将来を見据え、コア事業である北欧のCO2フリー電力・熱供給、持続可能な顧客ソリューションに注力していく」とコメントしている。
2022.09.21
英国:政府、法人向け料金支援の詳細を発表、今冬の卸価格の半分程度を補助
ビジネス・エネルギー・産業戦略省(BEIS)は2022年9月21日、法人(企業、慈善団体、学校、病院など)向け電気・ガス料金の高騰に対する支援策として「Energy Bill Relief Scheme(EBRS)」を発表した。トラス首相は9月8日に家庭向け料金の支援策(Energy Price Guarantee)を発表しており、法人向けにも同等の支援を行うとしていたが、支援幅などの詳細は不明であった。今回の発表によると、EBRSでは、変動料金で契約中の法人や2022年4月以降に固定料金で契約した法人に対し、2022年10月から6カ月間、電気・ガス料金単価のうち卸価格分を減額する形で支援する。具体的には、BEISの今冬の卸価格予想(電気:60ペンス/kWh、ガス:18ペンス/kWh)に対し、電気で21.1ペンス/kWh、ガスで7.5ペンス/kWhを減額するもので、今冬予想される卸価格の半分をやや下回る金額に相当する支援となる。なお、上記支援額は標準モデルであり、政府が小売事業者に対し補填する金額は、小売事業者と法人の各契約(例えば固定料金契約時の設定単価など)により異なる。
2022.09.20
中国:政府、使用済太陽光発電設備のリサイクル推進が急務との見解
工業情報化部(日本の「省」に相当)は2022年9月20日、「新時代の産業情報化発展」をテーマにした記者会見で、使用済太陽光パネルのリサイクル推進や炭素排出量の検証などに関する基準整備や政策策定を急ぐ必要があるとの見解を示した。中国では太陽光発電市場の規模拡大により、太陽光発電設備の新規設置量は2021年度も5,488万kWに達し、9年連続で世界一となっている。一方で、それに伴って使用済太陽光発電設備も将来急増する見込みである。工業情報化部では、廃棄設備が急増する時期の環境影響を考慮し、現在から回収・利用に関するプラットフォーム構築などその対応を準備しておくことが喫緊の課題と認識している。工業情報化部は、他省庁との連携に加え、国際協力の強化も方針としている。
2022.09.20
米国:EBCE社、CA州需給ひっ迫時のDR実績を発表
カリフォルニア(CA)州のコミュニティ・チョイス・アグリゲーター(CCA)の1つであり、アラメダ郡を中心に運営する非営利組織のEast Bay Community Energy(EBCE社)は2022年9月20日、同州で需給ひっ迫が発生した9月1~8日の需要が増加する時間帯(16~21時)に計110万kWhの電力をグリッドに供給し、需給ひっ迫の解消に貢献したことを発表した。EBCE社は、住宅用太陽光発電メーカーSunrun社の協力のもと、太陽光発電と蓄電池の設置を進めており、設置費用に対してインセンティブを設けるプログラム(Resilient Home program)などにより、ここ2年間で1,000件以上の顧客が加入してきた。Sunrun社のデータによると、今回グリッドに供給された110万kWhのうち、5.5万kWhはこれらの顧客によるものであるという。本期間におけるEBCE社から顧客への報酬は不明である。なお、同州3大IOUが実施する報酬付の緊急時負荷削減プログラム(ELRP)は、同州公益事業委員会(CPUC)の規則により、他のDRプログラムとは重複できないことになっているため、IOUから顧客への報酬は支払われない。そのため一部の関係者からは、需給ひっ迫への貢献分に対しては報酬が支払われるべきとの声も上がっており、EBCE社CEOであるNick Chaset氏も「今夏以降、ELRPの制度見直しを期待したい」と述べている。
2022.09.16
豪州:大規模グリーン水素製造事業に三井物産が参画
エネルギー情報誌は2022年9月16日、西オーストラリア州の大規模グリーン水素製造事業に三井物産が参画することになったと報じた。フランスの大手エネルギー事業者Engie傘下の事業会社の株式28%を取得することに合意したもの。Yuri projectはEngieの子会社が実施するもので、1万kWの水電解装置と1万8,000kWの太陽光発電、8,000kWのバッテリーを設置してグリーン水素を年間640t製造する事業である。製造した水素はノルウェーの大手肥料事業者Yara社の子会社が運営する工場に販売され、グリーンアンモニア製造に使用される。オーストリアでは多くのグリーン水素事業が計画されているが、現在稼働している事業は1,250kWの水電解装置が最大である。Yuri projectは2022年11月に建設が開始され、2024年に稼働する計画で、総事業費8,700万豪ドル(約84億円)のうち4,750万豪ドル(約45億円)は連邦政府の補助金が充てられる予定である。
2022.09.15
中国:太平洋島嶼国と気候変動に関する会議を開催
生態保護部(日本の「省」に相当)は2022年9月15日、北京で9月14日に開催した気候変動に関する中国と太平洋島嶼国との対話・交流会議の内容を明らかにした。この会議では、中国の解振華・気候変動特別代表とトンガ、フィジー、ミクロネシア、ソロモン諸島など太平洋島嶼国7カ国の代表が11月に開催予定の第27回国連気候変動枠組締約国会議(COP27)における議題など、気候変動に関する協力について意見交換を行った。また、同会議の席上、中国側は、島嶼国での低炭素実証地域の建設、気候変動の緩和・適応プロジェクトの実施、人材育成などに対しての支援も表明した。
2022.09.15
ウクライナ:IAEA理事会、ザポリージャの管理権の引き渡しをロシアに要請
国際原子力機関(IAEA)理事会は2022年9月15日、ロシアに対し、ウクライナのザポリージャ原子力発電所に対する、および同発電所におけるあらゆる行動を停止するよう求める決議を、賛成26、棄権7、反対2で可決した。反対票を投じたのはロシアと中国の2カ国で、エジプト、南アフリカ、セネガル、ブルンジ、ベトナム、インドおよびパキスタンが棄権した。決議は、ロシアがIAEA理事会の呼びかけに応じず、ウクライナの原子力施設に対するすべての行動を直ちに停止しないことに重大な懸念を表明している。IAEAのグロッシ事務局長は同月1日、同発電所の被害状況の視察と安全・セキュリティ評価のためにミッションを先導し、IAEAの職員2人が現在も駐在を続けている。同事務局長は、同発電所とその周辺を安全保障区域にすることについて、ウクライナとロシアの双方と話し合いを始めているという。
2022.09.15
EU:欧州委員会、エネルギー価格高騰対策の追加政策を提案
エネルギー情報誌は2022年9月15日、欧州委員会(EC)が新たなエネルギー価格高騰対策を提案したと報じた。これらは9月9日にエネルギー関係閣僚会合で議論した政策のうち、おおむね合意が得られたものを具体化したものである。一つ目は電力のピーク需要を5%削減することにより電力料金を低減するもので「拘束力を持つ」ものとして提案された。また2023年3月末までの電力需要全体を10%削減することもあわせて示された。ECはこれにより2022/2023年の冬季に12億m3のガスが節約できると説明している。二つ目は(ガス以外の)再エネや原子力など安価な燃料で発電する事業者に対して一時的に利益の上限を設定するもので、ECの提案は180ユーロ/MWh(約25.2円/kWh)を収益の上限とした。三つ目は石油・ガス生産者、製油所などに対して「貢献を求めるもの」で、加盟国は対象となる事業者の過去3年間平均の120%を超えた利益を対象として徴税する。このような対策により1,400億ユーロ(約20兆円)が集められ、消費者保護などに使われる。ECが提案したこれらの政策は今後、加盟国と協議することになる。
2022.09.14
EU:欧州議会、再エネ指令とエネルギー効率化指令の改正案を採択
欧州議会は2022年9月14日、エネルギーミックスに占める再生可能エネルギーの割合を2030年に45%へ引き上げる「再生可能エネルギー指令改正案」、およびEU全体のエネルギー効率化目標を最終エネルギー消費ベースで40%削減とする「エネルギー効率化指令改正案」を採択したと発表した。これらの法案については、これまで、2021年7月に欧州委員会が、再エネ比率については2030年目標を現行指令上の32%から40%に引き上げ、エネルギー効率化については最終エネルギー消費ベースで36%削減を目標とする案を提示し、EU理事会(閣僚理事会)は2022年7月に欧州委員会案に合意していた。しかし、この過程において欧州委員会は、ロシアのウクライナ侵攻を受けて、ロシア産化石燃料依存からの早期脱却を目指すREPowerEUを発表。この中で2021年7月に示した目標の更なる引き上げ(再エネ比率目標は40%から45%へ、効率化目標は36%から40%へ)を提案していた。なお、欧州議会が今回採択した両改正案については、今後、EU理事会との交渉を経て決定される予定である。
2022.09.13
中国:国務院常務会議、新規サイトを含む原子力発電所4基の開発を承認
国務院常務会議(閣議に相当)は2022年9月13日、新規サイトとなる広東省の廉江原子力発電所1、2号機および福建省の漳州原子力発電所3、4号機の計4基の開発計画を承認した。国家電力投資集団公司(SPIC)傘下の開発プロジェクトである廉江原子力発電所は、全部で原子炉6基の開発を予定し、1期プロジェクトの1、2号機(125万kW×2)は、米国ウエスチングハウス社製の「AP1000」を中国版標準設計に改良した「CAP1000」を採用する。一方、漳州原子力発電所3、4号機(121万2,000kW×2)は、中国核工業集団有限公司(CNNC)傘下の開発プロジェクトで、国産技術「華龍1号」の採用を予定している。現在中国の第3世代炉の投資額は、1基当たり約200億元(約4,000億円)で、上記4基の合計投資額は最大800億元(約1兆6,000億円)となる。政府は2022年に入ってから計10基の原子炉開発を承認しており、2008年に承認された14基に続き、承認数が多い年となっている。
2022.09.12
米国:SDG&E社、天然ガスパイプラインへの水素混合の実証試験実施を申請
カリフォルニア州3大私営電気事業者の一つであるサンディエゴ・ガス・アンド・エレクトリック(SDG&E)社は2022年9月12日、天然ガスパイプラインへの水素混合に関する実証プロジェクトの実施を同州公益事業委員会(CPUC)に申請した。カリフォルニア大学サンディエゴ校の敷地内で、プラスチック製パイプに水素を最大20%まで混合する試験を行う。実施期間は2024年後半から2026年前半を計画している。CPUCはこれに先立つ2022年7月に、水素混合に関する調査研究報告書(研究室レベルの知見)「Hydrogen Blending Impacts Study」を発表し、この中で実環境における実証試験の必要性を示していた。今回の同社の申請はそれを踏まえたものである。
2022.09.10
EU:加盟国閣僚がエネルギー価格高騰対策を議論も、結論は先送り
フランスの石油大手TotalEnergiesは2022年8月26日、同社が保有するTerNefteGaz(ロシアのTermokarstovoyeガス田を運営)の株式49%売却に関する契約を、ロシアのガス生産・販売会社Novatek(TotalEnergiesが19.4%出資)と締結したと発表した(売却額は未公表)。なおTotalEnergiesは、Novatekの株式の扱いについてはコメントを控えている。TotalEnergiesは、同年3月にロシア関連の事業に対する行動原則として「ロシアのウクライナへの軍事侵攻を断固として非難する。ロシア資産の運用にどのような影響が出ようとも、欧州におけるロシアへの制裁方針を厳格に順守する」と表明。この原則のもと同社は、欧州のエネルギー安定供給に貢献しないロシアでの活動を段階的に停止していくとし、同年7月にはロシアのKharyag(ハリヤガ)油田に保有する20%の権益をロシア国営石油会社Zarubezhneft(ザルベジネフチ)に売却し同事業から撤退している。今回のTerNefteGaz株式売却もその段階的停止の一環とする。また、この発表に先立つ同年8月24日には、フランス現地紙がTerNefteGazの生産するコンデンセートがロシア軍の戦闘機の燃料として用いられたとする国際NGOの調査結果を掲載し、TotalEnergiesをロシアの軍事侵攻に加担したと非難。これに対し同社はこの記事に反論する内容のプレスリリースを繰り返し発表していた。
2022.09.08
タイ:中国EV大手BYD 東南アジア初となるEV工場をタイに建設
2022年9月8日付報道によると、中国のEVメーカーBYDは同日、東南アジアで初となるEV生産工場を建設するため、タイ最大の工業団地開発業者であるWHA Corpとの間で土地購入契約に調印した。年間15万台の生産能力を持つ同工場は2024年に操業を開始し、主に東南アジアとヨーロッパ向けに輸出する計画である。タイの東部経済回廊事務局によると、BYDはEV生産に約300億バーツ(約1,183億円)を投資する計画であり、タイの投資委員会(BOI)は先月、BYDがタイでEVとプラグインハイブリッド車を生産する180億バーツ(約705億円)の計画を承認した。タイでは、2030年までに国内のEV生産台数を自動車生産台数の少なくとも30%にすることを目指している
2022.09.07
中国:四川省の地震で、7カ所の水力発電所が損傷
水利部(日本の「省」に相当)は2022年9月7日、四川省カンゼ・チベット自治州・瀘定(るてい)県で9月5日に発生したマグニチュード6.8の地震の影響で、7カ所の水力発電所で損傷が発見されたことを明らかにした。損傷が発見された水力の具体的地点名や設備容量は明らかにされていないが、7カ所のうち中型水力(5万~30万kW)が1カ所で、残りは小水力であった。水利部は、これら水力の損傷状況について、更なる調査が必要としている。水利部は、地震発生の翌日から、緊急対策チームを派遣して震源地周辺における延べ1,104カ所の水力発電所などを点検、その被害状況の把握に努めている。
2022.09.07
ドイツ:原子力発電所2基をリザーブとして維持する方針に対して事業者が反発
2022年9月7日付の報道によると、「ドイツ南部の原子力発電所2基を2023年4月まで緊急時用のリザーブとして維持する」という連邦政府の決定に対して、事業者は「技術的に不可能」と反発している。イザール原子力発電所2号機(PWR、148万5,000kW)を運転するプロイセンエレクトラ(PreussenElektra)は同6日、連邦経済・気候保護省(BMWK)のGraichen事務次官に宛てた書簡で「原子力発電所を完全に停止した場合、限られた炉心のエネルギーでは短期間での再稼働や需要に応じた出力調整は不可能」と訴えた。BMWKのハーベック大臣はPreussenElektraの主張に対して、「同社はリザーブの意味を理解していない」と反論した。BMWKは、今冬のドイツおよび欧州の電力需給状況や送電系統運用者によるストレステストの結果を踏まえて2023年1月以降も原子力発電所を稼働させるかを判断するが、事業者に対して短期間での再稼働や停止を求めることはないとしたうえで、事業者と再度協議する姿勢を示している。
2022.09.07
米国:EIA見通し、今冬ガス価格は前年比2倍の9ドル超、卸電力価格に波及
米国エネルギー情報局(EIA)は2022年9月7日に発表した短期エネルギー見通しで、米国の天然ガス指標価格であるヘンリーハブ価格はこの冬も高止まりし、2022年第4四半期の平均で約9.03ドル/MMBtuと、前年同期の4.77ドル/MMBtuと比べて89%の上昇になるとしている。その後は、天然ガスの生産量増加に伴い低下し、2023年の平均は6.01ドル/MMBtuになるとしている。天然ガス価格の高騰は、卸電力価格にも波及する。特に、冬季の電力・ガス需要が大きい北東部のニューイングランド地域とニューヨーク州への影響は大きい。EIAが予想するISOニューイングランド(ISO-NE)の卸電力価格は、2022年第4四半期平均で107ドル/MWh(前年同期66ドル)、2023年第1四半期で169ドル/MWh(前年同期116ドル)。ニューヨークISO(NYISO)の卸電力価格は、2022年第4四半期平均で116ドル/MWh(前年同期58ドル)、2023年第1四半期で158ドル/MWh(前年同期100ドル)となっている。
2022.09.06
ハンガリー:電力生産と貯蔵能力向上のため最大160億ユーロを投資
2022年8月22日付の現地報道によると、デンマークの首都コペンハーゲンが2025年までの脱炭素化目標を断念することになった。2009年より、コペンハーゲンは世界初のカーボンニュートラルな首都を目指し、ハンガリー技術・革新省は2022年9月6日、国内の電力生産と貯蔵能力を高めるために最大160億ユーロを投資し、ロシアからの天然ガス輸入依存を抑えることを目指すと発表した。ハンガリーはガス供給の大部分をロシアに依存しており、2021年に15年間の長期供給契約を締結している。同省は今回の発表に当たって、最終エネルギー消費量に占める天然ガスのシェアを2021年の35%から2030年には26%、2050年には15%へと減らすことを目標に掲げている。また、太陽光発電容量を2024年までに8GW、2030年までに14GWへ拡大し、2GWのパクシュ原子力発電所の寿命を20年間延長するとしている。技術・革新省のラースロー・パルコヴィッチ大臣は「電力網の整備と太陽光発電所周辺の蓄電能力は、あるべき水準に達していない」と述べ、10月にさらに詳細な計画の概要を発表する予定であると付け加えた。
2022.09.05
英国:保守党党首選の結果、新首相はトラス氏に決定、光熱費抑制が急務
2022年9月5日、与党保守党の党首選の結果が公表され、トラス外相がスナク前財務相を破り新首相(ジョンソン首相の後任)として就任することとなった。今回の党首選では、2021年後半から続いているエネルギー価格の高騰とそれに伴う電気・ガス料金の上昇が主な争点となり、新首相就任後の料金高騰抑制策が注目されていた。英国では8月26日に規制機関(OFGEM)が一般家庭向け電気・ガス料金の上限を現行の1,971ポンド(約32万円)(標準的な家庭の年間料金)から10月以降3,549ポンド(約58万円)に引き上げることを発表しており、エネルギー貧困世帯の急増が危惧されている。2022年9月6日付の主要紙報道は、料金高騰抑制策を全家庭対象とするかエネルギー貧困世帯に対象を絞るのかが注目されるとの見方を示し、トラス次期首相は8日(現地時間)までに対策案をまとめる方針であると伝えている。料金高騰抑制策の対象家庭選定時の争点としては、全世帯を対象とした場合、エネルギー使用量の多い富裕層に有利となり政府支出も増えることが指摘されており、エネルギー貧困世帯に対象を絞る場合は10月の値上げ前までの速やかな支援の実施が難しいことが課題とされている。また、商業・産業用需要家に対する支援も課題として残っている。なお、別の主要紙の6日付速報によると、トラス次期首相は今後1年半で約1,300億ポンド(約21兆円)の政府支出を行い、一般家庭料金の上限を現行の1,971ポンドに据え置く方針であることを伝えている。この報道によると、トラス氏は党首選において、8月上旬時点ではエネルギー料金補助の追加について否定的な考えを示していたものの、OFGEMの上限引き上げ発表以降、料金補助の金額を現在予定の400ポンドから1,000ポンドに引き上げるプランに方針を転換した。しかし、最終的には料金補助では不十分との見方が強まり、料金を据え置く案が浮上したとしている。
2022.09.04
ウクライナ・ドイツ:ウクライナ首相、ドイツへの電力供給を提案
2022年9月4日付の報道によると、ウクライナのシュミハル首相はドイツ通信社のインタビューで、ロシアへのエネルギー依存脱却を図るドイツに対し国内原子力による電力輸出を行い支援したいと述べた。ウクライナは現在、モルドバ・ルーマニア・スロバキア・ポーランドに合計40万~60万kWh/日の電力輸出を行っており、外貨獲得のため今後さらに拡大する方針である。なお、同首相は同日にドイツのショルツ首相とベルリンで会談した際、電力供給の提案と引き換えに、ドイツ製の主力戦車レオパルト2の提供を求めたという。
2022.09.03
インドネシア:ネットゼロへ向けたロードマップを公表
2022年9月3日付報道によると、インドネシア・エネルギー鉱物資源省(MEMR)は国際エネルギー機関(IEA)と協力し、同国のエネルギーセクターにおけるネットゼロに向けたロードマップを公表した。同省のアリフィン・タスリフ大臣によると、ロードマップで示した行動計画には、太陽光・水力・地熱に焦点を当てた大規模な再エネ開発、石炭火力発電所の段階的停止、系統連系、CO2の回収・利用・貯留(CCS・CCUS)技術の導入、EV導入、産業・輸送・建設分野への省エネ機器の導入、原子力・水素・アンモニア等の新エネルギーの利用が含まれている。同大臣は国際的な支援や協力を含む次世代技術の研究・開発・応用の必要性を強調し、IEAのFatih Birol事務局長は再生可能エネルギーへの移行と石炭への依存を減らすために同国が政策の改革を確実に行う必要があると指摘している。
2022.09.02
中国:発電会社上海電力の福島でのメガソーラーが発電開始
現地紙は2022年9月2日、国有発電大手・国家電力投資集団有限公司傘下の上海電力有限公司の日本子会社が投資している福島県におけるメガソーラーが系統連系・発電を開始したと報じた。同案件は、福島県・西郷村における東京ドーム12個分に相当する59ヘクタールの敷地に設置されたもので、設備容量は7万6,500kW、年間発電電力量は8,206万kWh、卸料金は1kWh当たり44円(税込)と報じられている。同社は2014年に日本進出を果たし、これまでに大阪市や栃木県那須烏山市、静岡県富士宮市などでメガソーラー事業を展開している。
2022.09.02
フランス:エネルギー移行大臣、今冬の供給制限回避の可能性に言及
アニエス・パニエ=リュナシェ・エネルギー移行大臣は2022年9月2日、マクロン大統領が議長を務め、ガスと電気の供給状況を把握し、今冬の供給不足を回避するためのシナリオを検討するために開催された防衛会議(Conseil de défense:本来、国防と安全保障の協議に限定されたものだが、マクロン大統領は新型コロナ対策のため同会議を度々開催)の後の記者会見において、フランスは「節制と欧州の連帯」のおかげでエネルギー供給に関し拘束力のある制限措置の実施を回避することができるだろうと述べた。フランスでは、ロシアのウクライナ侵攻以降、ロシアへの制裁措置の報復としてロシアからのガス供給が制限される中、同年8月30日にはロシアガス大手Gazpromがフランスエネルギー大手Engieへのガス供給を9月1日以降、完全に停止すると発表。また56基の原子炉のうち32基が点検などの理由により停止されている状況の下で、エネルギー関連の閣僚が出席し今回の会議は開催された。パニエ=リュナシェ大臣は、ガス配給制度のような拘束力のある措置を避けるための4つの手段について説明。1つ目は供給力の確保。ガス備蓄率に関しては、92%に到達し目標を2カ月前倒しで達成、冬までの100%到達に自信を示した。また、原子力について、EDFは今冬までに予定される原子炉の再稼動を約束。政府としては、状況を注視していくとした。2つ目は、欧州の隣国との連携。とくにスペイン、ドイツとガス・電気の融通を強化するとした。3つ目は節制(省エネ)。特に重要なのは暖房の最高温度設定であり、それ以外にも温水、照明などにも数値目標を定めるとした。4つ目は、各種対策のスケジュール管理。9月中旬に送電系統運用者RTEが今冬のシナリオを提示し、10月以降はそのシナリオをもとに政府として進捗を管理していくと述べた。
2022.09.02
米国:ディアブロキャニオン発電所、5年間の運転延長を可能にする州法が成立
カリフォルニア州のニューサム知事(民主党)は2022年9月2日、2025年までに閉鎖予定のディアブロキャニオン原子力発電所(PWR、117万kW×2基)の運転期間を最長5年間延長させることを可能にする法案に署名し、同法は成立した。同知事は同年4月、同発電所は、エネルギー省が既存原子炉の閉鎖回避を目的に新設した「運転継続支援プログラム」の適用を受けて運転期間を延長すべきとの考えを明らかにしており、同プログラムの初回分の申請期限の9月6日が迫る中での成立となった。実際に延長するには原子力規制委員会(NRC)の認可を得る必要がある。同知事は8月12日に州議会に対し、運転期間を5~10年延長して運転者のPG&E社に最大14億ドルの融資を行う法案を通すことを求めた。これを受けた一部議員は、融資額はそのままとする一方、延長期間を最大5年にするなどとした法案を同月28日に議会に提出。議会会期末の同月31日から翌未明にかけて、上下両院がそれぞれ可決していた。
2022.08.31
中国:陸豊原子力5、6号機(広東省)の環境影響評価を認可へ
中国生態環境部(環境省に相当)は2022年8月31日、前日30日の幹部会議で、中国広核集団有限公司(CGN)が開発している広東省の陸豊原子力発電所5、6号機(華龍1号)の環境影響評価審査(建設段階)が行われ、原則として認可する方針になったと明らかにした。審査会では、計画中の2基について検査、監督管理を強化し、安全管理システムの効果的な運用と安全リスクの防止について、事業者が全面的に責任を担うよう促すことが必要であるとした。また、原子力発電所の環境影響評価の事後監督を強化し、原子力発電所の建設が生態環境保護に関する法律や基準に適合するよう、事業者に規制要件の実施を促すべきとした。なお、当該2基の建設認可は国務院(内閣府に相当)が同年4月に承認している。
2022.08.31
米国:ニューサムCA州知事、猛暑による需給ひっ迫で「非常事態宣言」発表
米国西部カリフォルニア(CA)州では2022年8月31日(水)からは猛暑に見舞われており、カリフォルニアISO(CAISO)は9月5日に電力需要が48GWを超えて年間最高レベルに達すると予測した。これを受けて、CA州のニューサム知事は2022年8月31日、予想される猛暑の間、供給信頼度を確保するための行動を取ることが必要であるとし「非常事態宣言」を発令した。同宣言には排水要件に関する規定について運転継続を実施する火力発電所に対しては一時的に停止することなどが含まれる。同知事は州の再エネおよびゼロ炭素エネルギーの発電・貯蔵能力は大幅に拡大したが、サプライチェーンの混乱により2022年現在、再エネ導入量は鈍化し、猛暑による電力需要の増加に追い越されたとし、州内の発電所が需要増を満たすためには可能な限り多くの電力を発電することが重要であるとしている。
2022.08.26
フランス:TotalEnergies、ロシアTermokarstovoyeガス田の権益を売却
フランスの石油大手TotalEnergiesは2022年8月26日、同社が保有するTerNefteGaz(ロシアのTermokarstovoyeガス田を運営)の株式49%売却に関する契約を、ロシアのガス生産・販売会社Novatek(TotalEnergiesが19.4%出資)と締結したと発表した(売却額は未公表)。なおTotalEnergiesは、Novatekの株式の扱いについてはコメントを控えている。TotalEnergiesは、同年3月にロシア関連の事業に対する行動原則として「ロシアのウクライナへの軍事侵攻を断固として非難する。ロシア資産の運用にどのような影響が出ようとも、欧州におけるロシアへの制裁方針を厳格に順守する」と表明。この原則のもと同社は、欧州のエネルギー安定供給に貢献しないロシアでの活動を段階的に停止していくとし、同年7月にはロシアのKharyag(ハリヤガ)油田に保有する20%の権益をロシア国営石油会社Zarubezhneft(ザルベジネフチ)に売却し同事業から撤退している。今回のTerNefteGaz株式売却もその段階的停止の一環とする。また、この発表に先立つ同年8月24日には、フランス現地紙がTerNefteGazの生産するコンデンセートがロシア軍の戦闘機の燃料として用いられたとする国際NGOの調査結果を掲載し、TotalEnergiesをロシアの軍事侵攻に加担したと非難。これに対し同社はこの記事に反論する内容のプレスリリースを繰り返し発表していた。
2022.08.26
英国:規制機関、2022年10月からの電気・ガス上限価格を大幅引き上げ
エネルギー規制機関のガス・電力市場局(OFGEM)は2022年8月26日、価格上限規制の上限を現行(2022年4月から半年間)の1,971ポンド(約32万円)から2022年10月以降(2022年12月末まで)3,549ポンド(約58万円)に引き上げると発表した(この金額は標準的な家庭のガス・電気使用量(電気:2,900kWh、ガス:1万2,000kWh)をもとにした年間の支払い額であり、実際の単価は需要地域、契約事業者、支払方法、使用量などにより異なる)。OFGEMのプレスリリースによると、平均単価は、電気で従量料金52ペンス/kWh、基本料金46ペンス/日、ガスで従量料金15ペンス/kWh、基本料金28ペンス/日となる。料金の内訳で最も多くを占めるのは卸電力・ガスの費用(上記3,549ポンドのうち2,491ポンド)であり、現行の期間と比較し131%の上昇となる。なお、2021年10月から半年間の上限価格(2021年8月に設定)は1,278ポンド(約21万円)であった。報道では、上限価格が2023年第1四半期には約5,300ポンド(約86万円)以上、第2四半期には6,600ポンド(約107万円)以上に上昇するとの予想が伝えられている。OFGEMは、上限引き上げに伴い需要家を不当に高い料金から保護するための方策として、上限価格の内訳の一つである事業者利益について設定メカニズムの見直しを進めることや、新規契約者向け料金の販売禁止措置の延長などを発表している。また、小売事業者の倒産リスクを低減するため、持続可能な小売事業に必要とされる資産(人財、設備、電気・ガスの調達先など)の継続確保を求めること、資産を手放す際にはOFGEMに速やかに報告することとして、小売ライセンス要件を厳格化している。
2022.08.25
米国:CA州大気資源局、2035年以降の新車販売をすべてZEVとする規則を採択
カリフォルニア州大気資源局(CARB:The California Air Resources Board)は2022年8月25日、2035年以降に新規販売するモデルをすべてZEV(Zero-Emission Vehicles)とすることを義務化する規則(ACC II:Advanced Clean Cars II)を全会一致で採択した。本規則は2020年9月のニューサム知事による知事令(Executive Order N-79-20)を受けたものであり、2026年以降のロードマップとして、新車販売台数に占めるZEVおよびPHEVの割合目標が設定されている。具体的な数値としては、同年が35%、2030年には68%、そして2035年には100%と定められている。CARBのLiane Randolph議長は、「野心的でありながら達成可能なZEV販売目標を設定したことで、CA州はまたしても米国と世界をリードする。ZEVの普及を加速させ、排出ガスや環境汚染の大幅な削減につなげていく」と語った。
2022.08.23
中国:四川省の火力発電所67カ所がフル稼働、水力発電不足に対応
2022年8月23日付の現地紙によると、国有送配電事業大手の国家電網公司傘下で四川省内の事業を担う国網四川省電力公司は8月22日、電力不足に対応するため、省内にある全67カ所の火力発電所がフル稼働していることを明らかにした。四川省はもともと水資源が豊富で、全発電設備容量に占める火力発電の割合は16%に過ぎず、例年の場合夏季は水力発電所がメインとなって電力を供給している。しかし、今年は少雨でダムの貯水量が極端に少なく水力発電量が通常の半分程度となっていることに加えて、最近の高温でエアコン使用が増加しているため電力利用制限を実施する事態となっている。
2022.08.22
中国:国際電力標準化会議(IEC)、中国主導で新型電力システム標準制定
現地紙は2022年8月22日、国際電気標準会議(IEC)が20日に開いた2022年度国際標準化大会で、新型電力システム関連コア技術の国際標準化整備を中国が主導する形で加速させる方針を明らかにした。新型電力システムは風力、太陽光、原子力、バイオなどの新エネルギーを主体として各種エネルギーの相互活用を図ることにより、社会の電気化を支える電力システムで、中国は風力・太陽光・リチウム電池などの分野でその産業・市場規模がトップであることから、新型電力システムの枠組の確立や標準の制定において中国の主導的役割に期待ができるとしている。
2022.08.22
デンマーク:コペンハーゲン2025年までの脱炭素化計画を断念
2022年8月22日付の現地報道によると、デンマークの首都コペンハーゲンが2025年までの脱炭素化目標を断念することになった。2009年より、コペンハーゲンは世界初のカーボンニュートラルな首都を目指し、2025年までの脱炭素化を目標として掲げていた。しかし、アマガーリソースセンター(ARC)焼却炉がCO2回収プラント開発のための国家支援金申請を断念したことにより、当目標が実現不可能なものとなった。コペンハーゲンは既に80%のCO2を削減しているが、100%削減を達成するためにはARC焼却炉が政府の炭素回収・貯留(CCS)基金より約10億7,000万ユーロの支援を受ける必要がある。しかし、同社はデンマークのエネルギー庁が定めた支給基準となる一定の自己資本要件を満たさないため支援が受けられないとし、申請を断念した。当焼却炉は既に実証プラントを立ち上げ、焼却炉から排出される一部のCO2を回収しており、2023年にはより大きなプラントを立ち上げる予定である。当初の計画では、2025年にARC焼却炉から排出される排煙のすべてからCO2を濾過する大規模なプラントを設置する予定になっていた。今後、コペンハーゲンは2026年以降のカーボンニュートラルの実現を目指すとのことである。
2022.08.22
英国:北海で新たな洋上風力発電事業用の海域を割り当て
英国北部スコットランドの海域および公有地を管理するCrown Estate Scotland(CES)は2022年8月22日、洋上風力発電用の新たな海域を事業者に割り当てたと発表した。CESはScotWindと呼ぶスコットランド沖合を対象とする洋上風力発電用の海域入札を実施し、2022年1月に17海域(発電出力で2,500万kW相当)を配分済みであるが、追加分を割り当てたもの。今回発表された海域は英国とノルウェーのほぼ中間に位置するシェトランド諸島東側の3海域(海域面積:560平方キロメートル、発電出力:280万kW相当)で、14件の応札から選ばれた。落札した事業者は、ポルトガルのエネルギー大手EDPの再エネ子会社EDPRとフランスのエネルギー大手Engieの共同会社Ocean Winds(発電出力:50万kW相当)、アイルランドの国有エネルギー事業者ESBの子会社ESB Asset Development(発電出力:50万kW相当)、再エネデベロッパーMainstream Renewable Power(発電出力:180万kW相当)の3社である。3海域とも浮体式事業が実施される見込みで、契約を締結するためのオプション料は合計5,600万ポンド(約90億円)である。今回割り当てられた海域は電力需要地から遠方にあることから、発電した電力は水素製造に使用される可能性がある。
2022.08.22
米国:Ameren Missouri社、Rush Island石炭火力を2025年半ばまで運転延長へ
2022年8月22日の現地報道によれば、ミズーリ州の電気事業者であるAmeren Missouriは、2022年9月1日付で廃止予定であったRush Island(119万5,000kW)を2025年半ばまで運転延長し、グリッドの信頼性を確保すると連邦エネルギー規制委員会(FERC)に申請している。ミッドコンチネントISO(MISO)管轄内において、発電所所有者は、発電設備を廃止する場合、MISOの承認を得る必要がある。また、MISOが発電施設を停止することにより信頼性に問題が生じると判断した場合は、システムサポート資源契約を締結し、発電所の稼働を継続させることができる。今回の運転延長は、同契約に基づくもので、コストは発電所の稼働により利益を得る小売事業者(LSE:Load Serving Entity)の負担となる。MISOが発行するシステムサポート資源契約(毎年更新可能)の申請書によれば、同プラントを廃止することは、電圧安定性に深刻な問題が生じ停電が連鎖するおそれがあるとしている。
2022.08.19
ドイツ:電力大手EnBW、送電子会社の株式49.9%を売却へ
エネルギー情報誌は2022年8月2日、世界初となるリサイクル可能なタービンブレードがドイツの洋上風力発電事業で設置されたと報じた。洋上風力発電用のタービンで世界最大のシェアを持つSiemens Gamesaが開発したRecyclableBladesと呼ぶブレードを、RWEが北海で建設中のKaskasi洋上風力発電所(発電出力:34万2,000kW)に採用して、実証試験を行うもの。ナセルやドイツの電力大手EnBWは2022年8月19日、株式100%を保有する子会社Transnet BW(送電系統運用者4社の一つ)の株式49.9%を売却すると発表した。そのうち株式24.95%分については、政策金融機関のドイツ復興金融公庫(KfW)に優先的引受権が与えられた。残り半分は仲介会社を介して市場で売却されるが、報道によると米国の資産運用会社Blackrockやシュトゥットガルトの貯蓄金融機関が買い手候補に挙がっている。売却益は送電網・再エネ分野への2021~2025年投資計画(約120億ユーロ:約1兆6,411億円)の資金確保に充てるとしている。なお、EnBWはTransnet BWの過半数株主を維持する方針である。
2022.08.18
韓国:原子力輸出戦略推進委員会が発足、第1回会合を開催
現地紙は2022年8月18日、政府が原子力輸出戦略推進委員会を発足させ、第1回会合を開催したと報じた。それによると、同委員会は8月11日、首相令により設置されたもので、産業通商資源部・長官(日本の経済産業大臣に相当)を委員長として関係9部(日本の「省」に相当)の次官と公共機関・産業界・学会・民間専門家など30名あまりで構成されている。同委員会では今後、原子力輸出総合戦略を策定し、それに基づいて原子力発電関連設備の輸出・競争力強化に取り組む予定であり、8月18日に開催された第1回会合では、チェコ、ポーランド、英国、サウジアラビア、カザフスタンなど8カ国における在外公館を原子力発電輸出支援公館として指定する案などについて議論した。
2022.08.17
ミャンマー:ヤンゴンと周辺で大雨・洪水、過去50年の観測1位
2022年8月18日付の現地報道によると、商業都市ヤンゴン地域および周辺地域(モン州、カヤー州)にて、降水量が過去50年の観測史上1位となる記録的な大雨・洪水が発生した。ヤンゴン地域では3分の2が洪水被害に遭い(33郡のうち21郡)、停電も発生している模様である。停電の状況について、電力省およびヤンゴン配電会社からの発表はない。周辺地域では洪水・地滑りの被害が拡大しており、一部では水位3フィート(約0.9m)を記録した。気象水文局は、ベンガル湾に接する各州・地域で大雨が予想される、と予報している。
2022.08.17
中国:世界初の運開EPRの台山1号機、約1年ぶりに運転再開
2022年8月17日付の報道によれば、中国広東省の台山原子力発電所1号機(EPR、175万kW)が約1年ぶりに発電を再開した。同月16日に香港証券取引所に提出した書類の中で中国広核集団有限公司(CGN)は、同号機の検査・保守作業が完了し、同月15日に電力系統に接続されることを明らかにしたという。同号機は、2回目の運転サイクルでフルパワー稼働中の2021年6月、一時冷却系で放射線量の上昇を確認し、6万本以上ある燃料棒のうち5本程度が損傷している可能性があると推定された。CGNは同年7月30日、燃料損傷の原因を調査し、欠陥のある燃料を交換するため、同号機を電力系統から切り離していた。2022年7月26~29日の検査後に、国家核安全局(NNSA)は同号機の再起動を承認したが、燃料損傷の原因と程度については明らかにされていない。同発電所1、2号機はEPRとして運転を開始した最初のプラントである。
2022.08.16
米国:洋上風力発電価格、2021年に対前年比13%下落し84ドル/MWhに
米国エネルギー省(DOE)は2022年8月16日、調査報告書「Offshore Wind Market Report: 2022 Edition」を発表し、同国における2021年の着床式洋上風力発電の推定均等化発電原価(LCOE)が前年比で13%下落し、84ドル/MWhとなったとする試算結果を明らかとした。バイデン政権は洋上風力を2030年までに30GW導入するという政策目標を掲げている。同目標に関して報告書は、「揺れ動く支援策、サプライチェーンや陸上送電網の制約、インフレ、海洋開発を制限する法律、地政学的な対立など」が目標実現に影響を及ぼす可能性があるとした。一方、同報告書は稼働中、建設中、建設許可申請中、計画中など、様々な段階にあるプロジェクトの2022年5月時点の設備容量の合計が、運開時期が未定のものも含めれば40GWに達していることにも言及している。
2022.08.16
中国:四川省など猛暑と渇水で需給がひっ迫
現地紙などは2022年8月16日、四川省などが猛暑に見舞われ、折からの渇水も加わって電力需給がひっ迫していると報じた。それによると、四川省は7月以来高温が続いていたが8月に入り一部地域で40℃を記録するなど状況は深刻化し、加えて6月以来の渇水で長江の水位はこの時期としては、ここ10年間で最低レベルとなっており、四川省では電力の80%以上を水力発電に依存していることから、電力需給がひっ迫している。これに対応するため、四川省政府と国有送配電事業者である国家電網公司傘下の国網四川省電力公司は8月14日、共同で省内19都市の産業用需要家に対して8月15日から20日にかけて、家庭用需要を優先する観点から産業用電力の使用制限を実施するとの文書を発行した。なお、四川省のほか、安徽・浙江・江蘇省などでも需給がひっ迫しつつあると報じられている。
2022.08.16
米国:バイデン大統領、インフレ抑制法案に署名
バイデン大統領は2022年8月16日、エネルギー・気候変動対策が盛り込まれた「インフレ抑制法案(IRA:Inflation Reduction Act)」に署名した。同法案は8月7日に上院を通過し、8月12日には下院で可決(賛成220票、反対207票)された。大統領は、ホワイトハウスで行われた署名式典において、同法案がエネルギー・気候対策への単独投資としては過去最大規模であり、温室効果ガスの目標達成に向けて更なるステップアップを目指すと述べた。IRAには国内の再エネ電源、EVなどの開発を促進し、電力網の拡張を支援するために10年間で3,690億ドルの支出が含まれる。これには原子力(既設)、蓄電池、クリーンな水素製造に対する新たなタックスクレジットも含まれている。バイデン大統領および議会民主党は2022年11月に実施される中間選挙に向けて、気候変動対策、医療費への対処、大企業への増税を目的とした経済パッケージを可決し、一定の成果を上げることができた。
2022.08.10
米国:CA州、2030年までに最大5GWの洋上風力を計画、45年までに最大25GW
カリフォルニア州のエネルギー委員会(CEC)は2022年8月10日、同州の洋上風力について2030年までに最大5GW、2045年までに最大25GWを導入するとした報告書を採択した。CECは2022年5月に、洋上風力について2030年までに最大3GW、2045年までに最大12GWを導入するとして、報告書ドラフトを公表していたが、ギャビン・ニューサム知事(民主党)の要請などを受け、目標を引き上げた。
2022.08.04
ドイツ:燃料不足により石炭火力発電所2機で出力制限の可能性
2022年8月4日付のエネルギー情報誌によると、大手エネルギー事業者Uniperは燃料不足により、2022年8月4日~9月7日までドイツ西部のDatteln石炭火力発電所4号機(設備容量105万kW)で出力を下げて運転する可能性を示唆した。Uniperはまた、同国中部のStaudinger石炭火力発電所5号機(設備容量51万kW)でも同様の理由により、2022年9月7日まで出力制限を行う可能性があるとしている。欧州では熱波と渇水の影響により、石炭やその他の物資輸送に重要な役割を果たしているライン河の水位が過去20年間で最低の水準に低下し、石炭火力発電所への燃料供給に支障が生じている。ライン河水運管理局によると、ドイツ中部の主要輸送拠点Kaubにおける水位は1カ月間で約60%低下し、2022年8月15日には32cmと多くの輸送船が航行不能となる40cmを下回っている。
2022.08.03
ドイツ:連立政権、2023年3月までの原子力稼働延長を検討か
ドイツのショルツ首相(社民党)は2022年8月3日、同年12月末に停止予定の原子力発電所の稼働延長について「合理的である」と記者会見で発言した。稼働延長の適否は現在実施されているストレステストの結果に基づき最終的に判断される。リントナー財務大臣(自民党)は新たに燃料を調達し2024年までの稼働延長を求めてきたが、連立与党の社民党、特に緑の党は懐疑的な見解を示していた。現在政権内では燃料棒の交換を行わず今夏の出力を下げることにより2023年3月までの稼働延長を検討しているという。なお、同国では現在イザール2号機(PWR、148万5,000kW)、エムスラント(PWR、140万6,000kW)およびネッカー2号機(PWR、140万kW)の3基が運転中である。エムスラント発電所が所在するニーダーザクセン州のリース環境大臣(社民党)はインタビューで稼働延長について否定的な立場を示している。
2022.08.02
ドイツ:世界初のリサイクル可能なブレードが実際の事業で採用
エネルギー情報誌は2022年8月2日、世界初となるリサイクル可能なタービンブレードがドイツの洋上風力発電事業で設置されたと報じた。洋上風力発電用のタービンで世界最大のシェアを持つSiemens Gamesaが開発したRecyclableBladesと呼ぶブレードを、RWEが北海で建設中のKaskasi洋上風力発電所(発電出力:34万2,000kW)に採用して、実証試験を行うもの。ナセルやタービンタワーなど鉄鋼を主体とする部材のリサイクルは既に確立されているが、ブレードは樹脂とグラスファイバーや他の材料を組み合わせた複合材料で製造されているため、リサイクルが大きな課題となっており、タービンメーカーは研究開発に取り組んでいる。RecyclableBladesは新しい化学構造の樹脂を採用したため、従来よりも低温の溶液で材料を分離するため、材料のリサイクルが可能となる。事業者団体の推定では、欧州で2025年までに年間2万5,000t、2030年には5万2,000tのブレードが廃棄されることになる。Kaskasi洋上風力発電所は9,000kWのタービンを38本設置して2022年末までに操業を開始する計画である。Siemens GamesaはRecyclableBladesの製造コストを明らかにしていないが、実際の事業での採用については持続可能な洋上風力発電事業の実現に向けて大きな節目となるとコメントしている。また、同社は1万4,000kW級のタービンでもRecyclableBladesを提供できるとしている。
2022.08.01
中国:工業分野のカーボンニュートラルロードマップを発表
現地紙は2022年8月1日、工業情報化部(日本の「省」に相当)、国家発展改革委員会などが「工業分野のカーボンニュートラル実施計画(ロードマップ)」(第88号)を公表したと報じた。このロードマップは、年間売上高2,000万元(約4億円)以上の工業企業のエネルギー消費量を2025年までに2020年比で13.5%削減するという中期目標を定め、産業構造調整や省エネ・炭素削減の推進、産業のグリーン・低炭素化に向けた技術革新の加速など、6 項目の重要課題の解決とともに、排出量ピークアウトの達成と環境配慮型の低炭素製品の供給を進めるよう要求している。
2022.08.01
スペイン:スペイン政府、空調の省エネ・管理計画に関する規則を施行
スペイン政府は2022年8月1日、空調の省エネ・管理計画に関する規則を施行することを発表した。同規則では、公共施設や大型商業施設における冷暖房の温度に制限を設け、冷房温度は最低27℃、暖房温度は最高19℃と規定した。また、店舗ではドアを閉めた状態を維持すること、午後10時以降ショーウィンドウの照明を消灯することが義務付けられた。しかし、熱波による猛暑が続いているため、マドリードなど一部の自治州は反対を示している。同規則は2023年11月まで適用予定とのこと。今回の規則は、ロシアからの天然ガス供給停止の可能性に備え、EU加盟国が天然ガス消費量を自主的に15%削減することに合意したことを受けて実施されたもの。スペインはロシアへのガス依存度が低いことから、7~8%の削減を目指す。
2022.07.29
アイルランド:アイルランド政府が温室効果ガス排出規制を改訂
アイルランド政府は2022年7月29日、同国各産業セクター別の温室効果ガス排出量規制について、各セクターと合意に達したことを公表した。国全体として2050年時点で温室効果ガス排出量ネットゼロを達成するため、2018年時点の温室効果ガス排出量に対して、2030年時点において51%の排出量削減という目標値を設定しており、この削減目標にもとづき、セクター別排出量規制を電力、運輸、建物、産業、農業の各セクターについて設定している。このうち電力セクターについては75%削減という目標値が定められており(他セクターは運輸50%、建物40~45%、産業35%、農業25%)、これを達成するため、太陽光発電については従来目標の2倍以上である550万kW、洋上風力発電は500万kWから700万kWへ引き上げられている。また、グリーン水素200万kW、バイオメタン5,700億kWhが追加されている。
2022.07.28
中国:CNOOC、海洋シェールオイル試掘成功で、商業化へ弾み
現地紙は2022年7月28日、国有石油・天然ガス大手である中国海洋石油集団公司(CNOOC)が海洋シェールオイルの試削に成功したと報じた。それによると、CNOOCは海南島北部海域においてシェールオイルの試掘に成功、試掘井からは日量で原油20m3、天然ガス1,589m3が産出されている。なお、同海域には約8億tのシェールオイル資源が存在すると見積もられており、CNOOCは今後、海洋シェールオイルの探査・開発区域拡大を企図している。
2022.07.28
米国:ボーグル3号機、2023年第1四半期に運転開始の見通し
大手電力サザン社(本社:ジョージア州アトランタ)は2022年7月28日、ボーグル原子力発電所3、4号機(AP1000、110万kW×2基)建設プロジェクトのスケジュールとコストに関して、最新の見通しを公表した。これは、同社の2022年第2四半期の決算報告の中で明らかにしたもので、3号機は2023年第1四半期、4号機は2023年第4四半期にそれぞれ運転を開始し、同社子会社のジョージア・パワー社負担分(45.7%)の資本コスト総額は約105億ドル(5,200万ドル増)となるという。運転開始のためには、検査・試験・解析・許容基準(ITAAC:Inspection, Test, Analyses and Acceptance Criteria)と呼ばれる各項目について、米国原子力規制委員会(NRC)による適合確認を受ける必要があるが、3号機は398項目中394項目が完了しており、残り4項目も2022年10月下旬までに予定している燃料装荷の開始に影響しない見通しであるとしている。
2022.07.27
中国:夏季電力需要対応で最大2,000万kWの融通へ
現地専門紙は2022年7月27日、国務院(日本の内閣に相当)が、夏季における電力需要対策を発表した。今回発表では、発電用石炭の供給対策を徹底化させることに加え、発電大手と送配電事業者との調整により最大2,000万kWの融通電力を対象地域に提供できるとしている。この融通電力は政府が大手発電会社の発電計画および送配電事業者の送電計画の見直し要請などにより捻出されたもので、今後、需給ひっ迫の可能性のある華東、華中、西南などの各地域に配分されることとなっている。(調査第一部/顧)
2022.07.27
フランス:新規参入者の家庭部門シェア、2022年3月末は上昇せず
フランスのエネルギー規制委員会(CRE)は2022年7月27日、電力小売市場における2022年第1四半期の自由化進捗状況に関する報告書を発表した。同報告書によると、2022年第1四半期において電力卸売価格の高騰を理由に、新たに規制料金から自由化料金に移行した家庭用需要家数が2021年第4四半期の23万軒から16万3,000軒に低下した。内訳を見ると、新規参入者が5万3,000軒、従来事業者が11万軒を獲得した。その結果、自由化料金を選択した家庭用需要家数は2022年3月末時点で、全3,392万軒の35.88%に当たる1,217万軒となった。また、新規参入者の家庭部門における2022年3月末の市場シェアは前年末から変化はなく30.6%であった。一方、自由化料金を選択した非家庭用需要家数は2022年3末時点で、全520万4,000軒の70.31%に当たる365万9,000軒となった(前年末比1万5,000軒増(内訳を見ると、新規参入者が初めて3万6,000軒を失い、従来事業者が5万1,000軒を獲得した))。新規参入者の非家庭部門における2022年3月末の市場シェアは前年末の36.4%から35.6%に下がった。
2022.07.26
ベトナム:政府 2050年に向けた気候変動に関する国家戦略を発表
ベトナム政府は2022年7月26日、2050年ネットゼロ目標の実現に向けた温室効果ガス(GHG)の排出量削減の目標値等を内容とする、2050年に向けた気候変動に関する国家戦略(Decision No. 896/2022/QD-TTg)を発表した。2030年までにGHG排出量をBAU比43.5%削減、2050年までにGHG排出量を実質ゼロとする。エネルギー分野では、2030年まで再エネ・新エネの開発を重視し、2030年以降は石炭火力の新設を行わないこと、2050年までに最新技術による原子力の開発を検討する等を規定しており、同分野のGHG排出量は、2030年までにBAU比32.6%削減(上限4億5,700万CO2換算t)、2050年までにBAU比91.6%削減(上限1億100万CO2換算t)と設定している。
2022.06.27
EU:EU加盟国が冬到来前の天然ガス貯蔵量義務化で合意
エネルギー情報誌は2022年6月27日、EU理事会で天然ガスの貯蔵量を義務化することで加盟国が合意したと報じた。ロシア産の天然ガス供給への依存削減のため、2022年3月に欧州委員会が提案しその後欧州議会などと交渉してきたが、加盟国の合意が得られたため、今後、官報で公告され直ちに実施される。合意内容は、2022年11月1日時点で設備容量の少なとも80%のガスを貯蔵し、EU全体では85%を確保することを目指すもので、2023年11月1日時点の義務化量は90%に引き上げられる。ガス貯蔵の設備容量や各国の事情は大きく異なることから、義務を達成する方策としてLNGあるいは代替燃料の貯蔵量を含めることができる。また国内のガス消費量に対して貯蔵容量が大きい場合には、過去5年間の年間消費量の35%を上限に義務量とすることになり、ガス貯蔵設備を持たない国は年間消費量の15%を他国の設備に貯蔵することが求められる。また、これらの設備を運用するすべての事業者は貯蔵量に関する証明書を提出する必要があり、貯蔵量義務化は2025年12月31日で終了予定であるが、証明書の提出は2026年以降も継続する。
2022.06.23
中国:紅沿河6号機が商業運転開始
中国広核集団有限公司(CGN)は2022年6月23日、遼寧省の紅沿河原子力発電所6号機(ACPR-1000、111万9,000kW)が168時間の運転試験を経て、同日、商業運転の条件をクリアしたと発表した。同号機は、3月25日に燃料装荷を開始し、4月21日に初臨界を達成、5月2日には電力系統に接続されていた。同発電所は、フェーズ1(1~4号機、CPR-1000)、フェーズ2(5および6号機、ACPR-1000)の発電ユニット計6基がすべて運転開始し、総発電設備容量が671万kWの中国最大の発電容量を持つ原子力発電所になった。これは、中国の原子力発電設備容量の約12%に相当する。CGNによると、紅沿河発電所は年間で480億kWh発電する能力があり、この発電量は遼寧省の発電量の約20%を占めている。同規模の石炭発電所と比較すると、標準炭を約1,452万t削減し、二酸化炭素排出量約3,993万tの削減に相当するという。
2022.06.23
フランス:政府、今冬に向けガス備蓄率100%を目指す
2022年6月23日付の報道によれば、ボルヌ首相とエネルギー移行大臣のパニエ=リュナシェ氏は天然ガス事業者GRTgazを訪問した際に、ガス供給確保をはじめとした政府のエネルギー対策について発表を行った。ボルヌ首相は、フランスのガス供給状況はドイツほど不安定でないものの、ロシアがガス供給量を大幅に削減している現状を踏まえ、今冬(2022/2023年)のガス供給量確保に向けた早急な対応が必要であるとし、ガスの備蓄率の引き上げについて言及。現時点のフランスのガス備蓄率は約59%と、昨年に比べ高い水準(昨年同時期は約46%)にあり、さらに11月1日までにその比率を85%とする計画であるが、この水準を不十分とし「ほぼ100%を目指す」とした。また、この目標の達成のため、ガス販売事業者であるEngieやTotalEnergiesに加えて、ガス備蓄事業者であるStorengyやTerégaにもガスの調達を求める。これらガス備蓄事業者は、不安定な市場環境下でガスを調達することになり損失を被るリスクが高いが、その場合は政府として補償するとした。また、パニエ=リュナシェ大臣は、フランス北西部のル・アーブル港におけるFSRU(浮体式LNG貯蔵再ガス化設備)設置計画について説明。今年9月より既存のガスネットワークへ接続するための工事を開始し2023年9月の運用開始を予定。同設備の運用により国内ガス消費量の10%を賄うことが可能になると述べた。さらに同大臣は、ガスおよび電気の需要削減に向けた取り組みとして、行政、企業、商業施設等の代表者からなるワーキンググループを設立すると発表。2年間で10%のエネルギー消費量削減を目標として、今年の夏までにその実現に向けたアクションプランを策定する。
2022.06.23
米国:Ameren Missouri、石炭火力を早期閉鎖、ネット・ゼロ目標の前倒しへ
ミズーリ(MO)州の電気事業者であるAmeren Missouriは2022年6月23日、石炭火力を取巻く状況が大きく変化したとして2020年に提出した統合資源計画(IRP)を更新し、同州公益事業委員会に提出した。同社は3カ所の石炭火力発電所を早期閉鎖し(2022年末:Meramec(88万kW)、2025年末:Rush Island(118万kW)、2029年末:Venice(49万kW))、2030年までに温室効果ガス排出量を60%削減し、2045年までにネット・ゼロを達成(2050年から前倒し)することを提案している。同社の発電電力量の8割は石炭火力であるため、閉鎖に伴う代替供給力として2030年までに再エネ電源を280万kW導入し、2040年までにさらに190万kW追加する計画である。また、2031年までにMO州内にガス火力発電所(120万kW規模)を新設することも示されている。
2022.06.20
ウルグアイ:2040年までの水素ロードマップを発表
再エネ情報サイトは2022年6月20日、ウルグアイの産業・エネルギー・鉱業省(MIEM)が2040年に向けた水素ロードマップを発表したと報じた。同ロードマップによると、同国は2040年までに再エネ設備2,000万kW、水電解設備1,000万kWを新たに設置することを目標に掲げる。それにより、同国のグリーン水素産業は2040年までに21億ドルを超える売上高が期待されるとしている。先ずは2025年までのグリーン水素向けの再エネ設備を20万~50万kW、運輸業界と協力して輸出に向けたパイロットプロジェクトを立ち上げ、さらに2030年までに200万~400万kW増強することを目指すとしている。2030年時点で、同国でのグリーン水素の生産コストは1.2〜1.4ドル/kgにまで低下し、オーストラリアやスペイン、アルジェリアなどの価格に匹敵する水準になるとしている。なお、同国では2022年初めに、国内でグリーン水素プロジェクトを今後10年間で推進すべく1,000万ドル規模の基金を創設し、2022年6月現在、10案件の申請を受け付けている。
2022.06.20
オランダ:政府、ガス緊急事態計画における早期警戒レベルを宣言
オランダ政府は2022年6月20日、緊急事態計画における「早期警戒レベル」を宣言した。同国のガス安定供給に関し、現時点で深刻な影響はないものの、昨今のロシア国営ガス企業ガスプロムから欧州各国への天然ガス供給停止の動きや、ノルドストリームパイプライン経由の天然ガス供給量減少の状況から、冬場に備えた対策強化の必要性を鑑みた結果である。これにより、ガス事業者は日々のガス需要予測や備蓄に関する詳細情報を政府へ報告する義務が生じる。さらに政府は、石炭火力発電所に対して脱炭素政策として課していた発電量制限(設備容量の35%を上限)の撤廃および、2022年に閉鎖予定であったフローニンゲンガス田の今年中の閉鎖見送りも決定した。
2022.06.19
オーストリア:脱石炭発電国、Mellach火力発電所での石炭燃焼を再開へ
2022年6月19日付の報道によると、オーストリア政府と電力大手Verbundは、Mellach火力発電所(ガス燃焼、24万6,000kW、熱電併給)を石炭燃焼に改造し、ロシアからのガス供給制限等の緊急時に再稼働することで合意した。同発電所は石炭燃焼として1986年に運開し、2020年3月に停止(これにより同国はEU2番目の脱石炭発電国となった)した後は、ガス燃焼へ改造され確保されていた。設備の再改造や石炭の調達、承認手続き、従業員の確保には数カ月を要するとしている。同社CEOのStrugl氏は、石炭火力発電は一時的な対策措置であり、中期的には再エネ拡充によりロシア依存脱却を目指すとしている。なお、同発電所にはガスコンバインドユニット(83万2,000kW、2011年運開)が併設されており、需要が増加する9~5月に運転している。
2022.06.19
ドイツ:経済省、ロシアからのガス供給量減少を受けて消費抑制策を発表
連邦経済・気候保護省(BMWK)は2022年6月19日、ロシアからの天然ガス供給量減少を受けて、ガス消費量を抑制するための緊急措置を発表した。暖房需要が増加する冬季に備えて発電用のガスを貯蔵に回すため、安定供給のため待機中の石炭火力等を期間限定で電力市場に復帰させる(2022年6月16日付JEPICダイジェスト参照)。ガス火力は2021年にドイツの発電電力量の15%を占めていた。連邦議会・連邦参議院は2022年7月8日までに「代替電源確保法」の審議を完了する予定であり、連邦政府は同法の発効後速やかに稼働を求めるとしている。BMWKはまた、産業用需要家にガス消費削減を促すためのオークションモデルを2022年夏に導入する方針である。このほか、貯蔵設備充填の役割を担うTrading Hub Europeに対して、ドイツ復興金融公庫(KfW)を通じてガス調達資金150億ユーロ(約2兆250億ユーロ)を追加融資する。ロシアの国営天然ガス企業Gazpromは2022年6月14・15日に相次いで、独露間の主要パイプラインNord Stream 1の供給量削減を発表、6月16日には供給量が約60%(日量最大1億6,700万m3から同6,700万m3)減少した。Gazprom側はドイツの重電大手Siemens Energyによるガス圧縮機の修繕作業遅延が原因としているが、BMWKは政治的な動機によるものと非難している。
2022.06.17
米国:EIA、2022年夏季の卸電力価格は2021年に比べて大幅上昇と予測
米国エネルギー情報局(EIA)は2022年6月17日、2022年6~9月の夏季における卸電力価格は2021年と比べて大幅に上昇すると予測した。EIAの短期エネルギー見通し(STEO)によると、北東部(ISOニューイングランド、ニューヨークISO、PJM)の卸電力価格は2021年夏季(6~8月)の平均で約50ドル/MWhであったが、2022年夏季は平均100ドル/MWhを超えることが予想されている。また、カリフォルニア州ISO(CAISO)では平均98ドル/MWh(2021年67ドル/MWh)、テキサス州のERCOTでは平均90ドル/MWh(2021年54ドル/MWh)となる見込み。EIAは価格上昇の要因の一つとして天然ガス価格との連動を挙げている。ヘンリーハブ価格は2021年5月時点では平均2.91ドル/MMBtuであったが、2022年5月時点では平均8.14ドル/MMBtuと大幅に上昇している。EIAによると、従来は天然ガス価格が上昇した場合、石炭火力に代替されていたが、石炭火力の閉鎖が続いていること等も影響し、代替電源として期待できないことが影響していると説明している。
2022.06.16
中国:4月に続き5月の電力需要も前年割れ
国家能源局は2022年6月16日、2022年5月の電力需要データを公表、4月(2021年同月比1.3%減)に続き、5月の電力需要も2021年同月比で減少したことを明らかにした。それによると、5月の消費電力量は、6,716億kWhと2021年同月比で1.3%の減少となった。分野別にみると、第一次産業は前年同月比6.3%増となったが、第二次・第三次・家庭用とも減少した。なお、1~5月累計の消費電力量は3兆3,526億kWhと、2021年同期比で2.5%増となっている。
2022.06.16
中国:世界の太陽電池生産量の88%は中国企業によるものとの統計が発表
中国太陽光産業協会(CPIA)は2022年6月16日、2021年の太陽電池生産統計を発表し、中国企業による太陽電池生産量が、全世界の生産量の88.4%を占めたことを明らかにした。また、企業別にみてもトップの通威太陽能(Tongwei Solar)をはじめ、2位の隆基緑能科技(Longi)など上位10社のうち中国企業が9社を占めた。同協会は今後について、新型コロナ感染症などの影響はあるものの、気候変動対策の観点から太陽光発電設備への需要は引き続き増加するとみているが、世界的な金融コストの上昇と原材料費の値上げを克服するために生産効率の向上と高効率太陽電池の開発に向け更なる努力を継続する必要があると指摘した。
2022.06.16
英国:BEIS、2022年春実施のエネルギー関連の世論調査結果を公開
ビジネス・エネルギー・産業戦略省(BEIS)は2022年6月16日、2022年春に16歳以上の4,381人を対象に実施した、気候変動、エネルギーインフラ、省エネ・電気料金などに関する世論調査の結果を公開した。気候変動では84%が「懸念している」と回答し、2050年の脱炭素目標である「ネット・ゼロ」については90%が「認識している・聞いたことがある」と回答、そのうち49%がネット・ゼロを「理解している」と回答した。エネルギーインフラに関しては、陸上風力を地元に設置することについて43%が肯定的、12%が否定的な回答を示した(そのほかは意見無し、または設置不可能な地域に住んでいると回答)。太陽光の場合は54%が肯定的、7%が否定的な回答であった。肯定の理由としては、「持続可能なエネルギー源であるから」や「エネルギー自給率の向上につながる」という内容であり、反対理由は、景観や生態系への影響の懸念といった回答が中心となった。シェール開発については、17%が賛成、45%が反対と回答した。原子力については37%が支持、14%が反対と回答し、小型モジュール炉(SMR)の認知度については、半数以上(54%)が「聞いたことがない」と回答した。炭素回収・貯留(CCS)と水素燃料の認知度に関しては、それぞれ62%(CCS)と76%(水素)が「知っている、聞いたことがある」と回答、一方38%(CCS)と24%(水素)が「聞いたことがない」と回答した。省エネに関しては82%が「意識している」と回答、電気料金の支払いに関しては64%が「心配している」と回答した。
2022.06.15
中国:政府、2035年までの国家気候変動適応戦略を発表
生態環境部(日本の環境省に相当)、国家発展改革委員会など17省庁は2022年6月15日、共同で2035年までを対象とした国家気候変動適応戦略(第41号)を発表した。同戦略は気候変動の監視と早期予測能力の世界的先進レベルへの向上を図るとともに、気候変動に対するリスク管理、対応システムの改善、そして気候変動に適応する経済社会の構築を掲げており、農業・インフラ・生活環境など分野における気候変動への適応を求めている。具体的には、全土を8区域と長江デルタ地帯や粤港澳大湾区(えつこうおうだいわんく、Greater Bay Area:香港、マカオ、広東省の9都市を含むエリア)など特定地域に分けて、特徴ある適応政策の構築を提案するとともに、地方政府および各省庁には、情報共有など強化するよう求めた。
2022.06.14
米国:ネクストエラ・エナジー社、2045年までに排出完全ゼロ目標を発表
再エネ大手でフロリダ州を本拠とするネクストラ・エナジー社は2022年6月14日、2045年までに二酸化炭素排出の完全ゼロ(カーボン・オフセットなし)を達成する目標を含む計画「Zero Carbon Blueprint」を発表した。2045年の電源構成(発電電力量割合)は再エネ・蓄電池(89%)、原子力(11%)、再生可能天然ガス(1%未満)とする。同社の排出削減目標は2025年までに70%(2005年比、以下同じ)、2030年82%、2035年87%、2040年94%、2045年100%である。同社は同目標について、「顧客への追加コストがなく、燃料価格の変動を実質的に排除し、米国のエネルギーの独立性を高める」とした。また、同計画を実施することで、「最大15万人の雇用が創出され、2045年までにフロリダ州で150億ドルの追加的な経済効果(GDP)が生じる」とした。なお、同計画の大部分については同社子会社の電力会社フロリダ・パワー・アンド・ライト(FPL)社で実施される。
2022.06.02
韓国・アラブ首長国連邦:韓国電力公社、UAEでグリーンアンモニアを生産へ
現地紙は2022年6月2日、韓国電力公社が同社傘下の韓国西部発電と建設・商社大手のサムスンC&Tとともに、アラブ首長国連邦(UAE)でグリーンアンモニア生産事業に参画すると報じた。それによると、韓国電力公社などは、UAE・アブダビのカリファ工業団地(Kizard)におけるグリーン水素・アンモニア生産事業に関してUAE側の開発企業との間で合意に達した。同事業の工程表は未発表だが、第1段階で年産3万5,000t、第2段階でさらに年産16万5,000tの生産能力を有する施設を建設する計画である。
2022.06.10
米国:MISO他、2023年以降の供給力不足を予測する報告書を公表
ミッドコンチネントISO(MISO)とMISO加盟州組織(OMS:Organization of MISO States)は2022年6月10日、2023年から2027年までの5カ年の供給力を評価する報告書を公表した。この報告書によると、必要とされる予備力に対して2023年夏季の供給力は260万kW不足し、2027年には不足分が1,090万kWにまで拡大するおそれがある。こうした供給力不足は、2022年夏季信頼性評価と同様に、インディアナ州やイリノイ州などのMISOの北部・中部地域に限定されるとしている。MISO南部地域では必要以上の供給力が確保されているが、北部・中部地域への送電容量は190万kWに制限されている。本報告書では、供給力不足を促進する要因として、電源廃止の加速化や太陽光パネルなどのサプライチェーンの支障問題などによる新規電源の不足などを挙げている。MISOは2022年4月に、発電設備の計画外停止が発生した場合に2022年夏季の供給力が不足するとした夏季信頼性評価を公表していた。
2022.06.08
ドイツ:陸上風力発電設備の開発を加速するための新法を制定へ
ドイツの現地報道は2022年6月8日、同国連邦政府が「陸上風力発電法」という新しい法律を近く制定し、陸上風力発電設備が設置可能である土地の比率を、現在の0.5%から2026年までに1.4%、2032年までに2.0%に引き上げる方針であると伝えた。政府は同法案を同月15日に閣議決定する予定で、同年7月には可決させる方針。法案によると、政府は州ごとに陸上風力発電が設置可能な土地の比率の目標を割り当てる。風況が良いとされるニーダーザクセン州では2032年までに2.2%に引き上げる必要があるという。同国で陸上風力発電の開発が遅れている原因の一つは、各州政府の、陸上風力発電設備と住宅地の間の最低距離に関する法令である。例えばバイエルン州の法令では、景観保護を理由に、陸上風力発電設備と住宅地の間には、陸上風力発電設備の高さの10倍の距離を取らなくてはならないとされている。その他の州でも、陸上風力発電設備と住宅地の間に最低1kmの距離を取らなくてはならない。同国ニュースでは「州政府が、陸上風力発電設備が設置可能な土地の比率目標を期限までに達成しない場合には、連邦政府は州政府の陸上風力発電設備と住宅地の間の距離に関する法令を無効化して、連邦政府目標の達成を優先させることも検討中」であると報じた。
2022.06.07
中国:電力市場 政府、新型電力貯蔵設備の市場参加を促進する指針を発表
国家発展改革委員会と国家能源局は2022年6月7日、「新型電力貯蔵設備(JEPIC注:新型電力貯蔵設備とは、揚水発電を除く蓄電池などの電力貯蔵設備を指す)の電力市場・系統運用参加を促進する通知(指針)」(第475号)を発表した。同指針では、一定の条件を満たす新型電力貯蔵設備(事業者)は、独立した形での市場参加が許容・推奨され、その場合には充電時の送配電料金や付加費用の免除などの支援措置が受けられるとしている。また、系統運用に活用される新型電力貯蔵設備向けの投資費用に関して容量料金として送配電料金に算入する可能性も示唆している。
2022.06.07
ドイツ:国家水素戦略の進捗報告、連立協定の目標達成は困難か
2022年6月7日付の報道によると、連邦政府は2020年6月~2021年12月に行われた国家水素戦略に関する進捗報告書を発表した。現在までにドイツで採択された62件の「欧州共通利益に適合する重要プロジェクト(IPCEI)」に基づくと、2026年までにドイツ国内の水電解装置導入量は最大220万kWに至り、2030年までには300万kWを超えると見込まれる。なお、前政権が2020年6月に国家水素戦略を発表した際、2030年までに500万kWの水電解装置導入を目指すとしたが、現政権の連立協定では2030年までに1,000万kWへと引き上げられており、目標達成は困難とみられている。
2022.06.06
米国:Xcel Energy、米国で初めてとなる完全電動の高所作業車を導入
ミネソタ州に本社を置く大手電力Xcel Energyは2022年6月6日、全米のエネルギー企業で初めて全電動のバケットトラック(高所作業車)を導入すると発表した。同社のプレスリリースによると、この高所作業車はメーカーのTerex Utilities社とNavistar社が開発したもので、走行用とリフト機構用の2つの電源を備えており、航続距離は135マイル(約217㎞)、1回の充電で1日中バケットを作動させることができる。1台目の車両は6月下旬にミネソタ州ミネアポリスで納車される予定で、6~12カ月の試験運用期間中、Xcel Energyの作業員が実際の作業現場で使用するとしている。また、2台目は2022年末にコロラド州デンバーでの納車を予定している。同社は所有するすべての小型車と、中型・大型車の30%を、2030年までに電動化する計画を掲げている。
2022.06.06
米国:バイデン大統領、クリーンエネルギー製品の国内生産強化策発表
バイデン大統領は2022年6月6日、クリーンエネルギー関連製品の国内生産の強化や部品調達の容易化等を目的に、国防生産法(DPA:Defense Production Act)の適用を含めた施策を発表した。大統領はDPAに関する権限をエネルギー省(DOE)に与え、その対象分野を(1)太陽光パネル部品、(2)建物の断熱材、(3)ヒートポンプ、(4)電気で生成されたクリーン燃料を製造・使用するための装置(電解槽、燃料電池等)、(5)重要な電力系統インフラ(変圧器等)とした。また米国の太陽光開発事業者による、東南アジア4カ国(カンボジア、マレーシア、タイ、ベトナム)からの太陽パネル部品調達を一時的に容易にするため、これらの部品を24カ月間、関税免除とした。これに先立つ2022年3月、商務省(DOC)は中国の太陽光発電メーカーが関税措置を免れるために、同4カ国を迂回して製品を輸出している疑惑に関する調査を開始すると発表していたが、今回、調達を優先させた形となった。
2022.06.02
韓国:原子力 韓国政府、SMRに440億円、廃炉技術に380億円を投資すると発表
韓国政府は2022年6月2日、カーボンニュートラルとエネルギー安全保障に向けて、革新的な小型モジュール炉(SMR)の開発に、今後6年間で合計3,992億ウォン(約440億円)を投資する予定、と発表した。科学技術情報通信部(省)および産業通商資源部(省)によると、電気出力30万kW以下の「革新型SMR(i-SMR)技術開発事業」として、予備的実現可能性調査に合格したプロジェクトに対し、政府と民間が2023~2028年に投資(政府69%、民間31%)するという。また、政府は廃炉技術にも取り組んでおり、「廃炉解体技術競争力強化技術開発事業」として、関連プロジェクトが同年5月30日、予備的実現可能性調査に合格した。2030年までの8年間に政府76%、民間24%で合計3,482億ウォン(約380億円)をかけて、恒久停止した原子力発電所の古里1号機と月城1号機の廃炉技術を進歩させる計画だという。さらに、放射性廃棄物分析や原子力技術者育成に関する研究も支援する予定。(60万kW)等に対し、建設反対の訴訟を提起している。
2022.06.02
中国:送電 国家電網と南方電網、2022年の設備投資は過去最大規模へ
現地専門紙は2022年6月2日、国有送配電大手である国家電網有限公司と南方電網有限責任公司両社の2022年設備投資合計が過去最大規模の6,250億元(約12兆円)に達する見込みであると報じた。それによると、国家電網は同日、投資計画や雇用拡大など8項目の経済対策案を発表したが、その中で2022年度における流通設備投資額を過去最大の5,000億元(約10兆円)に増額する方針を明らかにした。中でも、南昌(江西省)-武漢(湖北省)、哈密(新疆ウイグル自治区)-重慶(重慶市)、隴東(甘粛省)-山東(山東省)などUHV送電8系統の着工が目標として掲げられている。また、南方電網も設備投資を2021年度比2割増の1,250億元(約2兆5,000億円)に増額するほか、中小企業の電気料金の一部免除などを内容とする方針を打ち出した。今回提示された方針の背景について、両社とも感染症対応での政府の景気刺激政策に対応したもので、インフラ事業者としての社会的責任遂行を念頭に置いたものと説明している。
2022.06.02
欧州:2030年に欧州の浮体式事業が1,000万kWに、事業者団体が予測
欧州風力事業者団体(WindEurope)は2022年6月2日、欧州で2030年に浮体式事業が1,000万kWに達する可能性があると発表した。これまで主流であった着床式事業に加えて、風況の良い地中海や大西洋など水深の深い地点で浮体式事業が検討されており、新たな市場が拡大する可能性がある。現在稼働している浮体式事業は11万3,000kWで、ノルウェーで8万8,000kWの事業が建設中であり、フランスで小規模(それぞれ約3万kW)ながら4件が2年以内に稼働する計画である。これらを合計すると33万kWになるが、その先はさらに大規模な事業が検討されている。フランスは25万kW規模の入札を2年以内に3件実施予定で、スペイン、ポルトガル、ノルウェー、ギリシャが大規模な浮体式事業の入札を計画している。さらにスコットランド(英国)では1,500万kWの浮体式事業が海域を割り当てられ、イタリアでも大規模事業の検討が進んでいる。このような動きから2030年に浮体式事業が1,000万kWに達する可能性がある。これを実現するために、WindEuropeは適切な時期に適切な政策を実施すべきとし、いつ、どの場所に立地させるか海洋の利用計画を明確にして、(着床式と区別した)浮体式事業の入札を行い、理想的には差額決済方式(CfD)により支援すべきと主張する。また、浮体構造物の製造・組み立てには港湾などの改修が必要で、政府はこのような投資を促進するためのインセンティブを付与する政策を進めるべきとしている。
2022.06.01
中国:再エネ 政府、再エネ分野の中期計画を発表
国家発展改革委員会、国家能源局など9省庁は2022年6月1日、「再生可能エネルギー(再エネ)分野の第14次五カ年計画(2021~2025年)」(第1445号)を発表した。同計画では、「2030年カーボンピークアウト・2060年カーボンニュートラル」の実現や2030年の風力・太陽光発電設備12億kWという目標達成に向け、計画期間中における一次エネルギー消費増分のうち半分以上を再エネで賄い、風力・太陽光の発電電力量を倍増させて3兆3,000億kWhとして、2025年には電力供給の33%は再エネ発電(水力を含む、水力除きでは18%)とすることなどの目標が掲げられている。
2022.05.31
ドイツ・ロシア:Gazprom、Shell子会社とØrstedへのガス供給を停止
ロシアの国営天然ガス企業Gazpromは2022年5月31日、Shell Energy Europe(英エネルギー大手Shellの子会社)のドイツ向けガス供給、およびデンマークのØrstedへのガス供給を2022年6月1日より停止すると発表した。Gazpromは、Shell Energy Europeとの契約により年間最大12億m3のガスをドイツに供給していた。ドイツの連邦系統規制庁(BNetzA)は、国内ガス供給に占めるShell Energy Europeの割合はわずかであり、調達先の変更は可能としている。Ørstedもまた、ロシアからのガス供給が途絶するシナリオに備えてきたため、需要家への供給に支障はないとしている。供給停止の理由は、Shell Energy EuropeとØrstedが天然ガスの輸入代金をルーブル建てで支払うのを拒否したためとされる。プーチン大統領は2022年3月31日付の大統領令で、「非友好国」に指定した国の企業に対してパイプラインガス代金のルーブル決済を義務付けていた。ただし、天然ガスの輸入企業がGazprom傘下のガスプロムバンクに決済口座を開設し、代金を外貨で支払うことにより、ガスの購入継続が可能となる。外貨のルーブルへの両替、Gazpromへの送金はガスプロムバンクが行う。欧州各国はロシア側のルーブル決済要求に対して、ユーロ建て決済を定めた契約に違反すると反発していたが、イタリアの石油・ガス大手Eniを始めとする多くの事業者は、ガスプロムバンクに外貨建てとルーブル建ての口座を開設したと報じられている。ドイツの大手エネルギー事業者RWE、Uniperも、「新たな決済メカニズム」により2022年5月末を期限とするGazpromへの支払いを完了した旨を明らかにしている。両者は、今回の支払いにロシア中央銀行は関与しておらず、EUの制裁措置に反するものではないと主張している。
2022.05.30
中国:エネルギー政策 政府、新エネルギー発展促進に向けた実施計画を発表
国務院(日本の内閣に相当)は2022年5月30日、「新時代の新エネルギー(JEPIC注:再エネに加え水素・蓄電なども含む)発展促進に向けた実施計画」(第39号)を発表した。同計画では、政府の2060年カーボンニュートラル目標達成に向けて、石炭発電事業者と新エネルギー企業との合弁の奨励、2025年までに新設の公共機関建築物の50%におけるルーフトップ太陽光設置努力、蓄電設備のコスト回収メカニズムの検討、新エネ関連の行政手続きの簡素化など21項目が示されている。
2022.05.30
ポーランド:国内初の蓄電池製造工場建設、産炭地域での新たな雇用創出へ
ポーランド国有資産省は2022年5月30日、国内初となる蓄電池製造工場の建設計画を発表した。製造工場はシロンスク県(シレジア地域)Jastrzębieにある鉱山再編会社の敷地内に建設される予定で、運開は2024年となる見込み。小型(0.5kWh)と大型(50kWh)の蓄電池の年間生産量は120万kWh(最大150万kWh)規模となる見込み。シレジア地域は国内有数の産炭地域であり、長きにわたり石炭産業が地域経済、雇用を支えてきた。しかし、ポーランドではエネルギー転換として石炭からの脱却を目指しており、産炭地域での新技術の活用や新規事業の創出を検討している。サシン副相兼国有資産相は、同地域のエネルギー安全保障を確保し、新たな雇用を創出するシレジアン・エナジー・ストレージ・システム(SME:Systemu Śląskich Magazynów Energii)の立ち上げについて説明し、EUの気候変動政策の推進の他、ポーランドのエネルギー自給率を向上するためにも重要だという認識を示した。
2022.05.30
フランス:ルメール経済財務大臣、2023年の電気規制料金の引き上げを否定
現地紙の2022年5月30日付の報道によると、フランスのルメール経済財務大臣は記者会見において、2023年の電気規制料金の引き上げを否定した。フランスでは電気規制料金の高騰から国民を守るため2022年の電気規制料金の上昇を「固定料金」措置により4%に抑えているが、フランスの消費者団体であるCLCVは、2022年3月31日のエネルギー規制委員会(CRE)の報告をもとに、2023年の電気規制料金における「固定料金」措置は8%に引き上げられる可能性を指摘していた。同大臣によれば、現行措置を2023年も継続するためには年間20億ユーロ(約2,600億円)の追加費用が必要となるが、詳細は同年10月に予定される2023年予算の審議の際に検討される予定としている。
2022.05.25
中国・フランス:原子力 台山2号機、炉心の異常により出力抑制か
2022年5月25日付のフランス現地紙によると、中国広核集団CGNとフランス電力EDFの合弁会社TNPJVC(CGN:70%、EDF:30%)が運営する台山原子力発電所2号機(EPR、175万kW)について、炉心に異常が発生しており、状況の悪化を抑えるため出力を下げて運転しているという。同発電所では2021年7月、燃料損傷により1号機が停止しているが、2号機は問題ないとされていた。フランス原子力安全局ASNが2022年5月に発行した2021年のASN年次報告書において、「2021年に見られた燃料損傷を含む、台山EPRの炉心(les cœurs des réacteurs EPR de Taishan)で観察された様々な異常」と複数形で記載されていたことから、同紙が確認したところ、ASNは2号機にも異常が発生していることを認めたという。どのような異常かは明らかにされていないが、同紙は「同問題は燃料集合体の欠陥および圧力容器の設計ミスに起因しているようだ」としている。
2022.05.27
英国:2022/2023冬季の電力安定供給に向けて石炭火力を運転延長へ
英国のビジネス・エネルギー・産業戦略省(BEIS)は2022年5月27日、2022/2023冬季のエネルギー安全保障に関する書簡を発表した。同国の送電系統運用事業者であるNational Grid ESO宛ての同書簡のなかで、ロシアによるウクライナ侵攻の影響を考慮し、2022/2023冬季の電力安定供給には非ガス火力設備が必要であるとし、2022年中に廃止予定だった石炭火力を年内に廃止せず運転を延長する方針であるとしている。同年4月に石炭火力の運転延長方針の検討が報じられていたが、その方針が今回決定されたものである。BEISのKwarteng大臣は「英国は輸入化石燃料への依存を減らし、安全でクリーンなエネルギーへの移行を加速させなければならない。しかし、この移行は秩序あるものでなければならず、移行に際して化石燃料が果たす重要な役割を認識する必要がある。ただし、2024年9月末までの石炭火力全廃止と、2022年末までにロシア産石炭の輸入を段階的に禁止するという政府方針は順守する」としている。なお、現地報道によれば対象となる石炭火力は、EDF EnergyのWest Burton発電所(設備容量200万kW、運開1969年)、DraxのDrax発電所(設備容量130万kW、運開1975年)であると報じられている。
2022.05.25
中国:政府代表、世界経済フォーラムで10年間700億本の植林目標を発表
国家発展改革委員会は2022年5月25日、スイスのダボスでの世界経済フォーラム(WEF)で気候変動関連の中国政府代表である解振華氏が壮大な植林目標を提示したことを明らかにした。同氏は、WEFが気候変動対策として立ち上げている「世界植樹1兆本イニシアティブ」に積極的に対応し、今後10年以内で700億本の植林を目標としていることを明らかにした。同代表はまた、中国政府は今後、政策策定・エネルギー転換・森林吸収源の3分野を中心に行動を取る予定であり、エネルギーのグリーン・低炭素化転換を着実かつ秩序立てて推進する方針であることを強調した。
2022.05.24
スペイン:Enel Green Powerがスペイン最大の陸上風力の運転を開始
イタリアのエネルギー企業Enelの子会社Enel Green Power Españaは2022年5月24日、スペインアラゴン州Villar de los Navarrosに建設していたスペイン最大の陸上ウインドファームTico Windの運転を開始したことを公表した。ウインドファームの設備容量は18万kWで、年間発電電力量は4億7,100万kWhが見込まれており、発電される電力のうち7万8,500kWは、国際的な製薬会社であるNovatisに10年間のVPPA(Virtual Power Purchase Agreement)により売電される計画である。また、ウインドファームの建設においては、地元労働者の雇用が優先されることに加えて、建設現場での環境配慮と省エネ対策として、工事用電力供給用の太陽光発電設備の設置、LED照明装置の採用、雨水貯水装置の設置などの方策がとられた。なお、これらの設備は工事完了後に地元自治体に寄贈されることになっている。
2022.05.23
中国:2022年におけるエネルギーインフラ投資が加速化へ
現地報道機関は2022年5月23日、国家能源局が2022年におけるエネルギー分野に向けた投資が一段と加速化する方針であると報じた。それによると、国家能源局は、電力分野では、風力・太陽光・水力発電設備と電力貯蔵との一体化モデル基地を45カ所のほか、洋上風力やゴビ砂漠地域における大規模な風力・太陽光発電基地などの建設を進めるため、国有大手企業は1,260億元(約2兆4,000億円)にのぼる投資を行う計画であり、この結果2022年における発電設備新増設量は2億2,000万kW(2021年は1億7,600万kW)に達するものと見込んでいる。また、国家能源局は電力分野以外でも新疆自治区、内モンゴル自治区での石油・天然ガスの生産能力拡大など活発な投資が行われるとの見方を明らかにした。
2022.05.23
英国:財務大臣、発電事業者への超過利潤税適用の検討開始を指示か
2022年5月23日付の主要紙の報道によると、スナク財務大臣は、北海の石油・ガス事業者に対する適用の検討を進めている「超過利潤税」について、発電事業者に対する適用も検討を開始するよう省内で指示したとみられる。超過利潤税は、民間の公益事業者の収益が適正利潤を大幅に超えたとみなされる場合に一時的に適用される徴税制度であり、エネルギー事業では1981年や2011年に石油・ガス事業者に適用された前例がある。発電事業者に対する適用検討について、報道は、石油・ガス事業者と同様に一部の大手発電事業者が高利潤を得ているとする政府の推測を示した一方、ガス価格の高騰は発電コストの高騰にも影響しているとの見方や、再エネ投資の減少につながる可能性があるとの見方を伝えている。なお、スナク大臣はこれまで、石油・ガス事業者に対する超過利潤税の適用について否定的な見方を示していたものの、5月に入り検討を開始するようになったと見られている(5月5日の地方選挙における与党保守党の苦戦・敗北が影響した模様)。ビジネス・エネルギー・産業戦略省(BEIS)のクワーテング大臣は、2022年5月1日、北海の石油・ガス事業者に対し、高利潤を北海における開発に早急に「再投資」するよう求める書簡を送付しており、スナク大臣は、これが速やかに行われない場合に超過利潤税を適用したいとの考えを持っていると見られている。
2022.05.20
中国・ロシア:ロスアトム、中国遼寧省の徐大堡4号機の着工を発表
ロシア国営原子力企業ロスアトムは2022年5月20日、中国遼寧省の徐大堡原子力発電所4号機(VVER-1200、120万kW級)の着工を発表した。ロシアと中国は2018年6月、将来的に数十年間にわたる原子力産業における両国の協力事項の主要なガイドラインとなる戦略的パッケージ文書を締結し、ロシア製の第3世代炉であるVVER-1200(120万kW級)4基を、中国江蘇省の田湾原子力発電所7、8号機と遼寧省の徐大堡原子力発電所3、4号機として導入することを決定した。2019年6月には、徐大堡3、4号機の建設(原子炉建屋設計、原子炉建屋内の主要機器の供給等)と燃料供給に関する契約を締結した。両号機の試運転は2027~28年に予定されている。
2022.05.20
フランス:オー・ド・フランス地域圏議長、風力反対団体に補助金を交付へ
エネルギー情報誌は2022年5月20日、フランス北部、英仏海峡に面するオー・ド・フランス地域圏のベルトラン議長が風力反対団体(オー・ド・フランス風力停止連合)に補助金を交付すると報じた。同団体は「風力タービンはオー・ド・フランス地域圏の景観、遺産、地域の魅力を損なわせる。同地域圏にはフランス全土の陸上風力タービン(約9,000基)の約3分の1が集中しており、住民がもう耐えられない」との見解を示している。ベルトラン議長は、新規風力プロジェクトを立ち上げさせないという自身の公約通り、同団体に2022~2024年で17万ユーロ(約2,210万円)の補助金を交付するとした。交付される補助金はフォトモンタージュ(タービンが景観に与える影響を3Dモデリングし可視化したもの)の作成、専門家・弁護士にかかる費用、パンフレットの作成、ウェブサイトの運用等に充てられる予定。なお、同団体は、これまでに同地域ソム県に建設予定の8カ所の陸上風力発電所や、EDF Renewablesを中心としたコンソーシアムが開発を進めるダンケルク洋上風力プロジェクト(60万kW)等に対し、建設反対の訴訟を提起している。
2022.05.20
米国:ミシガン州パリセード発電所恒久停止、米国内稼働原子炉は92基に
エンタジー社は2022年5月20日、ミシガン州で1971年に運開したパリセード原子力発電所(PWR、85万7,000kW)を恒久停止した。これにより米国内で稼働する原子炉は92基となった。同発電所の運転ライセンスは2031年3月24日まで有効であるが、同社は経済性の問題から2022年5月31日に早期閉鎖する方針を公表していた。しかし同5月20日に制御棒の駆動機構に問題が見られたため、保守的に判断し、予定より11日早めて停止させたとしている。米国エネルギー省が新設した、既存原子炉の早期閉鎖回避を目的にした補助金プログラムを同発電所に適用し延命を図りたい考えを示していたミシガン州のホイットマー知事(民主党)は、停止を受けて地元紙にコメントを求められたが回答しなかったという。なお、同発電所の運営に係るライセンスは、エンタジー社から、廃止措置専門会社のホルテック社へ移管されることが米国原子力規制委員会により承認されており、2022年7月にも移管される見通しである。
2022.05.19
中国:初の自主開発可変速揚水発電ユニットが運転開始
現地専門紙は2022年5月19日、国内開発の可変速揚水発電ユニットが運転を開始したと報じた。これは、四川省にある春場壩揚水発電所の可変速ユニット(容量5,000kW)で、国の重要研究開発プロジェクトとして、国有送配電大手・国家電網公司の子会社である四川電力公司主導のもとで国内重電設備メーカー大手であるハルビン電気集団公司が開発した初の国産技術が使用されている。可変速揚水発電ユニットは、発電運転時の出力調整に加えて、揚水運転時の入力調整も可能であり、変動型再エネの大量導入による発電電力対応で期待されている。なお、可変速揚水発電については、別の国有大手送電事業者である南方電網有限責任公司により、さらに大型化した海水揚水用の開発も進められている。
2022.05.19
ドイツ:LNGターミナル等の建設を迅速化するための法案が可決・成立
欧州の電気事業者団体Eurelectericは2022年3月22日、ウクライナ危機への対応に関するEU首脳会議の開催に先立ち、欧州委員会および連邦議会は2022年5月19日、LNG輸入インフラ建設に係る許認可手続きを迅速化するための法案を可決した。同法案は2022年5月20日、連邦参議院でも可決されており、6月1日より施行される見通し。これにより、陸上のLNGターミナル、浮体式LNG貯蔵再ガス化設備(FSRU:Floating Storage and Regasification Unit)、ならびにこれらの設備を既存の導管に接続するパイプラインを建設(設置)・運転する際の環境影響評価を簡略化あるいは省略することが可能となる。これらのプロジェクトに関するパブリックコンサルテーションは、EU法で最低限とされている2週間に制限される。法案では、ドイツ北部の6都市(Brunsbüttel、Wilhelmshaven等)における18のプロジェクトが迅速化の対象に挙げられている。現行の2045年カーボンニュートラル目標を達成するため、LNG関連設備への許認可発給は2043年末までとされ、2044年以降は気候中立な水素とその派生物の受入設備への転換が求められる。
2022.05.18
EU:欧州委員会がロシア産化石燃料の使用停止のための計画を発表
欧州委員会(EC)は2022年5月18日、ロシア産化石燃料の使用を停止するための詳細計画を公表した。ロシアによるウクライナ侵攻などによりエネルギー価格が高騰し、気候変動問題の観点からも化石燃料への依存を早期に低減する必要が認識され、3月に発表された政策文書「REPowerEU」の具体的な内容が検討されていた。今回公表された「REPowerEU Plan」はエネルギー効率化、石油・ガス供給先の多様化、再エネ導入量の加速が大きな柱となっている。エネルギー効率化は省エネ目標を強化する方針で、2020年に策定した長期のエネルギー使用量想定に基づき、2030年に9%としていたエネルギー使用量の削減幅を13%に拡大する。石油・ガス供給先の多様化ではエジプトやカタールなどからのガス調達を拡大するとともに、関係国と設立した協議会を通じてLNGや水素の共同調達を検討する。水素利用は2030年に域内で1,000万tを製造、さらに1,000万tを輸入するが、いずれも再エネ由来の「グリーン水素」とした。化石燃料の輸入を契約する際にも、ECは長期的にはグリーン水素へと転換することを供給先に求める考えである。再生可能エネルギー導入拡大は2030年の最終エネルギー消費に占める割合を40%から45%に高めることになる。特に太陽光発電は2030年に6億kWとする計画で、新設する公共建物や商業設備への太陽光パネルの設置義務化が提案された。さらに再エネ設備導入加速のため許認可手続きの簡素化を進め、再エネを優先的に進める区域の設置を加盟国に求めることになる。これらの施策を実施するため2027年までに2,100億ユーロ(約28兆円)の追加的な資金が必要と試算されるが、新型コロナ対策予算を使った融資(2,250億ユーロ、約30兆円)や排出量取引制度の排出枠売却益を利用することが示された。REPowerEU Planで提案された政策は5月末の加盟国首脳会議で議論される予定である。
2022.05.13
米国:CA州知事、需給ひっ迫に備えた予備力確保に52億ドルを投じる提案
カリフォルニア州のニューサム知事は2022年5月13日、電力需給ひっ迫時に最大500万kWを供給する「戦略的電力信頼性予備力(Strategic Electricity Reliability Reserve)」の創設に52億ドルを投じることを含む、2022~2023年度向け改定予算案を発表した。本案では、予備力の対象となる設備として、閉鎖予定の既存の発電設備や、新規の発電・蓄電プロジェクト、排出規制に対応したディーゼルおよび天然ガス由来のバックアップ電源、カリフォルニア独立系統運用事業者(CAISO)の発動指令に対応可能なデマンドレスポンス等が含まれる可能性があるとしている。カリフォルニア州では、2020年夏の熱波に起因した電力不足から輪番停電を実施して以降、電力網の強化が進められているが、CAISOの分析では2022~2025年にかけて夏季のピーク時間帯に約170万kWの電力が不足する可能性が指摘されている。改定予算案には、低所得世帯を含む住宅向け太陽光および蓄電池の導入インセンティブ(9.7億ドル)や、クリーンエネルギー開発を支援する新たな融資制度(2.5億ドル)等、電力分野全体で約80億ドルが計上されている。今後、予算案可決の期限となる6月15日に向けて州議会で議論されると見られる。
2022.05.12
ポーランド:IEA、ポーランドのエネルギー政策レビューを発表
国際エネルギー機関(IEA)は2022年5月12日、ポーランドを対象としたエネルギー政策レビューを発表した。IEAのビロル事務局長はポーランドのモスクワ気候環境相とともに発表の場に立ち会い、ポーランドは先見性を発揮してロシアの天然ガスへの依存度を下げ、現在の厳しい状況下でも比較的安定したエネルギー供給を確保していると述べた。政策レビューでは前回(2016年)と比較して、天然ガス輸入の多様化を推進してきたことで、ロシアへの天然ガス輸入依存度は2010年の90%から2020年には55%に低下したと評価している。また、ポーランドでは、太陽光を中心に再エネの導入拡大を進めており、原子力の新設、電化の促進、エネルギー効率の改善を通じて、温室効果ガス排出量の削減を目指しているが、依然として石炭がエネルギー供給の中心であり、雇用をもたらす石炭産業への助成を続けていることを課題として指摘している。政策レビューでは、排出量削減とエネルギー安定供給のためにもより強力なクリーンエネルギー化への加速が必要だと示されている。
2022.05.12
ドイツ:連邦議会、エネルギー安定供給法の改正案を可決
ドイツ公共放送連盟(ARD)は2022年5月12日、連邦議会がエネルギー安定供給法の改正案を可決したと報じた。2022年5月20日に連邦参議院が改正案を可決すれば、2022年6月1日より施行される。同法は第1次オイルショックを受け1975年に制定されたものであり、エネルギーの安定供給を確保するため行政が介入することを可能としたもの。エネルギー危機時に重要なエネルギーインフラ(ガスパイプライン等)が正常に機能できず、安定供給を損ねるリスクがあると認められる場合、ドイツ連邦経済気候保護省(BMWK)は一時的(6カ月間、最大1年まで延長可)に当該インフラの運営企業を政府管理下に置く指示を出すことができ、極端なケースにおいては運営企業を政府が収用(国が強制的に権利取得)することも可能となる。連邦政府は2022年4月4日、ガスプロムのドイツ子会社ガスプロム・ゲルマニアが別のロシア企業に売却されるのを防ぐための緊急措置として、2022年9月30日まで同社を連邦系統規制庁(BNetzA)の管理下に置き、同社の経営議決権、役員任命権や財産処分権などを移管した。さらに、ウクライナ情勢を鑑み、今後同様のケースが続いて発生する懸念からエネルギー安定供給法の改正に踏み切った。同法の施行後、最初に連邦政府の管理下に置かれるのはロシアの石油企業ロスネフチの子会社がドイツ国内で所有するPCK製油会社になると見られている。同社がロシアから輸入する原油はドイツの全輸入量の12%に相当し、ロシアのウクライナ侵攻開始以降、多くのドイツ企業がPCKとの取引を停止しているため、経営悪化が続いている。このため、連邦政府はPCKを政府管理下に置き、原油の輸入元をロシア以外へと変更する方針。
2022.05.11
中国:電力需給安定化に向けて大手国有企業に1兆円超の資金支援
国務院常務会議(日本の閣議に相当)は2022年5月11日、電力需給安定化に向け、大手国有電力企業を対象とした資金支援を決定した。今回の支援措置は、総額600億元(約1兆1,400億円)規模にのぼり、内訳は再エネ補助に500億元(約9,500億円)、石炭火力発電企業の資本金増強に100億元(約1,900億円)となっている。常務会議を主催した李克強首相は席上、感染症対策の厳格化とともに、物流や供給チェーンの維持が重要であることを指摘し、電力供給不足や使用制限などはあってはならないことであり、それに向けた石炭生産能力の拡大などエネルギー供給確保を要求した。
2022.05.10
中国:発改委、バイオマス関連経済の発展に向けた5カ年計画を公表
国家発展改革委員会は2022年5月10日、「(現行中期計画である)第14次五カ年計画(2021~2025年)期中におけるバイオマス関連経済の発展に向けた計画」(第1850号)を発表した。同計画には、エネルギー分野に関して、バイオマス発電の秩序ある開発、石炭焚コージェネレーション設備のバイオマス転換の推進、地域熱供給における石炭利用からの代替プロジェクトの支援などの内容が含まれている。
2022.05.09
中国:2021年の再エネ利用割合基準(RPS)達成状況が公表される
国家能源局は2022年5月9日、2021年度における地域別の年間消費電力量に占める再エネ利用割合基準(RPS)の達成状況を公開した。中国では、チベット自治区を除く全土30省(自治区・直轄市を含む)を対象として省別に「再エネ発電電力全体」と「水力を除いた再エネ発電電力」双方の利用について、省内における消費電力量に対する割合の下限値と激励値(推奨値)を設定している。今回の公表資料では、「再エネ発電電力全体」の下限値は、甘粛省と新彊ウイグル自治区以外の28省が、「水力を除いた再エネ発電電力」の下限値については、新彊ウイグル自治区を除く29省が達成したとしている。国家能源局は、下限値が未達となった省に対して善後策(JEPIC注:省間取引、後年次シフトなど)の提出を求めている。
2022.05.07
米国:CA当局、今夏約130万世帯分の電力不足に至る可能性を発表
2022年5月7日付の現地報道等によると、カリフォルニア(CA)州当局は今夏の電力使用量がピークに達した場合、約130万世帯分の電力不足に至る可能性が高いと発表した。この電力不足は、主要な発電所1基分に相当する約170万kWと予想されており、2025年まで続くと予測されている。また当局は、猛暑や山火事に加え、太陽光発電産業に悪影響を及ぼしているサプライチェーンや規制の問題が、エネルギー供給の信頼性に影響していると述べた。CA州公益事業委員会(CPUC)の会長であるAlice Reynoldsは、「気候変動が何を引き起こすのか見通せないため、現実的な観点から分析し、最悪の事態を想定している。準備できることはすべて実施していくつもりである。」と述べている。なお、CA州では2020年8月の熱波襲来により、電力危機が発生した2001年以来の輪番停電が実施されているが、昨年は州知事による緊急事態宣言の発令等により輪番停電は回避されている。
2022.05.05
ドイツ:戦争の影響下、Jänschwalde鉱山の操業継続が認められる
2022年5月5日付の報道によると、同日にブランデンブルク高等行政裁判所はドイツのエネルギー事業者LEAGのJänschwalde褐炭露天掘り鉱山での採鉱継続を認めた。Jänschwalde鉱山はその規定値を超える取水量について環境団体により提訴され、一審判決では2022年5月15日に操業停止を命じられた。今回の控訴審ではロシアのウクライナ侵攻によるエネルギー供給危機を踏まえ、当該鉱山の操業停止は公共への不利益となる可能性が考慮されたとしている。
2022.04.29
インド:最大電力が過去最高の2億711万kWを記録
2022年4月29日付の報道によると、インドで4月29日14時50分に、最大電力が過去最高の2億711万kWに達した。4月26日にも2億106万kWを記録し、前年の最大電力2億53万kWを更新していた。インドの消費電力量は経済活動の再開により増加基調にある。さらに、記録的な熱波に見舞われており、電力需要は今後も増加が予想されている。電力省は、5~6月には最大電力は2億1,500万kW~2億2,000万kWに達するとの見通しを示している。
2022.04.29
英国:石炭火力の廃止時期後ろ倒しを検討へ
エネルギー情報誌は2022年4月29日、英国のビジネス・エネルギー・産業戦略省(BEIS)が同国内の石炭火力発電所の運転延長を検討していると報じた。BEISは石炭火力を所有するUniper、EDF Energy、Draxの3事業者に対し、2022年中に廃止予定だった石炭火力の廃止時期を後ろ倒しし、一時的に運転を延長するように要請したと伝えられている。対象となるのは、2022年9月で廃止予定であったEDF EnergyのWest Burton発電所(設備容量200万kW、運開1969年)、既存容量市場契約の期限である2022年9月末で廃止予定だったDraxのDrax発電所(設備容量130万kW、運開1975年)、4基中1基について2022年9月までに廃止予定であったUniperのRatcliffe-on-Soar発電所(設備容量200万kW、運開1968年)の3発電所である。政府報道官は「ロシアによるウクライナ侵攻を考慮し、エネルギー安全保障の観点から幅広い選択肢を模索している。残っている石炭火力を運転延長し、今冬のバックアップ電源として使用できないか検討している。2024年10月までに石炭火力を全廃止する目標に変わりはない」とコメントしている。
2022.04.26
フランス・ベルギー:ベルギー政府、フランスの洋上風力発電プロジェクトを提訴
2022年4月26日付の現地報道によると、ベルギー政府は欧州委員会に対して、フランス北部のダンケルク沖で計画されている洋上風力発電プロジェクトを提訴した。同プロジェクトでは、2027年に46基の風力タービン(設備容量60万kW)を設置することが計画されており、ダンケルクの海岸から約10km、ベルギーの海岸から約11kmのエリアが想定されている。ベルギー政府は2021年6月、景観問題や海路を妨げる可能性等を理由に、同プロジェクトを裁判所に訴えており、事業者のEMD(EDF Renewable、Innogy、Enbridge子会社、RTEによる合弁会社)に対し、プロジェクトのエリアを海岸からさらに5km離れた場所に移動させることを要請したが、拒否されていた。ベルギー政府は、フランス側の配慮の欠如を遺憾とし今回の提訴に踏み切ったが、フランス政府との交渉には応じる姿勢を見せている。
2022.04.25
中国:新エネ車導入拡大など消費促進、経済の持続的回復に関する指針を発表
国務院(日本の内閣に相当)は2022年4月25日、「消費潜在力の活用による消費の持続的回復促進に関する意見(指針)」(第9号)を発表した。同指針は、新型コロナ感染症拡大で、特に中小企業やサービス業関連で経済活動が沈滞化していることを念頭に、消費促進策として、20項目の措置を示している。このうちエネルギー・電力関連では、グリーン関連消費の積極的奨励の観点から、電気自動車(EV)・燃料電池車(FCV)やEV用充電施設の開発支援加速化、省エネ家電の消費拡大促進のほか、一部産業に対する電気料金の割引も内容とされている。
2022.04.22
バルト三国:バルト三国、天然ガスの脱ロシア依存を表明
2022年4月22日付の報道によると、エストニア、ラトビア、リトアニアは現在、ロシア産天然ガスの輸入を停止しており、将来的にロシア依存からの完全な脱却を目指す方針である。ラトビアのカリンシュ首相が、首都リガで開催されたバルト三国の首脳会談後、共同記者会見で明らかにした。同三国の中ではリトアニアが、ロシアによるウクライナ侵攻とパイプラインガス輸入代金のルーブル建て支払い要求を受けて、2022年4月2日にロシア産ガスの輸入停止を表明している。同国は今後、Klaipėda港のLNGターミナルにおける輸入分により国内需要を賄い、5月以降はラトビア、ポーランドからもパイプラインを介してガスを輸入するとしている。ラトビア政府も、2022年4月19日にロシア産ガスの輸入停止と国内におけるLNGターミナル建設に合意したことが報じられている。同国のVitenbergsエネルギー相は、輸入停止の期日は2023年1月1日に設定され、LNGターミナルの完成は2023年末~2024年頃になるとの見通しを明らかにした。短期的な対策としてはエストニア・フィンランド政府と共同で、エストニアのPaldiski港におけるLNGターミナル建設を目指すとしている。
2022.04.22
オランダ:政府、2022年中にロシアからの化石燃料輸入停止を表明
オランダ政府は2022年4月22日、2022年中にロシアからの化石燃料輸入停止を目指すと発表した。石炭については、EUの対ロシア第5次経済制裁の一環として2022年8月11日までの輸入停止が決定済みである。石油に関しては、他のEU加盟国と協調して数週間以内に禁輸方針で合意できるよう努力するとしている。ロシア産天然ガスがオランダの全輸入量に占める割合は約10~15%(約60億m3)である。政府は、省エネや他国からのLNG輸入量増加、ガス備蓄体制強化により脱ロシア産ガスを目指すとともに、他のEU加盟国へ同調を求めている。国内の具体策に関しては、ロッテルダム港のLNGターミナル拡張と北部エームスハーヴェン港での浮体式LNGターミナル建設により、2022年末までに追加で約80 m3のLNG輸入が可能となる。また、2025年までに国内天然ガス消費量は約90億m3削減可能と見込まれている(2021年国内消費量は400億m3)。ガス備蓄については、現在高騰しているガス価格と次の冬期ガス価格の差額を政府が補填することで民間企業の備蓄を促す方針であり、これに要する費用は6億2,300万ユーロ(約8兆5,351億円)と見積もられている。
2022.04.21
米国:FERC、地域送電計画と費用配分に関する改革案を公表
連邦エネルギー規制委員会(FERC)は2022年4月21日、地域送電計画と費用配分に焦点を当てた改革案を公表した。FERCは2021年7月15日に地域送電計画とその費用配分、電源連系プロセスの改善を目的とした一般からのコメントを募るため規則案事前通知(ANOPR)の発出しており、今回はANOPRに寄せられたコメントを踏まえて提案したものとなる。この改革案では、(1)電源構成や需要の変化による送電ニーズに対応するため、十分に将来(20年以上)を見据えた長期的な地域送電計画を策定すること、(2)地域送電計画の策定プロセスにおいてダイナミックレーティングや潮流制御装置といった系統強化技術(GETs:Grid Enhancing Technologies)を十分に考慮すること、(3)策定された地域送電計画の費用配分について、該当地域内の州機関の同意を取ることなどを求めている。(3)の費用配分に加えて、(1)の長期的な地域送電計画では連邦・州政府の公共政策(電源構成目標や再エネ利用割合基準等)に基づいた送電ニーズを反映することも求めており、今回の改革案により州の関与がより強化されるものと見られる。なお、電源連系プロセスに焦点を当てた改革は、近い将来着手される見通しである。
2022.04.20
中国:政府、新規原子力6基の批准と石炭生産能力増強等の方針を提示
国務院常務会議(日本の閣議に相当)は2022年4月20日、「経済・社会発展を保障するエネルギー供給能力の増加」の方針を提示した。同方針では、浙江省の三門原子力発電所3、4号機(中核集団、CAP1000、125万kW×2基)、山東省の海陽原子力発電所3、4号機(国家電投、CAP1000、125万W×2基)および広東省の陸豊原子力発電所5、6号機(中広核集団、華龍1号、115万kW×2基)の新規原子力6基の批准、ならびに年間3億tの石炭生産能力の増強と2億2,000万kWの石炭火力発電所の改造が示されている。
2022.04.20
EU:欧州委員会が2030年の再エネ目標を45%へと引き上げることを検討中
エネルギー情報誌は2022年4月20日、欧州委員会(EC)が2030年の再生可能エネルギー導入目標の引き上げを検討していると伝えた。ロシアのウクライナ侵攻によりロシアへのエネルギー依存度低下はEUの喫緊の課題となっており、ECは2022年3月に、2027年までにロシアからの化石燃料輸入の停止を提案したが、加盟国の間でまとまらず、5月に再度、議論を行うことになっている。ECの検討の中には、ロシアからのエネルギー輸入停止に伴うエネルギー供給への影響に加えて、再生可能エネルギー導入の加速が含まれており、2030年に40%とする再エネ導入目標(最終エネルギー消費に対する比率)を45%とする案が含まれている。ECはこれらの検討内容を加盟国に提示して議論し、2027年までのロシア産化石燃料輸入の停止を決定したい意向である。また、再エネ導入を加速するため、以前から課題となっている許認可手続きの簡素化のガイドラインもあわせて提示すると報じられている。
2022.04.19
米国:DOE、既存炉の運転継続支援プログラム初回分申請の募集を開始
欧州の電気事業者団体Eurelectericは2022年3月22日、ウクライナ危機への対応に関するEU首脳会議の開催に先立ち、欧州委員会および政府首脳に宛てた書簡を米国エネルギー省(DOE)は2022年4月19日、既設原子力発電所の早期閉鎖回避を目的に新設した総額60億ドルの「運転継続支援プログラム(Civil Nuclear Credit program)」の初回分申請の募集を開始すると発表した。締切りは同5月19日で、有資格と認定された商業炉に対し同10月1日から2026年9月30日までの4年間、発電量に応じて支援(クレジット)が付与され、対象炉を運営する事業者はクレジットの総量に応じた支援金を受け取ることになる。なおDOEは、2022年2月から実施した意見募集で寄せられたコメントを反映して、初回については既に早期閉鎖の方針を公表済みの商業炉を優先し、審査過程の簡素化も図ったとしている。また今回の発表の中で、2回目のスケジュール(2023会計年度第1四半期に申請募集期間を発表、クレジット付与期間は2023年10月1日からの4年間)を示すと同時に、同プログラムは60億ドルの基金がなくなり次第、もしくは2031年9月末をもって終了するとしている。
2022.04.18
パキスタン:華龍1号型のカラチ3号機が営業運転開始
中国核工業集団有限公司(CNNC)は2022年4月18日、パキスタンのカラチ原子力発電所3号機(110万KW)が試験に合格し、営業運転を開始したと発表した。2021年5月に営業運転を開始した同発電所1号機に次ぐ同国で2基目の華龍1号型PWRとなる。同号機は、2016年5月の着工後、2022年2月21日に初臨界を達成し、同年3月4日に電力系統に接続されていた。記念式典にはCNNC社長とパキスタン原子力委員会(PAEC)委員長も出席した。同発電所2、3号機は、華龍1号型として初の輸出事例で、国際市場では「HPR1000」として知られている。両号機の年間発電量は合計約200億kWhで二酸化炭素の年間排出量を1,632万t削減するという。同国パンジャブ州では、チャシュマ原子力発電所1~4号機(CNP-300型PWR×4)が稼働中だが、CNNCは2017年にPAECと同発電所5号機として、華龍1号型炉を建設する協力協定に署名している。
2022.04.14
中国:石炭輸送の幹線鉄道で脱線事故が発生
現地紙は2022年4月14日、中国の石炭生産量の約1割を輸送する幹線鉄道である大秦線の天津区間で脱線事故が発生したと報じた。それによると、4月14日の13時頃、停車中の貨車が動き出して走行中の別の車両に衝突、17両が脱線して11両が鉄橋から落下するという大事故となった。この事故に対して、国家鉄道集団では、約1,000人を動員して対応、これまでのところ負傷者などの報告はされていない。なお、大秦線は主要産炭地である山西省の大同市から天津市を経由して河北省の秦皇島港(世界最大の石炭中継港)に至る路線で、「エネルギーの大動脈」と称されており、この事故による石炭供給への影響が懸念されている。
2022.04.14
ポーランド:ZE PAK、Adamów石炭火力を早期閉鎖してCCGTに転換
ポーランドの国内発電大手ZE PAKは2022年4月14日、Adamów石炭火力発電所の閉鎖時期を当初予定の2030年から2024年に早め、跡地にCCGT(設備容量60万kW)を建設することを発表した。2022年11月末までにCCGT建設の準備を開始する予定。なお、CCGTプロジェクトは2021年12月に実施された容量オークションの結果、2025年から17年間、年間400.39ズロチ(約1万2,000円)/kWにて落札している。ZE PAKは2020年10月時点で同社が保有する石炭火力発電所(110万kW)を2030年までに閉鎖する予定を明らかにし、2023年にPątnów Iの5号機(20万kW)を閉鎖し、2024年にPątnów Iの1号機と2号機(44万kW)、2029年にPątnów IIの9号機(47万kW)を閉鎖する予定を示している。しかし、ロシアによるウクライナ侵攻の影響でロシアからの天然ガス輸入を停止することに伴い、石炭火力の閉鎖時期についてはEUと調整中であることが報じられている。
2022.04.12
ドイツ:連邦経済気候保護省、エネルギー危機時に向けた法改正へ
ドイツ連邦経済気候保護省(BMWK)のHabeck大臣(緑の党)は2022年4月12日、エネルギー危機が発生した場合に、重要なエネルギーインフラの運営企業を政府管理下に置くことを可能とするようエネルギー安全保障法改正を検討していることを明らかにした。同法は第1次オイルショックを受け1975年に制定されたものであり、エネルギーの安定供給を確保するため行政が介入することを可能としたものである。改正法案のドラフト版によると、エネルギー危機時に重要なエネルギーインフラ(ガスパイプラインやガス貯蔵設備)が正常に機能できず、安定供給を損ねる具体的リスクがあると認められる場合、BMWKは一時的(6カ月間、最大1年まで延長可)に当該インフラの運営企業を政府管理下に置く指示を出すことができ、極端なケースにおいては運営企業を政府が収用(国が強制的に権利取得)することも可能となる。
2022.04.12
フランス:風力・太陽光事業者、FIP制度で得た利益の差額を政府に支払い
現地紙の2022年4月12日付の報道によると、フランスの風力・太陽光事業者は電力価格高騰を受け、FIP制度(一年に一度計上)における市場価格と行使価格の差額をプレミアムとして政府に支払うと発表した。同国では、2022年の第1四半期における市場価格(23.1ユーロ・セント/kWh)が行使価格(2021年の平均値は10.88ユーロ・セント/kWh)を上回っている状況であり、利益を出している事業者側が規定により政府にプレミアムを交付しなければならない(1ユーロ・セントは約1.3円)。また、フランスの風力エネルギー協会(FEE)の発表によると、2022年の年間平均電力価格を22ユーロ・セント/kWhと仮定した場合、風力・太陽光事業者は同年に37億ユーロ(約4,810億円)を政府に交付しなければならない。この状況が続けば、2003年より風力事業を支援してきた政府はこれまで支援した分の全額に当たる110億ユーロ(約1兆4,300億円)を2024年四半期に回収することになる。なお、風力と太陽光を合わせると、政府は2022年に144億ユーロ(約1兆8,720億円)を事業者から回収することになる。
2022.04.10
中国:国務院、全国統一市場の設置加速化に向けた指針を公表
国務院(日本の内閣に相当)は2022年4月10日、全国統一市場の設置を加速化する指針を公表した。それによると、効率的かつ規範化され、公平な競争が行われる、十分に開放された全国統一市場を様々な分野で設置していくことが提唱された。指針では、市場の健全運営に向けた基本規則の策定を手始めに、法律・法規などに基づいた法執行を規範化するなどの方針が示されている。なお、エネルギー分野に関しては、国家電力取引センターを適切な時期に設立することなどが言及されている。
2022.04.07
カナダ:オンタリオ州、GHG削減等を目的とした水素戦略を発表
カナダで最大の人口を有するオンタリオ州は2022年4月7日、「Ontario’s Low-Carbon Hydrogen Strategy」と題した水素戦略を発表した。州内で水素ハブの候補地を5つ示した。このうちナイアガラフォールズ水素製造プロジェクトでは、2万kWの水電解装置を設置しサー・アダム・ベック水力発電所の電力を利用してグリーン水素を製造する。オフピークの電力を使い需給を調整するとともに、地域の大型トラックや自治体、重工業などに対し水素を供給する。連邦政府の資金援助を獲得できれば、2024年までに運転を開始できるという。同州は、水力発電にかかる税金など(gross revenue charge)を免除して支援する。アルバータ州やブリティッシュコロンビア州は、水素の輸出を目論むが、オンタリオ州は、水素を主に温室効果ガス(GHG)の削減に活用する。一方、電源が不足しているオンタリオ州では、水素製造に使う電力需要が増えれば、これを補うために天然ガス火力を稼働させる必要がでてくるため、GHGが増えるとして本戦略を批判する声もある。
2022.04.06
ポルトガル:電力供給に占める再エネ比率を2026年までに80%へ引き上げ
エネルギー情報誌は2022年4月6日、ポルトガル政府が電力供給に占める再エネ比率を拡大して、2026年までに80%とすると発表したことを報じた。ロシアのウクライナ侵攻により欧州各国で再エネ導入を拡大する動きがあるが、ポルトガル政府の目標引き上げもこの流れに沿ったもので、従来の計画を4年前倒しすることになる。同国の電力供給に占める再エネ比率は2010年の41%から2022年には58%まで高まる計画で、2026年に80%が目標となる。最終エネルギーに占める再エネ比率は2030年に47%としており、このため今後10年間に再エネ設備容量を倍増する。ポルトガル政府は太陽光発電導入に期待を寄せており、その導入を加速するため設備容量5万kW以下の事業の環境審査を省略する方針である。
2022.04.05
EU:ロシアへの追加制裁としてロシア産石炭の輸入停止へ
欧州委員会は2022年4月5日、ロシアによるウクライナ侵攻に対する制裁として6つの追加制裁を課すと発表した。ロシア産石炭の輸入を禁止するほか、ロシア主要銀行との取引停止、ロシア関連船舶のEU域内港湾への入港禁止、ロシアとベラルーシの運送会社のトラックのEU域内通行禁止等が含まれる。一連の制裁で欧州委員会がエネルギー輸入に関する制裁を課すのは初めてとなる。欧州委員会によると、EU全体の石炭輸入量の45%はロシアに依存しており、特にドイツ、オランダ、ポーランドがロシア産石炭の主要輸入国である。年間輸入額は40億ユーロ(約5,200億円)に達する。EIA統計によると、ロシアは2020年に約2億2,000万tの石炭を輸出しており、そのうち31%が欧州向けとなっている。追加制裁は4月8日にEU理事会により正式決定された。石炭の輸入禁止に向けては4カ月間の準備期間が認められ、既存契約の下では2022年8月まではロシア産石炭輸入は可能だが、それ以降の新たな契約締結は禁止されることとなる。
2022.04.05
欧州:欧州水素パイプライン構想の更新(European Hydrogen Backbone)
2022年4月5日、欧州大での水素専用パイプライン構想European Hydrogen Backbone(EHB)の更新版レポートが発表された。EHBは、EU水素戦略等を踏まえた2030~2040年の水素専用パイプライン敷設構想であり、2020年7月の初案ではガス導管事業者11社の参画による欧州10カ国の既存ガスパイプラインの転用を主としていた。今回の更新では、2022年3月に欧州委員会が発表した包括的な政策文書「REPowerEU」にて引き上げられたグリーン水素利用目標(年間500万tから2,000万tへ)を踏まえて規模が拡大されており、2030年時点で5つの水素輸入・供給ルートを欧州内に構築し、パイプラインの全長は2万8,000kmとなる。さらに、2040年には全長5万3,000kmまで拡張される予定であり、その60%以上が既存ガスパイプラインの転用、残りは新設となる。参画するエネルギーインフラ企業は31社で設立当初より大幅に増え、対象国はEU25カ国、英国、ノルウェーおよびスイスの28カ国となった。2040年迄の構想全体の必要投資額は800億~1,430億ユーロ(1ユーロは約135円)、パイプラインを利用した輸送コスト(水素1kg、輸送距離1,000km当たり)は、陸上ルートで0.11~0.21ユーロ、海底ルートで0.17~0.32ユーロと見積もられている。
2022.04.02
中国:エネルギー分野の技術開発5カ年計画が公表される
科学技術部(日本の「省」に相当)と国家能源局は2022年4月2日、「エネルギー分野における技術開発・イノベーション推進に関する第14次五カ年計画(2021~2025年)」(第58号)を公表した。同計画では、新エネルギー比率の更なる拡大に対応するため、大容量エネルギー貯蔵、水素エネルギー、高効率太陽光などを含めた新型電力システムを構築するための技術・イノベーションの推進方針がまとめられている。また、安全確保を前提とした原子力の秩序ある発展を支える先進的技術と使用済燃料の処理と原子力発電の寿命延長の技術研究、化石エネルギーの高効率利用、緊急時の対応能力向上、エネルギー産業の更なるデジタル化などが目標として掲げられている。

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