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最新情報 - 2022 年度

海外電力調査会が収集した世界各地の電気事業情報を、エリア別、項目別にフィルタリングできます。各年度毎の表示となります。

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2022年度

2022.07.26
EU:供給停止に備えたガス節約規制を承認、EU全体で15%削減
エネルギー情報誌は2022年7月26日、欧州連合のエネルギー閣僚会合でロシアからのガス供給遮断に備えて、EU加盟国全体でガス消費量を15%削減する規制を承認したと報じた。ロシアとドイツを結ぶガスパイプライン「ノルドストリーム」を通じたガス供給が大きく減少する中、欧州委員会(EC)はガス消費量の節約が十分でない場合に冬季に貯蔵量が底をつく可能性があり、混乱を回避するためにガス節約方策を提案したもの。ECの提案は2022年8月~2023年3月のガス消費量を過去5年の平均に比べ15%削減するもので、加盟国が自主的に削減する方策として再エネへの早期の転換や代替燃料の活用、需要削減のための市場メカニズム(入札など)の採用を挙げた。EC案では、ガス需給がさらに悪化する場合、加盟国への事前の相談なしにECが「警告」を発し、すべての加盟国に対して強制的なガス需要の削減を要請する権限を有することになっていた。しかし、多くの加盟国が懸念を表明して議論した結果、「警告」についてはECの提案の後に加盟国が投票により承認すること、あるいは5カ国以上の提案によりECが「警告」を発することとなった。また強制的な削減については、いくつかの例外規定が設けられ、ガスパイプラインが接続していない島国(アイルランド、マルタ、キプロス)、電力系統がロシアと連系し国内のガス発電比率が高い国(バルト3国)、ガス貯蔵目標(2022年11月1日に貯蔵容量の80%)を上回った国、化学産業など基幹産業の原料としてガス使用量が増加している国などを対象外とすることで合意し、詳細を調整することになった。
2022.07.25
ポーランド:気候環境相、EUの天然ガス消費量削減案に反対を表明
ポーランドのモスクワ気候環境相は2022年7月25日、翌日の臨時EUエネルギー閣僚会議開催に先立ち、「エネルギー分野を含め、ロシアに対抗するための連帯を維持することはEUにとって不可欠であるが、ガス消費量の削減など、国家エネルギー安全保障に悪影響を与える可能性のある解決策は受け入れられない」と発言した。欧州委員会は、ロシアからのガス供給量削減に備えて、加盟国が2016~2021年の平均消費量と比較し、2022年8月~2023年3月までの天然ガス消費量を15%削減することを提案している。同相は、ポーランドの場合、天然ガス貯蔵施設が順調に稼働していることで天然ガス供給量確保には問題なく、むしろ石炭価格やEU-ETS価格の高騰に伴い、電源構成の7割を占める石炭から、天然ガスへ移行を目指している状況では消費量削減は現実的でないとしている。また、各国で連帯し天然ガス消費量を削減するという欧州委員会の提案に対し、一つの分野で犠牲と連帯を求めているが、ポーランドが求めるEU-ETSの見直しなどの他の問題については検討が行われていないと主張している。報道によれば、EUのガス消費量削減案に対しスペイン、ポルトガルが反対しており、ハンガリー、イタリア、デンマーク、フランス、マルタ、オランダも懸念を示している。
2022.07.21
トルコ・ロシア:トルコのアックユ4号機が着工
ロシア国営原子力企業ロスアトムは2022年7月21日、トルコのメルシン州で建設中のアックユ原子力発電所4号機(VVER-1200、120万kW)で安全に係る最初のコンクリートが注がれた(着工した)と発表した。現地で開催された式典では、トルコのエネルギー天然資源大臣、ロスアトム総裁等が出席した。同号機の建設許可は、2021年10月にトルコ原子力規制庁(NDT)により発行されている。同発電所プロジェクトは、2010年に両国が署名した政府間協定に基づき、いわゆるBOO(build-own-operate)モデルの下でロスアトムが、4基のVVER-1200型炉を建設している。1~3号機は、それぞれ2018年4月、2020年4月、2021年3月に着工され、同1号機はトルコ建国100周年の2023年に運転を開始する予定である。4基すべてが完成すると、同発電所は同国の電力需要の10%を満たす他、年間3,500万tの温室効果ガスの排出を抑制するという。
2022.07.21
ドイツ:ノルドストリーム1の定期点検が終了しドイツへのガス供給再開
ドイツ連邦系統規制庁(BNetzA)は2022年7月21日、ロシアからのガス供給パイプラインであるノルドストリーム1(NS1)の定期点検(同月10日開始)が終了し、定期点検開始前と同じ水準である、通常の天然ガス輸送量の約40%に相当する天然ガスの輸送が再開されたと発表した。BNetzAによると、同日のNS1の天然ガス輸送量は、約6,700万m3(7億kWh)だった。これはロシアのガス会社Gazpromが同年6月16日から同年7月10日までに供給した1日当たりの天然ガスの量と同じ水準である。本来NS1は、1億6,700万m3/日の輸送能力を持つ。BNetzAは「NS1のガス輸送量がこの水準にとどまった場合、同年11月1日までにドイツの天然ガス貯蔵設備の充填率を90%にするという目標を達成できない可能性が高い。そしてロシア側がNS1を通じた天然ガス輸送量をさらに減らす可能性もある」とコメントしている。なお同年7月25日現在、同国全体のガス充填率は65.9%であり、欧州最大の貯蔵設備であるRehden貯蔵設備では37.8%にとどまっている。
2022.07.19
フランス:政府、EDF国有化のために株式公開買付を開始する意向を表明
フランス経済・財務省は2022年7月19日、政府未保有のフランス電力EDFの株式15.9%および転換社債型新株予約権付社債(CB)の60%を公開買付(TOB)にて購入し、EDFを国有化する意向を発表した。TOBは同年9月末に実施する場合、1株当たり12ユーロ、CB1株当たり15.64ユーロとなり、総額97億ユーロとなる見込み。政府は、TOBに必要な予算を計上した2022年修正財政法の制定を待って、同年9月上旬までにTOBの実施を金融庁に申請するとしている。同発表において、政府は「気候変動の緊急事態、地政学的な状況から超長期的に発電・送電・配電手段を計画できるよう、フランスの独立性とエネルギー主権を確保するために強い決断が必要な時期」としたうえで、マクロン大統領が同年2月に発表したエネルギー政策、特に6基のEPR2新設を加速するために、政府は国有化により、EDFグループに適切なガバナンスと必要なリソース(特に資金)を確保するとしている.
2022.07.18
中国:全国大の炭素排出権市場、1年間で約2億tの取引実績
現地紙は2022年7月18日、全国大の排出権取引市場での排出権取引の開始後1年間の実績について報じた。これは、取引機関である上海環境能源(エネルギー)取引所が明らかにしたもので、2021年7月16日の開始から2022年7月15日までの1年間の取引量は1億9,400万t-CO2、取引額は84億9,200万元(約1,700億円)に達した。また、これまでに発行された炭素排出枠は90億t-CO2以上となったことも明らかにした。なお、取引価格は、1年前にはt-CO2当たり48元(約960円)だったが、上昇基調で7月15日の終値はt-CO2当たり58.24元(約1,160円)となった。
2022.07.18
ポルトガル:Iberdrolaがポルトガルの水力発電プロジェクトの運転を開始
スペインの大手エネルギー企業Iberdrolaは2022年7月18日、同社が開発を進めていたポルトガル北部の水力発電所の商業運転を開始した。この水力開発プロジェクトはTâmega(タメガ)hydroelectric complex(またはTâmega Giga Battery)と呼ばれ、ポルトガル北部のTâmega川にGouvães(グーヴァンス)、Daivões(ダイヴォンス)、Alto Tâmega(アルトタメガ)の3つの水力発電所およびダムを建設するもので、3発電所の設備容量は合計約110万kWであり、これまでの25年間で欧州最大規模の水力開発プロジェクトである。このうちGouvãesは、落差650m以上で設備容量88万kWの揚水発電所である。また、これら水力発電設備に合計設備容量30万kWの2つの風力発電所も併設される。プロジェクト投資額は15億ユーロを超えており、2015年の建設着手から、GouvãesとDaivõesの運転開始が2022年初めに予定されていた。また、Alto Tâmegaの運転開始は2024年春に予定されている。
2022.07.18
ドイツ:連邦政府、ガス危機を受けて原子力の運転延長を再検討
2022年7月18日付の現地報道によると、連邦政府は2022年末に閉鎖予定の原子力発電所3基の運転継続を再度検討する。連邦経済・気候保護省(BMWK)と連邦環境・自然保護・原子力安全・消費者保護省(BMUV)は2022年3月、運転継続によるリスクと便益を評価し、法制度、技術、安全上の問題から原子力の運転延長は推奨しないと結論付けていた。しかし、国内でロシアからのガス供給途絶に対する不安が高まる中、連邦政府は電力安定供給と系統の安定運用に関するストレステストの再実施を決定した。同テストの結果は今後数週間以内に発表され、連邦政府はそれを基に運転延長の可否を判断する。ガス供給をめぐる情勢の悪化を受けて、今回のストレステストでは前回よりさらに悲観的なシナリオ(ガス供給量の大幅な減少や価格高騰、フランスでの複数の原子力発電所の停止等)が採用される。また、電力多消費産業が立地するドイツ南部(バイエルン州)の需給状況も重要な評価項目となる。
2022.07.13
中国:高温の影響で、最大電力更新が相次ぎ、地方政府は対策を策定中
現地専門紙は2022年7月13日、このところ高温の影響で、江蘇省・浙江省などにおける電力需要が過去最大を更新していると報じた。それによると、江蘇省・浙江省とも7月11日から12日にかけて最大電力が1億kWを超えて過去最大を記録した。これに対して、各地方政府は、ピークシフト、消費の一部制限や供給の優先順位を内容とする「有序用電」(JEPIC注:「秩序ある電力使用管理」)計画の作成・見直しを急いでいる。大部分の地域は、供給力が需要に対して不足すると見込まれる場合、その想定不足割合別に計画的に電力使用制限が発動されることとなっている。ただ、産業構成やピーク需要時間には地域ごとに差もあるため、地域間融通の協力強化などを活用して、使用制限の発動は極力回避する方針である。
2022.07.13
米国:新車EV販売台数、2022年第2四半期に過去最高を記録
自動車関連サービス企業のCox Automotive社は2022年7月13日、2022年第2四半期のEV販売実績に関するレポート「Electrified Light-Vehicle Sales Report」を発表した。EV、ハイブリッド車、燃料電池車を合わせた電動車両の販売台数は、第2四半期に全米で約44万台となり、前年同期比で12.9%増加した。第2四半期に販売された全車両(352万台)に占める電動車両の割合は12.6%であった。第2四半期のEV販売台数は市場全体の5.6%(約20万台)を占め、第1四半期の5.3%から増加し、過去最高を記録した。第2四半期にはガソリン価格が5ドル/ガロンを超える時期があり、ハイブリッド車やEVへの関心が急増した。その一方で在庫の逼迫により販売が抑制され、ハイブリッド車の販売台数は、第2四半期に前年同期比10.2%減(約25万台)となった。
2022.07.13
米国:テキサス州で猛暑による需給ひっ迫、卸電力価格は上限を推移
テキサス電力信頼度協議会(ERCOT)は2022年7月13日、同日14時から21時に掛けて管内の需要家に自主的な節電を呼び掛ける節電要請(Conservation Appeal)を発出した。この節電要請は、予想される瞬動予備力が230万kWを30分以上下回る可能性がある場合に発出されるもので、同月11日に引き続き発出されることとなった。ERCOTは11日と同様に、電力需要ピークが記録的な水準に達する一方で、風力発電の発電量が低レベルにとどまると予測している。さらに、今回は火力発電の計画外停止の増加や太陽光の発電量低下が予想された。その結果、ERCOTは瞬動予備力が300万kWを下回ったとして注意報(Advisory)を発出し、卸電力価格も上限である5ドル/kWhに張り付いた。ERCOTは緊急用のデマンドレスポンスプログラム(ERS:Emergency Response Service)などを活用することで緊急警報(EEA)は回避している。
2022.07.13
米国:米国の太陽光・風力発電価格、前年比で約30%上昇
米国の調査会社LevelTen Energyは2022年7月13日、米国における2022年第2四半期の太陽光および風力発電の平均PPA(電力売買契約)価格が、前期比で5.3%、前年同期比では約30%上昇し1MWh当たり41.92ドルとなったとの調査結果を公表した。個別にみると、太陽光は前年同期比25.4%、風力は同33.7%の上昇であった。今後の見通しについて同社は、インフレの高進、系統連携の審査遅延、太陽光パネルに関する関税問題の不確実性が続くとみられることから、PPA価格が2020年以前の価格水準に戻ることは当面ないとしている。関税問題の不確実性とは、米国商務省が2022年6月に、東南アジア4カ国からの太陽光パネル部品輸入に対して24カ月間関税を免除すると決定したことに起因するものであり、同社によれば、事業者の40%が関税免除の自社ビジネスへの影響を判断するには時期尚早であるとし、31%は免除期間が過ぎた後に関税が遡及的に適用されないことに確証がもてないと回答したという。
2022.07.11
ミャンマー・ロシア:ミャンマーとロシアが原子力協力に関するMOUを締結
ミャンマー国軍が主導する科学技術省とロシア国営原子力企業ロスアトムは2022年7月11日、原子力分野における技術協力、人材育成およびミャンマーでの原子力に前向きな世論形成に関するMOUを締結した。同MOU締結式にはミャンマー国軍のミン・アウン・フライン総司令官兼首相が立ち会った。なお、両国間ではミャンマーにおける発電事業の推進についてもMOUが締結されている。ミャンマーの電力省とエネルギー省を兼任するThaung Ham大臣が6月のロシア訪問時に現地のインテルRAOエクスポート社と交わしたもの。
2022.07.10
米国:ERCOT、猛暑による電力需給のひっ迫で自主的な節電を要請
テキサス電力信頼度協議会(ERCOT)は2022年7月10日、翌日11日の14時から20時にかけて管内の需要家に自主的な節電を呼び掛ける節電要請(Conservation Appeal)を発出した。この節電要請は、予想される予備力が230万kWを30分以上下回る可能性がある場合に発出される。ERCOTは節電要請期間中、電力需要ピークが2022年夏季需給見通しで予測したピーク値(7,731.7万kW)を上回る記録的な水準(7,967.1万kW)に達する一方で、風力発電の発電量は例年よりも低レベルにとどまると予想している。ERCOTの発表によると、最も需給状況が厳しい時間帯(14~15時)では、予測される風力発電の出力(269.8万kW)は導入容量(3,516.2万kW)の約8%にとどまる。なお、ERCOTでは管内の予備力が実際に230万kWを下回り、30分以内の復帰が見込めない場合には緊急警報(Energy Emergency Alert)に至る。
2022.07.09
ベトナム:電力マスタープラン、LNG火力と再エネを再調整へ
2022年7月9日付の現地紙によると、ベトナム商工省(MOIT)は首相宛て報告書(No.3787/2022/BCT-DL)を発行し、第8次電力マスタープラン(PDP8)の再調整の結果を首相提案した。調整結果は、2030年まで太陽光開発の継続、2030年までのLNG火力2,390万kW開発(総発電設備容量の16.4%)としている。なお、MOITは高需要シナリオを採用し、2030年時点の総発電設備容量は1億4,593万kW(屋根置き太陽光および自家発を除く)想定のもと、電源構成案を、石炭火力3,746万7,000kW、水力2,894万6,000kW、LNGガス火力2,390万kW、国産ガス火力1,493万kW、陸上風力1,612万1,000kW、洋上風力700万kW、大規模太陽光873万6,000kW、その他(バイオマス、揚水、蓄電、水素など)383万kW、他国からの輸入500万kWとしている。
2022.07.06
インド:インドで新たに卸電力取引所が開設
2022年7月6日付の報道によると、インドで新たに卸電力取引所「ヒンドゥスタン電力取引所(HPX:Hindustan Power Exchange)」が開設され、操業を開始した。当面の取引は、ターム前市場(11日前の電力スポット取引)、グリーン・ターム前市場(11日前の再エネ電力取引)、再エネ証書市場の3市場である。HPXの設立者は、ボンベイ証券取引所(BSE)、国営電力取引会社(PTC)、インドの地場銀行のICICI銀行である。同国には卸電力取引所はHPXの他に、インドエネルギー取引所(IEX)とインド電力取引所(PXIL)がある。同国では、取引所を通じて取引される電力は総発電電力量の10%程度で、今後、再エネ電力の増加により、取引所取引の増加が見込まれている。
2022.07.06
オランダ:Shell、欧州最大規模のグリーン水素製造プラントの建設を決定
石油メジャーのShellは2022年7月6日、子会社のShell NederlandとShell Overseas Investmentによる欧州最大のグリーン水素製造プラント「Holland Hydrogen I」の最終投資決定を行ったと発表した。運開は2025年を予定。同計画において、オランダロッテルダム港に建設される20万kWの水電解装置は、同社とEnecoのコンソーシアムによる洋上風力プロジェクトHollandse Kust Noord(75万9,000kW、2023年運開予定)の電源を活用し、最大6万kg/日の水素製造を見込む。また、同プラントで製造されたグリーン水素はパイプラインによりShell Energy and Chemicals Park Rotterdamに輸送され、製油所で使用されるグレー水素の一部を代替する予定。産業・運輸部門の脱炭素化が期待される。
2022.07.06
フランス:ボルヌ首相、EDFの再国有化方針を発表
ボルヌ首相は2022年7月6日、同日行われた所信表明演説において、政府がフランス電力EDFの株式を100%取得し再国有化する方針を発表した。政府は現在、同社の約84%の株式を保有している(残り約15%は個人・機関投資家、約1%は従業員その他が保有)。同首相は、再エネと原子力をベースとしたエネルギーミックスによって主要国で最初に化石燃料から脱却するとしたうえで、EDFの国有化により「エネルギーの未来に不可欠な野心的プロジェクトをできるだけ早く実行する能力を強化できる」と述べた。同日付の報道によれば、株式取得にかかる費用は50億~70億ユーロと推定されている。EDFは政府による同社株式100%取得の実現に向けてあらゆる支援を行うとしている。また、今回の発表に対しEDFの労働組合は、政府とEDF経営陣によるEDFの組織再編プロジェクトの再開への懸念を示すとともに、野党は「予測もできない、制御もできない」現行の電力市場の見直しなしにEDFの再国有化だけ進めても、現在の難局は解決しないと指摘している。
2022.07.06
EU:天然ガスと原子力に関するタクソノミー技術基準案に欧州議会が合意
エネルギー情報誌は2022年7月6日、欧州委員会(EC)が提案する持続可能な事業分類(タクソノミー)に原子力と天然ガスを含める技術基準案に欧州議会が合意したと伝えた。7月6日に実施された本議会の採決でEC提案に反対する動議が、賛成278票、反対328票で否決されたもの。欧州議会の経済金融委員会と環境・公衆衛生・食品安全委員会は6月14日、EC提案に反対する異議申し立てを採択しており、本議会での採決に注目が集まっていた。金融機関などはタクソノミー基準に準拠した投融資額の公表が求められるため、基準に認定されれば事業への資金提供が行いやすくなるが、EC提案では天然ガスについては温室効果ガス排出量270gCO2/kWh未満であること、原子力については2050年までに高レベル廃棄物最終処分場を稼働するための詳細な計画を有することなどが条件となっている。今後は加盟国で構成する理事会の手続きに関心が移るが、EC提案を覆すためには7月11日までに27カ国中20カ国以上が反対の意思表明を行うことが必要で、その可能性は低いとみられている。なお、ルクセンブルクやデンマーク政府はEC提案に反対しており裁判で争う構えである。
2022.07.05
ポーランド:陸上風力の導入を阻害すると批判されていた距離規制、撤廃へ
ポーランド政府は2022年7月5日、気候環境省が提出した風力発電所投資法改正案を承認した。ポーランドでは2016年より風力発電所投資法に基づき、近隣の建物からタービン高の10倍の距離(約1,500m)をとることを定めた規制(通称10H法)が施行されている。再エネ開発事業者らは同規制によって風力投資の99%以上が阻害されていると訴え、法改正を求めていた。改正案では、陸上風力発電所は地域空間開発計画(MPZP)に基づいてのみ建設できるという基本原則は維持されるものの、MPZPを作成または修正する義務は、風力発電所の影響を直接受ける地方自治体に委任される。地方自治体は環境影響評価の結果を考慮した最低距離(500m)を指定することが可能となるため、陸上風力の開発が進むことが期待されている。気候環境省は改正法によって新たな投資を促すことで将来的に600万kW~1,000万kWの陸上風力の導入が可能になると見込んでおり、エネルギー安全保障の強化に貢献すると説明している。改正案は今後、議会にて審議が行われる予定。
2022.07.05
米国:PG&E社、運転継続支援プログラムにディアブロキャニオンを申請予定
カリフォルニア州のパシフィック・ガス・アンド・エレクトリック(PG&E)社は2022年7月5日、同社のディアブロキャニオン原子力発電所の2024年以降の運転継続について、米国エネルギー省(DOE)の運転継続支援(CNC)プログラムに申請予定であることを明らかにした。これは申請期限延長の同社要請と申請要件ガイダンスの修正をDOEが6月30日に認めたことを受けたもの。当初同年7月5日とされていた申請期限は同年9月6日まで2カ月延長された。PG&E社広報担当は、このDOEの回答と同州ニューサム知事の同発電所維持への要請を考慮したとし、「運転継続に必要な費用などについてはまだ見積もりしていない」こと、および「運転継続には、将来の法令の整備と、連邦、州および地方の規制当局からの承認が必要」と付言した。
2022.07.01
中国:青海省の大容量太陽光発電所がギネス世界記録に認定
現地紙は2022年7月1日、国有発電大手である国家電力投資集団公司(国家電投)が青海省で建設した太陽光電設備がギネス世界記録に認定されたと報じた。この設備は、国家電投が青海省西部の海南チベット族自治州で建設した太陽光発電設備で、その843万kWに達する設備容量がギネス世界記録に認定された。さらに、同社の黄河流域における龍羊峡水力発電所(128万kW)と太陽光発電設備(85万kW)との水力・太陽光一体化案件も、同種のギネス世界記録として同時に認定され、一気に2つのギネス世界記録を取得した。なお、国家電投は青海省の太陽光発電設備の更なる拡張工事を進めており、同設備は最終的には1,902万kWとなる予定である。
2022.07.01
英国:セントリカ調査、2022年は企業によるEV導入が加速する見通し
英国の大手エネルギー事業者セントリカは2022年7月1日、子会社Centrica Business Solutionsが行った英国内企業による電気自動車(EV)の導入傾向に関する調査結果を公開した。これによると、2022年は約16万3,000台のEVが企業により導入されるとみられ、2021年の導入台数12万1,000台と比較し35%増加する見込みとなった。また、企業は2021年にEVや充電設備の導入に約116億ポンド(約1兆9,154億円)費やしたが、2022年は15%増の136億ポンド(約2兆2,454億円)に達すると見られている。2030年以降のガソリン・ディーゼル車の新車販売禁止が迫る中、同調査によると、EVを導入済みの企業のうち62%が4年以内に所有車両を100%EV化する方針であると答えた。EV導入の動機には、企業の環境目標や従業員、顧客からの要望が挙げられている。EV導入の課題としては、公共充電設備へのアクセス性が挙げられたが、48%の企業が敷地内にEV充電設備を設置したほか、36%が今後1年以内に設置予定であると答えた。また、40%の企業が太陽光パネルなど再エネ電源を設置し、43%が今後1年以内に設置予定であると答えた。
2022.06.30
中国:重慶市周辺で、大規模シェールガス田が発見される
現地紙は2022年6月30日、国有石油・天然ガス大手の中国石油化工集団有限公司が重慶市で探査中のシェールガス田の埋蔵量が1兆m3規模となることが判明したと報じた。それによると、中国石油化工は、重慶市綦江区(きこうく)で探査中のシェールガス田「新頁1号」の埋蔵量が、1兆1,930億m3に達すると推定した。中国石油化工は2017年にシェールガス資源探査研究チームを結成、地下深部におけるシェールガスに関する基礎研究を精力的に行っており、今回の事例は同社として、同じ重慶市の涪陵シェールガス田に続く2カ所目の1兆m3超のシェールガス田となる。
2022.06.29
米国:テスラ、家庭用バッテリーのVPP化でPG&E社の負荷削減プログラムへ参加
2022年6月29日付報道によれば、EV自動車メーカーのテスラ社が、カリフォルニア州の3大私営電気事業者の一つであるパシフィック・ガス・アンド・エレクトリック(PG&E)が提供する緊急時負荷削減プログラム(ELRP:Emergency Load Reduction Program)に同社が提供する家庭用バッテリーのVPP化を通して参加することが明らかになった。ELRPは、カリフォルニア州独立系統運用者(CAISO)が非常事態宣言を発令した際に、電力消費の自主的削減を促すことを目的に実施されるプログラムで、削減量に応じて報酬を与える。PG&E社にとって、家庭用バッテリーの放電に対して需要家に報酬を支払うプログラムは初めての試み。CAISOの非常事態宣言中、テスラ社の定置型バッテリー「Powerwall」を保有する家庭用需要家が同社のVPPシステムを活用して系統に電力供給した場合、報酬として2ドル/kWhを受け取ることができる。同プログラムは今後数年間、夏季(5月1日~10月31日)の午後4~9時の高需要の時間帯に実施される。需要家はプログラム期間中、最低20時間、最大60時間放電することが求められており、放電量や放電時間は需要家の任意。2022年現在、PG&E社の供給エリア内には、5万台のテスラ社バッテリーが設置されており、信頼度維持への貢献が期待されている。
2022.06.28
中国:CNNC、三門3号機の建設工事開始
中国核工業集団有限公司(CNNC)は2022年6月28日、中国浙江省の三門原子力発電所3号機(CAP-1000、125万1,000kW)で原子炉建屋ベースマットにコンクリートを注入(着工)したと発表した。三門3、4号機、海陽3、4号機および陸豊5、6号機の建設は、同年4月20日、国務院常務会議(日本の閣議に相当)により承認されていた。三門原子力発電所の第一期プロジェクトである1、2号機は2018年に営業運転を開始し、これまでに600億kWh以上を発電している。同第二期プロジェクトの3、4号機が完成すれば、三門原子力発電所は500万kWの設備容量を有し、毎年、400億kWhを発電すると見込まれている。
2022.06.28
ウクライナ:欧州電力系統とウクライナ電力系統間の電力取引が開始される
欧州送電系統運用者ネットワークENTSO-Eは2022年6月28日、欧州電力系統とウクライナ・モルドバ電力系統間の電力取引を2022年6月30日から開始することを公表した。電力取引に必要な技術要件が満たされたことより、取引が開始されるものであり、まず第1段階としてウクライナ系統とルーマニア系統の間で100MWを上限として電力取引が実施される。取引開始後の電力系統の安定度などを確認した後、取引される電力量は徐々に引き上げられる予定である。なお、欧州電力系統とウクライナ・モルドバ電力系統間は、2022年3月16日に電力系統の同期化に成功しており、2022年4月26日にはウクライナの電力系統運用者UkrenergoがENTSO-Eのオブザーバーメンバーとして承認されている。また、他の連系線(ウクライナ-スロバキア間、ウクライナ-ハンガリー間、モルドバ-ルーマニア間)についても、今後電力取引が実施される見込みとされている。
2022.06.27
EU:EU加盟国が冬到来前の天然ガス貯蔵量義務化で合意
エネルギー情報誌は2022年6月27日、EU理事会で天然ガスの貯蔵量を義務化することで加盟国が合意したと報じた。ロシア産の天然ガス供給への依存削減のため、2022年3月に欧州委員会が提案しその後欧州議会などと交渉してきたが、加盟国の合意が得られたため、今後、官報で公告され直ちに実施される。合意内容は、2022年11月1日時点で設備容量の少なとも80%のガスを貯蔵し、EU全体では85%を確保することを目指すもので、2023年11月1日時点の義務化量は90%に引き上げられる。ガス貯蔵の設備容量や各国の事情は大きく異なることから、義務を達成する方策としてLNGあるいは代替燃料の貯蔵量を含めることができる。また国内のガス消費量に対して貯蔵容量が大きい場合には、過去5年間の年間消費量の35%を上限に義務量とすることになり、ガス貯蔵設備を持たない国は年間消費量の15%を他国の設備に貯蔵することが求められる。また、これらの設備を運用するすべての事業者は貯蔵量に関する証明書を提出する必要があり、貯蔵量義務化は2025年12月31日で終了予定であるが、証明書の提出は2026年以降も継続する。
2022.06.23
中国:紅沿河6号機が商業運転開始
中国広核集団有限公司(CGN)は2022年6月23日、遼寧省の紅沿河原子力発電所6号機(ACPR-1000、111万9,000kW)が168時間の運転試験を経て、同日、商業運転の条件をクリアしたと発表した。同号機は、3月25日に燃料装荷を開始し、4月21日に初臨界を達成、5月2日には電力系統に接続されていた。同発電所は、フェーズ1(1~4号機、CPR-1000)、フェーズ2(5および6号機、ACPR-1000)の発電ユニット計6基がすべて運転開始し、総発電設備容量が671万kWの中国最大の発電容量を持つ原子力発電所になった。これは、中国の原子力発電設備容量の約12%に相当する。CGNによると、紅沿河発電所は年間で480億kWh発電する能力があり、この発電量は遼寧省の発電量の約20%を占めている。同規模の石炭発電所と比較すると、標準炭を約1,452万t削減し、二酸化炭素排出量約3,993万tの削減に相当するという。
2022.06.23
フランス:政府、今冬に向けガス備蓄率100%を目指す
2022年6月23日付の報道によれば、ボルヌ首相とエネルギー移行大臣のパニエ=リュナシェ氏は天然ガス事業者GRTgazを訪問した際に、ガス供給確保をはじめとした政府のエネルギー対策について発表を行った。ボルヌ首相は、フランスのガス供給状況はドイツほど不安定でないものの、ロシアがガス供給量を大幅に削減している現状を踏まえ、今冬(2022/2023年)のガス供給量確保に向けた早急な対応が必要であるとし、ガスの備蓄率の引き上げについて言及。現時点のフランスのガス備蓄率は約59%と、昨年に比べ高い水準(昨年同時期は約46%)にあり、さらに11月1日までにその比率を85%とする計画であるが、この水準を不十分とし「ほぼ100%を目指す」とした。また、この目標の達成のため、ガス販売事業者であるEngieやTotalEnergiesに加えて、ガス備蓄事業者であるStorengyやTerégaにもガスの調達を求める。これらガス備蓄事業者は、不安定な市場環境下でガスを調達することになり損失を被るリスクが高いが、その場合は政府として補償するとした。また、パニエ=リュナシェ大臣は、フランス北西部のル・アーブル港におけるFSRU(浮体式LNG貯蔵再ガス化設備)設置計画について説明。今年9月より既存のガスネットワークへ接続するための工事を開始し2023年9月の運用開始を予定。同設備の運用により国内ガス消費量の10%を賄うことが可能になると述べた。さらに同大臣は、ガスおよび電気の需要削減に向けた取り組みとして、行政、企業、商業施設等の代表者からなるワーキンググループを設立すると発表。2年間で10%のエネルギー消費量削減を目標として、今年の夏までにその実現に向けたアクションプランを策定する。
2022.06.23
米国:Ameren Missouri、石炭火力を早期閉鎖、ネット・ゼロ目標の前倒しへ
ミズーリ(MO)州の電気事業者であるAmeren Missouriは2022年6月23日、石炭火力を取巻く状況が大きく変化したとして2020年に提出した統合資源計画(IRP)を更新し、同州公益事業委員会に提出した。同社は3カ所の石炭火力発電所を早期閉鎖し(2022年末:Meramec(88万kW)、2025年末:Rush Island(118万kW)、2029年末:Venice(49万kW))、2030年までに温室効果ガス排出量を60%削減し、2045年までにネット・ゼロを達成(2050年から前倒し)することを提案している。同社の発電電力量の8割は石炭火力であるため、閉鎖に伴う代替供給力として2030年までに再エネ電源を280万kW導入し、2040年までにさらに190万kW追加する計画である。また、2031年までにMO州内にガス火力発電所(120万kW規模)を新設することも示されている。
2022.06.20
ウルグアイ:2040年までの水素ロードマップを発表
再エネ情報サイトは2022年6月20日、ウルグアイの産業・エネルギー・鉱業省(MIEM)が2040年に向けた水素ロードマップを発表したと報じた。同ロードマップによると、同国は2040年までに再エネ設備2,000万kW、水電解設備1,000万kWを新たに設置することを目標に掲げる。それにより、同国のグリーン水素産業は2040年までに21億ドルを超える売上高が期待されるとしている。先ずは2025年までのグリーン水素向けの再エネ設備を20万~50万kW、運輸業界と協力して輸出に向けたパイロットプロジェクトを立ち上げ、さらに2030年までに200万~400万kW増強することを目指すとしている。2030年時点で、同国でのグリーン水素の生産コストは1.2〜1.4ドル/kgにまで低下し、オーストラリアやスペイン、アルジェリアなどの価格に匹敵する水準になるとしている。なお、同国では2022年初めに、国内でグリーン水素プロジェクトを今後10年間で推進すべく1,000万ドル規模の基金を創設し、2022年6月現在、10案件の申請を受け付けている。
2022.06.20
オランダ:政府、ガス緊急事態計画における早期警戒レベルを宣言
オランダ政府は2022年6月20日、緊急事態計画における「早期警戒レベル」を宣言した。同国のガス安定供給に関し、現時点で深刻な影響はないものの、昨今のロシア国営ガス企業ガスプロムから欧州各国への天然ガス供給停止の動きや、ノルドストリームパイプライン経由の天然ガス供給量減少の状況から、冬場に備えた対策強化の必要性を鑑みた結果である。これにより、ガス事業者は日々のガス需要予測や備蓄に関する詳細情報を政府へ報告する義務が生じる。さらに政府は、石炭火力発電所に対して脱炭素政策として課していた発電量制限(設備容量の35%を上限)の撤廃および、2022年に閉鎖予定であったフローニンゲンガス田の今年中の閉鎖見送りも決定した。
2022.06.19
オーストリア:脱石炭発電国、Mellach火力発電所での石炭燃焼を再開へ
2022年6月19日付の報道によると、オーストリア政府と電力大手Verbundは、Mellach火力発電所(ガス燃焼、24万6,000kW、熱電併給)を石炭燃焼に改造し、ロシアからのガス供給制限等の緊急時に再稼働することで合意した。同発電所は石炭燃焼として1986年に運開し、2020年3月に停止(これにより同国はEU2番目の脱石炭発電国となった)した後は、ガス燃焼へ改造され確保されていた。設備の再改造や石炭の調達、承認手続き、従業員の確保には数カ月を要するとしている。同社CEOのStrugl氏は、石炭火力発電は一時的な対策措置であり、中期的には再エネ拡充によりロシア依存脱却を目指すとしている。なお、同発電所にはガスコンバインドユニット(83万2,000kW、2011年運開)が併設されており、需要が増加する9~5月に運転している。
2022.06.19
ドイツ:経済省、ロシアからのガス供給量減少を受けて消費抑制策を発表
連邦経済・気候保護省(BMWK)は2022年6月19日、ロシアからの天然ガス供給量減少を受けて、ガス消費量を抑制するための緊急措置を発表した。暖房需要が増加する冬季に備えて発電用のガスを貯蔵に回すため、安定供給のため待機中の石炭火力等を期間限定で電力市場に復帰させる(2022年6月16日付JEPICダイジェスト参照)。ガス火力は2021年にドイツの発電電力量の15%を占めていた。連邦議会・連邦参議院は2022年7月8日までに「代替電源確保法」の審議を完了する予定であり、連邦政府は同法の発効後速やかに稼働を求めるとしている。BMWKはまた、産業用需要家にガス消費削減を促すためのオークションモデルを2022年夏に導入する方針である。このほか、貯蔵設備充填の役割を担うTrading Hub Europeに対して、ドイツ復興金融公庫(KfW)を通じてガス調達資金150億ユーロ(約2兆250億ユーロ)を追加融資する。ロシアの国営天然ガス企業Gazpromは2022年6月14・15日に相次いで、独露間の主要パイプラインNord Stream 1の供給量削減を発表、6月16日には供給量が約60%(日量最大1億6,700万m3から同6,700万m3)減少した。Gazprom側はドイツの重電大手Siemens Energyによるガス圧縮機の修繕作業遅延が原因としているが、BMWKは政治的な動機によるものと非難している。
2022.06.17
米国:EIA、2022年夏季の卸電力価格は2021年に比べて大幅上昇と予測
米国エネルギー情報局(EIA)は2022年6月17日、2022年6~9月の夏季における卸電力価格は2021年と比べて大幅に上昇すると予測した。EIAの短期エネルギー見通し(STEO)によると、北東部(ISOニューイングランド、ニューヨークISO、PJM)の卸電力価格は2021年夏季(6~8月)の平均で約50ドル/MWhであったが、2022年夏季は平均100ドル/MWhを超えることが予想されている。また、カリフォルニア州ISO(CAISO)では平均98ドル/MWh(2021年67ドル/MWh)、テキサス州のERCOTでは平均90ドル/MWh(2021年54ドル/MWh)となる見込み。EIAは価格上昇の要因の一つとして天然ガス価格との連動を挙げている。ヘンリーハブ価格は2021年5月時点では平均2.91ドル/MMBtuであったが、2022年5月時点では平均8.14ドル/MMBtuと大幅に上昇している。EIAによると、従来は天然ガス価格が上昇した場合、石炭火力に代替されていたが、石炭火力の閉鎖が続いていること等も影響し、代替電源として期待できないことが影響していると説明している。
2022.06.16
中国:4月に続き5月の電力需要も前年割れ
国家能源局は2022年6月16日、2022年5月の電力需要データを公表、4月(2021年同月比1.3%減)に続き、5月の電力需要も2021年同月比で減少したことを明らかにした。それによると、5月の消費電力量は、6,716億kWhと2021年同月比で1.3%の減少となった。分野別にみると、第一次産業は前年同月比6.3%増となったが、第二次・第三次・家庭用とも減少した。なお、1~5月累計の消費電力量は3兆3,526億kWhと、2021年同期比で2.5%増となっている。
2022.06.16
中国:世界の太陽電池生産量の88%は中国企業によるものとの統計が発表
中国太陽光産業協会(CPIA)は2022年6月16日、2021年の太陽電池生産統計を発表し、中国企業による太陽電池生産量が、全世界の生産量の88.4%を占めたことを明らかにした。また、企業別にみてもトップの通威太陽能(Tongwei Solar)をはじめ、2位の隆基緑能科技(Longi)など上位10社のうち中国企業が9社を占めた。同協会は今後について、新型コロナ感染症などの影響はあるものの、気候変動対策の観点から太陽光発電設備への需要は引き続き増加するとみているが、世界的な金融コストの上昇と原材料費の値上げを克服するために生産効率の向上と高効率太陽電池の開発に向け更なる努力を継続する必要があると指摘した。
2022.06.16
英国:BEIS、2022年春実施のエネルギー関連の世論調査結果を公開
ビジネス・エネルギー・産業戦略省(BEIS)は2022年6月16日、2022年春に16歳以上の4,381人を対象に実施した、気候変動、エネルギーインフラ、省エネ・電気料金などに関する世論調査の結果を公開した。気候変動では84%が「懸念している」と回答し、2050年の脱炭素目標である「ネット・ゼロ」については90%が「認識している・聞いたことがある」と回答、そのうち49%がネット・ゼロを「理解している」と回答した。エネルギーインフラに関しては、陸上風力を地元に設置することについて43%が肯定的、12%が否定的な回答を示した(そのほかは意見無し、または設置不可能な地域に住んでいると回答)。太陽光の場合は54%が肯定的、7%が否定的な回答であった。肯定の理由としては、「持続可能なエネルギー源であるから」や「エネルギー自給率の向上につながる」という内容であり、反対理由は、景観や生態系への影響の懸念といった回答が中心となった。シェール開発については、17%が賛成、45%が反対と回答した。原子力については37%が支持、14%が反対と回答し、小型モジュール炉(SMR)の認知度については、半数以上(54%)が「聞いたことがない」と回答した。炭素回収・貯留(CCS)と水素燃料の認知度に関しては、それぞれ62%(CCS)と76%(水素)が「知っている、聞いたことがある」と回答、一方38%(CCS)と24%(水素)が「聞いたことがない」と回答した。省エネに関しては82%が「意識している」と回答、電気料金の支払いに関しては64%が「心配している」と回答した。
2022.06.15
中国:政府、2035年までの国家気候変動適応戦略を発表
生態環境部(日本の環境省に相当)、国家発展改革委員会など17省庁は2022年6月15日、共同で2035年までを対象とした国家気候変動適応戦略(第41号)を発表した。同戦略は気候変動の監視と早期予測能力の世界的先進レベルへの向上を図るとともに、気候変動に対するリスク管理、対応システムの改善、そして気候変動に適応する経済社会の構築を掲げており、農業・インフラ・生活環境など分野における気候変動への適応を求めている。具体的には、全土を8区域と長江デルタ地帯や粤港澳大湾区(えつこうおうだいわんく、Greater Bay Area:香港、マカオ、広東省の9都市を含むエリア)など特定地域に分けて、特徴ある適応政策の構築を提案するとともに、地方政府および各省庁には、情報共有など強化するよう求めた。
2022.06.14
米国:ネクストエラ・エナジー社、2045年までに排出完全ゼロ目標を発表
再エネ大手でフロリダ州を本拠とするネクストラ・エナジー社は2022年6月14日、2045年までに二酸化炭素排出の完全ゼロ(カーボン・オフセットなし)を達成する目標を含む計画「Zero Carbon Blueprint」を発表した。2045年の電源構成(発電電力量割合)は再エネ・蓄電池(89%)、原子力(11%)、再生可能天然ガス(1%未満)とする。同社の排出削減目標は2025年までに70%(2005年比、以下同じ)、2030年82%、2035年87%、2040年94%、2045年100%である。同社は同目標について、「顧客への追加コストがなく、燃料価格の変動を実質的に排除し、米国のエネルギーの独立性を高める」とした。また、同計画を実施することで、「最大15万人の雇用が創出され、2045年までにフロリダ州で150億ドルの追加的な経済効果(GDP)が生じる」とした。なお、同計画の大部分については同社子会社の電力会社フロリダ・パワー・アンド・ライト(FPL)社で実施される。
2022.06.02
韓国・アラブ首長国連邦:韓国電力公社、UAEでグリーンアンモニアを生産へ
現地紙は2022年6月2日、韓国電力公社が同社傘下の韓国西部発電と建設・商社大手のサムスンC&Tとともに、アラブ首長国連邦(UAE)でグリーンアンモニア生産事業に参画すると報じた。それによると、韓国電力公社などは、UAE・アブダビのカリファ工業団地(Kizard)におけるグリーン水素・アンモニア生産事業に関してUAE側の開発企業との間で合意に達した。同事業の工程表は未発表だが、第1段階で年産3万5,000t、第2段階でさらに年産16万5,000tの生産能力を有する施設を建設する計画である。
2022.06.10
米国:MISO他、2023年以降の供給力不足を予測する報告書を公表
ミッドコンチネントISO(MISO)とMISO加盟州組織(OMS:Organization of MISO States)は2022年6月10日、2023年から2027年までの5カ年の供給力を評価する報告書を公表した。この報告書によると、必要とされる予備力に対して2023年夏季の供給力は260万kW不足し、2027年には不足分が1,090万kWにまで拡大するおそれがある。こうした供給力不足は、2022年夏季信頼性評価と同様に、インディアナ州やイリノイ州などのMISOの北部・中部地域に限定されるとしている。MISO南部地域では必要以上の供給力が確保されているが、北部・中部地域への送電容量は190万kWに制限されている。本報告書では、供給力不足を促進する要因として、電源廃止の加速化や太陽光パネルなどのサプライチェーンの支障問題などによる新規電源の不足などを挙げている。MISOは2022年4月に、発電設備の計画外停止が発生した場合に2022年夏季の供給力が不足するとした夏季信頼性評価を公表していた。
2022.06.08
ドイツ:陸上風力発電設備の開発を加速するための新法を制定へ
ドイツの現地報道は2022年6月8日、同国連邦政府が「陸上風力発電法」という新しい法律を近く制定し、陸上風力発電設備が設置可能である土地の比率を、現在の0.5%から2026年までに1.4%、2032年までに2.0%に引き上げる方針であると伝えた。政府は同法案を同月15日に閣議決定する予定で、同年7月には可決させる方針。法案によると、政府は州ごとに陸上風力発電が設置可能な土地の比率の目標を割り当てる。風況が良いとされるニーダーザクセン州では2032年までに2.2%に引き上げる必要があるという。同国で陸上風力発電の開発が遅れている原因の一つは、各州政府の、陸上風力発電設備と住宅地の間の最低距離に関する法令である。例えばバイエルン州の法令では、景観保護を理由に、陸上風力発電設備と住宅地の間には、陸上風力発電設備の高さの10倍の距離を取らなくてはならないとされている。その他の州でも、陸上風力発電設備と住宅地の間に最低1kmの距離を取らなくてはならない。同国ニュースでは「州政府が、陸上風力発電設備が設置可能な土地の比率目標を期限までに達成しない場合には、連邦政府は州政府の陸上風力発電設備と住宅地の間の距離に関する法令を無効化して、連邦政府目標の達成を優先させることも検討中」であると報じた。
2022.06.07
中国:電力市場 政府、新型電力貯蔵設備の市場参加を促進する指針を発表
国家発展改革委員会と国家能源局は2022年6月7日、「新型電力貯蔵設備(JEPIC注:新型電力貯蔵設備とは、揚水発電を除く蓄電池などの電力貯蔵設備を指す)の電力市場・系統運用参加を促進する通知(指針)」(第475号)を発表した。同指針では、一定の条件を満たす新型電力貯蔵設備(事業者)は、独立した形での市場参加が許容・推奨され、その場合には充電時の送配電料金や付加費用の免除などの支援措置が受けられるとしている。また、系統運用に活用される新型電力貯蔵設備向けの投資費用に関して容量料金として送配電料金に算入する可能性も示唆している。
2022.06.07
ドイツ:国家水素戦略の進捗報告、連立協定の目標達成は困難か
2022年6月7日付の報道によると、連邦政府は2020年6月~2021年12月に行われた国家水素戦略に関する進捗報告書を発表した。現在までにドイツで採択された62件の「欧州共通利益に適合する重要プロジェクト(IPCEI)」に基づくと、2026年までにドイツ国内の水電解装置導入量は最大220万kWに至り、2030年までには300万kWを超えると見込まれる。なお、前政権が2020年6月に国家水素戦略を発表した際、2030年までに500万kWの水電解装置導入を目指すとしたが、現政権の連立協定では2030年までに1,000万kWへと引き上げられており、目標達成は困難とみられている。
2022.06.06
米国:Xcel Energy、米国で初めてとなる完全電動の高所作業車を導入
ミネソタ州に本社を置く大手電力Xcel Energyは2022年6月6日、全米のエネルギー企業で初めて全電動のバケットトラック(高所作業車)を導入すると発表した。同社のプレスリリースによると、この高所作業車はメーカーのTerex Utilities社とNavistar社が開発したもので、走行用とリフト機構用の2つの電源を備えており、航続距離は135マイル(約217㎞)、1回の充電で1日中バケットを作動させることができる。1台目の車両は6月下旬にミネソタ州ミネアポリスで納車される予定で、6~12カ月の試験運用期間中、Xcel Energyの作業員が実際の作業現場で使用するとしている。また、2台目は2022年末にコロラド州デンバーでの納車を予定している。同社は所有するすべての小型車と、中型・大型車の30%を、2030年までに電動化する計画を掲げている。
2022.06.06
米国:バイデン大統領、クリーンエネルギー製品の国内生産強化策発表
バイデン大統領は2022年6月6日、クリーンエネルギー関連製品の国内生産の強化や部品調達の容易化等を目的に、国防生産法(DPA:Defense Production Act)の適用を含めた施策を発表した。大統領はDPAに関する権限をエネルギー省(DOE)に与え、その対象分野を(1)太陽光パネル部品、(2)建物の断熱材、(3)ヒートポンプ、(4)電気で生成されたクリーン燃料を製造・使用するための装置(電解槽、燃料電池等)、(5)重要な電力系統インフラ(変圧器等)とした。また米国の太陽光開発事業者による、東南アジア4カ国(カンボジア、マレーシア、タイ、ベトナム)からの太陽パネル部品調達を一時的に容易にするため、これらの部品を24カ月間、関税免除とした。これに先立つ2022年3月、商務省(DOC)は中国の太陽光発電メーカーが関税措置を免れるために、同4カ国を迂回して製品を輸出している疑惑に関する調査を開始すると発表していたが、今回、調達を優先させた形となった。
2022.06.02
韓国:原子力 韓国政府、SMRに440億円、廃炉技術に380億円を投資すると発表
韓国政府は2022年6月2日、カーボンニュートラルとエネルギー安全保障に向けて、革新的な小型モジュール炉(SMR)の開発に、今後6年間で合計3,992億ウォン(約440億円)を投資する予定、と発表した。科学技術情報通信部(省)および産業通商資源部(省)によると、電気出力30万kW以下の「革新型SMR(i-SMR)技術開発事業」として、予備的実現可能性調査に合格したプロジェクトに対し、政府と民間が2023~2028年に投資(政府69%、民間31%)するという。また、政府は廃炉技術にも取り組んでおり、「廃炉解体技術競争力強化技術開発事業」として、関連プロジェクトが同年5月30日、予備的実現可能性調査に合格した。2030年までの8年間に政府76%、民間24%で合計3,482億ウォン(約380億円)をかけて、恒久停止した原子力発電所の古里1号機と月城1号機の廃炉技術を進歩させる計画だという。さらに、放射性廃棄物分析や原子力技術者育成に関する研究も支援する予定。(60万kW)等に対し、建設反対の訴訟を提起している。
2022.06.02
中国:送電 国家電網と南方電網、2022年の設備投資は過去最大規模へ
現地専門紙は2022年6月2日、国有送配電大手である国家電網有限公司と南方電網有限責任公司両社の2022年設備投資合計が過去最大規模の6,250億元(約12兆円)に達する見込みであると報じた。それによると、国家電網は同日、投資計画や雇用拡大など8項目の経済対策案を発表したが、その中で2022年度における流通設備投資額を過去最大の5,000億元(約10兆円)に増額する方針を明らかにした。中でも、南昌(江西省)-武漢(湖北省)、哈密(新疆ウイグル自治区)-重慶(重慶市)、隴東(甘粛省)-山東(山東省)などUHV送電8系統の着工が目標として掲げられている。また、南方電網も設備投資を2021年度比2割増の1,250億元(約2兆5,000億円)に増額するほか、中小企業の電気料金の一部免除などを内容とする方針を打ち出した。今回提示された方針の背景について、両社とも感染症対応での政府の景気刺激政策に対応したもので、インフラ事業者としての社会的責任遂行を念頭に置いたものと説明している。
2022.06.02
欧州:2030年に欧州の浮体式事業が1,000万kWに、事業者団体が予測
欧州風力事業者団体(WindEurope)は2022年6月2日、欧州で2030年に浮体式事業が1,000万kWに達する可能性があると発表した。これまで主流であった着床式事業に加えて、風況の良い地中海や大西洋など水深の深い地点で浮体式事業が検討されており、新たな市場が拡大する可能性がある。現在稼働している浮体式事業は11万3,000kWで、ノルウェーで8万8,000kWの事業が建設中であり、フランスで小規模(それぞれ約3万kW)ながら4件が2年以内に稼働する計画である。これらを合計すると33万kWになるが、その先はさらに大規模な事業が検討されている。フランスは25万kW規模の入札を2年以内に3件実施予定で、スペイン、ポルトガル、ノルウェー、ギリシャが大規模な浮体式事業の入札を計画している。さらにスコットランド(英国)では1,500万kWの浮体式事業が海域を割り当てられ、イタリアでも大規模事業の検討が進んでいる。このような動きから2030年に浮体式事業が1,000万kWに達する可能性がある。これを実現するために、WindEuropeは適切な時期に適切な政策を実施すべきとし、いつ、どの場所に立地させるか海洋の利用計画を明確にして、(着床式と区別した)浮体式事業の入札を行い、理想的には差額決済方式(CfD)により支援すべきと主張する。また、浮体構造物の製造・組み立てには港湾などの改修が必要で、政府はこのような投資を促進するためのインセンティブを付与する政策を進めるべきとしている。
2022.06.01
中国:再エネ 政府、再エネ分野の中期計画を発表
国家発展改革委員会、国家能源局など9省庁は2022年6月1日、「再生可能エネルギー(再エネ)分野の第14次五カ年計画(2021~2025年)」(第1445号)を発表した。同計画では、「2030年カーボンピークアウト・2060年カーボンニュートラル」の実現や2030年の風力・太陽光発電設備12億kWという目標達成に向け、計画期間中における一次エネルギー消費増分のうち半分以上を再エネで賄い、風力・太陽光の発電電力量を倍増させて3兆3,000億kWhとして、2025年には電力供給の33%は再エネ発電(水力を含む、水力除きでは18%)とすることなどの目標が掲げられている。
2022.05.31
ドイツ・ロシア:Gazprom、Shell子会社とØrstedへのガス供給を停止
ロシアの国営天然ガス企業Gazpromは2022年5月31日、Shell Energy Europe(英エネルギー大手Shellの子会社)のドイツ向けガス供給、およびデンマークのØrstedへのガス供給を2022年6月1日より停止すると発表した。Gazpromは、Shell Energy Europeとの契約により年間最大12億m3のガスをドイツに供給していた。ドイツの連邦系統規制庁(BNetzA)は、国内ガス供給に占めるShell Energy Europeの割合はわずかであり、調達先の変更は可能としている。Ørstedもまた、ロシアからのガス供給が途絶するシナリオに備えてきたため、需要家への供給に支障はないとしている。供給停止の理由は、Shell Energy EuropeとØrstedが天然ガスの輸入代金をルーブル建てで支払うのを拒否したためとされる。プーチン大統領は2022年3月31日付の大統領令で、「非友好国」に指定した国の企業に対してパイプラインガス代金のルーブル決済を義務付けていた。ただし、天然ガスの輸入企業がGazprom傘下のガスプロムバンクに決済口座を開設し、代金を外貨で支払うことにより、ガスの購入継続が可能となる。外貨のルーブルへの両替、Gazpromへの送金はガスプロムバンクが行う。欧州各国はロシア側のルーブル決済要求に対して、ユーロ建て決済を定めた契約に違反すると反発していたが、イタリアの石油・ガス大手Eniを始めとする多くの事業者は、ガスプロムバンクに外貨建てとルーブル建ての口座を開設したと報じられている。ドイツの大手エネルギー事業者RWE、Uniperも、「新たな決済メカニズム」により2022年5月末を期限とするGazpromへの支払いを完了した旨を明らかにしている。両者は、今回の支払いにロシア中央銀行は関与しておらず、EUの制裁措置に反するものではないと主張している。
2022.05.30
中国:エネルギー政策 政府、新エネルギー発展促進に向けた実施計画を発表
国務院(日本の内閣に相当)は2022年5月30日、「新時代の新エネルギー(JEPIC注:再エネに加え水素・蓄電なども含む)発展促進に向けた実施計画」(第39号)を発表した。同計画では、政府の2060年カーボンニュートラル目標達成に向けて、石炭発電事業者と新エネルギー企業との合弁の奨励、2025年までに新設の公共機関建築物の50%におけるルーフトップ太陽光設置努力、蓄電設備のコスト回収メカニズムの検討、新エネ関連の行政手続きの簡素化など21項目が示されている。
2022.05.30
ポーランド:国内初の蓄電池製造工場建設、産炭地域での新たな雇用創出へ
ポーランド国有資産省は2022年5月30日、国内初となる蓄電池製造工場の建設計画を発表した。製造工場はシロンスク県(シレジア地域)Jastrzębieにある鉱山再編会社の敷地内に建設される予定で、運開は2024年となる見込み。小型(0.5kWh)と大型(50kWh)の蓄電池の年間生産量は120万kWh(最大150万kWh)規模となる見込み。シレジア地域は国内有数の産炭地域であり、長きにわたり石炭産業が地域経済、雇用を支えてきた。しかし、ポーランドではエネルギー転換として石炭からの脱却を目指しており、産炭地域での新技術の活用や新規事業の創出を検討している。サシン副相兼国有資産相は、同地域のエネルギー安全保障を確保し、新たな雇用を創出するシレジアン・エナジー・ストレージ・システム(SME:Systemu Śląskich Magazynów Energii)の立ち上げについて説明し、EUの気候変動政策の推進の他、ポーランドのエネルギー自給率を向上するためにも重要だという認識を示した。
2022.05.30
フランス:ルメール経済財務大臣、2023年の電気規制料金の引き上げを否定
現地紙の2022年5月30日付の報道によると、フランスのルメール経済財務大臣は記者会見において、2023年の電気規制料金の引き上げを否定した。フランスでは電気規制料金の高騰から国民を守るため2022年の電気規制料金の上昇を「固定料金」措置により4%に抑えているが、フランスの消費者団体であるCLCVは、2022年3月31日のエネルギー規制委員会(CRE)の報告をもとに、2023年の電気規制料金における「固定料金」措置は8%に引き上げられる可能性を指摘していた。同大臣によれば、現行措置を2023年も継続するためには年間20億ユーロ(約2,600億円)の追加費用が必要となるが、詳細は同年10月に予定される2023年予算の審議の際に検討される予定としている。
2022.05.25
中国・フランス:原子力 台山2号機、炉心の異常により出力抑制か
2022年5月25日付のフランス現地紙によると、中国広核集団CGNとフランス電力EDFの合弁会社TNPJVC(CGN:70%、EDF:30%)が運営する台山原子力発電所2号機(EPR、175万kW)について、炉心に異常が発生しており、状況の悪化を抑えるため出力を下げて運転しているという。同発電所では2021年7月、燃料損傷により1号機が停止しているが、2号機は問題ないとされていた。フランス原子力安全局ASNが2022年5月に発行した2021年のASN年次報告書において、「2021年に見られた燃料損傷を含む、台山EPRの炉心(les cœurs des réacteurs EPR de Taishan)で観察された様々な異常」と複数形で記載されていたことから、同紙が確認したところ、ASNは2号機にも異常が発生していることを認めたという。どのような異常かは明らかにされていないが、同紙は「同問題は燃料集合体の欠陥および圧力容器の設計ミスに起因しているようだ」としている。
2022.05.27
英国:2022/2023冬季の電力安定供給に向けて石炭火力を運転延長へ
英国のビジネス・エネルギー・産業戦略省(BEIS)は2022年5月27日、2022/2023冬季のエネルギー安全保障に関する書簡を発表した。同国の送電系統運用事業者であるNational Grid ESO宛ての同書簡のなかで、ロシアによるウクライナ侵攻の影響を考慮し、2022/2023冬季の電力安定供給には非ガス火力設備が必要であるとし、2022年中に廃止予定だった石炭火力を年内に廃止せず運転を延長する方針であるとしている。同年4月に石炭火力の運転延長方針の検討が報じられていたが、その方針が今回決定されたものである。BEISのKwarteng大臣は「英国は輸入化石燃料への依存を減らし、安全でクリーンなエネルギーへの移行を加速させなければならない。しかし、この移行は秩序あるものでなければならず、移行に際して化石燃料が果たす重要な役割を認識する必要がある。ただし、2024年9月末までの石炭火力全廃止と、2022年末までにロシア産石炭の輸入を段階的に禁止するという政府方針は順守する」としている。なお、現地報道によれば対象となる石炭火力は、EDF EnergyのWest Burton発電所(設備容量200万kW、運開1969年)、DraxのDrax発電所(設備容量130万kW、運開1975年)であると報じられている。
2022.05.25
中国:政府代表、世界経済フォーラムで10年間700億本の植林目標を発表
国家発展改革委員会は2022年5月25日、スイスのダボスでの世界経済フォーラム(WEF)で気候変動関連の中国政府代表である解振華氏が壮大な植林目標を提示したことを明らかにした。同氏は、WEFが気候変動対策として立ち上げている「世界植樹1兆本イニシアティブ」に積極的に対応し、今後10年以内で700億本の植林を目標としていることを明らかにした。同代表はまた、中国政府は今後、政策策定・エネルギー転換・森林吸収源の3分野を中心に行動を取る予定であり、エネルギーのグリーン・低炭素化転換を着実かつ秩序立てて推進する方針であることを強調した。
2022.05.24
スペイン:Enel Green Powerがスペイン最大の陸上風力の運転を開始
イタリアのエネルギー企業Enelの子会社Enel Green Power Españaは2022年5月24日、スペインアラゴン州Villar de los Navarrosに建設していたスペイン最大の陸上ウインドファームTico Windの運転を開始したことを公表した。ウインドファームの設備容量は18万kWで、年間発電電力量は4億7,100万kWhが見込まれており、発電される電力のうち7万8,500kWは、国際的な製薬会社であるNovatisに10年間のVPPA(Virtual Power Purchase Agreement)により売電される計画である。また、ウインドファームの建設においては、地元労働者の雇用が優先されることに加えて、建設現場での環境配慮と省エネ対策として、工事用電力供給用の太陽光発電設備の設置、LED照明装置の採用、雨水貯水装置の設置などの方策がとられた。なお、これらの設備は工事完了後に地元自治体に寄贈されることになっている。
2022.05.23
中国:2022年におけるエネルギーインフラ投資が加速化へ
現地報道機関は2022年5月23日、国家能源局が2022年におけるエネルギー分野に向けた投資が一段と加速化する方針であると報じた。それによると、国家能源局は、電力分野では、風力・太陽光・水力発電設備と電力貯蔵との一体化モデル基地を45カ所のほか、洋上風力やゴビ砂漠地域における大規模な風力・太陽光発電基地などの建設を進めるため、国有大手企業は1,260億元(約2兆4,000億円)にのぼる投資を行う計画であり、この結果2022年における発電設備新増設量は2億2,000万kW(2021年は1億7,600万kW)に達するものと見込んでいる。また、国家能源局は電力分野以外でも新疆自治区、内モンゴル自治区での石油・天然ガスの生産能力拡大など活発な投資が行われるとの見方を明らかにした。
2022.05.23
英国:財務大臣、発電事業者への超過利潤税適用の検討開始を指示か
2022年5月23日付の主要紙の報道によると、スナク財務大臣は、北海の石油・ガス事業者に対する適用の検討を進めている「超過利潤税」について、発電事業者に対する適用も検討を開始するよう省内で指示したとみられる。超過利潤税は、民間の公益事業者の収益が適正利潤を大幅に超えたとみなされる場合に一時的に適用される徴税制度であり、エネルギー事業では1981年や2011年に石油・ガス事業者に適用された前例がある。発電事業者に対する適用検討について、報道は、石油・ガス事業者と同様に一部の大手発電事業者が高利潤を得ているとする政府の推測を示した一方、ガス価格の高騰は発電コストの高騰にも影響しているとの見方や、再エネ投資の減少につながる可能性があるとの見方を伝えている。なお、スナク大臣はこれまで、石油・ガス事業者に対する超過利潤税の適用について否定的な見方を示していたものの、5月に入り検討を開始するようになったと見られている(5月5日の地方選挙における与党保守党の苦戦・敗北が影響した模様)。ビジネス・エネルギー・産業戦略省(BEIS)のクワーテング大臣は、2022年5月1日、北海の石油・ガス事業者に対し、高利潤を北海における開発に早急に「再投資」するよう求める書簡を送付しており、スナク大臣は、これが速やかに行われない場合に超過利潤税を適用したいとの考えを持っていると見られている。
2022.05.20
中国・ロシア:ロスアトム、中国遼寧省の徐大堡4号機の着工を発表
ロシア国営原子力企業ロスアトムは2022年5月20日、中国遼寧省の徐大堡原子力発電所4号機(VVER-1200、120万kW級)の着工を発表した。ロシアと中国は2018年6月、将来的に数十年間にわたる原子力産業における両国の協力事項の主要なガイドラインとなる戦略的パッケージ文書を締結し、ロシア製の第3世代炉であるVVER-1200(120万kW級)4基を、中国江蘇省の田湾原子力発電所7、8号機と遼寧省の徐大堡原子力発電所3、4号機として導入することを決定した。2019年6月には、徐大堡3、4号機の建設(原子炉建屋設計、原子炉建屋内の主要機器の供給等)と燃料供給に関する契約を締結した。両号機の試運転は2027~28年に予定されている。
2022.05.20
フランス:オー・ド・フランス地域圏議長、風力反対団体に補助金を交付へ
エネルギー情報誌は2022年5月20日、フランス北部、英仏海峡に面するオー・ド・フランス地域圏のベルトラン議長が風力反対団体(オー・ド・フランス風力停止連合)に補助金を交付すると報じた。同団体は「風力タービンはオー・ド・フランス地域圏の景観、遺産、地域の魅力を損なわせる。同地域圏にはフランス全土の陸上風力タービン(約9,000基)の約3分の1が集中しており、住民がもう耐えられない」との見解を示している。ベルトラン議長は、新規風力プロジェクトを立ち上げさせないという自身の公約通り、同団体に2022~2024年で17万ユーロ(約2,210万円)の補助金を交付するとした。交付される補助金はフォトモンタージュ(タービンが景観に与える影響を3Dモデリングし可視化したもの)の作成、専門家・弁護士にかかる費用、パンフレットの作成、ウェブサイトの運用等に充てられる予定。なお、同団体は、これまでに同地域ソム県に建設予定の8カ所の陸上風力発電所や、EDF Renewablesを中心としたコンソーシアムが開発を進めるダンケルク洋上風力プロジェクト(60万kW)等に対し、建設反対の訴訟を提起している。
2022.05.20
米国:ミシガン州パリセード発電所恒久停止、米国内稼働原子炉は92基に
エンタジー社は2022年5月20日、ミシガン州で1971年に運開したパリセード原子力発電所(PWR、85万7,000kW)を恒久停止した。これにより米国内で稼働する原子炉は92基となった。同発電所の運転ライセンスは2031年3月24日まで有効であるが、同社は経済性の問題から2022年5月31日に早期閉鎖する方針を公表していた。しかし同5月20日に制御棒の駆動機構に問題が見られたため、保守的に判断し、予定より11日早めて停止させたとしている。米国エネルギー省が新設した、既存原子炉の早期閉鎖回避を目的にした補助金プログラムを同発電所に適用し延命を図りたい考えを示していたミシガン州のホイットマー知事(民主党)は、停止を受けて地元紙にコメントを求められたが回答しなかったという。なお、同発電所の運営に係るライセンスは、エンタジー社から、廃止措置専門会社のホルテック社へ移管されることが米国原子力規制委員会により承認されており、2022年7月にも移管される見通しである。
2022.05.19
中国:初の自主開発可変速揚水発電ユニットが運転開始
現地専門紙は2022年5月19日、国内開発の可変速揚水発電ユニットが運転を開始したと報じた。これは、四川省にある春場壩揚水発電所の可変速ユニット(容量5,000kW)で、国の重要研究開発プロジェクトとして、国有送配電大手・国家電網公司の子会社である四川電力公司主導のもとで国内重電設備メーカー大手であるハルビン電気集団公司が開発した初の国産技術が使用されている。可変速揚水発電ユニットは、発電運転時の出力調整に加えて、揚水運転時の入力調整も可能であり、変動型再エネの大量導入による発電電力対応で期待されている。なお、可変速揚水発電については、別の国有大手送電事業者である南方電網有限責任公司により、さらに大型化した海水揚水用の開発も進められている。
2022.05.19
ドイツ:LNGターミナル等の建設を迅速化するための法案が可決・成立
欧州の電気事業者団体Eurelectericは2022年3月22日、ウクライナ危機への対応に関するEU首脳会議の開催に先立ち、欧州委員会および連邦議会は2022年5月19日、LNG輸入インフラ建設に係る許認可手続きを迅速化するための法案を可決した。同法案は2022年5月20日、連邦参議院でも可決されており、6月1日より施行される見通し。これにより、陸上のLNGターミナル、浮体式LNG貯蔵再ガス化設備(FSRU:Floating Storage and Regasification Unit)、ならびにこれらの設備を既存の導管に接続するパイプラインを建設(設置)・運転する際の環境影響評価を簡略化あるいは省略することが可能となる。これらのプロジェクトに関するパブリックコンサルテーションは、EU法で最低限とされている2週間に制限される。法案では、ドイツ北部の6都市(Brunsbüttel、Wilhelmshaven等)における18のプロジェクトが迅速化の対象に挙げられている。現行の2045年カーボンニュートラル目標を達成するため、LNG関連設備への許認可発給は2043年末までとされ、2044年以降は気候中立な水素とその派生物の受入設備への転換が求められる。
2022.05.18
EU:欧州委員会がロシア産化石燃料の使用停止のための計画を発表
欧州委員会(EC)は2022年5月18日、ロシア産化石燃料の使用を停止するための詳細計画を公表した。ロシアによるウクライナ侵攻などによりエネルギー価格が高騰し、気候変動問題の観点からも化石燃料への依存を早期に低減する必要が認識され、3月に発表された政策文書「REPowerEU」の具体的な内容が検討されていた。今回公表された「REPowerEU Plan」はエネルギー効率化、石油・ガス供給先の多様化、再エネ導入量の加速が大きな柱となっている。エネルギー効率化は省エネ目標を強化する方針で、2020年に策定した長期のエネルギー使用量想定に基づき、2030年に9%としていたエネルギー使用量の削減幅を13%に拡大する。石油・ガス供給先の多様化ではエジプトやカタールなどからのガス調達を拡大するとともに、関係国と設立した協議会を通じてLNGや水素の共同調達を検討する。水素利用は2030年に域内で1,000万tを製造、さらに1,000万tを輸入するが、いずれも再エネ由来の「グリーン水素」とした。化石燃料の輸入を契約する際にも、ECは長期的にはグリーン水素へと転換することを供給先に求める考えである。再生可能エネルギー導入拡大は2030年の最終エネルギー消費に占める割合を40%から45%に高めることになる。特に太陽光発電は2030年に6億kWとする計画で、新設する公共建物や商業設備への太陽光パネルの設置義務化が提案された。さらに再エネ設備導入加速のため許認可手続きの簡素化を進め、再エネを優先的に進める区域の設置を加盟国に求めることになる。これらの施策を実施するため2027年までに2,100億ユーロ(約28兆円)の追加的な資金が必要と試算されるが、新型コロナ対策予算を使った融資(2,250億ユーロ、約30兆円)や排出量取引制度の排出枠売却益を利用することが示された。REPowerEU Planで提案された政策は5月末の加盟国首脳会議で議論される予定である。
2022.05.13
米国:CA州知事、需給ひっ迫に備えた予備力確保に52億ドルを投じる提案
カリフォルニア州のニューサム知事は2022年5月13日、電力需給ひっ迫時に最大500万kWを供給する「戦略的電力信頼性予備力(Strategic Electricity Reliability Reserve)」の創設に52億ドルを投じることを含む、2022~2023年度向け改定予算案を発表した。本案では、予備力の対象となる設備として、閉鎖予定の既存の発電設備や、新規の発電・蓄電プロジェクト、排出規制に対応したディーゼルおよび天然ガス由来のバックアップ電源、カリフォルニア独立系統運用事業者(CAISO)の発動指令に対応可能なデマンドレスポンス等が含まれる可能性があるとしている。カリフォルニア州では、2020年夏の熱波に起因した電力不足から輪番停電を実施して以降、電力網の強化が進められているが、CAISOの分析では2022~2025年にかけて夏季のピーク時間帯に約170万kWの電力が不足する可能性が指摘されている。改定予算案には、低所得世帯を含む住宅向け太陽光および蓄電池の導入インセンティブ(9.7億ドル)や、クリーンエネルギー開発を支援する新たな融資制度(2.5億ドル)等、電力分野全体で約80億ドルが計上されている。今後、予算案可決の期限となる6月15日に向けて州議会で議論されると見られる。
2022.05.12
ポーランド:IEA、ポーランドのエネルギー政策レビューを発表
国際エネルギー機関(IEA)は2022年5月12日、ポーランドを対象としたエネルギー政策レビューを発表した。IEAのビロル事務局長はポーランドのモスクワ気候環境相とともに発表の場に立ち会い、ポーランドは先見性を発揮してロシアの天然ガスへの依存度を下げ、現在の厳しい状況下でも比較的安定したエネルギー供給を確保していると述べた。政策レビューでは前回(2016年)と比較して、天然ガス輸入の多様化を推進してきたことで、ロシアへの天然ガス輸入依存度は2010年の90%から2020年には55%に低下したと評価している。また、ポーランドでは、太陽光を中心に再エネの導入拡大を進めており、原子力の新設、電化の促進、エネルギー効率の改善を通じて、温室効果ガス排出量の削減を目指しているが、依然として石炭がエネルギー供給の中心であり、雇用をもたらす石炭産業への助成を続けていることを課題として指摘している。政策レビューでは、排出量削減とエネルギー安定供給のためにもより強力なクリーンエネルギー化への加速が必要だと示されている。
2022.05.12
ドイツ:連邦議会、エネルギー安定供給法の改正案を可決
ドイツ公共放送連盟(ARD)は2022年5月12日、連邦議会がエネルギー安定供給法の改正案を可決したと報じた。2022年5月20日に連邦参議院が改正案を可決すれば、2022年6月1日より施行される。同法は第1次オイルショックを受け1975年に制定されたものであり、エネルギーの安定供給を確保するため行政が介入することを可能としたもの。エネルギー危機時に重要なエネルギーインフラ(ガスパイプライン等)が正常に機能できず、安定供給を損ねるリスクがあると認められる場合、ドイツ連邦経済気候保護省(BMWK)は一時的(6カ月間、最大1年まで延長可)に当該インフラの運営企業を政府管理下に置く指示を出すことができ、極端なケースにおいては運営企業を政府が収用(国が強制的に権利取得)することも可能となる。連邦政府は2022年4月4日、ガスプロムのドイツ子会社ガスプロム・ゲルマニアが別のロシア企業に売却されるのを防ぐための緊急措置として、2022年9月30日まで同社を連邦系統規制庁(BNetzA)の管理下に置き、同社の経営議決権、役員任命権や財産処分権などを移管した。さらに、ウクライナ情勢を鑑み、今後同様のケースが続いて発生する懸念からエネルギー安定供給法の改正に踏み切った。同法の施行後、最初に連邦政府の管理下に置かれるのはロシアの石油企業ロスネフチの子会社がドイツ国内で所有するPCK製油会社になると見られている。同社がロシアから輸入する原油はドイツの全輸入量の12%に相当し、ロシアのウクライナ侵攻開始以降、多くのドイツ企業がPCKとの取引を停止しているため、経営悪化が続いている。このため、連邦政府はPCKを政府管理下に置き、原油の輸入元をロシア以外へと変更する方針。
2022.05.11
中国:電力需給安定化に向けて大手国有企業に1兆円超の資金支援
国務院常務会議(日本の閣議に相当)は2022年5月11日、電力需給安定化に向け、大手国有電力企業を対象とした資金支援を決定した。今回の支援措置は、総額600億元(約1兆1,400億円)規模にのぼり、内訳は再エネ補助に500億元(約9,500億円)、石炭火力発電企業の資本金増強に100億元(約1,900億円)となっている。常務会議を主催した李克強首相は席上、感染症対策の厳格化とともに、物流や供給チェーンの維持が重要であることを指摘し、電力供給不足や使用制限などはあってはならないことであり、それに向けた石炭生産能力の拡大などエネルギー供給確保を要求した。
2022.05.10
中国:発改委、バイオマス関連経済の発展に向けた5カ年計画を公表
国家発展改革委員会は2022年5月10日、「(現行中期計画である)第14次五カ年計画(2021~2025年)期中におけるバイオマス関連経済の発展に向けた計画」(第1850号)を発表した。同計画には、エネルギー分野に関して、バイオマス発電の秩序ある開発、石炭焚コージェネレーション設備のバイオマス転換の推進、地域熱供給における石炭利用からの代替プロジェクトの支援などの内容が含まれている。
2022.05.09
中国:2021年の再エネ利用割合基準(RPS)達成状況が公表される
国家能源局は2022年5月9日、2021年度における地域別の年間消費電力量に占める再エネ利用割合基準(RPS)の達成状況を公開した。中国では、チベット自治区を除く全土30省(自治区・直轄市を含む)を対象として省別に「再エネ発電電力全体」と「水力を除いた再エネ発電電力」双方の利用について、省内における消費電力量に対する割合の下限値と激励値(推奨値)を設定している。今回の公表資料では、「再エネ発電電力全体」の下限値は、甘粛省と新彊ウイグル自治区以外の28省が、「水力を除いた再エネ発電電力」の下限値については、新彊ウイグル自治区を除く29省が達成したとしている。国家能源局は、下限値が未達となった省に対して善後策(JEPIC注:省間取引、後年次シフトなど)の提出を求めている。
2022.05.07
米国:CA当局、今夏約130万世帯分の電力不足に至る可能性を発表
2022年5月7日付の現地報道等によると、カリフォルニア(CA)州当局は今夏の電力使用量がピークに達した場合、約130万世帯分の電力不足に至る可能性が高いと発表した。この電力不足は、主要な発電所1基分に相当する約170万kWと予想されており、2025年まで続くと予測されている。また当局は、猛暑や山火事に加え、太陽光発電産業に悪影響を及ぼしているサプライチェーンや規制の問題が、エネルギー供給の信頼性に影響していると述べた。CA州公益事業委員会(CPUC)の会長であるAlice Reynoldsは、「気候変動が何を引き起こすのか見通せないため、現実的な観点から分析し、最悪の事態を想定している。準備できることはすべて実施していくつもりである。」と述べている。なお、CA州では2020年8月の熱波襲来により、電力危機が発生した2001年以来の輪番停電が実施されているが、昨年は州知事による緊急事態宣言の発令等により輪番停電は回避されている。
2022.05.05
ドイツ:戦争の影響下、Jänschwalde鉱山の操業継続が認められる
2022年5月5日付の報道によると、同日にブランデンブルク高等行政裁判所はドイツのエネルギー事業者LEAGのJänschwalde褐炭露天掘り鉱山での採鉱継続を認めた。Jänschwalde鉱山はその規定値を超える取水量について環境団体により提訴され、一審判決では2022年5月15日に操業停止を命じられた。今回の控訴審ではロシアのウクライナ侵攻によるエネルギー供給危機を踏まえ、当該鉱山の操業停止は公共への不利益となる可能性が考慮されたとしている。
2022.04.29
インド:最大電力が過去最高の2億711万kWを記録
2022年4月29日付の報道によると、インドで4月29日14時50分に、最大電力が過去最高の2億711万kWに達した。4月26日にも2億106万kWを記録し、前年の最大電力2億53万kWを更新していた。インドの消費電力量は経済活動の再開により増加基調にある。さらに、記録的な熱波に見舞われており、電力需要は今後も増加が予想されている。電力省は、5~6月には最大電力は2億1,500万kW~2億2,000万kWに達するとの見通しを示している。
2022.04.29
英国:石炭火力の廃止時期後ろ倒しを検討へ
エネルギー情報誌は2022年4月29日、英国のビジネス・エネルギー・産業戦略省(BEIS)が同国内の石炭火力発電所の運転延長を検討していると報じた。BEISは石炭火力を所有するUniper、EDF Energy、Draxの3事業者に対し、2022年中に廃止予定だった石炭火力の廃止時期を後ろ倒しし、一時的に運転を延長するように要請したと伝えられている。対象となるのは、2022年9月で廃止予定であったEDF EnergyのWest Burton発電所(設備容量200万kW、運開1969年)、既存容量市場契約の期限である2022年9月末で廃止予定だったDraxのDrax発電所(設備容量130万kW、運開1975年)、4基中1基について2022年9月までに廃止予定であったUniperのRatcliffe-on-Soar発電所(設備容量200万kW、運開1968年)の3発電所である。政府報道官は「ロシアによるウクライナ侵攻を考慮し、エネルギー安全保障の観点から幅広い選択肢を模索している。残っている石炭火力を運転延長し、今冬のバックアップ電源として使用できないか検討している。2024年10月までに石炭火力を全廃止する目標に変わりはない」とコメントしている。
2022.04.26
フランス・ベルギー:ベルギー政府、フランスの洋上風力発電プロジェクトを提訴
2022年4月26日付の現地報道によると、ベルギー政府は欧州委員会に対して、フランス北部のダンケルク沖で計画されている洋上風力発電プロジェクトを提訴した。同プロジェクトでは、2027年に46基の風力タービン(設備容量60万kW)を設置することが計画されており、ダンケルクの海岸から約10km、ベルギーの海岸から約11kmのエリアが想定されている。ベルギー政府は2021年6月、景観問題や海路を妨げる可能性等を理由に、同プロジェクトを裁判所に訴えており、事業者のEMD(EDF Renewable、Innogy、Enbridge子会社、RTEによる合弁会社)に対し、プロジェクトのエリアを海岸からさらに5km離れた場所に移動させることを要請したが、拒否されていた。ベルギー政府は、フランス側の配慮の欠如を遺憾とし今回の提訴に踏み切ったが、フランス政府との交渉には応じる姿勢を見せている。
2022.04.25
中国:新エネ車導入拡大など消費促進、経済の持続的回復に関する指針を発表
国務院(日本の内閣に相当)は2022年4月25日、「消費潜在力の活用による消費の持続的回復促進に関する意見(指針)」(第9号)を発表した。同指針は、新型コロナ感染症拡大で、特に中小企業やサービス業関連で経済活動が沈滞化していることを念頭に、消費促進策として、20項目の措置を示している。このうちエネルギー・電力関連では、グリーン関連消費の積極的奨励の観点から、電気自動車(EV)・燃料電池車(FCV)やEV用充電施設の開発支援加速化、省エネ家電の消費拡大促進のほか、一部産業に対する電気料金の割引も内容とされている。
2022.04.22
バルト三国:バルト三国、天然ガスの脱ロシア依存を表明
2022年4月22日付の報道によると、エストニア、ラトビア、リトアニアは現在、ロシア産天然ガスの輸入を停止しており、将来的にロシア依存からの完全な脱却を目指す方針である。ラトビアのカリンシュ首相が、首都リガで開催されたバルト三国の首脳会談後、共同記者会見で明らかにした。同三国の中ではリトアニアが、ロシアによるウクライナ侵攻とパイプラインガス輸入代金のルーブル建て支払い要求を受けて、2022年4月2日にロシア産ガスの輸入停止を表明している。同国は今後、Klaipėda港のLNGターミナルにおける輸入分により国内需要を賄い、5月以降はラトビア、ポーランドからもパイプラインを介してガスを輸入するとしている。ラトビア政府も、2022年4月19日にロシア産ガスの輸入停止と国内におけるLNGターミナル建設に合意したことが報じられている。同国のVitenbergsエネルギー相は、輸入停止の期日は2023年1月1日に設定され、LNGターミナルの完成は2023年末~2024年頃になるとの見通しを明らかにした。短期的な対策としてはエストニア・フィンランド政府と共同で、エストニアのPaldiski港におけるLNGターミナル建設を目指すとしている。
2022.04.22
オランダ:政府、2022年中にロシアからの化石燃料輸入停止を表明
オランダ政府は2022年4月22日、2022年中にロシアからの化石燃料輸入停止を目指すと発表した。石炭については、EUの対ロシア第5次経済制裁の一環として2022年8月11日までの輸入停止が決定済みである。石油に関しては、他のEU加盟国と協調して数週間以内に禁輸方針で合意できるよう努力するとしている。ロシア産天然ガスがオランダの全輸入量に占める割合は約10~15%(約60億m3)である。政府は、省エネや他国からのLNG輸入量増加、ガス備蓄体制強化により脱ロシア産ガスを目指すとともに、他のEU加盟国へ同調を求めている。国内の具体策に関しては、ロッテルダム港のLNGターミナル拡張と北部エームスハーヴェン港での浮体式LNGターミナル建設により、2022年末までに追加で約80 m3のLNG輸入が可能となる。また、2025年までに国内天然ガス消費量は約90億m3削減可能と見込まれている(2021年国内消費量は400億m3)。ガス備蓄については、現在高騰しているガス価格と次の冬期ガス価格の差額を政府が補填することで民間企業の備蓄を促す方針であり、これに要する費用は6億2,300万ユーロ(約8兆5,351億円)と見積もられている。
2022.04.21
米国:FERC、地域送電計画と費用配分に関する改革案を公表
連邦エネルギー規制委員会(FERC)は2022年4月21日、地域送電計画と費用配分に焦点を当てた改革案を公表した。FERCは2021年7月15日に地域送電計画とその費用配分、電源連系プロセスの改善を目的とした一般からのコメントを募るため規則案事前通知(ANOPR)の発出しており、今回はANOPRに寄せられたコメントを踏まえて提案したものとなる。この改革案では、(1)電源構成や需要の変化による送電ニーズに対応するため、十分に将来(20年以上)を見据えた長期的な地域送電計画を策定すること、(2)地域送電計画の策定プロセスにおいてダイナミックレーティングや潮流制御装置といった系統強化技術(GETs:Grid Enhancing Technologies)を十分に考慮すること、(3)策定された地域送電計画の費用配分について、該当地域内の州機関の同意を取ることなどを求めている。(3)の費用配分に加えて、(1)の長期的な地域送電計画では連邦・州政府の公共政策(電源構成目標や再エネ利用割合基準等)に基づいた送電ニーズを反映することも求めており、今回の改革案により州の関与がより強化されるものと見られる。なお、電源連系プロセスに焦点を当てた改革は、近い将来着手される見通しである。
2022.04.20
中国:政府、新規原子力6基の批准と石炭生産能力増強等の方針を提示
国務院常務会議(日本の閣議に相当)は2022年4月20日、「経済・社会発展を保障するエネルギー供給能力の増加」の方針を提示した。同方針では、浙江省の三門原子力発電所3、4号機(中核集団、CAP1000、125万kW×2基)、山東省の海陽原子力発電所3、4号機(国家電投、CAP1000、125万W×2基)および広東省の陸豊原子力発電所5、6号機(中広核集団、華龍1号、115万kW×2基)の新規原子力6基の批准、ならびに年間3億tの石炭生産能力の増強と2億2,000万kWの石炭火力発電所の改造が示されている。
2022.04.20
EU:欧州委員会が2030年の再エネ目標を45%へと引き上げることを検討中
エネルギー情報誌は2022年4月20日、欧州委員会(EC)が2030年の再生可能エネルギー導入目標の引き上げを検討していると伝えた。ロシアのウクライナ侵攻によりロシアへのエネルギー依存度低下はEUの喫緊の課題となっており、ECは2022年3月に、2027年までにロシアからの化石燃料輸入の停止を提案したが、加盟国の間でまとまらず、5月に再度、議論を行うことになっている。ECの検討の中には、ロシアからのエネルギー輸入停止に伴うエネルギー供給への影響に加えて、再生可能エネルギー導入の加速が含まれており、2030年に40%とする再エネ導入目標(最終エネルギー消費に対する比率)を45%とする案が含まれている。ECはこれらの検討内容を加盟国に提示して議論し、2027年までのロシア産化石燃料輸入の停止を決定したい意向である。また、再エネ導入を加速するため、以前から課題となっている許認可手続きの簡素化のガイドラインもあわせて提示すると報じられている。
2022.04.19
米国:DOE、既存炉の運転継続支援プログラム初回分申請の募集を開始
欧州の電気事業者団体Eurelectericは2022年3月22日、ウクライナ危機への対応に関するEU首脳会議の開催に先立ち、欧州委員会および政府首脳に宛てた書簡を米国エネルギー省(DOE)は2022年4月19日、既設原子力発電所の早期閉鎖回避を目的に新設した総額60億ドルの「運転継続支援プログラム(Civil Nuclear Credit program)」の初回分申請の募集を開始すると発表した。締切りは同5月19日で、有資格と認定された商業炉に対し同10月1日から2026年9月30日までの4年間、発電量に応じて支援(クレジット)が付与され、対象炉を運営する事業者はクレジットの総量に応じた支援金を受け取ることになる。なおDOEは、2022年2月から実施した意見募集で寄せられたコメントを反映して、初回については既に早期閉鎖の方針を公表済みの商業炉を優先し、審査過程の簡素化も図ったとしている。また今回の発表の中で、2回目のスケジュール(2023会計年度第1四半期に申請募集期間を発表、クレジット付与期間は2023年10月1日からの4年間)を示すと同時に、同プログラムは60億ドルの基金がなくなり次第、もしくは2031年9月末をもって終了するとしている。
2022.04.18
パキスタン:華龍1号型のカラチ3号機が営業運転開始
中国核工業集団有限公司(CNNC)は2022年4月18日、パキスタンのカラチ原子力発電所3号機(110万KW)が試験に合格し、営業運転を開始したと発表した。2021年5月に営業運転を開始した同発電所1号機に次ぐ同国で2基目の華龍1号型PWRとなる。同号機は、2016年5月の着工後、2022年2月21日に初臨界を達成し、同年3月4日に電力系統に接続されていた。記念式典にはCNNC社長とパキスタン原子力委員会(PAEC)委員長も出席した。同発電所2、3号機は、華龍1号型として初の輸出事例で、国際市場では「HPR1000」として知られている。両号機の年間発電量は合計約200億kWhで二酸化炭素の年間排出量を1,632万t削減するという。同国パンジャブ州では、チャシュマ原子力発電所1~4号機(CNP-300型PWR×4)が稼働中だが、CNNCは2017年にPAECと同発電所5号機として、華龍1号型炉を建設する協力協定に署名している。
2022.04.14
中国:石炭輸送の幹線鉄道で脱線事故が発生
現地紙は2022年4月14日、中国の石炭生産量の約1割を輸送する幹線鉄道である大秦線の天津区間で脱線事故が発生したと報じた。それによると、4月14日の13時頃、停車中の貨車が動き出して走行中の別の車両に衝突、17両が脱線して11両が鉄橋から落下するという大事故となった。この事故に対して、国家鉄道集団では、約1,000人を動員して対応、これまでのところ負傷者などの報告はされていない。なお、大秦線は主要産炭地である山西省の大同市から天津市を経由して河北省の秦皇島港(世界最大の石炭中継港)に至る路線で、「エネルギーの大動脈」と称されており、この事故による石炭供給への影響が懸念されている。
2022.04.14
ポーランド:ZE PAK、Adamów石炭火力を早期閉鎖してCCGTに転換
ポーランドの国内発電大手ZE PAKは2022年4月14日、Adamów石炭火力発電所の閉鎖時期を当初予定の2030年から2024年に早め、跡地にCCGT(設備容量60万kW)を建設することを発表した。2022年11月末までにCCGT建設の準備を開始する予定。なお、CCGTプロジェクトは2021年12月に実施された容量オークションの結果、2025年から17年間、年間400.39ズロチ(約1万2,000円)/kWにて落札している。ZE PAKは2020年10月時点で同社が保有する石炭火力発電所(110万kW)を2030年までに閉鎖する予定を明らかにし、2023年にPątnów Iの5号機(20万kW)を閉鎖し、2024年にPątnów Iの1号機と2号機(44万kW)、2029年にPątnów IIの9号機(47万kW)を閉鎖する予定を示している。しかし、ロシアによるウクライナ侵攻の影響でロシアからの天然ガス輸入を停止することに伴い、石炭火力の閉鎖時期についてはEUと調整中であることが報じられている。
2022.04.12
ドイツ:連邦経済気候保護省、エネルギー危機時に向けた法改正へ
ドイツ連邦経済気候保護省(BMWK)のHabeck大臣(緑の党)は2022年4月12日、エネルギー危機が発生した場合に、重要なエネルギーインフラの運営企業を政府管理下に置くことを可能とするようエネルギー安全保障法改正を検討していることを明らかにした。同法は第1次オイルショックを受け1975年に制定されたものであり、エネルギーの安定供給を確保するため行政が介入することを可能としたものである。改正法案のドラフト版によると、エネルギー危機時に重要なエネルギーインフラ(ガスパイプラインやガス貯蔵設備)が正常に機能できず、安定供給を損ねる具体的リスクがあると認められる場合、BMWKは一時的(6カ月間、最大1年まで延長可)に当該インフラの運営企業を政府管理下に置く指示を出すことができ、極端なケースにおいては運営企業を政府が収用(国が強制的に権利取得)することも可能となる。
2022.04.12
フランス:風力・太陽光事業者、FIP制度で得た利益の差額を政府に支払い
現地紙の2022年4月12日付の報道によると、フランスの風力・太陽光事業者は電力価格高騰を受け、FIP制度(一年に一度計上)における市場価格と行使価格の差額をプレミアムとして政府に支払うと発表した。同国では、2022年の第1四半期における市場価格(23.1ユーロ・セント/kWh)が行使価格(2021年の平均値は10.88ユーロ・セント/kWh)を上回っている状況であり、利益を出している事業者側が規定により政府にプレミアムを交付しなければならない(1ユーロ・セントは約1.3円)。また、フランスの風力エネルギー協会(FEE)の発表によると、2022年の年間平均電力価格を22ユーロ・セント/kWhと仮定した場合、風力・太陽光事業者は同年に37億ユーロ(約4,810億円)を政府に交付しなければならない。この状況が続けば、2003年より風力事業を支援してきた政府はこれまで支援した分の全額に当たる110億ユーロ(約1兆4,300億円)を2024年四半期に回収することになる。なお、風力と太陽光を合わせると、政府は2022年に144億ユーロ(約1兆8,720億円)を事業者から回収することになる。
2022.04.10
中国:国務院、全国統一市場の設置加速化に向けた指針を公表
国務院(日本の内閣に相当)は2022年4月10日、全国統一市場の設置を加速化する指針を公表した。それによると、効率的かつ規範化され、公平な競争が行われる、十分に開放された全国統一市場を様々な分野で設置していくことが提唱された。指針では、市場の健全運営に向けた基本規則の策定を手始めに、法律・法規などに基づいた法執行を規範化するなどの方針が示されている。なお、エネルギー分野に関しては、国家電力取引センターを適切な時期に設立することなどが言及されている。
2022.04.07
カナダ:オンタリオ州、GHG削減等を目的とした水素戦略を発表
カナダで最大の人口を有するオンタリオ州は2022年4月7日、「Ontario’s Low-Carbon Hydrogen Strategy」と題した水素戦略を発表した。州内で水素ハブの候補地を5つ示した。このうちナイアガラフォールズ水素製造プロジェクトでは、2万kWの水電解装置を設置しサー・アダム・ベック水力発電所の電力を利用してグリーン水素を製造する。オフピークの電力を使い需給を調整するとともに、地域の大型トラックや自治体、重工業などに対し水素を供給する。連邦政府の資金援助を獲得できれば、2024年までに運転を開始できるという。同州は、水力発電にかかる税金など(gross revenue charge)を免除して支援する。アルバータ州やブリティッシュコロンビア州は、水素の輸出を目論むが、オンタリオ州は、水素を主に温室効果ガス(GHG)の削減に活用する。一方、電源が不足しているオンタリオ州では、水素製造に使う電力需要が増えれば、これを補うために天然ガス火力を稼働させる必要がでてくるため、GHGが増えるとして本戦略を批判する声もある。
2022.04.06
ポルトガル:電力供給に占める再エネ比率を2026年までに80%へ引き上げ
エネルギー情報誌は2022年4月6日、ポルトガル政府が電力供給に占める再エネ比率を拡大して、2026年までに80%とすると発表したことを報じた。ロシアのウクライナ侵攻により欧州各国で再エネ導入を拡大する動きがあるが、ポルトガル政府の目標引き上げもこの流れに沿ったもので、従来の計画を4年前倒しすることになる。同国の電力供給に占める再エネ比率は2010年の41%から2022年には58%まで高まる計画で、2026年に80%が目標となる。最終エネルギーに占める再エネ比率は2030年に47%としており、このため今後10年間に再エネ設備容量を倍増する。ポルトガル政府は太陽光発電導入に期待を寄せており、その導入を加速するため設備容量5万kW以下の事業の環境審査を省略する方針である。
2022.04.05
EU:ロシアへの追加制裁としてロシア産石炭の輸入停止へ
欧州委員会は2022年4月5日、ロシアによるウクライナ侵攻に対する制裁として6つの追加制裁を課すと発表した。ロシア産石炭の輸入を禁止するほか、ロシア主要銀行との取引停止、ロシア関連船舶のEU域内港湾への入港禁止、ロシアとベラルーシの運送会社のトラックのEU域内通行禁止等が含まれる。一連の制裁で欧州委員会がエネルギー輸入に関する制裁を課すのは初めてとなる。欧州委員会によると、EU全体の石炭輸入量の45%はロシアに依存しており、特にドイツ、オランダ、ポーランドがロシア産石炭の主要輸入国である。年間輸入額は40億ユーロ(約5,200億円)に達する。EIA統計によると、ロシアは2020年に約2億2,000万tの石炭を輸出しており、そのうち31%が欧州向けとなっている。追加制裁は4月8日にEU理事会により正式決定された。石炭の輸入禁止に向けては4カ月間の準備期間が認められ、既存契約の下では2022年8月まではロシア産石炭輸入は可能だが、それ以降の新たな契約締結は禁止されることとなる。
2022.04.05
欧州:欧州水素パイプライン構想の更新(European Hydrogen Backbone)
2022年4月5日、欧州大での水素専用パイプライン構想European Hydrogen Backbone(EHB)の更新版レポートが発表された。EHBは、EU水素戦略等を踏まえた2030~2040年の水素専用パイプライン敷設構想であり、2020年7月の初案ではガス導管事業者11社の参画による欧州10カ国の既存ガスパイプラインの転用を主としていた。今回の更新では、2022年3月に欧州委員会が発表した包括的な政策文書「REPowerEU」にて引き上げられたグリーン水素利用目標(年間500万tから2,000万tへ)を踏まえて規模が拡大されており、2030年時点で5つの水素輸入・供給ルートを欧州内に構築し、パイプラインの全長は2万8,000kmとなる。さらに、2040年には全長5万3,000kmまで拡張される予定であり、その60%以上が既存ガスパイプラインの転用、残りは新設となる。参画するエネルギーインフラ企業は31社で設立当初より大幅に増え、対象国はEU25カ国、英国、ノルウェーおよびスイスの28カ国となった。2040年迄の構想全体の必要投資額は800億~1,430億ユーロ(1ユーロは約135円)、パイプラインを利用した輸送コスト(水素1kg、輸送距離1,000km当たり)は、陸上ルートで0.11~0.21ユーロ、海底ルートで0.17~0.32ユーロと見積もられている。
2022.04.02
中国:エネルギー分野の技術開発5カ年計画が公表される
科学技術部(日本の「省」に相当)と国家能源局は2022年4月2日、「エネルギー分野における技術開発・イノベーション推進に関する第14次五カ年計画(2021~2025年)」(第58号)を公表した。同計画では、新エネルギー比率の更なる拡大に対応するため、大容量エネルギー貯蔵、水素エネルギー、高効率太陽光などを含めた新型電力システムを構築するための技術・イノベーションの推進方針がまとめられている。また、安全確保を前提とした原子力の秩序ある発展を支える先進的技術と使用済燃料の処理と原子力発電の寿命延長の技術研究、化石エネルギーの高効率利用、緊急時の対応能力向上、エネルギー産業の更なるデジタル化などが目標として掲げられている。

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