(2020年、石油換算100万トン) | ||||||||
石 炭 | 石 油 | ガ ス | 原子力 | 水 力 | その他 | 計 | 自給率 | |
国内生産 | 294.6 | 20.7 | 127.3 | - | 1.3 | 8.7 | 452.6 | 346% |
国内供給 | 38.9 | 44.1 | 37.9 | - | 1.3 | 8.7 | 131.0 |
(2020年、発電端) | ||||||
発電電力量 (10億kWh) | 構成比(%) | |||||
石 炭 | 石 油 | ガ ス | 原子力 | 水 力 | その他 | |
265.2 | 54 | 2 | 20 | 0 | 6 | 18 |
(2020年) | ||||||
年負荷率 | 熱効率 | 送配電 損失率 | CO2 | SO2 排出量 | NOX 排出量 | |
(%) | (%) | (%) | 原単位 (g/kWh) | 総排出量 (百万トン) | (g/kWh) | (g/kWh) |
68.4 | N/A | 4.4 | 657.7 | 165.7 | 1.67 | 1.27 |
電気料金水準 (日本=100、2020年) | 停電時間 (分/年間、2016年) | |
産業用 | 家庭用 | |
- | 82 | 245.40 |
自由化 | 従来は、各州電力庁による垂直一貫体制。1990年代後半の電気事業改革により、全国電力市場(NEM)を中心とした東部地域、西オーストラリア州、北部準州の3つの市場に再編。東部地域と西オーストラリア州では発電、送電、配電、小売の各部門に分割され、発電部門と小売部門が自由化。 |
全国電力市場 (NEM) |
NEM参加州:ニューサウスウェールズ州(NSW)、ビクトリア州(VIC)、クイーンズランド州(QLD)、南オーストラリア州(SA)、首都特別区(ACT)、タスマニア州(TAS)の合計6地域。西オーストラリア州(WA)及び北部準州(NT)は系統が独立しており、不参加。 |
規制 | 従来、連邦が州際事項、各州が州内事項を管轄。2005年に連邦大で規制するため、NEM参加地域を対象として、連邦規制機関として豪州エネルギー規制局(AER)および豪州エネルギー市場委員会(AEMC)を設立。前者は送配電、料金規制を除く小売事業、卸売市場の規制、後者は市場制度の検証、変更を担当。 |
〇 WA州を除く全州で小売全面自由化を実施。VIC、SA、NSW、QLDの一部では料金規制も撤廃。送配電費用、卸費用等の増加で小売料金は2010年以降の10年間で約2倍に上昇。
〇 小売事業者は20社以上存在するが、大手電力会社のAGL、Origin、EnergyAustralia(ビッグ3)は、東部州で市場シェアの60~100%を占める。ビッグ3は小売事業に加えて、発電会社も保有。
〇 2019年7月1日から、小売料金の一部に上限規制を導入。対象は市場料金を選択しない需要家(ビクトリア州で家庭用需要家の約6%が該当)。
〇 現在、原子力発電設備はなく、建設には法改正が必要。原子力モラトリアム政策。
〇 ウラン資源は積極的に開発・輸出する方針(2014年にインドと原子力協定締結)。ただし、鉱山開発権限を有する一部の州は否定的。
〇 2019年8月、上院エネルギー委員会が2006年以来の原子力導入可能性調査を開始。
〇 2020年5月にオーストラリア政府が公表した温室効果ガス削減に関する「技術投資ロードマップ」で、SMR を「変革の可能性を秘めた有望な技術」と位置付け。
〇 2021年7月、英国政府とSMR を含む脱炭素技術に係る研究開発の協力趣意書に署名。
① 政策目標の動向
〇 2022年5月の総選挙で勝利した労働党政権は、6月に気候変動目標を強化する法案を成立させ、国連にNDCを提出。
〇 温室効果ガス削減目標:2030年までに2005年比43%削減(従来の目標は26~28%減)。2050年にネットゼロを実現。
② 再エネ政策
〇 新政権は選挙キャンペーンで2030年に電力供給の80%をゼロエミッション電源とすることを公約。具体的な政策は今度明らかになる見込み(以下は前政権の取り組み)。
〇 再生可能エネルギー導入目標: 2020年までに発電電力量の23.5%(達成済)。
〇 2020年5月、「技術投資ロードマップ」を策定、同9月にこれに基づく声明文書を発表。電力分野では、水素、電力貯蔵、CCS等が優先分野に。「H2 under 2」目標(後述)を踏襲。2030年2005年比で29%のGHG排出削減が可能との見込み。
③ 水素・アンモニア政策
〇 水素大国を目指し、オーストラリア政府評議会エネルギー委員会(連邦・州の合同組織)は2019年11月、「国家水素戦略」を発表。水素ハブ(様々な分野の水素需要が集まった大規模水素需要地)の設立等を提唱。
〇 テイラー・エネルギー相(当時)は2020年2月、水素1kg 当たり2豪ドル未満を目指す「H2 under 2」を発表。
〇 オーストラリア再生可能エネルギー庁(ARENA)は2020年4月、再エネを利用した水素エネルギー開発を支援するため、7,000万豪ドル(約58億 円 )の助成金制度「Renewable Hydrogen Deployment Funding Round」を開始。36件(計10億豪ドル)が応募、2021年5月に3件(計1億豪ドル、当初より増額)を選定。
① 電化の進展状況
〇 2021年の新車販売に占めるEVのシェアは2%。
② 電化促進に向けた政策
〇 連邦政府によるEV導入のための支援策はなし(今後、新政権下で軽減税制などの導入が検討される見込み)。州政府は独自に支援策を実施(VIC、SA、NSW、QLD州ではEV一台購入時に6,000豪ドルの補助金(リベート)を支給し、税額控除などの支援策もあり)。
① ウクライナ侵攻の影響
〇 国際的なエネルギー(石炭、天然ガス)価格の上昇により、国内のガス、卸電力価格も大幅に上昇。2022年第2四半期の卸電力価格(平均)は264豪ドル/MWh(約24.6円/kWh)に達する。これは2022年第1四半期および2021年第2四半期のほぼ3倍に相当。
〇 2022年6月15日~23日、東海岸地域への寒波の来襲や老朽化した石炭火力の計画外停止、燃料価格の上昇などが要因となって、東海岸各州の卸電力市場の取引を管理者が一時停止。
〇 国際的なエネルギー価格高騰により、LNG事業者が輸出を優先するため2023年以降国内市場でガスが不足するとの見通しとなり、連邦政府はLNG輸出の抑制を検討中(2022年10月までに決定するとの報道)。
② エネルギー価格高騰への対応
〇 2022年5月の総選挙キャンペーンで労働党政権は一世帯あたり年間275豪ドルの電気料金削減を公約(具体的な政策は今後実施される見込み)。