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ごあいさつ

会長からのご挨拶

1958年に設立された当調査会の設立目的は、次の2点に集約されます。一つ目は、「海外諸国の電気事業者との情報・資料の交換活動を組織的、恒常的に行うこと」、そして二つ目は、「開発途上国の電源開発に対し電気事業の立場から積極的に技術協力を行うこと」であり、そのミッションは今も変わりはありません。
さて、世界のエネルギー情勢はかつてない大きな変革期を迎えています。昨年2月以降のロシアのウクライナ侵略は長期化、混迷の様相を示しており、世界の政治・経済並びにエネルギー情勢にとって最大の不安定要因となっています。気候変動問題が重要な世界的課題であることに変わりはありませんが、これに加えて「エネルギー安全保障」、「エネルギー地政学」が改めて最重要課題として大きく浮上しました。欧米諸国や日本を中心に脱ロシアと脱炭素の両立をめざす動きが加速化しており、これが国際エネルギー市場に大きな影響を与えています。また、地政学リスクの増嵩に伴うエネルギー価格の変動に加え、供給力の不足に起因する電力の需給逼迫事象の顕在化がガス・電力価格の高騰をまねき、企業・家計を圧迫しています。更に、異常気象や自然災害の発生等の頻発が電力事業者の持続的な経営に影響を及ぼすなど、エネルギー・電力めぐる事業環境は従来にない厳しいものとなっています。
こうした状況の中、世界各国の電気事業者は、4つのD(Decarbonization、Decentralization、Deregulation、Digitalization)の進展に適応しながら、それぞれの国情に最適な形で電力の安定供給(量・価格・品質)を維持・進化させていくために、再エネの一層の拡大に加え、原子力への回帰、燃料調達の多様化、送配電系統の拡充、電力市場の整備、将来の水素利用等への動きや石炭火力の活用等を進めています。
わが国においては、オールジャパンで脱炭素社会の実現とエネルギーの安定供給に取り組んでいるところですが、電気事業者は電力の安定供給を使命としつつ、その中核となって革新的な取り組みを推進していくことが必要不可欠です。当調査会としては刻々と変化する経営環境の下、海外の電気事業者が何を優先課題と捉え、どのような取り組みを行っているのかを重点的に調査し、ニーズに即した情報を積極的に発信してまいります。また、国際協力事業においては、これまでに培った友好関係・人脈を駆使し、アセアン諸国等との関係のさらなる深化・発展を目指します。
私たちは、これまで以上に職員が一体となって、国内外のエネルギー事業者間の、そして未来への架け橋となるべく、力一杯がんばってまいります。
2023年4月3日
海外電力調査会 会長
増田 祐治

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