ごあいさつ
会長からのご挨拶
当1958年に設立された当調査会の設立目的は、次の2点に集約されます。一つ目は、「海外諸国の電気事業者との情報・資料の交換活動を組織的、恒常的に行うこと」、そして二つ目は、「開発途上国の電源開発に対し電気事業の立場から積極的に技術協力を行うこと」であり、そのミッションは今も変わりはありません。
このところ、世界のエネルギー情勢は大きな変革期を迎えています。「脱炭素化」は既に世界的潮流となっていますが、コロナ禍からの経済回復を目指す中、各国で脱炭素化への取り組みが急速に進展しています。欧米では、再生可能エネルギーの拡大や石炭火力の段階的な削減、電化の推進、水素の利用開発等のいわゆるグリーンリカバリーが政府主導の下で推進されています。原子力のクリーン電源としての価値も多くの国で再認識されています。また、中国やアジアの国々も脱炭素化に向けた取り組みを進めています。
こうしたなか、再生可能エネルギーの拡大やEVの普及等の電化進展に伴い、送配電系統の拡充や電力市場整備が重要な課題となっています。世界の電気事業者は、それぞれの経営環境の中で電力の脱炭素化を進めつつ、安定供給を確保するために難しい舵取りが求められています。
更に、ロシアによるウクライナ侵攻とこれに伴う制裁措置は、エネルギー供給源の脱ロシア化、化石燃料価格の大幅な上昇等を招き、世界のエネルギー情勢を大きく変容させることが確実な情勢です。現在各国は、今後の脱炭素化の推進も含め、エネルギー政策や戦略等を練り直す必要に迫られているところです。
わが国においては、オールジャパンで脱炭素社会の実現とエネルギーの安定供給に取り組んでいるところですが、電気事業者はその中核となって革新的な取り組みを推進していくことが必要不可欠です。当調査会としては刻々と変化する経営環境の下、海外の電気事業者が何を優先課題と捉え、どのような取り組みを行っているのかを重点的に調査し、ニーズに即した情報を積極的に発信してまいります。また、国際協力事業においては、これまでに培った友好関係・人脈を駆使し、アセアン諸国等との関係のさらなる深化・発展を目指します。
私たちは、これまで以上に職員が一体となって、国内外のエネルギー事業者間の、そして未来への架け橋となるべく、力一杯がんばってまいります。
2022年4月1日
海外電力調査会 会長
増田 祐治
海外電力調査会 会長
増田 祐治