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欧州:欧州委、2050年にグリーン水素の域内製造は輸入より安価との試算発表
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- 2023-08-04
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- 欧州
- 環境・再エネ
欧州委員会は2023年8月4日、2050年に重工業を脱炭素化した時のエネルギー供給を検証した報告書『The impact of industry transition on a CO2-neutral European energy system』を発表した。同報告書は、2050年における域内全体の燃料別(水素を含む)エネルギー需要を予測した後、コストや送電容量制約などを加味して、これを各国に最適分配したもの。その結果、2050年の総エネルギー需要は効率化により10兆kWhに減少(2019年は約13兆kWh)するが、このうち電力が4割強(同2割)、水素が3割(同0割)を占めるようになると予測された。報告書は、域内の再エネポテンシャルを需要より多い約9兆4,000億kWhと見積もっており、将来の再エネ発電電力量を満たしながら、水素製造用に確保できると予測している。この水素需要を最も低コストで満たすのは、域内に電解装置を約9億kW設置し製造した場合で、最も低コストで輸入した場合(中東または北アフリカからパイプラインで輸入)の65ユーロ/MWh H2(約2.17ユーロ/kgH2)より約10%安くなると試算された。しかし輸入より低コストで製造できる国は限定的で、自国の電力需要以上に低コストでの再エネ導入ポテンシャルが高いフランス(電解装置容量1万3,000万kW)、スペイン(1万2,000万kW)、英国(7,000万kW)、ノルウェー(7,000万kW)などが、欧州で主要な水素生産国になり得るとしている。また各国で再エネがポテンシャルの7割しか導入されないと、域内の水素製造コストは11%増加し、輸入の方が安くなると予測された。他方、ドイツ、ベルギー、オランダ、スイス、南東欧諸国では、輸送コストが安くなるため、自国での水素製造よりも隣国から水素を輸入する方が低コストになると試算された。
