- 2022-05-12
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- 欧州
- エネルギー一般・政策
ドイツ公共放送連盟(ARD)は2022年5月12日、連邦議会がエネルギー安定供給法の改正案を可決したと報じた。2022年5月20日に連邦参議院が改正案を可決すれば、2022年6月1日より施行される。同法は第1次オイルショックを受け1975年に制定されたものであり、エネルギーの安定供給を確保するため行政が介入することを可能としたもの。エネルギー危機時に重要なエネルギーインフラ(ガスパイプライン等)が正常に機能できず、安定供給を損ねるリスクがあると認められる場合、ドイツ連邦経済気候保護省(BMWK)は一時的(6カ月間、最大1年まで延長可)に当該インフラの運営企業を政府管理下に置く指示を出すことができ、極端なケースにおいては運営企業を政府が収用(国が強制的に権利取得)することも可能となる。連邦政府は2022年4月4日、ガスプロムのドイツ子会社ガスプロム・ゲルマニアが別のロシア企業に売却されるのを防ぐための緊急措置として、2022年9月30日まで同社を連邦系統規制庁(BNetzA)の管理下に置き、同社の経営議決権、役員任命権や財産処分権などを移管した。さらに、ウクライナ情勢を鑑み、今後同様のケースが続いて発生する懸念からエネルギー安定供給法の改正に踏み切った。同法の施行後、最初に連邦政府の管理下に置かれるのはロシアの石油企業ロスネフチの子会社がドイツ国内で所有するPCK製油会社になると見られている。同社がロシアから輸入する原油はドイツの全輸入量の12%に相当し、ロシアのウクライナ侵攻開始以降、多くのドイツ企業がPCKとの取引を停止しているため、経営悪化が続いている。このため、連邦政府はPCKを政府管理下に置き、原油の輸入元をロシア以外へと変更する方針。
