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EU:欧州委員会が原子力と天然ガスをタクソノミーに含めることを提案
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- 2022-01-01
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- 欧州
- 環境・再エネ
エネルギー情報誌は2022年1月1日、欧州委員会(EC)が持続可能な事業分類(タクソノミー)に関する技術基準に原子力発電と天然ガス発電を含めることを提案したと報じた。ECは持続可能な事業への資金供給を目的に、事業内容が持続可能か否かを判断するための基準を数年間にわたって議論し、2021年6月に技術基準を採択したが、原子力と天然ガスの扱いについては先送りになっていたもの。ECは、2050年のカーボンニュートラル達成を目指す中で、加盟国のおかれた状況は様々で原子力と天然ガスに一定の役割があることを認識して、再生可能エネルギーを主体とした社会への移行を促進するため、厳しい条件のもとでタクソノミーに含めることを認めたとしている。原子力発電の新設は、2045年までに加盟国が建設を許可すること、放射性廃棄物の最終処分および発電設備の解体に必要な費用が準備できること、低・中レベル廃棄物の最終処分場が稼働していること、高レベル廃棄物の最終処分場を2050年までに稼働するための詳細計画を有していることが条件である。天然ガス発電に関しては二つの基準が示され、一つはライフサイクルの温室効果ガス(GHG)排出量が100gCO2/kWh以下となることである。もう一つは、加盟国による建設の認可が2030年12月31日までに行われ、発電時のGHG排出量が270gCO2/kWh以下(あるいは年間のGHG排出量が550kgCO2/kW以下)となり、GHG排出量の多い既存設備を置き換え、設備容量は置き換える設備量の15%を超えず、一定量(2026年1月1日時点で30%以上、2030年1月1日時点で55%以上、2035年12月31日以降は100%)は再エネ起源のガスあるいは低炭素排出ガスを使用することである。ECは1月21日まで加盟国の専門家への意見照会を行い、その後、欧州議会と閣僚理事会に最終案を提示、4カ月(必要に応じて6カ月)にわたって審議を行うことになる。原子力と天然ガスの扱いについては加盟国間でも大きく意見が異なり、賛成、反対の立場からそれぞれ意見表明が行われてきたが、EC案を否決するためには、人口の65%以上を有する20カ国以上の反対あるいは欧州議会の過半数の反対が必要で、EC案が否決される可能性は低いとみられている。
