海外電気事業短信

EU:2050年、2030年EU目標達成に向けた政策案「Fit for 55」を提出

2021-07-14
  • 欧州
  • 環境・再エネ

欧州委員会は2021年7月14日、EUの2050年カーボンニュートラル目標実現に向け、GHG排出量を2030年までに1990年比で少なくとも55%削減するという中間目標達成に向けた包括的な政策案「Fit for 55」を採択した。政策案には、この先10年のGHG排出削減に重要となる(1)欧州排出量取引制度(EU-ETS)の強化と排出量取引の新産業分野への適用、(2)再エネの利用拡大、(3)エネルギー効率化、(4)低排出モビリティやこれを支えるインフラ整備、(5)欧州グリーンディールと課税政策の整合、(6)炭素国境調整メカニズム(CBAM)の創設および自然の炭素吸収源の保全・拡大といった施策が盛り込まれている。(1)では、年間排出枠を引き下げるとともに対象部門に新たに海運を加え、別枠で交通輸送・建物部門の取引制度を設立する。(2)では、再生エネルギー指令を改正し、EUの2030年エネルギーミックスにおける再エネ割合目標を従来の32%から40%に引き上げる。(3)では、エネルギー効率化指令を改正し、EUの2030年のエネルギー効率化目標を従来の32.5%から36~39%に引き上げる。(4)では、2035年からガソリン車の新規販売を禁止し、低排出モビリティへの移行を加速するため、欧州内の主要高速道路上に充電ステーションを60kmごと、水素ステーションを150kmごとの一定間隔で設けることを求める。(5)では、エネルギー課税指令を改正し、化石燃料の使用を促す現行の税控除・軽減税率を排除することや、新たに航空燃料税を導入する。(6)では、炭素リーケージ防止のため、CBAMにてEUへの製品輸入(鉄鋼、アルミニウム、セメント、電力、肥料)に炭素税を課す。また、EU全体のLULUCF(土地活用、土地利用の変更、および林業)による炭素吸収量の目標として、2030年までに二酸化炭素3億1,000万t相当を設定。同政策案が成立するためには、原則として加盟国との調整や欧州議会の審議を経る必要がある。2035年からガソリン車販売を事実上禁止するという大胆な措置に自動車ロビー団体は即座に反発している。また、その他産業にも多大な影響を及ぼすことが予想されることから、ビジネスヨーロッパ(欧州産業連盟)は同政策案の今後の検証が重要だと指摘している。